朝ドラ『風、薫る』第108回感想・ネタバレ|吾郎、出征へ。ふたりで名付けた「明」と、ひとりではない出産

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2026年8月26日放送の『風、薫る』第108回は、ついに小川吾郎(甲斐翔真)に出征の命が下る回だった。

直美(上坂樹里)は、吾郎と一緒に子どもの名前を考える。

生まれてくる子の名前は「明」。

明治の「明」。

明るいと書いて、あきら。

母親を知らず、名前も付けられずに生きてきた直美が、自分の子に名前を付ける。

それは、とても大きな出来事だった。

しかし、その幸せな時間の直後、吾郎は戦地へ向かうことになる。

直美は一人で産むことになるのかと不安をぶつけるが、美津(水野美紀)も、りん(見上愛)も、環(山田詩子)も、直美を決して一人にはしない。

かつて孤独だった直美のまわりに、今は確かな家族がいる。

その温かさと、吾郎が戦地へ向かう不安が、強く重なった回だった。

前回の記事はこちらです。

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第108回のポイント

  • 直美は、美津に教わりながらおむつを縫う。
  • 直美は、母親がみんなお腹の中で子どもを育てていることに気づき、まだ顔も見ていないのにかわいいと思えるのが不思議だと話す。
  • 直美は、文(内田慈)もそうだったのかと気にする。
  • 平蔵(太田光)の家で、直美はしばらく来られなくなることを伝える。
  • 平蔵は、直美の妊娠を知り、無理するなと言う。
  • 夜、直美は吾郎に、何とか戦場へ行かなくていい方法はないのかと尋ねる。
  • 吾郎は、軍人だから戦える、お国のため、直美と子どものために戦えると答える。
  • 直美は、吾郎が一人にしないと約束したから結婚したこと、吾郎となら母親になれると思ったことを打ち明ける。
  • 吾郎は、名前を一緒に考えようと提案する。
  • 直美は、帰ってこなかったら許さない、手柄も出世もいらない、早く戻ってごはんを作ってほしいと本音をぶつける。
  • 直美と吾郎は、生まれてくる子の名前を「明」と決める。
  • 明治28年3月、吾郎に出征の命が下る。
  • 吾郎は、戦地へ行っている間、直美を一ノ瀬家に住まわせてほしいと頼む。
  • 美津、りん、環は、吾郎の留守中、直美を預かることを受け入れる。
  • 直美は、戦地で絶対に取れないように、吾郎の軍服のボタンをしっかり縫い付ける。
  • 朝、吾郎は「行ってくる」と告げ、直美は「ご無事のお帰り、お待ちしております」と送り出す。
  • 直美は、敬礼して去っていく吾郎を、見えなくなるまで見送る。

