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2026年6月16日放送の『風、薫る』第57回は、安(早坂美海)の結婚話と、環(英茉)と宗太の子ども同士の関係、そしてシマケン(佐野晶哉)の進路が描かれる回だった。
前回、安は槇村宗一(上杉柊平)との結婚をやめようかなと言い出した。今回は、宗一本人との話し合いを通して、安が自分の気持ちを見つめ直していく。
一方で、環の元気がなかった理由は、安の結婚とは別のところにあった。子どもには子どもの社会があり、環は宗太との関係で悩んでいた。
ただ、今回も看護婦養成所の話はほとんど出てこなかった。トレインドナースの話が本筋ではないのだろうか。看護婦養成所以外にもそれぞれの生活はあるのだろうが、主人公の妹の結婚話はそろそろ決着をつけてもらいたい。
前回の記事はこちらです。

第57回のポイント
- 太一(林裕太)は、誰とも結婚しないという安に、恋をしたことがあるかと尋ねる。
- 安は、お見合いで結婚するものだと思っていたので恋はしたことがないと答える。
- りん(見上愛)と安は、宗一に縁談をどうするか話し合うため呼び出される。
- 宗一は、安の考えを否定せず、少々変わっている確かな幸せも応援すると伝える。
- 直美(上坂樹里)は、環の元気がない理由が安の結婚ではないことに気づく。
- 環は、宗太に「バ〜カ」と言って泣かせてしまったことを打ち明ける。
- りんは、信右衛門の「間違いに気付いたのに改めないのはもっと間違いだ」という言葉を環に教える。
- 環は宗太に謝り、宗太も環に謝る。
- 安は「結婚やめるのは、やめる」と言い、やっぱり宗一と結婚したいと宣言する。
- シマケンは綿貫(小松和重)から新聞記者にならないかと誘われる。
個人的に印象に残ったこと
今回まず印象に残ったのは、太一が安に恋について語る場面だった。
誰とも結婚しないという安に対して、太一は今まで誰かに恋をしたことがあるかと確認する。
安は、お見合いで結婚するものだと思っていたので、恋はしたことがないと答える。人としてちょうどよく、幸せに生きていければそれでいい。
安らしい考え方だと思う。
安は昔から、安定した生活や「奥様」になることを夢見てきた。恋愛感情よりも、どうすれば自分が安全に、ほどよく幸せに生きていけるかを考えてきた人なのだと思う。
そこへ太一が、恋の素晴らしさを熱く語る。
見つめてはならぬ人を知らぬ間に目で追い、身を引くべきと知りつつ、会いたくなる。これが恋だと安に説明する。
太一らしい熱量だった。
ただ、太一の言葉が安にどれだけ届いているのかは、この時点ではまだ分からなかった。太一は自分の恋をそのままぶつけているが、安は恋よりも生活の安定を考えてきた人だ。
その後、りんと安は、縁談をどうするかと宗一に呼び出される。
宗一は、自分と結婚したくなくなったのなら、穏便に話を進めようと相談する。
ここで安は、宗一との結婚が嫌になったのではなく、「結婚をしたくない」のだと説明する。
結婚相手として宗一が嫌なのではない。結婚すること自体に意味を見出せなくなっている。
これは、安にとってはかなり大きな変化なのだと思う。
ずっと「奥様」になることを夢見てきた安が、いざその道が現実になった時に、本当にそれでいいのかと立ち止まった。遅すぎる気もするが、本人にとってはここで初めて考えたことなのだろう。
一方、直美は環と折り紙をしている。
不器用な直美は上手く折れず、環に「直美さん、下手くそ」と言われてしまう。
そこで直美は「ひど〜い」とウソ泣きをする。
子ども相手でも平気でウソ泣きしてウソをつく。ここは直美らしいと言えば直美らしい。
ただ、このウソ泣きによって、環がただならぬ様子を見せる。環は直美を心配して、泣かないでと言う。
直美はすぐに謝罪し、環の様子がおかしい理由を探る。
直美のウソ泣きには少し引っかかるが、このやり取りがあったからこそ、子どもには子どもの社会があるという真相にたどり着いたとも言える。
直美は、相手の表情や反応の変化を見逃さない。
不器用ではあるが、人を見る力はあるのだと思う。
宗一と安の会話を、太一が見ている場面も印象的だった。
宗一は、安の考えを否定することなく受け入れる。
宗一自身も、結婚には強い興味がない。安と同じように考えている。長男として家のために身を固めようとは思うが、次男だったらそうは思わない。
弟はやりたいことをやっていて羨ましい。でも自分にはやりたいこともない。だから、自分が結婚し、家を継ぐことで弟を応援できればと思っている。
この宗一の話は、前回よりもかなり印象が変わった。
