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2026年6月19日放送の『風、薫る』第60回は、安(早坂美海)の結婚に一区切りがつき、りん(見上愛)の前に久しぶりに虎太郎が現れる回だった。
前回、梅岡看護婦養成所を卒業したりんと直美(上坂樹里)。これからは学生ではなく、看護婦として生きていくことになる。そんな節目の直後に描かれたのは、一ノ瀬家の祝言と、りんをめぐる恋模様の始まりだった。
虎太郎(小林 虎之介)は、那須にいた頃の純朴な青年とは少し違っていた。東京で成功し、上に上がり、出世することを目指している。りんがかつて好意を抱いていた虎太郎と、今目の前にいる虎太郎は同じなのか。
一方で、シマケン(佐野晶哉)もまた、りんと虎太郎の関係を見て表情を変える。今回は看護婦としての話よりも、りんの過去と現在、そして今後の恋模様が大きく動き出した回だったと思う。
前回の記事はこちらです。

第60回のポイント
- りんの家に虎太郎が訪ねてくる。
- 直美は虎太郎をりんの元旦那だと勘違いする。
- 虎太郎は銀座の製薬会社で働くようになっていた。
- りんは虎太郎の「上に上がる」という言葉に変化を感じる。
- 安は、りんが家族を支えるために結婚したことをずっと気にしていたと打ち明ける。
- 直美は吉江(原田泰造)の教会で、「おっかさん」と呼んでみたいという夢に気づく。
- 安の祝言が終わり、結婚については一区切りつく。
- 虎太郎とりんが団子屋で話しているところに、シマケンが割って入る。
- 虎太郎とシマケンは初対面にして、お互いを意識するような空気になる。
- 虎太郎はりんに「俺、必ず出世するから」と宣言する。
個人的に印象に残ったこと
今回まず印象に残ったのは、りんの家に男が訪ねてくる場面だった。
対応したのは直美。
直美は男に「どちら様ですか?」と確認する。男の方も、直美を見て、ここは一ノ瀬さんのお宅ではないのかと不安そうな様子を見せる。
そこへ環(英茉)が奥から出てくる。
男は、環が大きくなったと声をかける。
これを見た直美は、男がりんの元旦那だと勘違いする。
直美らしい早とちりだった。
りんが奥から出てきて、男の正体はりんの幼なじみの虎太郎だと分かる。
久しぶりの虎太郎登場だった。
虎太郎は、りんが結婚したものだと勘違いして家まで訪ねてきたらしい。直美は、元旦那だと勘違いしてしまったことを謝罪する。
するとりんは、虎太郎のおかげで自分と環は那須から逃げてこられたのだと説明する。
虎太郎は、りんにとってかなり大事な存在だった。
那須での苦しい結婚生活から逃げる時、虎太郎の存在があったからこそ、りんと環は東京へ来ることができた。そう考えると、虎太郎はりんの人生の大きな転機に関わった人なのだと思う。
りんは、虎太郎も東京にいるとは思わなかったと驚く。
虎太郎は、銀座の製薬会社の社長に認められ、社員になったことを説明する。
なんだか見違えた。背広も似合う。
りんがそう褒めると、虎太郎は照れてしまう。
このあたりは、昔の二人の空気が少し残っていた。
りんに褒められて照れる虎太郎。虎太郎の変化に驚きつつも、懐かしそうに見るりん。
直美は何かを察して、環を外に連れ出す。
そして、りんと虎太郎を二人きりにする。
直美はこういうところは鋭い。
普段は不器用で、嘘も多い人だけれど、人の間に流れる空気を読む力はかなりあるのだと思う。
二人きりになると、虎太郎は、りんが再婚しているのかを気にする。
りんは、来月からやっと看護婦になるのだから、それどころではないという様子を見せる。
ここはりんらしかった。
りんにとって今の一番大きな関心は、看護婦として働き始めることなのだと思う。結婚や再婚よりも、自分の力で看護婦として生きていくことが大事になっている。
りんは、虎太郎にどうして東京に出てきたのかを尋ねる。
虎太郎は、あそこにいても100年前と変わらないと言う。
東京で成功すれば、家族の暮らしを変えることができる。東京は努力したらした分だけ、自分の力で上に上がれる。勝負するなら東京に出ないと。
この虎太郎の言葉に、りんは変化を感じる。
特に「上に」という言葉。
りんは、虎太郎が変わったことを実感したようだった。
自分も東京に出て、看護婦として生きようとしている。だから、虎太郎が東京で頑張っていること自体は理解できるはずだ。
でも、虎太郎の口から出る「上に上がる」「出世する」という言葉には、りんが知っていた虎太郎とは違うものがある。
那須にいた頃の虎太郎は、もっと純朴な青年だったと思う。
りんが好意を持っていたのは、何でも相談できる純粋な幼なじみとしての虎太郎だったのかもしれない。
