朝ドラ『風、薫る』第58回感想・ネタバレ|横浜には行けなかった。でも、生徒たちは確かに看護婦に近づいていた

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2026年6月17日放送の『風、薫る』第58回は、バーンズ先生(エマ・ハワード)が帰国を告げ、生徒たちがそれぞれの卒業後を考え始める回だった。

梅岡看護婦養成所は閉所が決まり、帝都医大病院での実習も残りわずかになっている。そんな中で、バーンズ先生は「看護婦が日本のどの病院にも当たり前にいるようになること」という夢を生徒たちに託す。

一方で、しのぶ(木越明)や喜代(菊池亜希子)は、卒業後に帝都医大病院で看護婦として働く道とは別の生き方を選ぼうとしていた。

それでも、横浜へ出かける途中で倒れた団子屋のおやっさんを、生徒たちは手際よく助ける。看護婦の道を諦める生徒もいる。けれど、学んだことは確実に彼女たちの中に残っている。そんなことが見えた回だった。

前回の記事はこちらです。

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第58回のポイント

  • バーンズ先生は、スコットランドで看護を教えることになり、帰国しなければならないと生徒たちに告げる。
  • バーンズ先生の夢は、日本のどの病院にも看護婦が当たり前にいるようになることだった。
  • しのぶは、看護婦として働くのではなく、結婚後に家族や周囲の人の看護に学びを生かすと話す。
  • 喜代も、帝都医大病院では働かず、教会の伝道者としての活動の中で看護を生かしたいと語る。
  • 生徒たちは卒業前に一度みんなで出かけたいというしのぶの夢を叶えるため、横浜へ行くことにする。
  • 横浜へ向かう途中、団子屋のおやっさんが倒れる。
  • 生徒たちは手際よく助けに入り、特にしのぶと喜代が率先して動く。
  • 環(英茉)は、母たち看護婦見習の姿を見つめる。
  • 生徒たちは団子屋で初めてのコーヒーを飲み、この味は一生忘れないと口にする。
  • 直美(上坂樹里)は卒業後に住む場所を探すが、長屋には空きがないと言われる。

個人的に印象に残ったこと

今回まず印象に残ったのは、バーンズ先生が生徒たちに帰国を告げる場面だった。

バーンズ先生は、スコットランドで看護を教えることになったので、帰らなければならないと生徒たちに伝える。

梅岡看護婦養成所が閉所することになり、帝都医大病院での実習も終わりが見えてきた中で、バーンズ先生自身も日本を去ることになる。

いよいよ終わりが近づいている感じがあった。

バーンズ先生の夢は、「看護婦が日本のどの病院にも当たり前にいるようになること」だった。

スコットランドで裕福な家庭に生まれ、病院で働き、アップルパイを食べ、何不自由なく暮らしていたバーンズ先生。そんな彼女が、看護婦がおらず困っている日本という東洋の島国に行って、看護婦を育ててみないかと言われる。

そして、やってみたいと思い、日本へやってきた。

この話を聞くと、バーンズ先生は本当にすごい人だと思う。

何不自由なく暮らしていたのに、わざわざ遠い日本まで来て、看護婦を育てようとした。しかも、この時代の日本で、看護婦という職業を根づかせるのは簡単ではなかったはずだ。

バーンズ先生は、看護婦を6人育て、6つの種をまくことができたと言う。

これが60人、600人、6000人に増えた時、私の夢は叶います。

そして、生徒たちに「よろしくお願いします」と頭を下げる。

ここはとても良かった。

梅岡看護婦養成所は閉所する。バーンズ先生も帰国する。形としては、決して成功だけではないのかもしれない。

それでも、種はまかれた。

幾人かは看護婦になるだろうし、たとえ看護婦として病院で働かなくても、学んだ看護を別の場所で生かす人もいる。

その後どれだけ人数が増えていくかは、日本人の頑張り次第なのだと思う。

バーンズ先生の子どもの頃の夢が、アップルパイをお腹いっぱい食べたいということだったと知り、生徒たちはアップルパイに興味を持つ。

このあたりは、少し明るい空気だった。

ただ、その中でしのぶの様子がおかしいことに、トメ(原嶋凛)が気づく。

しのぶは、先生の夢を叶えられそうになく、申し訳なくて気分が最悪だと言う。

そして、自分は看護婦にはならないと話す。

しのぶは、看護婦の服が着たいという不純な動機で養成所に来た。でも今は、本当に看護婦として働きたいと思っている。

それでも、看護婦の奥さんを許してくれる見合い相手をずっと探したが、誰もいなかった。

だから、結婚して、旦那、子ども、家族、近所の人が病気になった時に、ここで学んだ看護を生かすことにするという。

これは、しのぶにとってはかなり苦しい選択だったと思う。

看護婦として働きたい気持ちはある。けれど、結婚や家の事情、世間の見方がそれを許してくれない。

看護婦という仕事が、まだ女性の人生の選択肢として当たり前ではない時代なのだと改めて感じた。

ただ、仲間たちはしのぶの意見を尊重する。

看護婦が結婚しちゃいけないなんてことはない。まずは結婚してしまってから、後から看護婦をやらせてくれと旦那を押し切ればいい。万が一離縁したら働かなきゃいけなくなるのだから。

