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2026年4月16日に放送された『どんど晴れ』第154回。
第154回は、加賀美屋がついに営業中止と経営権喪失の土俵際まで追い詰められながら、秋山の5%によって辛うじて踏みとどまる回だった。環は従業員を守るためにいったんワイバーン側の条件を受け入れようとし、それでも最後に一日だけ加賀美屋としてのおもてなしをさせてほしいと土下座で頼み込む。その姿と、「来る者帰るが如し」という言葉が、ついに秋山の心を決定的に動かした。一方その頃、東京では聡の正体がついに明かされ、岸本会長という新たな巨大な壁が立ちはだかる。今回は、秋山の改心という大きな転換がありながらも、それで全て解決とはならず、むしろ最後の局面がさらに資本と価値観のぶつかり合いとして深まっていく回だったと思う。
※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。
👇 前回(第153回)の感想はこちら

岸本会長の価値観と、聡の過去――“勝ち負け”の論理が突きつけられた場面
- 翌日、夏美は次の手を打つため、柾樹(内田朝陽)の待つ東京へ向かう。
- 夏美が到着すると、そこには柾樹、香織(相沢紗世)、山室部長(中原丈雄)、久美子(別府あゆみ)が待っていた。
- 夏美は、秋山が自分の持株は使わせないと宣言したことを柾樹たちに報告する。
- 香織は、乗っ取り側まで味方につけるなんてさすが夏美だと話す。
- 柾樹は、岸本会長(夏八木勲)がワイバーン・インベストメント・ジャパンの社外取締役だったのは昨年までだと説明する。
- 香織は、岸本会長が自動車部門でいち早く中国市場へ進出し成功した人物だと説明する。
- 久美子は、「青雲商事会長 岸本隆一郎」が載っている雑誌を見せながら、岸本会長は今でもワイバーンのニューヨーク本社と付き合いがあり、少し強引なところもあるらしいと伝える。
- 山室部長は、話は通じる人らしいが、ビジネスにはシビアだと説明する。
- その時、部屋のドアが開き、中から聡(渡邉邦門)が出てくる。
- 夏美と柾樹は、なぜ聡がここにいるのかと驚く。
- 聡は、ここの会長である岸本は自分の父だと説明する。
- 夏美と柾樹は岸本会長の部屋へ通される。
- そこにはハーバーサイドホテル副総支配人の吉沢(ささきいさお)も待っていた。
- 柾樹と岸本会長があいさつを交わす。
- 岸本会長は、大体の事情は吉沢と息子の聡から聞いていると話す。
- 柾樹が現状を説明し、聡も、柾樹と夏美は大切な仲間だから助けてあげてほしいと頼む。
- 吉沢は、利益さえ上がればいいという昨今のM&Aの考え方には賛成できないとし、何かいい手はないかと岸本会長に問う。
- 岸本会長が語り始めると、聡が反論する。
- すると岸本会長は、聡に「お前は、自分に負けただけだ」と言い放つ。
- さらに夏美と柾樹にも、「君たちも負けたんだよ。世の中は勝つか負けるかだ」と告げる。
- その緊張感のある場面で、この日の放送は終了する。
個人的感想
ここは東京にある岸本会長の青雲商事なのだろうが、まず少し気になったのは、山室部長と香織と久美子まで揃っていることだ。吉沢のお供として来ているのか、それともそれぞれが夏美に一つずつ説明するために配置されているのか。少し都合よく並んでいる感じもしなくはないが、終盤のお膳立てとしては分かりやすい。だが、こんなにたくさん駆けつけてハーバーサイドホテルの企画部は大丈夫かと心配にもなる。
岸本会長の雑誌インタビューにあった「情けでは利益は生まれない」という言葉は、いかにもこの人らしくて面白いし、今後の展開にもかなり関わってきそうだなと思う。そういう価値観で生きてきた人なのだと、一言で伝わる。
そして聡だ。岸本会長の息子だと明かされる。もっと大きく驚いてもいい気もするけれど、相手の会社に乗り込んでいる場で大げさに反応するわけにもいかないし、あの程度の驚き方になるのも分かる。とはいえ、これで聡の違和感がかなりはっきり形になった。あの影のある感じも、サラリーマン的な世界への妙な敵意も、やはり自分の出自と強く結びついていたのだろうと思う。