今の虎太郎は、出世を目指し、成功を目指し、上に上がろうとしている。
それは成長なのかもしれない。
でも、りんが好きだった虎太郎は、こんな虎太郎だったのだろうか。
そこは少し気になった。
その後、美津(水野美紀)と安が帰宅する。
美津は虎太郎だと気づかないが、安はすぐに虎太郎だと気づく。
そして、虎太郎だと分かった瞬間、美津は立派になったことを大喜びする。
ここは美津らしかった。
昔を知っている人が立派な姿で現れると、素直に喜ぶ。美津にとっても虎太郎は懐かしい存在なのだろう。
夜になると、安が眠れずに二階の花嫁衣裳の前に座っている。
そこへ、眠れないりんも二階に上がってくる。
安はりんに、虎太郎のことはもういいのかと聞く。
安は、りんが自分たちを支えるために結婚したことを、ずっとずっと気にしていた。
ここはかなり大事な場面だった。
りんは、母・美津と妹・安の暮らしを支えるために結婚した。安はそのことをずっと気にしていたのだろう。
姉の幸せを、自分たちが奪ってしまったのではないか。
安はそう考えていたのだと思う。
今、安は初めて恋をして、幸せを実感している。だからこそ、りんが家族を支えるためだけにした、意に沿わない結婚がどれだけつらかったのか、今になって分かったという。
これは、安が少し大人になった場面でもあったと思う。
これまで安は、どこか自分の幸せや安定を優先して考えていた。けれど、結婚を前にして、自分の幸せだけではなく、りんが背負ってきたものにも目を向けるようになった。
りんは、そんなことはもう昔の話だと言う。
今はもう、きっと違う上がりがあるはずだ。
そう思えるのは、安がいてくれたからだと伝える。
ここも良かった。
りんは、過去の結婚をただの犠牲として終わらせていない。安がいたから、環がいたから、今の自分がある。苦しさはあっただろうが、それだけではない。
安はりんに「今まで、本当にありがとう」と感謝を伝える。
一階では、横になったまま美津と直美が二階の二人の会話を聞いている。
この一ノ瀬家の場面は良かった。
母・美津、姉・りん、妹・安、そして環。
みんな苦労してきた。だからこそ、それぞれ幸せになってもらいたいと思う。
安の祝言に向けて、一ノ瀬家の女たちの関係が少し整理されたようにも感じた。
一方、直美は吉江の教会に行き、安が祝言をあげることを報告する。
直美は、結婚は家族のお祭りだと感じている。
自分には縁のない話だけど、一ノ瀬家を見ていたら「おっかさん」と呼んでみたくなったと言う。
そして、「おっかさん」と呼んでみたいと思ったことが、自分の夢かもしれないと気づく。
ここは直美らしく、少し切ない場面だった。
直美は、一ノ瀬家と一緒に暮らす中で、家族や母の存在に対する羨ましさが芽生えたのだと思う。
結婚そのものへの憧れというより、家族が集まり、祝う空気。母を「おっかさん」と呼ぶこと。そういう当たり前のようなものが、直美にはなかった。
だから、それが夢かもしれないと思ったのだろう。
吉江は、直美に「おとぅ」と呼んでもいいですよと言う。
冗談なのか、本心なのかは分からない。
でも、吉江らしい言葉だった。
善意の塊のような人と言われるほどの吉江は、直美に対しても十分父親代わりを務めてくれたのだと思う。
直美は、それは結構ですと断る。
この返しも直美らしかった。
祝言が終わり、りんと美津が帰宅しているところへ、虎太郎が祝いの品を持ってやってくる。
美津は、どうぞ上がってと言うが、お茶菓子が何もないと気づく。
そして、りんに送りがてら団子屋でお茶でもと言って、二人を送り出す。
美津のこの動きは、明らかに二人を話させようとしていたのだと思う。
団子屋で話すりんと虎太郎。
その様子をシマケンが見かける。
虎太郎がりんに、東京に来た理由を説明しようとしたその瞬間、割って入るようにシマケンがりんに声をかける。
ここは、シマケンも明らかに意識していた。
虎太郎は、シマケンに、りんの幼なじみで、今は銀座の製薬会社に勤めていると自己紹介する。
シマケンは、小説家志望だと自己紹介する。
りんは、シマケンのことを虎太郎に紹介する。
この時点で、虎太郎とシマケンの間に、バチバチやり合う空気が流れる。
初対面なのに、お互いに相手をライバルと認識したように見えた。
りんとシマケンが笑い合う様子を見て、虎太郎は動揺する。
一方で、シマケンも「ああ、では……」と一声かけて去っていくが、その表情は一瞬で笑顔から真顔に切り替わる。
シマケンも、まったく平気ではなかったのだと思う。
虎太郎は、りんに「俺、必ず出世するから」と宣言し、お金を払って去っていく。
この言葉も引っかかった。
久しぶりに再会したりんに対して、「出世する」と宣言する虎太郎。