個人的に印象に残ったこと

今回は、直美がおむつを縫う場面から始まった。

美津に「いいわね」と褒められる直美。

美津は、直美のお腹に向かって、あなたのお母さんは頑張っていると話しかける。

直美も、お母さん裁縫苦手なんだからね、とお腹の子に話しかける。

直美が母になる。

それが、だんだん現実のものになってきている。

直美は、母親がみんなこうやってお腹の中で子どもを育てていることに気づく。

まだ顔も見ていないのに、かわいいと思えるのが不思議だと言う。

美津も、遠い昔にそんな経験をしたことを話す。

直美は、文もそうだったのかを気にする。

ここは、直美らしい。

自分を捨てた母である文も、自分をお腹に宿していた時、かわいいと思ったのだろうか。

まだ顔を見てもいないのに、愛おしいと思ったのだろうか。

直美は、自分が母になることで、文の気持ちにも少し近づこうとしているのかもしれない。

直美は、もし一人で産むことになったら、それも文と一緒だなと言う。

美津は、吾郎は立派な勤めをしていると答える。

直美は、そうですよねと納得する。

直美は、軍人の妻として吾郎の勤めを理解しなければならない。

でも、母になる不安を一人で抱えることも怖い。

その両方がある。

平蔵の家では、直美が看護をしている。

平蔵は相変わらず酒を飲んでいる。

直美は、しばらく来られなくなると伝える。

平蔵は、タダの患者ばかり看ていたら潰れてしまうからなと誤解する。

直美は、子どもができたから来られなくなることを伝える。

平蔵は、だったらもういいよ、無理するなと言う。

平蔵は相変わらず口は悪い。

でも、直美を気にかけている。

産まれるのは春頃だから、それまであと1、2回は来られるという直美に、平蔵は旦那はもう行ったのかと気にする。

直美は「いえ」と答える。

平蔵は、戊辰戦争を生き残った人である。

戦地へ行くということの重さを知っている。

だから、直美の妊娠も、吾郎の出征も、ただの世間話としては聞けないのだと思う。

夜。

直美は、吾郎の軍服のボタンがこの頃なぜ取れないのかを気にしている。

吾郎は、なんでだろうと言う。

直美は、自分がボタン付けが上手くなったのではないかと考える。

このボタン付けは、今回ずっと大事なものとして描かれていた。

最初は不器用な直美が、吾郎の軍服のボタンを付けている。

それは夫婦の日常でもある。

そして、戦地へ向かう吾郎を守りたいという直美の願いにもなる。

吾郎は、直美に子どもの名前のことを切り出す。

しかし直美は、それはまだいいじゃない、じっくり考えようとはぐらかし、ご飯の支度に逃げる。

これまで、直美が名前の話を先延ばしにしていた理由は、自分が名前も付けられずに捨てられたから、名付けるのが怖いのだと思っていた。

それもあるのかもしれない。

でも今回を見ると、もう一つ理由があったのだと思う。

名前の話を急ぐということは、吾郎の出征が近づいているということでもある。

吾郎は言う。

「準備しておいたほうがよさそうなんだ。行ったら、いつ帰れるか……。」

直美は、何とか戦場に行かなくていい方法はないのかと確認する。

吾郎は、そんなことはできないし、するつもりもないと答える。

直美は分かっている。

でも、それでも聞かずにはいられない。

吾郎がそんなに優しくて戦えるのか。

怖くないのか。

そう問う。

吾郎は、軍人だから戦える、お国のために、直美とその子のために戦えると答える。

この言葉は、吾郎の覚悟である。

でも、直美にとってはつらい。

直美は言う。

「一人でこの子を産むの?」

吾郎は、すまないとひと言謝る。

直美は、吾郎が一人にしないと約束したから結婚したことを打ち明ける。

吾郎とだったら自分でも母親になれると思った。

吾郎ならいい父親になれる。

吾郎と一緒に、と思っていた。

直美は涙を流す。

これが、直美の本音だった。

軍人の妻としては、言ってはいけないこともたくさん言っているのかもしれない。

戦地へ行かないでほしい。

お国のためなんてどうでもいい。

手柄も出世もいらない。

でも、それが直美の偽らざる気持ちなのだと思う。

直美は、ずっと一人で生きてきた人である。

吾郎は、そんな直美に「一人にしない」と約束した人である。