この励まし方が、少し乱暴で、でも温かかった。

しのぶが看護婦として病院で働かないとしても、学んだ看護が無駄になるわけではない。家族や近所の人を看ることも、看護の種を広げることになるのだろう。

喜代も、卒業後は帝都医大病院では働かず、教会の伝道者になると話す。

その活動の中で、看護を生かしていけたらと思っている。

喜代は、自分が甘い人間なのか、仕事として看護をすることをどうしても割り切れない時があると言う。

この言葉も印象的だった。

喜代は、看護そのものが嫌になったわけではない。ただ、仕事として看護をすることに、どうしても割り切れなさがあるのだと思う。

患者を助けたい気持ちと、職業として働くことの間に、何か引っかかるものがある。

それもまた、喜代の正直な気持ちなのだろう。

仲間たちは、喜代の考えも尊重する。

看護婦になる道だけが正解ではない。病院で働くことだけが、看護を生かす方法ではない。

今回、そのことがかなり丁寧に描かれていたと思う。

夢の話になると、直美はアップルパイを食べてみたいと言う。

直美らしい、素直な欲望だった。

一方、しのぶの夢は、卒業前に一回みんなでお出かけがしたいというものだった。

今なら看病婦のみなさんも都合をつけてくれて、一日くらいみんなで休めるだろうから行こうと多江(生田絵梨花)が言う。

トメは、汽車に乗って横浜に行ってみたいと言う。

直美は、りん(見上愛)に環も連れてきたらと提案する。

こうして、みんなで横浜行きの話が決まった。

ここは普通に楽しそうだった。

閉所や帰国や卒業後の話など、重いことが続いていたからこそ、みんなでお出かけをしようという流れは少し救いでもあった。

横浜へ行くために身支度を整える生徒たちも楽しそうだった。

トメは、途中で腹が減ったらいけないからと、りんごをたくさん持っていこうとする。しかし、そんなに要らない、荷物になるとみんなに反対される。

トメらしい場面だった。

待ち合わせ場所にいるりんと環に、他の面々が合流する。

しのぶが環のことをかわいいと言うと、環もしのぶがかわいいと返す。他の生徒たちも「私は?」と聞くと、環はみんなかわいいですと答える。

環の受け答えがかわいかった。

そこへ、団子屋で見習をしている丸山(若林時英)が現れる。

すると、団子屋の店の中から、おやっさんの苦しむ声が聞こえてくる。

ここで一気に空気が変わる。

手際よく助けに入る生徒たち。

横浜へ行くためのお出かけ中だったはずなのに、病人を見たからには放っておけない。全員がすぐに動く。

そして、率先して動いていたのが、看護婦にはならないと言っていたしのぶと喜代だった。

ここが今回、一番良かった。

しのぶは病院で看護婦として働かないと言った。喜代も帝都医大病院では働かず、教会の伝道者になると言った。

それでも、目の前で苦しんでいる人がいれば動く。学んだ知識を使って助ける。

看護婦という肩書きを持つかどうかとは別に、二人の中には看護がしっかり残っていた。

母をはじめ、看護婦たちが手際よく動いている様子を、環が見つめているのも印象的だった。

環にとって、りんたちはとてもかっこよく見えたのではないかと思う。

事なきを得て、団子屋のおやっさんは生徒たちに感謝を伝える。

お礼にと、丸山がコーヒーを運んでくる。

みんなは苦いと言うが、トメだけは好きかもしれない、いい香りだと言う。

トメはやっぱり少し独特で面白い。

多江は、おやっさんに、貧血だと思いますけど、必ず病院に行ってくださいねと伝える。おやっさんは分かりましたと答え、横浜へのお出かけの邪魔をしてしまったことを詫びる。

