朝ドラ『風、薫る』第32回感想・ネタバレ|病院の壁は厚い。でも、りんと直美が「バディ」になっていく空気はかなり良かった

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2026年5月12日放送の『風、薫る』第32回は、帝都医科大学附属病院という現場の壁の厚さをあらためて感じさせる回だった。りん(見上愛)たちは養成所で学んだ看護を実践しようとするが、医師たちにも看病婦たちにも簡単には受け入れられない。むしろ「下女風情が」「思いあがるな」と露骨に跳ね返される。現場を変えることの難しさがかなり前面に出ていた。

その一方で、今回はりんと直美(上坂樹里)の関係がかなり良かった。以前ならぶつかり合って終わっていたような場面で、今は互いの言葉を受け止めて笑い合える。病院の空気は厳しいのに、この二人の間には少しずつ信頼ができてきている。その対比が印象に残る回だったと思う。

前回の感想記事はこちら

朝ドラ『風、薫る』第31回感想・ネタバレ|看護婦養成所で学んだことが、帝都医科大学附属病院では非常識扱いされる皮肉
2026年5月11日放送の『風、薫る』第31回は、りん(見上愛)たちがついに帝都医科大学附属病院で看護婦見習として働き始める回だった。ここまで養成所でシーツ交換や掃除、換気ばかり見せられてきた時は、正直「いつ本当に看護の話が進むのか」と思う...

第32回のポイント

  • バーンズ先生(エマ・ハワード)は病室に机を持ち込み、病院の空気をものともせず看護の場を作る。
  • りんは園部(野添義弘)の病状を気にかけるが、今井益男(古川雄大)たち医師には取り合ってもらえない。
  • 直美は丸山(若林時英)に丁寧な処置を施し、現場のやり方との違いを見せる。
  • りんと直美の間には、かなり良い「バディ感」が出てきている。
  • ラストでは園部が突然苦しみ出し、不穏な展開で終わる。

個人的に印象に残ったこと

今回まず印象に残ったのは、バーンズ先生が病室に机を持ち込み、藤田邦夫(坂口涼太郎)に注意されても「Be quiet!」と一喝する場面だった。かなり強い。帝都医科大学附属病院という日本有数の病院の中でも、バーンズ先生はまったく怯まない。ここは単純に格好よかったし、現場の空気に飲まれない強さがあった。

その後、落ち込んでいるりんに直美が近寄ってきて、りんが「Be quiet!」の練習をしているのも面白かった。そこを訓練するのか、と直美が笑うのもよかった。この場面、二人の空気がかなり自然になってきていてよかった。前なら皮肉やぶつかり合いになりそうなところが、今はちゃんと笑いになる。ここにかなり関係の変化が出ていたと思う。

外科教授の総回診の場面はかなり嫌な空気だった。今井益男(古川雄大)が病室に入り、助教授や助手たちもぞろぞろ付いてくる。りんは園部の病状が気になっているから診てほしいと頼むが、今井は応じない。藤田は「看病婦が医者に指図するつもりか」と怒り、黒川勝治(平埜生成)も、問題があれば主治医の今井教授が指示を出すと突き放す。ここはかなり露骨だった。

ただ、この医師たちの態度も、感じは悪いけれど、全く理解できないわけではないのが難しいところだと思う。自分たちの職場に、見習いの女学生たちが急に入ってきて、今までのやり方に口を出し始めたら、簡単には受け入れられないのも分かる。特に藤田が言っていた「思いあがるな。医者は君以上に研鑽を積んでいる」という言葉には、プライドもあるが事実も含まれている。だからこそ、この壁は簡単には崩れないのだろうと思った。

丸山が、医師たちはたいして診てもくれなかった、どうせ学用患者だから馬鹿にしているのだろうと言う場面も印象的だった。学用患者という言葉自体かなり重いし、研究や教育のために無料で診てもらう代わりに、患者としての扱いが軽くなるような空気があるのだとしたら、かなり嫌な構図だと思う。そんな丸山に対しても、直美が患部を水で拭いて清潔にしてから薬を塗るのはよかった。今までそんなことをされたことがなかったと言われることで、彼女の看護が現場ではまだ珍しいものだと分かる。

一方、りんが柴田万作(飯尾和樹)を患者と勘違いしてしまうのはりんらしかったが、その後の柴田がかなりよかった。病院の小使いで、草むしりも小物直しもする何でも屋。落ち込んでいるりんに、あっちに泣くのにちょうどいい木があるとさりげなく教える。帝都医科大学附属病院の中は敵ばかりに見えるが、こういう人が一人いるだけで空気が変わる。かなり救いになる存在だった。

