朝ドラ『風、薫る』第33回感想・ネタバレ|りんは報われたかったのか。バーンズ先生の問いは厳しいが、簡単には飲み込めない

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2026年5月13日放送の『風、薫る』第33回は、りん(見上愛)が園部(野添義弘)との関わりの中で「看護とは何か」を改めて突きつけられる回だった。手術は成功し、患者は回復へ向かう。それだけ見れば良い話のはずなのに、りんの中にはどうしても割り切れない悔しさが残る。そして、その感情に対してバーンズ先生(エマ・ハワード)はかなり厳しく切り込んでくる。

今回はそこがかなり印象に残った。バーンズ先生の言葉は理屈としては分かる部分もある。でも、だからといって素直に飲み込めるわけではない。感謝されたい、分かってほしい、報われたい。そういう感情を「欲深い」と切り捨ててしまっていいのか。今回はその引っかかりがかなり強く残る回だったと思う。

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第33回のポイント

  • 園部の再手術は成功するが、りんは担当を外されたまま終わる。
  • 生徒たちは、看護婦として医者・看病婦・患者の全員に認められなければならない現実を意識し始める。
  • バーンズ先生は、りんの悔しさの中に「感謝されたい欲」があると見抜く。
  • 直美(上坂樹里)は実習の意味を誰よりも強く捉え始めている。
  • 一方でシマケン(佐野晶哉)の小説パートも入り、物語は少し別の線も見せる。

個人的に印象に残ったこと

今回まず印象に残ったのは、園部の再手術が始まる場面だった。現代の手術と比べればかなり違うのだろうが、とにかく手術は成功する。ここだけ見ればほっとする流れだが、その後に続く空気は決してすっきりしない。ゆき(中井友望)とトメ(原嶋凛)が、園部の病状が悪かったのはりんの言う通りだったのに、りんが担当を外されたことに納得していないのも当然だと思った。

それに対してフユ(猫背椿)が、患者本人が嫌がっているからだと説明し、さらに詰所の「患者第一」という貼り紙を指さして皮肉るのも、かなり嫌な感じではあるが、ある意味で現場の現実を突いていた。患者第一を掲げるなら、患者本人が嫌がる看護はできない。りんが正しかったかどうかとは別に、そこにはまた別の壁があるのだと見せていたと思う。

直美が今日も丸山(若林時英)の患部を拭いて清潔を保っているのもよかった。ここはもう直美の看護として定着してきた感じがあるし、継続してやっているからこそ信頼にもつながっているのだろうと思う。

喜代(菊池亜希子)が赤ちゃんの抱き方に苦労して、看病婦に「役に立たない見習いだね!」と捨て台詞を吐かれる場面もきつかった。実習編に入ってからずっとそうだが、病院という現場は本当に見習たちに優しくない。ただ、そのきつさの中でも生徒たちが折れずにやっているのはやはり大きい。

園部が退院することになり、りんが急いで駆けつける流れも印象的だった。りんは、もっと上手に話ができていたら退院も早かったかもしれないと謝る。でも園部は最後まできちんとした会話をしないまま去っていく。ここはかなりもやもやした。たしかに園部は、昔ながらの頑固で不器用な人なのだろうと思う。本当はりんに何かしら感じていたのかもしれない。でも、それならそれで、少しでも言葉にしてくれればいいのにと思わずにはいられなかった。

寮に戻ってから、生徒たちが「医者、看病婦、患者……この実習でその全てに看護婦の仕事を認めてもらわないといけない」と話す場面はよかった。多江(生田絵梨花)の言葉としてかなり整理されていたし、そこへトメが「そんなことできるのか」と不安を見せるのも自然だった。その中で直美が「やるしかないでしょ。できなかったら後輩たちは実習できないし、病院に看護婦はいないまま」と言い切るのはかなり大きかったと思う。

以前の直美なら、自分の生き残りや自分の居場所のことが最優先だったはずだ。でも今は、自分たちの先に後輩がいて、病院に看護婦が定着するかどうかも自分たち次第だと考えられている。かなり成長しているし、今いちばん他者のことを考えられるようになっているのは、直美かもしれないと思った。

そして今回の中心はやはり、りんとバーンズ先生のやり取りだった。りんは自分の力不足で最後まで看病できなかったことを謝り、悔しがる。そこでバーンズ先生が「何が悔しいのですか?」と問い返し、患者は無事に退院したのに何が不満なのか、感謝されたかったのかと見抜く。そして「ごうつくばりですね」「看護は見返りを求めてするものではない」「感謝されて気持ちよくなりたいのはあなたの身勝手な欲だ」と言い切る。

