朝ドラ『風、薫る』第46回感想・ネタバレ|小野田の死と、ゆきに突きつけられた看護婦としての現実

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2026年6月1日放送の『風、薫る』第46回は、小野田(宮地雅子)の死を通して、看護婦見習たちに「死と向き合う仕事」の重さが突きつけられた回だった。

前回の最後で小野田に異変が起きたが、今回はそのまま危篤、そして死へと進んでいく。ゆき(中井友望)は一晩中つきっきりで看病するものの、小野田を救うことはできなかった。

どんな人にも死は等しく訪れる。その死をどう受け止め、どう乗り越えていくのか。今回は、看護婦を目指す者にとって避けて通れない現実をかなり正面から描いた回だったと思う。

一方で、ゆきが実習に戻れなくなったことで、現場にはすぐにしわ寄せが出る。悲しみや喪失を抱える人をどう支えるのか。そして、それでも仕事は続いていくという現実をどう受け止めるのか。かなり重い内容だった。

前回の記事はこちらです。

朝ドラ『風、薫る』第45回感想・ネタバレ|「好きじゃないけど、できるだけ」。看病婦たちの仕事に流れ始めた変化
2026年5月29日放送の『風、薫る』第45回は、看護婦見習と看病婦の関係がかなり大きく動いた回だった。前回は、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)が康介(じろう)の世話をする中で、フユ(猫背椿)の仕事や康介の苦しさに触れていく話だった。今回は...

第46回のポイント

  • 医師の坂田(金井勇太)は、小野田の心臓が弱っており、このまま意識が戻らない可能性もあると伝える。
  • ゆきとトメ(原嶋凛)は、小野田の娘に危篤を知らせる電信の手配をする。
  • 意識が混濁した小野田は、ゆきやトメを娘のノブと勘違いする。
  • ゆきは一晩中つきっきりで小野田を看病するが、夜明けに小野田は息を引き取る。
  • 小野田の死に大きな衝撃を受けたゆきは、実習に復帰できなくなる。
  • 直美(上坂樹里)は、トメが抱え込んでいる仕事を助けに現れる。
  • フユ(猫背椿)とヨシ(明星真由美)は、りん(見上愛)たちに対して以前より温かい態度を見せる。
  • バーンズ先生(エマ・ハワード)は、寝込んでいるゆきのもとへ行き、今から授業をすると告げる。

個人的に印象に残ったこと

今回まず印象に残ったのは、医師の坂田から小野田の容体を聞かされる場面だった。

坂田は、小野田の心臓が弱っていて、このまま意識が戻らないことも考えられる、家族がいるなら危篤の知らせをした方がいいと、ゆきとトメに伝える。

「危篤」という言葉に驚くゆきの反応が、とてもゆきらしかった。小野田の状態が悪いことは分かっていても、実際に危篤と言われると、それまでとは意味が変わってくる。看護婦見習として病人のそばにいることと、人の死がすぐそこにあると突きつけられることは、やはり別なのだと思う。

小野田の一人だけの家族である広島の娘に、危篤を知らせる電信を手配する流れも重かった。小野田がずっと娘のことを思っていたことを考えると、せめて間に合ってほしいと思うが、現実はそう簡単ではない。

内科の重症病室に移された小野田は、意識が混濁し、ゆきやトメを娘のノブと勘違いする。台所の火の始末を心配する小野田に対して、ゆきは慌てふためいてしまう。

ここでトメが機転を利かせ、娘のノブのふりをして「火の始末なら心配いらない」とやり過ごすのがよかった。

もちろん、それは厳密には本当のことではない。でも、意識が混濁している小野田を安心させるためには、その場で正面から訂正することが正しいとは限らない。小野田の不安を受け止め、安心できる言葉を返す。ここに、トメの現場感覚が出ていたと思う。