虎太郎にとっては、自分の価値を示す言葉なのかもしれない。出世して、成功して、りんを安心させたい。そういう気持ちもあるのだろう。
でも、りんにそれが響くのかは分からない。
りんは看護婦として、自分の力で生きていこうとしている。
虎太郎が出世してりんを養うと言ったところで、今のりんにはあまり響かなそうな気がする。
かといって、はっきりせずにぐるぐる回っているシマケンの方がいいのかと言われると、それも即答できない。
虎太郎は上昇志向が強くなりすぎている。
シマケンは自分の中で考えすぎている。
どちらも一長一短だと思う。
ただ、今回で虎太郎とシマケンは、お互いをライバルとして認識した感じがある。これからもバチバチにやり合うのだろう。
シマケンと虎太郎がとうとう会ってしまいました。
お互い自己紹介した2人ですが……👇この後……https://t.co/DX4scupjqe#朝ドラ #風薫る
見上愛 佐野晶哉 小林虎之介 pic.twitter.com/yBo31P55dH— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) June 18, 2026
一ノ瀬家の女たちは、みんな苦労してきた
今回、安がりんに感謝を伝えた場面は良かった。
りんは、母と妹を支えるために結婚した。安はそのことをずっと気にしていた。
姉の人生を自分たちが縛ってしまったのではないか。
そう思いながら、安も生きてきたのだと思う。
でも、りんはそれをもう昔の話だと言った。今は違う上がりがあるはずだと考えられるようになったのは、安がいてくれたからだとも言う。
一ノ瀬家の女たちは、みんな苦労してきた。
美津も、りんも、安も、それぞれの形で家族のために生きてきた。
だからこそ、安には幸せになってもらいたいし、りんにも自分の人生を歩いてもらいたいと思う。
直美は「おっかさん」と呼んでみたいという夢に気づいた
直美が吉江に、自分の夢は「おっかさん」と呼んでみたいことかもしれないと話した場面は印象的だった。
直美は、一ノ瀬家で暮らす中で、家族というものを近くで見ている。
祝言を家族のお祭りのように感じたのも、直美にとっては新鮮だったのだと思う。
自分には縁のない話。
そう言いながらも、直美の中には、母を呼んでみたい、家族の中にいてみたいという思いが芽生えている。
吉江が「おとぅ」と呼んでもいいですよと言ったのは、冗談にも聞こえるし、本心にも聞こえる。
吉江は本当に善意の人なので、直美にとって父親代わりのような存在になっているのだと思う。
虎太郎は変わってしまったのか、それとも成長したのか
久しぶりに登場した虎太郎は、かなり変わっていた。
銀座の製薬会社で働き、背広を着て、東京で上に上がろうとしている。
那須にいた頃の純朴な青年とは違う。
出世を目指す野心家になったようにも見える。
東京に出てきて、家族の暮らしを変えたいと思うのは悪いことではない。努力して上に行きたいという気持ちも、理解はできる。
でも、りんは虎太郎の「上に上がる」「出世する」という言葉に戸惑っているように見えた。
りんが好きだった虎太郎は、こんな虎太郎ではないのかもしれない。
なんでも相談できる、純粋な幼なじみ。りんはそういう虎太郎に好意を持っていたのだと思う。
今の虎太郎に、りんは魅力を感じるのだろうか。
ここは少し分からない。
虎太郎とシマケンは、初対面でライバルになった
虎太郎とシマケンの初対面は、かなり分かりやすくバチバチしていた。
虎太郎は銀座の製薬会社の社員。
シマケンは小説家志望。
二人とも、りんにとって特別な位置にいる可能性がある。
虎太郎は、りんの過去を知る幼なじみであり、那須から逃げる時に助けてくれた人。
シマケンは、東京でりんを支え、今のりんの近くにいる人。
りんとシマケンが笑い合う様子を見て動揺する虎太郎。
虎太郎とりんを見て、笑顔から真顔になるシマケン。
どちらも分かりやすかった。
これからりんをめぐる恋模様が動きそうな予感がある。
ただ、次週の予告を見る限り、本筋の看護婦の話に戻る気配もある。恋愛だけで引っ張るのではなく、看護婦としてのりんと直美の仕事も見せてほしい。
まとめ
第60回は、安の結婚に一区切りがつき、久しぶりに虎太郎が再登場した回だった。
昔の純朴な虎太郎を応援していた身としては、出世欲の強い今の虎太郎を素直に応援できるかはまだ分からない。
一方で、シマケンもりんへの思いを隠しきれなくなってきた。
来週は恋模様も気になるが、そろそろ看護婦として働き始めるりんと直美の本筋にも戻ってくれることを期待したい。
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