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2026年5月6日放送の『風、薫る』第28回は、バーンズ先生(エマ・ハワード)の厳しい指導がようやく一つの答えにたどり着き、りん(見上愛)が看護婦という仕事の重さと意味を自分の中で掴み始める回だった。ここまでバーンズ先生の教え方はかなり突き放して見えたし、見ている側としても「そこまで言うのか」と感じる場面が多かった。でも今回は、その厳しさがどこを向いていたのかが少し見えた気がする。
その一方で、やはりこの指導法はきついとも思った。自分で考えろ、見て覚えろ、感情に流されるなというやり方は、現代の感覚だとかなりしんどい。だから今回は「なるほど」と思う部分と、「でも簡単には飲み込めない」と思う部分が同時に残る回でもあった。
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第28回のポイント
- 多江(生田絵梨花)には見合い話があり、日本髪に戻したことにも理由がありそうだと示される。
- コロリ患者の着替えの訓練で、りんは家族を看取った記憶を刺激される。
- バーンズ先生は、看護婦は自分自身を感染させてはならない理由を突きつける。
- 落ち込むりんを仲間たちが支え、翌日りんは看護の意味を自分の言葉で答える。
個人的に印象に残ったこと
今回まず印象に残ったのは、多江(生田絵梨花)に見合い話があり、父は跡取りとして婿を取ることを望んでいるらしいと分かったことだった。日本髪に戻した理由も、ただの反抗ではなく、そうした家の事情とつながっているのだろうと思う。前回の終わり方の不穏さが、ちゃんと現実的な圧力として見えてきた感じがあった。
その多江の髪型を見て、松井エイ(玄理)がバーンズ先生(エマ・ハワード)の教えを破って辞めるつもりなのかと気にしているのに対し、直美(上坂樹里)が「女が髪型を変えるといろいろ言われるから」とフォローするのもよかった。こういうところに、最近の直美の変化がよく出ていると思う。前なら相手の事情をわざわざ汲んで言葉を添えることはしなかったかもしれない。りん(見上愛)が自然にお湯を沸かしに行くのも含めて、この二人はかなり「仲間」らしくなってきた。
コロリ患者の汚れた衣服を着替えさせる訓練の場面も印象的だった。直美としのぶ(木越明)が腹痛の芝居を入れて、バーンズ先生に「そのような芝居はいりません」とぴしゃりと言われるのは少し微笑ましくもあったが、その直後から空気はかなり重くなる。りんとトメ(原嶋凛)の順番になり、咳き込むトメにりんが顔を近づけてしまう。そこでバーンズ先生が「不必要に顔を近づけない。感染の危険が高まります」と指導し、りんが家族をコロリで亡くしていることまで見抜く。この先生の観察眼はやはりすごい。
そこからのやり取りは今回の中心だったと思う。りんが、父・信右衛門(北村一輝)をコロリで亡くし、自分は何もできず、一人きりで見送ったことを語ると、バーンズ先生は「患者は家族ではありません」「あなたは看護婦になるんですよ。恥ずかしい」と言う。この「恥ずかしい」はかなりきつい言葉だった。直美が思わず言い返そうとするのも当然だと思った。
りんが「目の前に苦しんでいる人がいたら見捨てることはできない」と言うのもまっすぐでよかったし、それに対してバーンズ先生が「あなたは今、大勢の人を見捨てたのと同じです」と返すのも、理屈としては理解できた。つまり、看護婦自身が感染してしまえば、その先で看護を受けるはずだった何人もの患者が救われなくなる。ここは医療職としての責任を極端なほどに突きつけているのだろうと思う。
ただ、その理屈が分かるからといって、感情がすぐ納得するわけではない。りんが「どういうことですか」と聞き、「私たちは看護婦を見たことがない、初めてだから分からない、教えてください」と頼んでも、バーンズ先生は「自分で考えなさい」と返す。この指導法はやはりきつい。たしかに、自分で考えてたどり着く方が深く身につくのかもしれない。でも、その途中で人が落ち込んだり、折れたりする危険も大きい。今回のりんはまさにそうなりかけていた。
だからこそ、その夜の食事の場面がよかった。落ち込むりんに、トメが「何だか、腹いっぺぇで……」と分かりやすい嘘をついておかずを分ける。そこから皆が少しずつ同じように差し出していく。直美が「さすがに、食べきれないでしょ」と言って笑いがこぼれる流れもよかった。ここはかなり温かかったし、最近の養成所のまとまりを感じる場面だった。
その中でトメが「りんさんに背中ばさすってもらってうれしがった」と言いながらも、コロリになったら母が悲しむから自分にはできないとも言う。この素朴な言葉が、今回のテーマをかなり分かりやすくしていた気がする。患者を思う気持ちと、自分を守ること。そのどちらも本当で、どちらか一方だけではだめなのだろう。
一人で思いにふけるりんの横に直美が座り、「家族がいたらいたで大変だ」「親を看病するみたいに看護していたら、りんはすぐに死んじゃうよ」と忠告するのもよかった。直美は以前ならもっと刺々しくしか言えなかっただろうが、今回はちゃんとりんを思って言っているのが分かる。そして「じゃあ、環ちゃんにも将来そう看病してほしいか」と問うのも鋭かった。これはかなり効く言葉だったと思う。
