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2026年6月15日放送の『風、薫る』第56回は、梅岡看護婦養成所の閉所問題と、安(早坂美海)の結婚話が並行して描かれる回だった。
前回、帝都医科大学附属病院に看護科が新設されることになり、梅岡看護婦養成所は一期生をもって閉所することが明かされた。今回はバーンズ先生(エマ・ハワード)が捨松(多部未華子)と初めて対面し、「私は、看護婦を育てられなかったようです」と苦しい思いを打ち明ける。
一方で、一ノ瀬家では安と槇村家の顔合わせが進み、安が突然「結婚をやめようかな」と言い出す。看護婦の話に戻るのかと思ったところで、週の始まりの月曜日の大半が安の結婚話になった。
正直、何を見せたいのかよく分からない一話だった。
前回の記事はこちらです。

第56回のポイント
- バーンズ先生と捨松が初めて対面する。
- バーンズ先生は捨松に「私は、看護婦を育てられなかったようです」と打ち明ける。
- 安と槇村家の顔合わせの日、環(英茉)の元気のなさをりん(見上愛)が気にする。
- 安は顔合わせ前から結婚を先延ばしできないかと言い始める。
- 顔合わせ後、安は「結婚やめようかな」と口にする。
- 槇村宗一(上杉柊平)は、安との結婚を長男としての「ミッション」だと語る。
- 槇村太一(林裕太)は兄の考えに納得できず、安への思いをさらにぶつける。
- 安は、りんと暮らして一ノ瀬家の奥様になると言い出す。
- 美津(水野美紀)は、女だけで生きるつらさを語り、安にまともな結婚をして幸せになってほしいと諭す。
- 多田(筒井道隆)はバーンズ先生に、看護婦見習たちの勤め先の心配はいらないと伝える。
個人的に印象に残ったこと
今回まず印象に残ったのは、バーンズ先生と捨松が初めて対面した場面だった。
バーンズ先生は、捨松に会えたことを喜んでいた。捨松は、アメリカで教育を受け、日本に戻ってきた女性であり、看護婦という職業を日本に根づかせるうえでも重要な人物として描かれてきた。
ただ、捨松にどんな用件かと尋ねられたバーンズ先生は、「私は、看護婦を育てられなかったようです」と答える。
ここはかなり重かった。
前回、梅岡看護婦養成所が一期生をもって閉所することになった。さらに、帝都医科大学附属病院で働けるはずだった話もなくなっている。
バーンズ先生にとっては、自分が日本で看護婦を育てるために尽くしてきたことが、途中で断ち切られたような気持ちなのだろう。
ただ、ここで少し気になったこともある。
梅岡看護婦養成所と捨松は、何の関係もないのだろうか。
捨松とバーンズ先生は初対面のような雰囲気だった。自分はてっきり、バーンズ先生は捨松が連れてきた人なのかと思っていた。けれど、そうではないらしい。
となると、バーンズ先生を連れてきたのは梶原校長(伊勢志摩)なのだろうか。
バーンズ先生が捨松に会いに来た用件は、華族である捨松の力を使って、帝都医大病院に圧力をかけることなのかもしれない。看護婦見習たちの勤め先を確保するために、捨松の立場を頼ろうとしているのだろうか。
このあたりはまだはっきりしない。
一方、一ノ瀬家では安と嫁ぎ先の槇村家の顔合わせの日を迎えていた。
しかし、環に元気がない。
りんは環の元気のなさが気になり、安と美津に確認する。環が元気がない理由は、安が結婚するからではないかと心配する。
すると、ここに来て安が、結婚を先延ばしできないかなと言い始める。
美津が、槇村家との顔合わせの日なのに何を言っているのかと戸惑うのは当然だと思う。
顔合わせから帰ってきたりんたちは、ひとまず顔合わせは上手くいったようだった。ところが安は、「私……結婚やめようかな」と言い出す。
ここから、今回の話はかなり安の結婚問題に寄っていく。
槇村宗一は、シマケン(佐野晶哉)に、間を取り持ってもらったおかげだと感謝を伝える。
ただ、その宗一の言葉も引っかかる。
宗一は「結婚というミッションをとりあえず果たせそうです」と言う。
結婚をミッションと表現する。
弟の太一がそこに引っかかり、安のことが好きじゃないのかと食ってかかる。
宗一は、結婚は長男としての役目だからと言う。
太一は、そんな結婚はつまらなくはないかとなおも食ってかかる。シマケンは、太一が宗一に変なことを言わないように気を使っている。
