本記事にはアフィリエイト広告を利用しています。
2026年8月24日放送の『風、薫る』第106回は、直美(上坂樹里)の妊娠という幸せな出来事が描かれた回だった。
みなしごとして育ち、母の存在を知らないまま生きてきた直美。
その直美が、自分も母になる。
不安もある。
怖さもある。
でも、小川吾郎(甲斐翔真)は、直美がうれしそうでよかったと笑ってくれる。
りん(見上愛)も、美津(水野美紀)も、直美を支えてくれる。
とても温かい時間だった。
ただ、その一方で、戦争の影は確実に濃くなっている。
多江(生田絵梨花)は陸軍の病院で負傷兵の看護にあたり、看護婦への偏見にも直面していた。
幸せな時間が大きく描かれるほど、この幸せは本当に長く続くのかと心配になってしまう回でもあった。
前回の記事はこちらです。

第106回のポイント
- 日清戦争が始まって3か月が経過する。
- 小川吾郎の軍服のボタンが取れかけ、直美が縫い付ける。
- ソノ(竹田百花)は、だるそうな直美を心配する。
- りんは、直美が妊娠しているのではないかと察し、「おめでとう」と声をかける。
- 多江から恵風看護婦会に手紙が届き、新聞の切り抜きも同封されていた。
- 多江は陸軍の病院で、負傷兵の看護をしている。
- 多江は看護のために負傷兵と会話するが、松岡から「女のくせに口答えするか」と責められる。
- 新聞には、看護婦と患者の不適切な関係を匂わせる記事が載っていた。
- りんは宮川佳枝(相田翔子)の看護で、ベッド横に椅子を置き、佳枝が自分で起き上がれるよう工夫する。
- 直美はまだ吾郎に妊娠を伝えられず、母になる不安をりんに話す。
- 直美は吾郎に妊娠を伝え、吾郎は笑顔で喜ぶ。
- 吾郎は「よかった、直美がうれしそうで」と声をかける。
- 休日、吾郎は子どもの名前を考え、直美は美津にボタン付けを習っている。
- ツル(うらじぬの)が慌てて直美を呼びに来る。
- 恵風看護婦会を訪れていたのは、捨松(多部未華子)だった。
個人的に印象に残ったこと
今回は、日清戦争が始まって3か月が経過したところから始まった。
小川吾郎の軍服のボタンが取れかけている。
直美はそのボタンを縫い付けながら、どうしてこんなにすぐにボタンが取れてしまうのかを吾郎に確認する。
吾郎は、直美の付け方が不器用だからと言いたげだが、言葉を濁す。
直美が、私の付け方のせいかと確認すると、吾郎はそんなことはないと否定し、台所で鼻歌を歌いながら洗い物を片づける。
この二人の日常は相変わらず微笑ましい。
直美がボタン付けをして、吾郎が台所に立つ。
お互いに少し不器用で、でも支え合っている。
ただ、その軍服のボタンというだけで、どうしても戦争の気配がまとわりつく。
穏やかな夫婦の時間の中にも、戦争は入り込んでいる。
恵風看護婦会では、ソノが直美と仕事の打ち合わせをしている。
ソノは、つらそうな直美を心配する。
直美は、ちょっとだるいだけで寝不足かもしれないと答える。
ソノは、無理しないでくださいねと声をかける。
直美は、ソノにタケのことをよろしくねとお願いする。
ソノとタケが出ていき、直美とりんの二人だけになる。
すると、りんは直美に確認する。
妊娠しているんじゃないのか。
もしかして赤ちゃんじゃないか。
りんはすぐに「おめでとう! 小川さんもきっと喜ぶ」と声をかける。
直美は「あ、うん」と笑顔で答える。
ここは良かった。
前にしのぶ(木越明)が妊娠を「迷惑」と言った時、直美はバーンズ先生ならそう言うはずだと、妊娠を迷惑などと看護婦が口にするのは許さないと言っていた。
今回は、その直美自身が妊娠した。
りんがすぐに「おめでとう」と言ってくれたことは、直美にとっても大きかったと思う。
ただ、直美の笑顔には、まだ少し不安も見えた。
夜の小川家。
吾郎が遅くに帰ってくる。
台所に立ち、夕飯を用意しようとする直美が手を止め、吾郎に話しかける。
しかし吾郎は、これから遅くなることも増えそうだから、先に休んでいて構わないと伝える。
直美は、どうしてと気にする。
しかし、戦争しているんだもんねと自分で納得する。
吾郎が軍人であること。
戦争が始まっていること。
直美は妻として、それを受け止めなければならない。
でも、すべてを知らされるわけではない。
前回も、軍人は家族に何も話してはいけないという話があった。