その木のところでバーンズ先生が現れ、りんが教授にも患者にもきついことを言われたと打ち明け、「患者第一ならもう話しかけないほうがいいのではないか」と問いかける場面もよかった。そこでバーンズ先生が「りんはいい患者に出会いました」と言うのはかなり独特だった。弱音を吐かない、学びがいがある患者だと思うべきだという考え方なのだろうが、ここはやはりバーンズ先生らしい。りんにとっては厳しいが、前向きに捉え直す視点を与えているのだと思う。

寮でのりんと直美のやり取りも今回かなりよかった。バーンズ先生の言うことはごもっともだけど、納得はできないりんに対して、直美が「分かった? 腹が立つの。正しいこと、正しく言われると」と以前のことを思い出させる。ここでりんが少し黙り、直美が「ごめん」と謝るのもいいし、そのあとりんが「腹が立った。正しいこと、正しく言われて」と言って二人で笑うのもすごくよかった。前なら対立で終わった話が、今は共有された経験になっている。この二人、かなりいい空気になってきたと思う。

りんが、園部は手術後でも自分で歩いて用を足しに行く、誇り高い人なのだろうと考えるのもよかった。娘ほどの年の自分にいろいろ言われるのは腹が立つだろうと理解しようとしている。りんは相手をすぐ理解できるわけではないが、理解しようとし続ける人なのだと思う。

シマケン(佐野晶哉)と槇村太一(林裕太)の場面も少し入っていた。シマケンは小説を書いているがうまくいっていない。まだ見せたくないと隠すところに、彼なりの不安や未完成さが出ていたと思う。ここは今後につながる布石なのだろう。

そして、直美が藤田に対して薬の回数を増やすよう提案し、「教授も入院期間が延びると困るとおっしゃっていて…」と言うところはかなり引っかかった。もしこれが本当なら問題ないが、そうでなければかなり危うい。やはり直美は、目的のためならその場を通すための言い方をしてしまう人に見える。以前より良くなっているとはいえ、ここはまだ息を吐くように嘘をついているようにも見えて、少し不安が残った。

そして最後に、りんが園部へ一方的に話しかけ続けている中で、園部が突然苦しみ出す。ここで終わるのはかなり不穏だった。りんの観察は間違っていなかったのかもしれないし、だからこそ次回、医師たちの見方も少し変わるのかもしれない。かなり続きが気になる終わり方だった。

帝都医科大学附属病院の医師たちは感じが悪いが、壁としてはかなり自然だ

今井、藤田、黒川の外科の医師たちは、かなり感じが悪い。でも、それが単なる悪役として描かれているというより、今までの医療の常識を背負っている人たちとして出てきている感じがする。看護婦見習たちが新しいことを言えば言うほど、自分たちの積み重ねを否定されたように見えるのだろう。

だから簡単に認めないのも分かるし、この人たちがどう変わるかが今後の見どころだと思う。

柴田万作の存在がかなり効いている

今回かなり好きだったのは柴田万作だった。病院の中で、唯一といっていいくらい自然にりんにやさしくしてくれる。何か大きなことをするわけではないが、「あそこに泣ける木がある」と教えるだけで十分救いになる。こういう人物がいると、実習編の空気が少しやわらぐ。

帝都医科大学附属病院の中にも敵ばかりではないということを感じさせてくれる存在として、かなり大事だと思った。

りんと直美は、本当に良いバディになっていきそうだ

今回の寮でのやり取りを見ていて、この二人はかなり良いバディになっていくのだろうなと思った。りんはまっすぐで、直美はひねくれている。でも、互いの弱さも嫌なところも一度ちゃんとぶつかったうえで、今はそれを笑いに変えられる。

だから、今後現場で大きな壁に当たっても、この二人なら支え合えるかもしれない。そう思わせる空気が今回はかなりよかった。

実習編は、ようやく「看護」と「現場の現実」がぶつかる話になってきた

第31回から実習に入って、今回でその面白さがさらに出てきたと思う。養成所で学んだ看護が、現場では通用しないどころか反発される。その中でどう患者に向き合い、どう現場を変えていくのか。ここがようやく物語の本筋らしくなってきた。

直美の嘘っぽい言い回しの不安など、引っかかる部分もあるが、それも含めて現場でどう成長していくかが見どころなのだろうと思う。

まとめ

2026年5月12日放送の『風、薫る』第32回は、帝都医科大学附属病院という現場の壁の厚さを感じさせる一方で、りんと直美の関係がかなり良い方向へ進んでいるのが見えた回だった。医師たちや看病婦たちは簡単には変わらないし、見習たちの理想だけでは現場は動かない。でも、その中で患者の変化を見逃さず、向き合おうとするりんたちの姿には確かな前進があった。

最後に園部が苦しみ出したことで、次回は看護婦見習たちの観察や判断が本当に問われる展開になりそうだ。実習編がかなり面白くなってきたと感じる回だった。

『風、薫る』感想まとめはこちら

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