ゆきも、小野田から「どちら様で?」と聞かれた時に、ノブの友達だと答える。ここはゆきなりに必死だったのだと思う。間違っていることを正すのではなく、目の前の小野田を安心させる。その感覚を、ゆきもその場でなんとか掴もうとしていたように見えた。

ただ、トメが坂田に、目を覚ましたということは回復することもあるのかと確認すると、坂田は首を横に振り、時間の問題だろうと答える。

このあたりの流れは、かなりつらかった。目を覚ましたからといって、回復するわけではない。むしろ最期が近づいている。医療の現場では、希望と現実が必ずしも一致しないのだと突きつけられる。

ゆきは小野田を一晩中つきっきりで看病することになる。

りんは、それを心配する。しのぶ(木越明)は、ゆきは丁寧な看護だから大丈夫だと言うが、りんが心配していたのは、看護の丁寧さではなかった。小野田に何かあった場合、ゆきが一人で大丈夫なのかという心配だった。

ここは、りんがかなり冷静にゆきの危うさを見ていた場面だと思う。

ゆきは優しい。丁寧でもある。けれど、患者との距離が近くなりすぎるところがある。だからこそ、小野田に何かが起きた時、ゆきがそれを一人で受け止められるのか。りんはそこを心配していた。

夜、ゆきは眠り続ける小野田にずっと語りかける。

ゆきは、自分がナイチンゲール女史のような看護婦になれるのか不安だと吐露する。小野田は意識がはっきりしていない。それでも、ゆきは語り続ける。看病というより、祈りに近い時間だったようにも見えた。

いつしかゆきは眠ってしまう。

そして夜が明けると、小野田が一瞬目を覚ます。

小野田は一言、「娘を……」とゆきに話し、そのまま息を引き取った。

ここはかなり重かった。

小野田が最後に口にしたのは、やはり娘のことだった。前回からずっと、娘への思いは弱ることなく描かれていたが、最期の言葉もそこに戻る。体は弱っても、意識が混濁しても、小野田の中で娘への思いだけは最後まで残っていたのだと思う。

脈を計り、小野田に声をかけ続けるゆき。そこへトメが入ってきて、小野田の脈を計り、亡くなっていることを確信する。そして小野田に向かって頭を下げる。

このトメの動きが、とても静かで重かった。

大声を出すわけでもなく、慌てるわけでもない。ただ、死を確認し、亡くなった人に頭を下げる。

一方で、ゆきは取り乱す。

これは仕方ないと思う。ゆきにとって、小野田の死はあまりにも大きかった。小野田に限らず、近しい人物を失うという経験を、これまでほとんどしてこなかったのだろうか。そう思うくらい、ゆきの落ち込み方は深かった。

小野田のベッドを掃除する場面も印象に残った。

看病婦が、小野田のベッドに残っていた折り鶴を捨てようとする。それをトメが止める。

この折り鶴は、ただの飾りではない。小野田が外を見たいと思うきっかけにもなったものだし、ゆきたちとの関わりが残っているものでもある。死後の片づけの中で、それをただの不要物として処分しようとする人と、そこに意味を見て止めるトメ。この差もまた、看護や看病の感覚に関わるものだったと思う。

寮では、りんがゆきに少しだけでも夕飯を食べないかと声をかける。

けれど、ゆきは泣くだけで返事もできない。りんは、ゆきの分は食堂に残しておくと言って部屋を出る。

ここで、りんが無理に食べさせようとしないのもよかった。今のゆきには、食べなさいと叱るよりも、食べられる時に食べられるように残しておくことしかできない。仲間として、できる範囲で見守っている感じがあった。

ただ、ゆきが実習に戻れなくなると、現場にはすぐにしわ寄せが来る。

ゆきのいない分、他の看護婦見習たちに負担がかかる。トメは一人で走り回り、看病婦からはゆきの分の仕事まで命じられる。

ここもかなり現実的だった。誰かが傷ついて動けなくなった時、その人を責めることはできない。でも、現場の仕事は止まらない。誰かが穴を埋めなければならない。悲しみと業務が同時に存在するところに、この仕事の厳しさがあると思う。