環は、みんな立派な看護婦さんで素敵だったと答える。

しのぶは照れた様子を見せる。

ここも良かった。

しのぶは看護婦にはならないと言ったばかりだった。でも、環には立派な看護婦さんに見えた。

実際、そうだったと思う。

横浜には行けなかった。

でも、生徒たちはみんなで一人の人間を助けた。

苦いコーヒーを飲みながら、この味は一生忘れないと口にする。

このコーヒーの味は、学んだ知識を生かし、生徒たちだけで一人の人間を救った成功体験の味なのだと思う。

横浜に行けなかったことは残念だったかもしれない。

でも、この経験は何物にも代えがたいものだったのではないか。

生徒たちがどれほど看護の実習を受けてきたのか、放送では正直さっぱり分からなかった。

でも、倒れ込んだ人一人をスムーズに救出できるほどまでに実力がついていることは分かった。

せっかく身につけた能力なのだから、しのぶと喜代にも何らかの形で生かしてもらいたいと思う。

もちろん、人にはそれぞれ事情がある。向き不向きもある。

これでいいのだろう。

最後に、直美は長屋に空きがないか嘉平に尋ねる。

しかし、今は空きが一つもないと言われる。

卒業したら寮を出ていかなければならないのに、部屋がないのは困るという直美。

ここで卒業後の生活が、かなり現実的な問題として出てきた。

看護婦として働くかどうかだけではない。どこに住むのか。どう生活するのか。

直美にとっては切実な問題だ。

そして、丸山が今住んでいる長屋は、もともとは直美が住んでいたところだ。

まさか、直美と丸山が一緒に住むなんてことにはならないだろうな。

そんなことまで少し気になってしまった。

バーンズ先生は、看護婦の種をまいた人だった

バーンズ先生は、裕福な家庭に生まれ、看護婦として働き、何不自由なく暮らしていた。

それでも、日本に看護婦を育てに来た。

この時代の日本で看護婦を育てることは、簡単なことではなかったと思う。実習先の問題もあり、社会的な理解も足りず、卒業後の働き口も不安定だった。

それでも、バーンズ先生は6人の種をまいた。

この種が60人、600人、6000人に増えた時、夢が叶う。

バーンズ先生のこの言葉は、梅岡看護婦養成所が閉所する展開の中でも、希望として残ったと思う。

学校の形がなくなっても、育った人たちが看護を広げていく。

その意味では、バーンズ先生の仕事は失敗ではなかったのだと思う。

しのぶと喜代は、看護婦にならなくても看護を失ったわけではない

しのぶは看護婦として働かない。

喜代も帝都医大病院では働かない。

この選択だけを見ると、バーンズ先生の夢から外れてしまったようにも見える。

でも、今回の団子屋での場面を見ると、二人の中に看護は確実に残っていた。

目の前で倒れた人を見て、すぐに動く。学んだ知識を使う。仲間と連携して助ける。

看護婦という職業に就くかどうかとは別に、看護の考え方や技術は、その人の中に残る。

しのぶは家族や近所の人のために、喜代は教会の活動の中で、その力を使っていくのだと思う。

それもまた、看護の種が広がる一つの形なのかもしれない。

横浜には行けなかったが、忘れられないお出かけになった

しのぶの夢は、卒業前にみんなで一回お出かけすることだった。

横浜へ行く予定だったが、団子屋のおやっさんが倒れたことで、結局横浜には行けなかった。

でも、このお出かけは忘れられないものになったと思う。

みんなで病人を助け、団子屋でコーヒーを飲む。

苦いコーヒーの味を一生忘れないと言ったのは、ただ初めての味だったからではないのだろう。

自分たちが学んできたことが、実際に人を救った。

その成功体験と一緒に、コーヒーの苦さが記憶に残ったのだと思う。

卒業後の生活問題が、直美にとって急に現実になってきた

直美は、卒業後に寮を出なければならない。

だから長屋の空きを探していたが、空きはなかった。

看護婦として働くことだけでなく、住む場所を確保することも大きな問題だ。

直美には実家のように戻れる場所がない。だから、卒業後にどこで暮らすのかはかなり切実だと思う。

丸山が今住んでいる長屋が、もともと直美の住んでいた場所だということもあり、ここから直美と丸山の関係がどう動くのかも少し気になる。

ただ、まさか一緒に住むような展開にはならないと思いたい。

まとめ

第58回は、バーンズ先生が生徒たちに夢を託し、生徒たちが実際に人を助ける力を身につけていることが分かった回だった。

看護婦として病院で働かない生徒もいる。けれど、学んだ看護が消えるわけではない。しのぶや喜代が率先して動いた場面には、それがよく出ていたと思う。

横浜には行けなかったが、団子屋で飲んだ苦いコーヒーは、生徒たちにとって忘れられない味になったはずだ。

卒業後の進路や住まいの問題も、いよいよ現実的になってきた。

『風、薫る』感想まとめはこちら

 

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