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2026年5月11日放送の『風、薫る』第31回は、りん(見上愛)たちがついに帝都医科大学附属病院で看護婦見習として働き始める回だった。ここまで養成所でシーツ交換や掃除、換気ばかり見せられてきた時は、正直「いつ本当に看護の話が進むのか」と思うことも多かった。でも今回、その養成所で叩き込まれた「清潔」の感覚が、日本有数の病院ではまったく共有されていないと分かったことで、ようやくこれまでの積み重ねの意味が見えた気がした。
ただ、それは同時にかなり皮肉でもあった。最先端であるはずの大病院の方が、衛生観念や看護の基本ではむしろ遅れている。りんたちが「こんなこと当たり前では」と思っていることが、現場では余計なこと、頼まれてもいない仕事扱いされる。このギャップこそが、今まさに新しい看護が古い現場に入っていく話なのだと実感できる回だった。
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第31回のポイント
- りんたちは帝都医科大学附属病院へ看護婦見習として入る。
- バーンズ先生(エマ・ハワード)は、実習の成否が看護婦の未来を左右すると厳しく伝える。
- 病院ではシーツ交換や換気すら十分に行われておらず、生徒たちは驚く。
- 生徒たちは自分たちで貼り紙や看護日記を作り、現場を変えようと動き始める。
個人的に印象に残ったこと
今回まず印象に残ったのは、りんたちが帝都医科大学附属病院に着いた時点で、バーンズ先生が「あなたたちの働き次第で来年以降の看護実習の存続、この国での看護婦の先行きが決まる」と言うところだった。つまり、ただ自分たちの実習がうまくいくかどうかではなく、ここで失敗すれば看護婦という仕組みそのものが後退しかねないということだ。かなり重い責任を背負わされているのだと思った。
院長の多田重太郎(筒井道隆)と副院長の渡辺行成(森田甘路)との対面も印象的だった。多田は歓迎の言葉を述べるものの、どこまで本心なのかはまだ見えない。一方の渡辺はかなり分かりやすく、英語は読めても話せないことにプライドを刺激されている感じがあったし、女学生がいると華やぐなどと言ってしまうあたり、今の感覚で見ればかなり危うい。令和なら一発で問題になりそうな発言を平然とするところに、当時の空気も感じるし、この先生徒たちにはかなり辛く当たりそうだとも思った。
それに対してバーンズ先生が、日本語があまりできないふりをしつつ、片言で「医者の手伝いではなく看護婦だ」と返すのも面白かった。部屋を出てから直美(上坂樹里)に「どうして?」と聞かれて、「日本語があまり堪能でない方が何かと便利そうなので」と本音を漏らすのも、バーンズ先生のしたたかさが出ていた。相手に余計な本音を見せず、観察しやすい位置を確保しているのだろう。かなりの役者だと思う。
病院内を案内される場面では、生徒たちがしわくちゃのシーツや換気されていない病室に驚くのがよかった。ここでようやく、養成所で口酸っぱく教えられてきたシーツ交換や掃除、換気の意味がくっきりした。あの時は見ている側も「また掃除か」と思わされることがあったが、実際の病院がここまで杜撰だと分かると、養成所の方がむしろ看護の最先端だったのだと思わされる。日本有数の病院よりも、看護婦養成所の方が清潔の概念で進んでいるというのは、かなり皮肉が効いていた。
看病婦の詰所で、それぞれ患者につくことになる流れもよかった。りんはヨシ(明星真由美)から園部(野添義弘)を任され、直美はフユ(猫背椿)から丸山(若林時英)の背中に薬を塗るように指示される。ここで直美が、薬は一日何回塗るのか、シーツ交換や掃除はどうするのかをすぐ尋ねるのは、養成所での学びがちゃんと身についている証拠だと思った。ところがフユは、シーツは退院の時に替える、掃除したければ好きなだけどうぞと言う。ここで一気に現場との感覚の差が浮き彫りになる。
丸山が、患部を水で拭いてから薬を塗られるのは初めてだと驚くのもよかった。それだけ今までの看病婦たちのやり方が、患者を清潔にするという発想から遠かったのだろうと思う。