ただ、ここで少し分からなくなるのは、柾樹たちが岸本会長に何を頼みに来たのか、という点だ。加賀美屋の買収そのものは、秋山が自分の持株は使わせないと宣言したことで、ひとまずは踏みとどまったようにも見える。なのにその翌日に、夏美まで同席して岸本会長に会いに来ている。ということは、単に加賀美屋一軒を助けてほしいという話ではなく、盛岡全体のリゾート開発を止めさせたいのか。それとも、ワイバーンに握られている株式を手放させて、また身内だけが持株を持つ状態に戻したいのか。このあたりがまだ少し曖昧だ。
柾樹は、今のままでは盛岡の古き良き伝統や歴史、大事に守ってきたものが壊されてしまうと説明している。そうなると、やはり加賀美屋だけではなく、盛岡全体を守るという発想なのかもしれない。一方で、聡まで「夏美と柾樹は大切な仲間だから助けてほしい」と頼んでいる。この“助ける”が、加賀美屋の買収からの救済を意味するのだとしたら、そこは秋山の改心で一歩前進しているようにも見える。だからこそ、岸本会長に何をしてもらいたいのかが気になる。ワイバーンに対して、持っている株を手放すよう圧力をかけてほしいのだろうか。あるいは盛岡全体への食い込みそのものを止めさせたいのだろうか。
そしてやはり引っかかるのが、岸本会長の「ワイバーンもビジネスで、何も法には触れていない」という言い方だ。ここは聡が「法に触れなければ何をしてもいいのか」と反発していたけれど、自分もその感覚の方が自然だと思う。というのも、以前からずっと引っかかっていることがあるからだ。もし本当に何も法に触れていないのなら、秋山はなぜ、一夜にして事務所をもぬけの殻にして逃げ、柾樹たちから所在を隠したのか。そこだけがどうにも整理できない。何もやましいことがないなら、堂々としていればいいはずなんだよな。あれはなぜ逃げたんだ。何か後ろめたいことがあるからにしか見えない。
そもそも、法に触れていないことと、その行為が正しいこと、有効なこととは別問題だ。違法ではなくても、「不当」であれば無効になることなんていくらでもある。公序良俗に反していたり、権利濫用に当たったりすれば、明文に触れていなくても目的を達することができないことは普通にある。このどんど晴れ世界の中にだって、そういう例はあった。時江の解雇がまさにそうだ。仮に解雇予告手当を払って即時解雇したのだとしても、法律に触れていないことと、その解雇が有効であることはまったく別だ。あの解雇はかなりの確率で無効になるだろうし、加賀美屋側が追加でお金を払う必要さえあったかもしれない。だから、「法に触れていないから大丈夫」「法に触れなければ何をやってもいい」という考え方はやっぱり危険だし、聡が感じている違和感の方がずっとまともだと思う。
もっとも、ビジネスとして大金を手にする、というのが岸本会長の価値観なのだろう。聡はそんな父親のやり方に反発して飛び出し、南部鉄器職人の道を志したのだと思う。岸本会長は、勝つか負けるかという尺度でしか物事を見ないタイプらしいし、自分の息子に対しても「自分に負けただけだ」と言い放つ。そんな父親のもとを離れて、「心」を大切にする平治のもとで南部鉄器職人を目指していた方が、たとえ大金は手に入らなくても、聡にとってはずっと幸せなんじゃないかと思ってしまう。平治はあんなに穏やかで幸せそうに日々を生きているわけだから。
岸本会長は夏美と柾樹に対しても、「君たちは負けたんだ。世の中は勝つか負けるかだ」と言う。でも少なくとも夏美は、その勝ち負けの世界とはかなり対極にいる存在だと思う。女将修業対決の時だって、相手に勝つことそのものに執着していたというより、競い合う中で自分自身を高めていこうとしていたように見えた。そういう人間が、最後には価値観の相容れない岸本会長に助けを求めなければならない。そこに資本主義の残酷さみたいなものを感じる。