ここはかなり強かった。理屈としては分かる。患者が回復することが第一であって、看護する側が感謝を求めるのは違う、というのはその通りなのだろう。でも、それをそのまま「欲深い」と断じられると、やはりかなり冷たいとも感じる。感謝されたいと思うこと自体は、そんなに不自然な感情ではないはずだ。むしろ人間なら当然湧くものだと思う。それを全部捨てろと言われているように聞こえるから、どうしても引っかかってしまう。

その後、直美がりんのところへ来て、丸山から園部がこっそり自分で花瓶の水を換えていたらしいと聞いたと教えるのもよかった。園部は無愛想で何も言わなかったが、りんのしていたことをちゃんと見ていたのかもしれない。そこを言葉で返すことはしなかったが、自分なりに受け取っていたのだろうと思わせる描写だった。

紙でとんびを作って飛ばすりんと、別の場所で同じように紙のとんびを飛ばしているシマケンの場面も印象的ではあった。ただ正直、今の時点ではこのシマケンと槇村(林裕太)のパートが、看護婦たちの話にどうつながるのかはまだよく見えない。シマケンが落ち込み、槇村が連載がどうのこうのと盛り上がり、一人取り残される感じも分からなくはないが、現時点では看護婦見習たちの奮闘の方が見たいので、少しどうでもよく感じてしまうのも正直なところだった。

バーンズ先生の思想は筋が通っているが、やはり共感はしにくい

今回のバーンズ先生の言葉は、理屈としては筋が通っている。看護は見返りを求めるものではなく、患者の回復がすべてである。そこに看護する側の承認欲求が入り込んではいけない、ということなのだろう。でも、それをそのまま人間の感情から切り離してしまうと、かなり機械的で冷たい思想にも見える。

感謝されたいと思うことは、そんなに醜い欲だろうか。そこまで排除しなければ平等な看護はできないのか。今回のバーンズ先生を見ていると、感情を削ぎ落とし、合理性だけで患者に向き合えと言われているようにも感じてしまった。そこはやはり簡単には共感できない。

直美は今かなりいい方向に成長している

今回すごくよかったのは直美だった。丸山への対応もそうだし、寮での発言もそうだし、りんへの接し方もそうだった。以前の直美なら、りんの落ち込みに寄り添いながらも、実習全体の意味まで見渡すようなことはできなかったかもしれない。今はちゃんと、自分たちだけでなく後輩や病院全体の未来まで視野に入っている。

だから今回、「今いちばん成長しているのは直美かもしれない」という感想にたどり着く。

園部は感謝していたのかもしれないが、そこを言葉にしないのはやはりもどかしい

園部の不器用さは分かる。娘ほどの年のりんにあれこれ言われるのが腹立たしいのも分かるし、頑固な人なのだろうとも思う。でも、それでも最後まで何も言わないのはかなりもどかしかった。花瓶の水を換えていたという描写で気持ちをにおわせるやり方は悪くないが、りんがこれだけ真正面から向き合っていたのだから、ほんの一言でも返してくれてよかったのではと思ってしまう。

シマケンのパートは、今のところまだ浮いて見える

今回もシマケンと槇村の場面が挟まったが、現時点ではまだ看護婦見習たちの話との接続が見えにくい。もちろん今後つながる可能性はあるし、何者でもない人、頑張れない人の側を描きたいのかもしれない。でも、今のところは看護婦見習たちの成長や実習の方が圧倒的に興味深いので、そちらの密度をもう少し見たい気持ちの方が強い。

まとめ

2026年5月13日放送の『風、薫る』第33回は、実習の中でりんが報われなさや悔しさを抱え、その感情に対してバーンズ先生が容赦なく切り込む回だった。看護は見返りを求めるものではないという理屈は分かるが、それを感謝されたいという自然な感情まで否定する形で言われると、やはり簡単には飲み込めない。

その一方で、直美の成長や、りんと直美のバディ感はかなり良かった。看護婦見習たちが頑張っているのは確かに伝わってくるし、病院の中で少しずつ立場を作っていく話としては面白くなっている。だからこそ、シマケンの線が今後どうつながるのかも含めて、もう少し整理されるとさらに見やすくなりそうだと思う回だった。

『風、薫る』感想まとめはこちら

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