りんの方でも、園部に傷口の痛みを尋ねても明確な返事がもらえない。ここも重要だったと思う。相手が話してくれない時にどう「看る」か、養成所での observe の延長線にある話になっているからだ。しのぶ(木越明)が医者に資料整理を命じられる場面も含めて、病院側が看護婦見習をかなり便利使いする気でいるのも見えてきた。
寮に戻って夕食の席で愚痴をこぼす生徒たちに対し、バーンズ先生が「一緒に働く看病婦の愚痴をいうだけなのか」「あれがあなたたちにできる精いっぱいの看護なのか」と問い返すのもよかった。バーンズ先生はやはり、ただ現場に放り込んで終わりではなく、その日の観察をもとに次の課題を投げ返してくる人なのだと思う。
その翌日に、生徒たちが自分たちで貼り紙を作り、患者の状態を記録するための看護日記まで用意してくるのはかなりよかった。ここは、ただ不満を言うだけでなく、自分たちで現場を変えようとする姿勢が出ていてよかったと思う。多江(生田絵梨花)が「患者さんの体調の変化が誰にでも分かるようにするためだ」ときちんと説明するのもよかったし、フユが「頼んでもないのに仕事増やして」と迷惑がるのもリアルだった。新しい仕組みを入れようとすると、現場の人からすれば余計な負担でしかない。ここはかなり現実的だった。
おはようございます。
今週から帝都医科大学附属病院での実習が始まります。
新たなキャラクターも登場!
ぜひもう一度相関図をチェックしてくださいね。👇人物の詳細は公式HPでhttps://t.co/X6B5IrImHp#見上愛 #上坂樹里 pic.twitter.com/WOskwn4RsY
— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) May 10, 2026
養成所の方が病院より進んでいる、という構図がかなり効いていた
今回いちばん面白かったのはここだった。普通なら大学附属病院の方が最先端で、養成所はそこに追いつこうとする側に見える。でも実際には逆で、清潔や看護記録の考え方では養成所の方が進んでいる。りんたちが最先端の看護を学んでいたのだと、ここで初めて実感できた気がした。
そう考えると、今まで散々見せられてきたシーツ交換や掃除も、ようやく意味を持った。視聴者としても「やっとここにつながるのか」と思えた回だった。
バーンズ先生のしたたかさは、この現場ではむしろ武器なのかもしれない
日本語を話せるのに黙っていたり、片言のふりをしたり、かなり役者っぷりがすごい先生だと思う。でも今回の病院側とのやり取りを見ると、あのくらいのしたたかさがないと、この現場では看護婦という新しい仕組みを押し込めないのかもしれないとも思った。
ただ厳しいだけでなく、相手を観察しながら立ち回る知恵もある。バーンズ先生のそういう面が今回はかなり前向きに働いていたように見えた。
渡辺の態度は、これからの壁をかなり象徴している
今回の渡辺は分かりやすい壁だった。英語へのコンプレックス、女学生を軽く見る感じ、看護婦を医者の手伝い程度にしか思っていない感じ。この人がいる限り、りんたちはかなり現場で苦労しそうだと思った。
でも逆に言えば、こういう相手を納得させていかないと、看護婦という職業は社会に定着していかないのだろう。今後の大きな障害役としてかなり機能しそうだ。
ようやく「トレインドナースの話」が前に出てきた
今回はかなりしっかり「看護の近代化」の話になっていた。病院の衛生観念、看護記録の導入、看病婦と看護婦の違い。このあたりが前に出たことで、ようやくこのドラマの本筋が見えやすくなってきたと思う。
もちろんまだ実際の看護そのものはこれからだが、少なくとも「休日の外出の話ばかり」という感じは少し薄まってきた。ここから実習編がどう進むのかはかなり楽しみだ。
まとめ
2026年5月11日放送の『風、薫る』第31回は、帝都医科大学附属病院という現場に出たことで、養成所で学んできたことの意味がようやくはっきり見えた回だった。しわだらけのシーツ、換気されない病室、退院まで替えない寝具。そんな現場を見ることで、りんたちが学んできた「清潔」が、実はかなり先進的な看護だったのだと分かる。
同時に、看護婦見習たちが自分たちで記録や仕組みを持ち込もうとする姿には、ようやく物語が本格的に前へ進み始めた感じがあった。第31回は、トレインドナースの物語としてかなり見応えのある立ち上がりだったと思う。
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