ここは、安、宗一、太一の誰にもあまり共感できなかった。
安は、自分から安定した男と結婚して「奥様」になることを夢見ていた。その夢が手に入りそうになった途端に、いきなり結婚をやめたいと言い出す。
宗一は宗一で、長男だから安と結婚することはミッションだと言う。
太一は、兄の結婚が決まったというのに、自分の気持ちを伝え、兄の結婚を邪魔しようとしている。
誰一人として気持ちよく見られない。
ただ、安と宗一はお互い打算的な考えで動いているのだから、結婚すればいいんじゃないかとも思う。
安は安定を手に入れられる。宗一は体裁を手に入れられる。
それで双方の目的が一致しているなら、それはそれで成り立つ結婚なのではないか。
安は、小さいころから奥様になりたかった。宗一は結婚相手としては素敵な人だと思っている。でも、それだけで結婚することに不安になっている。
美津は、結婚するときは誰もが不安になると、マリッジブルーのような状況を落ち着かせようとする。
ここまでは分かる。
ただ、安が急に不安になった理由は何なのだろう。
太一の情熱にやられたのか。環が寂しそうだからなのか。自分が本当に欲しいものが分からなくなったのか。
結婚をやめるのは構わない。
でも、環が悲しんでいるからとか、他に寄生する相手を思いついたからというような理由だけは勘弁してほしい。
その後、環は安のお話が聞きたいと言う。
安は、一ノ瀬家をモデルにした自分の創作話を聞かせる。話を作っているうちに、りんが外に出て旦那様の役をしているのだから、自分が家を守ればいいと考え始める。
そして、この家の奥様になると宣言する。
環を育て、婿を取ると言い出す。
美津が何を言っているのかと心配するのは当然だと思う。
安は、大した話をしたこともない男の人の家に嫁いで、怖い姑がいるかもしれない賭けをするより、りんと暮らした方がまだマシだと言う。
これもかなり身勝手に聞こえた。
安が本当に一ノ瀬家で生きていきたいという覚悟を持っているなら、まだ分かる。でも、現時点では、結婚が不安になったから、りんと環がいるこの家に残る方が安全だと考えているようにも見える。
美津はそんなことは認めない。
まともな結婚をして幸せになってもらわないと困る。女だけで生きるつらさは骨身にしみている。娘二人がみすみす不幸になるのを見ていられるか。
この美津の言葉は重かった。
美津は、安をただ結婚させたいだけではないのだと思う。女だけで生きることの大変さを知っているから、娘には安定した結婚をしてほしい。苦労させたくない。
その思い自体は理解できる。
ただ、安は、まともに結婚したからって幸せになれるかどうか分からないじゃないと反論する。
それもその通りではある。
結婚すれば幸せになれるとは限らない。安定した家に嫁いでも、夫や姑との相性が悪ければ不幸になるかもしれない。安の不安にも、まったく理由がないわけではない。
ただ、今回の安の話は、見ていてどうにも乗れなかった。
そこへ槇村太一がやってくる。
太一は安に、今ならまだ取りやめることができるから、兄との結婚を考え直してくれませんかと頼む。
もし安が望むなら、自分は家と縁を切っても構わないと言う。
太一は相変わらず真っすぐだ。
でも、安はあっさりと「お断りします」と頭を下げる。
ここは少し意外だった。
あれだけ安のために一方的に燃え上がっている太一に対して、安の返事はかなりあっさりしていた。婿を取ると宣言したんだから太一でもいいじゃないか。
太一の気持ちがどうなるのかは分からないが、少なくとも安は太一と一緒になる気はないらしい。
その一方で、バーンズ先生と多田の話も進む。
多田はバーンズ先生に、「あなたも、この国のことがよく分かってきたようですね。皆さんの勤め先の心配はいりませんよ」と伝える。
そして、残り4か月、卒業まで全力で指導を続けてくださいと言う。
この言葉からすると、バーンズ先生が捨松に働きかけた結果、生徒たちの勤め先については何らかの道が開けたのだろうか。
それとも、多田が別の形で帝都医大側の面子を保ちながら受け皿を用意するということなのか。
前回、卒業後に帝都医大病院で働ける話はなくなったと説明されていたので、ここで「勤め先の心配はいりませんよ」と言われても、まだ素直に安心はできない。