直美は、吾郎が何をしているのか、これからどうなるのか、詳しく知ることができない。
その状態で妊娠している。
喜びと不安が同時にある。
恵風看護婦会には、多江から手紙が届く。
手紙には新聞の切り抜きが同封されていた。
手紙の内容には、外科病棟の勤務となったこと、戦いで負傷した兵隊が連日運び込まれてくることが記されていた。
多江は、負傷兵と会話をしながら看護している。
しかし、松岡という上官らしき人物が声を荒げる。
「軍人たるもの、治療中であろうとも天気がどうのこうのだのと、みだりに話してはならん!」
多江は言う。
「ここは病院です。会話せずに看護はできません。」
これはまさに看護婦としての主張である。
患者の状態を知るには会話が必要である。
体調だけではない。
痛み、不安、眠れているか、食べられているか。
話さなければ分からないことがある。
しかし松岡は、女のくせに口答えするかと激高する。
多江は、看護婦として意見を言っているだけだと反論する。
すると空気を察した負傷兵が、体温36度7分、食欲あり、体調に異常なしと報告する。
多江は、本当に問題はないかと確認する。
松岡は他の負傷兵に目配せする。
これはかなり嫌な場面だった。
病院なのに、患者が本当のことを言いにくい空気になっている。
軍人としての規律が、看護の妨げになっている。
そして、多江は「女のくせに」と言われる。
看護婦として現場に立っているのに、まず女として見られ、口答えするなと抑え込まれる。
多江の苦戦が見えた。
そして、多江のことをよく思わない患者が、地元の新聞社に看護婦について投書をしたらしい。
記事には、「看病で触れ合い生じる恋情」と書かれている。
看護婦と患者の不適切な関係があるとの噂が広まり、看過しえない問題として注目されているという内容だった。
これが多江のことなのかと気にするりん。
直美は腹が立つと怒る。
これは本当に腹が立つ。
看護婦が患者の体に触れる。
声をかける。
体調を聞く。
それは看護である。
しかし、それをすぐに恋情だとか不適切な関係だとかいう方向に持っていく。
看護婦という仕事がまだ正しく理解されていない。
特に戦争の場では、軍の規律や男社会の価値観が強く、看護婦が専門職として扱われにくいのだろう。
多江は、負傷兵の看護だけではなく、偏見とも戦っている。
宮川家では、りんが佳枝の看護をしている。
佳枝は、この頃、朝の指のこわばりがお昼過ぎまで続くと言う。
りんは、手足の運動は続けられているかを確認する。
佳枝は、手の運動は寝たままできるが、足の運動は起き上がる時に人を呼ばないといけないため、できていないことを伝える。
そこでりんは、ベッドの横に椅子を置く。
背もたれがベッド側になるように固定し、立ち上がる時は背もたれをつかむように指示する。
佳枝は背もたれを両手で持ち、ベッドから立ち上がる。
二人は微笑み合う。
今回も、佳枝の看護はとても良かった。
前回は、持ち手に布を巻いた匙を用意して、佳枝が自分でみそ汁を飲めるようにした。
今回は、椅子を使って自分で立ち上がれるようにした。
どちらも派手な医療行為ではない。
でも、佳枝にとっては大きい。
誰かを呼ばなくても、少し自分でできることが増える。
それは佳枝の自尊心を守ることにつながる。
りんは、佳枝の体の不自由さだけでなく、人の手を借りることへの抵抗にも寄り添っている。
恵風看護婦会では、りんが直美に佳枝の症状を報告している。
少しずつ症状が進行していて、自分ではできないことが増えていくのは分かっていてもつらいだろうなと心配する。
直美は、それでも自分で起き上がれるかどうかは大きな違いだと言う。
椅子の工夫に気づけたのはよかったよと、りんを褒める。
ご苦労様、今日は休んでと直美が伝える。
りんが帰ろうとするが、向き直る。
「小川さん、どうだった?」
直美は、何となく言い出しにくくて、まだ吾郎に妊娠を報告していないことを伝える。
吾郎は軍人だから、これから忙しくなるみたいだとも話す。
そして、文(内田慈)の髪飾りが巻きつけられた花瓶を見る。
直美は言う。
「私……お母さんになれると思う?」
この言葉は重かった。
直美は、母の存在を知らずに育った。
みなしごとして生きてきた。
あとから文が母であることは分かったが、母と子として過ごせた時間はあまりにも短かった。
「おっかさん」と呼びたかった。
抱きしめてほしかった。