もしこの殺伐とした展開から、最後に少しでもほっこりした最終回へ着地させることができるキーパーソンがいるのだとしたら、やはり、加賀美屋に宿泊中に熱を出し、夏美と恵美子(雛形あきこ)が付きっきりで看病した“岸本様”なのかもしれない。放送も残りあと2回。かなり楽しみだ。
この場面で大きいのは、聡の正体が明かされたことで、“加賀美屋を救うかもしれない力”が、情ではなく資本と権力の側にあるとはっきりしたことだと思う
ここまでの加賀美屋は、
- 人の縁
- おもてなし
- 思いやり
- 外からの応援
で踏ん張ってきた。
でも今回は違う。
青雲商事会長、岸本隆一郎。
つまりここで初めて、
加賀美屋を左右できるのは、人情だけではなく、現実の資本と権力でもある
とはっきり出てきた。
かなり終盤らしい重さだと思う。
第31回からあった聡の“サラリーマン嫌悪”が、ついに出自と結びついたのはかなり気持ちいい回収だった
聡の違和感はずっとあった。
妙に刺々しい。
妙に影がある。
妙に夏美の苦しさに反応する。
それがここで、岸本会長の息子だったと分かる。
つまり聡の反発は、単なる若さではなく、
父の価値観と、その世界への反発
だったんだろうなと見えてくる。
ここはかなりきれいな回収だと思う。
岸本会長が“話の分かる大人”ではなく、かなりはっきり“勝ち負けの論理”を口にするのがいい
終盤に出てくる有力者って、
案外すぐ味方してくれる便利な人物になりがちだ。
でも岸本会長は違う。
ちゃんと厳しい。
ちゃんと冷たい。
そして価値観が明確だ。
だからこそ、この人がどう動くのかが読めないし、
単なる都合のいい救世主では終わらない感じがある。
そこがかなり面白い。
「法に触れていない」と「正しい」は別だという聡の違和感は、かなりこの終盤全体のテーマにも重なっている
ここは本当に重要だと思う。
ワイバーンのやり方は、少なくとも表向きにはルールの中にある。
でもそれでいいのか、という話だ。
つまり今の終盤は、
合法か違法か
だけではなく、
それで人の心や歴史を壊していいのか
が問われている。
だから聡の反発は、かなりまっとうだし、
この作品の最後の問いに近い気がする。
柾樹たちが岸本会長に何を頼みに来たのかが少しぼんやりしているのは、逆に“加賀美屋一軒の問題ではなくなっている”ことの表れかもしれない
今となっては加賀美屋だけなら秋山の5%で何とか持ちこたえたようにも見える。
だからなおさら、何を頼みに来たのかが少し分かりづらい。
でも逆に言えば、
もう話は
加賀美屋一軒の防衛
だけじゃなく、
盛岡全体の開発と買収の構図
に広がっているのかもしれない。
そう考えると、この面会は加賀美屋救済というより、
もっと大きな流れを止めるための一手なんだろうなとも思える。
“心で動く加賀美屋”と“勝敗で世界を見る岸本会長”が真正面からぶつかった場面としてかなり重要だった
夏美たちは、人の心を大事にしてきた。
岸本会長は、勝つか負けるかで世界を見る。
つまりここでは、
どんど晴れの価値観
と
資本主義の価値観
が真正面からぶつかっている。
だからこの会話は、単なる作戦会議じゃない。
最終回へ向けて、
この作品が最後に何を肯定するのかを試される場面でもある。
かなり重要なラストだったと思う。
まとめ
今回の第154回でまず大きかったのは、環が“加賀美屋の誇り”よりも“従業員の生活”を優先して、いったんはワイバーン側の条件を飲もうとしたことだと思う。ここはかなり重かった。最後まで突っぱねることもできたはずだけど、そうすれば従業員が総入れ替えになり、路頭に迷うかもしれない。だから環は、自分たちだけの旅館ではもうないと認め、苦しい判断をする。女将としての面目よりも、働いている人たちの生活を取ったんだろう。かなり経営者としての現実判断だったと思う。