そんな状況を察して、直美が助けに現れる。

直美は、トメが看病婦に頼まれた仕事を「今日は外科は暇だから」と嘘をついて引き受ける。いかにも直美らしい。ぶっきらぼうで、素直に「助けに来た」とは言わない。でも、仲間が困っている時には必ず来る。

しかも、この嘘は誰も傷つけていない。むしろ、トメを助けるための嘘だった。

直美は、トメがシーツの交換を看病婦に命じられていたのを見ていたのだろう。その看病婦に対して「シーツの替え方、お教えしましょうか?」と嫌味を言うのも忘れない。

ここはかなり直美の存在感が出ていたと思う。

直美は優しい言葉をかけるタイプではない。でも、行動で助ける。そして、理不尽に対しては嫌味も言う。ここにきて、直美が一番存在感を発揮してきたように見えた。

一方で、外科の看病婦たちの空気はかなり変わっていた。

フユとヨシが、りんに対して直美はどこで油を売っているんだと問い詰める。でも、その態度は以前のように冷たくはない。内科の看病婦がトメにきつく当たっていたのとは違い、フユとヨシはりんに対して笑顔も見せる。

ここに、前回からの変化がはっきり出ていたと思う。

フユは「人が少ないならやり方考えて」と、りんにアドバイスする。りんが「家事だと思って……?」と返すと、フユもりんも笑みを見せる。

このやり取りはとても温かかった。

前回、フユが言った「この仕事はね、家事だと思ってやらないと間違えるよ」という言葉が、ここで少し実践に近づいたようにも見えた。人が少ないなら、同じやり方をただ繰り返すのではなく、どう回すかを考える。家事も看護も、限られた人手と時間の中で、優先順位をつけながら回していくものなのかもしれない。

もちろん、この言葉の意味を完全に理解できたとはまだ言い切れない。でも、りんとフユの間に共通言語のようなものが生まれ始めている感じはあった。

そしてバーンズ先生は、内科の様子も外科の様子も観察している。

この先生は、本当に見ている。表面だけではなく、誰がどこで立ち止まり、誰がどう動き、誰にどんな看護が必要なのかを見ている。

寮では、ゆきがバーンズ先生に最初に出された課題「看護婦とは何か」を読んでいる。

今日も食事を取れずにいるゆきを、バーンズ先生は探して話をすると言う。りんが、ゆきはまだ話せる状況じゃないと説明すると、バーンズ先生は「それならば看護が必要です」と答える。

ここがかなり良かった。

ゆきは看護婦見習でありながら、今は看護される側になっている。患者だけが看護を必要とするわけではない。大きな喪失を受け止められず、食事も取れず、寝込んでいるゆきにも看護が必要だという見方が、バーンズ先生らしいと思った。

そしてバーンズ先生は、ゆきが寝込んでいる部屋に入っていく。ゆきが「すいません」と謝ると、バーンズ先生はゆきの布団を剥ぎ取り、今からここで授業をすると言う。

この終わり方はかなり気になった。

落ち込んでいるゆきに対して、優しく寄り添うだけではない。布団を剥ぎ取り、授業をする。これが荒療治なのか、ゆきにとって本当に必要な看護なのかは、まだ分からない。

ただ、バーンズ先生がただ厳しくしているわけではないことは分かる。ゆきを責めるためではなく、ゆきをこのまま潰さないために、何かを始めようとしているのだと思う。

小野田の死は、ゆきに看護婦としての現実を突きつけた

今回の小野田の死は、ゆきにとってかなり大きな出来事だった。

ゆきは丁寧な看護をするし、患者に優しく寄り添うこともできる。でも、看護の現場では、どれだけ丁寧に看ても、どれだけ思いを込めても、患者が亡くなることがある。

ここが残酷だと思う。

優しさがあれば救えるわけではない。祈れば助かるわけでもない。死は等しく訪れる。その現実を、ゆきは小野田の死によって初めて真正面から受け止めることになったのかもしれない。