前回は、結婚をミッションと言っていて、かなり冷たく見えた。けれど今回聞いてみると、宗一なりに自分の役目を引き受けようとしている人なのだと思った。
恋愛感情は強くないかもしれない。けれど、安のことを雑に扱っているわけでもない。
宗一は、安の思う「少々変わっている確かな幸せ」も応援すると言う。
さらに、安が環に話を作って笑わせるのが好きだと言っていたことを聞いて、人を笑わせたいと思う人と暮らすのは楽しそうだと思ったと話す。
ここは良かった。
宗一は、安を「長男の結婚相手」としてだけ見ているわけではなかった。安が何を好きで、どんなことを大切にしているのかをちゃんと見ていた。
その宗一のことを、安は知らぬ間に目で追っている。
一方で、シマケンはシマケンで、りんの笑顔に吸い込まれそうになっている。
その様子を一人で見ていた太一が、「ええ、それが、恋です……」とつぶやく。
ここは少し面白かった。
太一は恋を語っていたが、その恋は自分だけのものではない。安も宗一を見始め、シマケンもりんを見ている。
自分の恋は実らないかもしれないが、太一は他の人たちの恋の芽生えを見てしまった。
太一にとっては複雑な場面だったと思う。
家に戻ってきたりんと安は、環に、安が当分お嫁には行かないことを報告する。
しかし、環の様子がおかしかったのは、安がお嫁に行くから寂しいのではなかった。
直美は、子どもには子どもの社会があると説明する。
環は自分の口で、宗太とのことを打ち明ける。
環があげた宝物の羽を、宗太がなくしてしまった。そこで環は宗太に「バ〜カ」と言って泣かせてしまった。宗太から「もう、遊ばない」と言われたから、ずっと家にいた。
子どもの社会もいろいろ大変だと思う。
大人から見れば小さなことかもしれない。でも、環にとっては大きな問題だった。大切な羽をなくされたことも、宗太を泣かせてしまったことも、もう遊ばないと言われたことも、全部つらかったのだろう。
環の元気がなかった理由が、安の結婚話とは関係ないと気づけた視聴者はいるのだろうか。
自分は完全に安の結婚が理由だと思って見ていた。
りんは、環がどうしたいかを丁寧に聞く。
環は、また宗太と遊びたい、バ〜カと言わなければよかったと後悔している。
りんは、自分もよく間違えるから、後から後悔することがあると話す。
前に、一番大事な人が一番つらい時に、手を握ってあげられなかったことを今でも後悔している。
これは虎太郎のことだろう。
りんにとって、あの時の後悔は今でも消えていないのだと思う。一番大事な人の一番つらい時に手を握ってあげられなかった。その記憶は、りんの中でかなり強く残っている。
この後悔の中に、シマケンは入り込むことができるのだろうか。
りんは今、シマケンに支えられている部分もある。けれど、虎太郎との記憶はかなり深いところにある。シマケンの恋がそこに届くのかは、まだ分からない。
環は、自分で宗太に謝ることを決断する。
りんは環に、信右衛門が言っていた「間違いに気付いたのに改めないのはもっと間違いだ」という言葉を教える。
この言葉は、今回の安にも重なっていた。
間違えたと思ったなら、改めればいい。謝って、取り消して、もう一度考えればいい。
環は宗太に謝る。
宗太も環に謝る。
宗太の父・貞三が、環と宗太に自分が見つけてきた羽をプレゼントすると、環と宗太は元気になる。
今回は、お互いが自分の非を認めて、丸く収まった。
謝罪がなくてもいつの間にか仲直りしているケースもあれば、謝罪しても受け入れてもらえないケースもある。今回は、子ども同士の素直さもあって、うまく収まった形だった。
知らぬ間に環が大きくなったことを、りんは実感する。
そして安も、自分も間違いをすぐ謝って取り消さないと、と考える。
「結婚……やめるのは、やめる。私、やっぱり、宗一さんと結婚したい。」
安はそう宣言する。
ここでようやく、安の気持ちは宗一に戻った。
ただ、散々振り回した挙げ句、ごめんなさいと謝って結婚をやめると言ったことを取り消そうとしているわけで、これがそのまま認められるのかは分からない。
宗一が「もう遅い」と言うのか。
それとも、謝罪と取り消しが認められるのか。
もし、もう遅いと言われて、それなら太一と結婚するという展開になったら、一番サプライズなパターンだろう。
さすがにそうはならないと思うが、安の結婚話はそろそろ決着をつけてもらいたい。
最後に、シマケンは綿貫から新聞記者にならないかと誘われる。
新聞記者としてなら、シマケンの原稿はいつでも載せられる。
それに対してシマケンは、自分は小説を書きたいんだと答える。
綿貫は、記者を仕事にして、小説は家で好きに書けばいいと言う。活字工より記者の方が小説家に近い。給料も上がるし、記者なら外聞もいい。返事は急がないから、よく考えてみてくれと伝える。