翌日の訓練で、りんと直美がやってみせた時に、バーンズ先生がようやく「これが看護です」と認める流れもよかった。りんが「患者さんを清潔に心地よく着替えさせること」「訓練を受けた看護婦として、まず自分自身を感染させないように努めました。私を大事に思う人たちのために」と答えるのもよかった。ここでようやく、バーンズ先生の言葉がりんの中で自分の言葉になった感じがあった。
そのあとバーンズ先生が、「あなたが病に倒れてしまえば、その患者はあなたの看護を受けられません。あなたたちの手は、家族の数百、数千倍の人を助ける手なんです」と言うのはかなり強い思想だと思った。りんが「もしそんなことができるなら、私にとってこれ以上向いている仕事はないかもしれません」と応じるのもきれいだったが、同時にこの考え方をそのまま受け入れていいのか、という引っかかりも残った。
りん:「教えてください。私、看護婦を見たことがないんです。」
何が看護なのかが分からないとバーンズ先生に伝えるりん。
👇りんはどうなる?この続きを見るhttps://t.co/mmPGU6tDRo
見上愛
エマ・ハワードhttps://t.co/gfI9jlV5X8 pic.twitter.com/VxSM9hT2mK— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) May 5, 2026
バーンズ先生の教えに引っかかった理由
バーンズ先生の「あなたが病に倒れてしまえば、その先の患者はあなたの看護を受けられません」という考え方は、理屈としてはよく分かる。看護する側が感染してしまえば、助けられるはずの大勢の人を救えなくなるのだから、まず自分を守ることもまた看護の一部なのだろう。実際、医療や看護の現場では、目の前の一人に感情移入し過ぎることで、より多くの患者を危険にさらしてしまうこともあるのだと思う。
ただ、それでも自分は今回かなり強く引っかかった。なぜなら、この考え方は突き詰めれば「多数の命を救うためなら、一人の犠牲や切り捨てはやむを得ない」という発想にもつながりかねないと思えてしまったからだ。いわゆるトロッコ問題のように、五人を救うために一人を犠牲にするのか、それとも、何もせず五人を見捨てるのか。バーンズ先生の教えは、看護の現場においては前者の合理性をかなり強く求めているように見えた。
もちろん、バーンズ先生は「家族を見捨てろ」と言っているわけではないのだろう。家族も他人も区別せず、看護婦として冷静に対処しなさいと言いたいのだと思う。でも、りんにとって信右衛門は“患者”である前に“父”だった。そこに職業的な合理性だけを当てはめて、「恥ずかしい」とまで言われてしまうと、感情としてはどうしても簡単には受け入れられない。
大勢を救うための正しさは分かる。でも、その正しさが目の前のたった一人、しかも自分にとって大切な人を後回しにすることまで意味するのだとしたら、本当にそれを迷いなく受け入れられるのか。今回の話は、その難しさをかなり鋭く突いてきたように感じた。
りんは今回、ようやく「家族を救えなかった後悔」を職業の意味へ変え始めた
ここが今回いちばん大きかったかもしれない。これまでりんは、父を救えなかったことへの後悔を抱え続けてきた。でも今回は、その後悔をただの傷として持ち続けるのではなく、「同じ思いをする人を減らせるなら」という方向へ少し変え始めた。そこにバーンズ先生の厳しい言葉も、直美の助言も効いていたのだと思う。
家族一人を救えなかった経験が、もっと多くの人を救う力に変わるかもしれない。そこに希望を見たからこそ、りんは「これ以上向いている仕事はないかもしれません」と言えたのだろう。
生徒たちは、かなりいい仲間になってきている
今回かなりよかったのは、落ち込むりんに皆が自然に食べ物を分ける場面だった。ここは本当に温かかったし、養成所の空気がかなり変わってきたのを感じた。特にトメのやさしさはやはり大きいし、直美がそれを笑いに変えるのもよかった。最初はぎくしゃくしていた集団が、少しずつ「支え合う集団」になってきているのが見えて、そこは素直に気持ちがよかった。
第28回は、看護の思想に真正面から触れた回だった
今回の話は、単に訓練が進んだとか、仲間との絆が深まったというだけではなかったと思う。看護とは何か、看護婦は誰をどう守るのか、感情と合理性をどう両立させるのか。かなり大きなテーマに踏み込んだ回だった。
だから見ていて簡単ではなかったし、すべてを気持ちよく受け入れられる回でもなかった。でも、こういう難しさが出てきたことで、養成所編が本当に「看護を学ぶ話」になってきた感じはあった。
まとめ
2026年5月6日放送の『風、薫る』第28回は、りんがバーンズ先生の厳しい教えの中から、看護婦として自分を守ることの意味にようやく触れた回だった。家族を思う気持ちと、職業として多くの人を救う責任。その間にある難しさがかなり真正面から描かれていたと思う。
生徒たちが少しずつ団結してきているのは気持ちよかったが、バーンズ先生の思想や指導法はやはり簡単には飲み込めない。だからこそ今回は、感動というより、かなり考えさせられる回だったように思う。
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