ゆきがこのまま潰れてしまうのか、それともここから看護婦としてもう一段変わるのか。今の時点ではまだ分からない。ただ、今回の出来事がゆきにとって避けて通れない分岐点になったことは間違いないと思う。

直美は、ぶっきらぼうでも仲間を助ける人だ

今回、直美の存在感がかなり強かった。

ゆきが実習に戻れず、トメが一人で抱え込んでいる状況を見て、直美はさっと助けに入る。「今日は外科は暇だから」と得意の嘘をつくが、これは誰も傷つけない嘘だった。

直美は、助ける時に大げさな言葉を使わない。優しく励ますというより、現場に入って実際に手を動かす。そして、理不尽な看病婦には「シーツの替え方、お教えしましょうか?」と嫌味を言う。

このあたりが本当に直美らしい。

直美は不器用で、手術介助には向いていないのかもしれない。でも、周りの状況を見て、必要な時に必要な場所へ動ける人ではある。看護婦としてどの道に進むのかはまだ分からないが、直美の強みはかなり見えてきたと思う。

フユとヨシは、りんたちにとって頼れる味方になり始めている

内科の看病婦がトメにきつく当たっていたのに対し、外科のフユとヨシはかなり態度が軟化していた。

もちろん、急に優しい人になったというわけではない。口調は相変わらずだし、直美がどこで油を売っているのかと問い詰める場面もある。

でも、そこには以前のような敵意はあまりなかった。むしろ、りんたちを同じ現場で働く者として見始めている感じがあった。

特にフユは、技術もあるし、現場の回し方も分かっている。「人が少ないならやり方考えて」という助言には、かなり実務的な強さがある。りんは、かなり頼りになる味方を手に入れたのかもしれない。

バーンズ先生の「授業」は、ゆきを立ち直らせることができるのか

最後の、バーンズ先生がゆきの布団を剥ぎ取り、今からここで授業をすると言う場面はかなり気になった。

普通なら、寝込んでいる人に対してそんなことをするのは乱暴にも見える。でも、バーンズ先生は「それならば看護が必要です」と言っていた。つまり、これは罰ではなく、ゆきに対する看護でもあるのだと思う。

ゆきは今、自分が看護婦に向いているのかどうか分からなくなっているのかもしれない。人の死を受け止めきれず、食事も取れず、実習にも戻れない。

そんなゆきに対して、バーンズ先生はただ休ませるのではなく、「看護婦とは何か」という問いにもう一度向き合わせようとしているのだろうか。

この授業がゆきを立ち直らせることができるのか。それとも、ゆきにさらに厳しい現実を突きつけることになるのか。次回がかなり気になる終わり方だった。

まとめ

2026年6月1日放送の『風、薫る』第46回は、小野田の死を通して、看護婦見習であるゆきに「死と向き合う仕事」の重さが突きつけられた回だった。

小野田は最後まで娘を思いながら息を引き取った。その死を目の前で受け止めたゆきは、大きく取り乱し、実習にも戻れなくなってしまう。ゆきの優しさや丁寧さは確かに長所だが、看護の現場では、それだけでは立っていられない場面もあるのだと感じた。

一方で、直美はトメを助けに入り、フユやヨシはりんたちに対して温かい態度を見せる。看護婦見習と看病婦の関係には、少しずつだが確かな変化も見えている。

全員が無事に看護婦になってほしいとは思う。けれど、向き不向きや適性という残酷な現実も、これから突きつけられていきそうな気配がある。

小野田の死を、ゆきはどう受け止めるのか。バーンズ先生の授業は、ゆきを立ち直らせることができるのか。かなり重い週明けだったが、次回を見届けたいと思う。

『風、薫る』感想まとめはこちら

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