だから直美は結婚した。

吾郎となら、母になれると思った。

その吾郎が、子どもが生まれる前に戦地へ行く。

直美が取り乱すのは当然だと思う。

吾郎は直美を抱きしめる。

そして言う。

「名前……一緒に考えよう。」

直美は、帰ってこなかったら許さないから、すっごく怒るからと言う。

吾郎は「ええ〜」と笑う。

直美は、手柄なんて一つもいらないから、早く戻ってきてごはんを作ってと言う。

出世もしなくていい。

私が働く。

これは、直美の大きな変化でもある。

かつての直美は、鹿鳴館に潜り込み、裕福な男を捕まえて結婚し、それで人生を上がろうとしていた。

偽物の軍人である寛太に騙され、その夢は散った。

しかし今、直美は本物の軍人である吾郎に対して、出世しなくていい、自分が働くと言っている。

かつて夢見ていたことと、真逆のことを言っている。

直美はもう、誰かに何とかしてもらおうとしている人ではない。

看護を学び、看護婦という地位を得て、自分の力で稼ぐ力も身に付けた。

自立した一人の女性である。

その直美を支え続けたのは、間違いなく吾郎だったのだろう。

吾郎は、直美のお腹に向かって言う。

「お〜い、お前のお母さん、頼りになるな。」

直美は答える。

「そうよ、頼りになるんだから。」

吾郎は続ける。

「強くて、ピリッとして、明るくて……。」

その言葉で、吾郎は何かに気づく。

帳面を取り出し、「明」と書く。

男でも女でも、明治の「明」。

明るいと書いて、あきら。

吾郎はそう言う。

明るいことはいいこと。

「明るい」が付くと楽しくなる。

二人はいろいろな言葉の前に「明るい」を付けて笑い合う。

「明るい未来」

吾郎は、明と三人で、どんな時も明るく暮らしていきたいと言う。

その言葉に、直美の目から涙がこぼれる。

直美は言う。

「私、子供に名前つけられたって。」

そしてお腹に向かって、

「明〜。」

と呼びかける。

ここは本当に良かった。

直美が子どもに名前を付けた。

名前も付けられずに捨てられた直美が、自分の子どもに名前を付けた。

それは、過去をただ繰り返すのではなく、直美が新しい家族を作るということでもある。

明。

明るい未来。

吾郎と直美の願いが込められた名前だった。

明治28年3月。

直美のお腹はだいぶ大きくなっている。

帰ってきた吾郎が、直美に告げる。

「出征の命が下った。」

ついに来てしまった。

吾郎は、明に会うのは戻ってからの楽しみだと言う。

この言葉が怖い。

戻ってから。

必ず戻ってくる前提で言っている。

でも、戦争である。

戻ってこられる保証はない。

吾郎は一ノ瀬家を訪れる。

自分が戦地に行っている間、直美をまたこちらの家に住まわせていただきたいとお願いする。

美津は、もちろん構いませんよと答える。

吾郎は、一人にするのは心配だったと言う。

りんは、決して一人にはしない、吾郎が帰るまで責任持って預かると答える。

吾郎と直美は、よろしくお願いしますと頭を下げる。

美津、りん、環は、

「ご武運をお祈り申し上げます。」

と頭を下げる。

ここで美津の存在が大きかった。

美津は、直美のもう一人の母親のように見守っている。

元筆頭家老の妻らしく、軍人である吾郎の仕事も理解し、きちんと「ご武運をお祈り申し上げます」と送り出す。

そして、吾郎の留守中は当たり前のように直美を預かる。

直美は、一人で産むことを心配していた。

でも、直美は決して一人ではない。

一ノ瀬家がある。

りんがいる。

美津がいる。

環がいる。

吾郎も、そこに直美を託すことができる。

夜。

直美は、向こうで絶対に取れないようにしないと、軍服のボタンを縫い付けている。

その様子を吾郎が見つめている。

直美のボタン付けは、最初は少し不器用な夫婦の日常だった。

でも今は、吾郎が戦地で無事でいるようにという祈りのように見える。

朝。

家の表で、直美はしっかり縫い付けたボタンをもう一度確認する。

吾郎はボタンに触れ、「ありがとう」と言う。

そして、

「行ってくる。」

と直美に告げる。

直美は答える。

「行ってらっしゃいませ。ご無事のお帰り、お待ちしております。」

吾郎は敬礼し、去っていく。

直美は、吾郎の姿が見えなくなるまで、いつまでも見送る。