これは悪い提案ではないと思う。
新聞記者として文章を書き、経験を積みながら、小説を書くこともできる。活字工よりも物を書く仕事に近づくのは確かだろう。
ただ、シマケンがどう受け止めるのかは分からない。
新聞記者として事実をもとに記事は書けても、ゼロから物語を作る小説家としては認められないのかと、また拗らせていく可能性もある。
シマケンは、自分は何者なのかにこだわる人だ。
記者として評価されることを前向きに受け止められるのか。それとも、自分が目指している小説家とは違うと拒むのか。
ここは気になるところだった。
綿貫編集長「島田くん新聞記者にならないか?」
シマケン「僕は小説を書きたいんです」新聞記者としてなら原稿を載せられると言われたシマケン。
👇答えは…?https://t.co/jEVMVKEphp#朝ドラ #風薫る
佐野晶哉 小松和重 pic.twitter.com/YW4X2gKo0x— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) June 15, 2026
安と宗一は、意外と合っているのかもしれない
今回、宗一の印象が少し変わった。
前回は、安との結婚をミッションと言っていて、かなり冷たく見えた。けれど今回は、宗一も結婚に強い興味があるわけではなく、長男としての役割を引き受けようとしている人なのだと分かった。
安も、恋より安定を考えてきた人だ。
そう考えると、安と宗一は意外と合っているのかもしれない。
宗一は、安の変わった幸せを否定しなかった。安が人を笑わせる話を作ることにも興味を持っていた。
安が散々迷った末に、やっぱり宗一と結婚したいと気づく流れも、宗一の受け止め方を見たからなのだろう。
ただ、安はかなり振り回している。
謝れば取り消せるのか。宗一がどう受け止めるのかは、明日以降のポイントになりそうだ。
直美は子ども相手でも嘘をつくが、人を見る力はある
直美は環に対してウソ泣きをした。
子ども相手でも平気で嘘をつくところは、やっぱり直美らしい。
ただ、そのウソ泣きがきっかけで、環の様子がおかしいことに気づいた。
直美は、人の反応をよく見ている。
嘘を使うことには引っかかるが、それによって相手の本音や異変にたどり着くこともある。直美の危うさと強みが、ここにも出ていたと思う。
環と宗太の話は、子どもには子どもの社会があるという話だった
環の元気がなかった理由は、安の結婚ではなく、宗太とのけんかだった。
これは少し意外だった。
子どもには子どもの社会がある。大人が思っているのとは違うところで悩み、傷つき、後悔している。
環は、自分の言った「バ〜カ」を後悔し、自分で謝ることを選んだ。
りんが、間違いに気づいたのに改めないのはもっと間違いだと教えたのも良かった。
ただ、環の話はきれいにまとまった一方で、安の結婚話にうまくつなげるためのエピソードにも見えた。
りんの後悔に、シマケンは入り込めるのだろうか
りんは、今でも一番大事な人が一番つらい時に手を握ってあげられなかったことを後悔していると言った。
これは虎太郎のことだと思う。
りんの中で、虎太郎の存在はまだ大きい。
シマケンはりんの笑顔に吸い込まれそうになっていた。恋が始まっているようにも見える。
でも、りんの深いところには、虎太郎への後悔が残っている。
シマケンがそこに入り込むことができるのか。それとも、りんにとって虎太郎はずっと特別な存在のままなのか。
ここは、今後のりんとシマケンの関係を見るうえで気になるところだ。
シマケンは新聞記者になるのか、小説家にこだわるのか
綿貫の提案は、現実的にはかなり良い話だと思う。
新聞記者になれば、シマケンの文章は世に出る。給料も上がる。外聞もいい。小説を書きたいなら、仕事とは別に書けばいい。
ただ、シマケンは自分は小説を書きたいと言っていた。
新聞記者として文章を書くことを、小説家に近づく道だと受け止められるのか。それとも、自分が本当にやりたいことではないと感じるのか。
シマケンは、自分が何者かを考え続ける人だ。
ここで記者になることを選ぶのか、それともさらに拗らせるのか。どちらに転んでも、シマケンらしい展開になりそうだ。
まとめ
第57回は、安の結婚話、環と宗太の仲直り、シマケンの進路が描かれた回だった。
安は迷った末に、やっぱり宗一と結婚したいと気づく。ただ、かなり周囲を振り回しているので、宗一がどう受け止めるのかはまだ分からない。
今回も看護婦養成所の話はほとんど進まなかった。看護婦養成所以外にもそれぞれの生活はあるのだろうが、そろそろ本筋に戻ってほしいところだ。
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