それでも環たちは、ただ屈したわけではなかった。最後に一日だけ、予約しているお客様を迎えさせてほしいと頼み込む。土下座までして願う。あの場面は異様だったし、正直ぎょっとする光景でもあったけれど、ただの屈服ではなかったと思う。自分たちを助けてくれではなく、最後まで加賀美屋としてお客様を迎えたい、という願いだったからだ。つまりあの土下座は、負けを認める行為であると同時に、加賀美屋としての矜持を最後まで通したいという抵抗でもあったんだろうなと思う。
そして、その姿を見た秋山がついに動く。ここで効いたのはやっぱり、夏美の説明した「来る者帰るが如し」だったんだろう。加賀美屋に泊まりに来ることを、自分の家へ帰ってくるように楽しみにしてくれる客がいる。だから最後まで迎えたい。その発想は、裏切られ、投獄され、帰る場所を失ってきた秋山にはかなり響いたはずだ。平治が言っていた「人が人を思いやる心」が、ここでついに秋山の中に届いた。座敷童に会ったのが運の尽きだ、という秋山の言葉は、かなりどんど晴れ的だけど、秋山がもう買収屋の側に自分を置いていられなくなったことの表れなんだろうなと思った。
ただ、その一方で株の説明には少し引っかかる部分も残った。以前は半年前に取得した3%の株について秋山が「私は」と言っていたのに、今回は「我々が」最初に取得した株という言い方になっている。このへんは結構大きいところなんだけど、案外さらっと変わってしまっている感じもある。とはいえ、ドラマとしてやりたかったのはそこよりも、ワイバーン53%のうち秋山個人の5%が抜けることで過半数が崩れる、という一点なんだろう。だから細部の整合性に少し揺れがあっても、とにかく「秋山の5%が最後の鍵だった」という構図を強く見せたかったんだと思う。ここはかなり大きかった。
そして今回、地味に重要だったのは、秋山が環に「残りの47%は誰が持っていて、乗っ取られると分かっていて手放す人はいるのか」と確認したことだと思う。半年前に3%を譲った親族は、まさかそれが乗っ取りに使われるとは思っていなかったのだろう。でも今後誰かが譲れば、それは加賀美屋が食われると知ったうえでの裏切りになる。そうなると、親族として生き続ける上でかなりきつい。つまり秋山はここで、株の数字だけではなく、人間関係や心理の面からも、残り47%は崩れにくいと見切ったんだろうなと思う。
一方、東京の場面もかなり大きかった。聡の正体がついに明かされ、岸本会長の息子であり、二年前まではその会社側の人間だったことが分かる。これで第31回の頃からずっとあった、聡のサラリーマン嫌悪や、どこか影のある感じが、かなりきれいに出自と結びついたと思う。単なる反抗的な若者ではなく、父親の価値観そのものに反発して、あの世界から飛び出した人間だったんだろうなというのが見えてくる。そして今、加賀美屋を助けるために、その嫌っていた側の世界へもう一度戻ってきている。戻りたくて戻った仲居たちとは対照的に、聡は誰かを救うために自分が犠牲になる側に回っている。この苦さもかなり印象に残った。
そして岸本会長だ。この人は単なる便利な救世主ではなく、はっきり「世の中は勝つか負けるかだ」と言い切る。話の分かる理解者ではなく、かなり厳しい資本主義の論理そのものとして出てきているのが良かった。法に触れていなければいいのか、という聡の違和感の方がむしろ自然だし、ここでぶつかっているのは単なる加賀美屋の買収問題ではなく、心で動く加賀美屋の世界と、勝敗と利益でしか物事を見ない資本の世界との衝突なんだろうなと思う。だからこそ、残り二回でこの人がどう動くのかがかなり重要になってくる。
第154回は、加賀美屋がいったん負けを受け入れるところまで追い込まれながら、その姿勢そのものが秋山を動かし、ついにワイバーンの過半数を崩す回だったと思う。ただ、それで全部が終わったわけではなく、むしろここから先は、岸本会長という“勝ち負けの論理”を体現した人物に対して、夏美たちの世界が何を示せるのかが問われる段階に入った。かなり大きな転換点だったし、最終回前の一話としてかなり重い回だった。
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