ついに吾郎が出征した。

直美のお腹には明がいる。

明は無事に生まれるのか。

吾郎は無事に帰ってきて、明の顔を見ることができるのか。

とても不安な別れだった。

美津は直美のもう一人の母親のようだった

今回は、美津の存在も温かかった。

直美におむつの縫い方を見守り、お腹の子に話しかける。

吾郎の留守中は、当たり前のように直美を預かる。

直美にとって、美津はもう一人の母親のような存在になっている。

直美は文から母としての時間を十分にもらえなかった。

でも、美津は今、直美を母になる娘として見守っている。

直美が一人で産むことを心配していたとしても、実際には一人ではない。

そこがとても温かかった。

直美が名前を付けることの大きさ

直美にとって、子どもに名前を付けることは特別な意味を持つ。

自分は名前も付けられずに捨てられた。

だから、名付けることが怖かったのかと思っていた。

でも今回を見ると、吾郎の出征が近づいていることを認めるのが怖かった面もあるのだと思う。

名前を急いで決める。

それは、吾郎が子どもに会えないかもしれないからである。

だから直美は先延ばしにしていた。

でも、吾郎と一緒に「明」という名前を見つけた。

明るい未来。

どんな時も明るく暮らしたい。

この願いは、戦争の時代だからこそ重い。

吾郎は絶対に帰ってこなければならない

吾郎は、本当にいい夫であり、きっといい父親になる人である。

直美が母になることを喜んでいることを、まず喜んでくれた。

名前も一緒に考えてくれた。

直美の不安を受け止めてくれた。

だからこそ、吾郎は絶対に帰ってこなければならない。

直美は、手柄も出世もいらないと言った。

早く帰ってごはんを作ってほしいと言った。

本当にその通りである。

吾郎には、明の顔を見てほしい。

直美と明と三人で、明るく暮らしてほしい。

直美はもう誰かに何とかしてもらう人ではない

直美の「出世もしなくていい、私が働く」という言葉は大きかった。

かつての直美は、裕福な男と結婚して人生を上がろうとしていた。

それは、みなしごとして生き抜くための現実的な戦略でもあった。

でも今の直美は違う。

自分が働くと言える。

吾郎を養うことすら恐れない。

看護婦として働き、自分の力で生きる力を持っている。

直美は本当に変わった。

そして、その直美を支えたのは、りんであり、美津であり、恵風看護婦会であり、吾郎だったのだと思う。

ボタン付けが祈りに変わった

今回、軍服のボタンが繰り返し描かれた。

最初は、直美の裁縫の不器用さを見せる夫婦のやり取りだった。

しかし最後には、戦地で絶対に取れないように縫い付ける祈りになった。

ボタンが取れないように。

吾郎が無事でいるように。

帰ってこられるように。

直美が何度も確認するボタンには、そんな願いが込められていたように思う。

直美は決して一人ではない

直美は、一人でこの子を産むのかと不安をぶつけた。

でも、直美は一人ではない。

吾郎は直美を一ノ瀬家に託した。

美津は受け入れた。

りんは、決して一人にはしない、責任持って預かると言った。

環もいる。

かつて孤独だった直美が、今はこれだけの人に支えられている。

それがとても温かかった。

ただ、その温かさがあるからこそ、吾郎の不在がより重くなる。

まとめ

第108回は、直美と吾郎が生まれてくる子に「明」と名付け、そして吾郎が出征していく回だった。明るい未来を願って付けられた名前だからこそ、戦争の不安が余計に重く感じられた。

直美は、吾郎が一人にしないと約束したから結婚し、吾郎となら母親になれると思っていた。その本音を泣きながらぶつける場面は、軍人の妻としては言いにくいことでも、直美の偽らざる気持ちだったと思う。

一方で、直美はもう昔の直美ではない。出世しなくていい、私が働くと言える直美は、自分の力で生きられる女性になっていた。吾郎と出会い、看護婦として生きてきた時間が、直美をここまで変えたのだと思う。

明は無事に生まれるのか。吾郎は無事に帰ってきて、明の顔を見ることができるのか。直美は決して一人ではないが、それでも吾郎には必ず帰ってきてほしい。

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