ただ、少なくともバーンズ先生が動いたことで、何かは変わったのかもしれない。
宗一「結婚という↓missionはとりあえず果たせそうです」
太一「↑mission!」👇槇村兄弟に挟まれたシマケン。https://t.co/3ctTDdGFwE
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佐野晶哉 林裕太 上杉柊平 pic.twitter.com/IDcqyBQ2RH— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) June 15, 2026
捨松とバーンズ先生の関係は、まだよく見えない
今回、バーンズ先生と捨松が初対面だったことに少し驚いた。
バーンズ先生は、梅岡看護婦養成所のために来た人物だと思っていたので、捨松と何らかの関係があるのかと思っていた。
でも、二人は初めて会ったように見えた。
となると、バーンズ先生を日本に呼んだのは誰なのか。梶原校長なのか。それとも別の関係者なのか。
バーンズ先生が捨松に会いに来たのは、おそらく看護婦見習たちの勤め先のためなのだろう。
華族である捨松の力を借りて、帝都医大病院に圧力をかけたのかもしれない。
ただ、そのあたりがまだはっきり描かれていないので、少し引っかかった。
安、宗一、太一の結婚話は、誰にもあまり共感できなかった
今回の安の結婚話は、正直あまり乗れなかった。
安は安定した男と結婚して奥様になることを夢見ていた。その相手として宗一が現れた。宗一もまた、長男としての役目として結婚を考えている。
かなり打算的な二人だと思う。
でも、それならそれで結婚すればいいのではないかとも思う。
一方で、太一は兄の結婚が決まっているのに、自分の気持ちをぶつけて結婚を考え直してほしいと言う。行動力はあるが、兄の立場を考えるとかなり勝手でもある。
安、宗一、太一。
誰の気持ちも分からなくはないが、誰にも強く共感できない。
安が結婚をやめたい理由も、今のところすっきりしない。太一の情熱に揺れたのか、環の寂しさに引っ張られたのか、単に怖くなったのか。
そこが見えないので、安のわがまま話に見えてしまった。
美津の言葉には、女だけで生きてきた現実の重さがあった
美津が、女だけで生きるつらさは骨身にしみていると言った場面は印象に残った。
美津は、安にまともな結婚をして幸せになってほしいと思っている。
それは古い価値観に見えるかもしれない。けれど、美津自身が女だけで生きてきた苦労を知っているからこそ、娘たちに同じ苦労をさせたくないのだと思う。
安の言う、まともに結婚したからって幸せになれるかどうか分からないという反論も正しい。
でも、美津の言う、女だけで生きるつらさもまた現実なのだろう。
ここは、安のわがままとして片づけるだけではなく、美津の人生の重さも出ていた場面だった。
看護婦の話のはずなのに、看護以外の話が多すぎるように感じた
今回、一番強く感じたのはこれだった。
看護婦の話のはずが、看護以外の話が意外と多い。
そして、看護以外の話はつまらないことが多い。
今日は安が結婚をやめたいと言い出した。週の始まりの月曜日の大半を、安の結婚話に使ってしまった。
正直、安の結婚話はどうでもいいし、何を伝えたいのかもよく分からない。
もちろん、女性の生き方、結婚、家制度、女だけで生きるつらさといったテーマはあるのだろう。
でも、梅岡看護婦養成所の閉所や、看護婦見習たちの勤め先という大きな問題が出てきた直後に、安の結婚話が長く続くと、どうしても本筋から外れたように感じてしまう。
看護の話をもっと見たい。
今はそう思ってしまった。
まとめ
第56回は、看護婦見習たちの進路問題が動くのかと思ったら、安の結婚話にかなり時間を使った回だった。
美津の言葉には重さもあったが、安、宗一、太一の関係にはあまり乗れず、正直何を見せたいのかよく分からなかった。
バーンズ先生と捨松の対面、多田の「勤め先の心配はいりません」という言葉は気になるところだ。
明日以降は、梅岡看護婦養成所の閉所や、看護婦見習たちの将来の話にもう少し戻ってくれることを期待したい。
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