謝ってほしかった。
そういう思いを抱えてきた直美が、今度は自分が母になる。
うれしい。
でも怖い。
自分は母になれるのか。
母を知らない自分が、ちゃんと母になれるのか。
直美が不安になるのは当然だと思う。
りんは答える。
きっと怖くて、褒め上手ないいお母さんになると思う。
小川さんもいいお父さんになりそう。
りんの言葉は、直美をよく見ている。
直美は怖い。
でも、褒めることもできる。
人をよく見ることができる。
きっといい母になる。
夜の小川家。
直美は吾郎に、出征の時期はいつ頃になるか、大体でも分からないかと聞いている。
吾郎は首を振り、いつでも行けるようにはと言われていることを伝える。
直美は言う。
「行く前に産みたいなって思って……。」
吾郎は「え?」と驚く。
直美はお腹に手を置く。
吾郎は笑顔で喜び、近づく。
そして言う。
「よかった、直美がうれしそうで。」
この言葉が本当に良かった。
普通なら、自分が父になる喜びを真っ先に表してもおかしくない。
でも吾郎は、まず直美がうれしそうでよかったと言う。
母に捨てられ、みなしごとして育った直美。
母になることに不安もある直美。
その直美が、自分が母になることを喜んでいる。
吾郎は、そこを一番に喜んでくれた。
自分が父になることよりも、まず妻の直美の幸せを見ている。
吾郎は本当にいい人である。
直美は、いい母親になれるか分からないから、一緒によろしくねとお願いする。
吾郎は、もちろん、大丈夫と答える。
そして、少しぐらい料理が雑でも、縫い目がガタガタでも、子どもはたくましく、と言いかける。
直美は、悪口? と返す。
二人は笑い合う。
吾郎がお腹に触ってもいいか聞くと、直美は吾郎の手を取り、自分のお腹に引き寄せる。
幸せな場面だった。
だからこそ怖い。
吾郎は出征するかもしれない。
直美は妊娠している。
幸せな時間が大きいほど、この幸せは長く続くのかと心配になる。
休日の昼下がり。
吾郎は、いくつもの名前の候補を考えている。
直美は美津にボタン付けを習っている。
美津は「直美さんがお母さんですか」と笑いを堪えている。
この場面も穏やかで良かった。
直美がお母さんになる。
美津もそれを面白がりながら、どこかうれしそうに見える。
直美は一ノ瀬家にとって、もう娘のような存在でもある。
美津にとっても、直美が母になることは感慨深いのだろう。
その時、ツルが慌ててやって来る。
直美さん、お休みなのにごめんなさい。
恵風看護婦会を訪れていたのは、捨松だった。
ここで捨松が登場した。
前回のラストでも、屋敷で咳き込む患者を看護していたのは捨松だった。
捨松がわざわざ恵風看護婦会に来たということは、何か大きな依頼か問題があるのだろう。
直美の幸せな休日は、ここで一気に現実へ戻される。
吾郎「良かった……直美がうれしそうで……」
直美は吾郎に妊娠したことを伝えました。
👇その後の二人☺️https://t.co/CyjL8pA3cq[見逃し配信中]#朝ドラ #風薫る
上坂樹里 甲斐翔真 pic.twitter.com/hc75GhYk0t— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) August 23, 2026
りんの看護は佳枝の自尊心を守っている
今回のりんの看護は、佳枝の自尊心を守る看護だった。
佳枝は、人の手を借りることに抵抗がある。
自分でできないことが増えていくことをつらく感じている。
だから、りんは代わりに全部やるのではなく、佳枝が自分でできるように工夫する。
布を巻いた匙。
ベッド横に置いた椅子。
どちらも小さな工夫である。
でも、佳枝にとっては大きな違いになる。
自分で食べられる。
自分で起き上がれる。
その小さな「できる」が、患者の尊厳を守る。
りんは、派出看護の中でかなり大事なことをしていると思う。
多江は看護だけでなく偏見とも戦っている
多江の陸軍病院の場面は、かなり厳しかった。
負傷兵を看護するだけでも大変である。
そこに、軍人としての規律、上官の圧力、「女のくせに」という見下し、さらに新聞での悪意ある記事まで加わる。
看護婦が患者と会話することまで問題視される。
看護のために触れることが、恋情だとか不適切な関係だとか言われる。
これは看護婦という仕事そのものへの偏見である。
多江は、看護の未来に貢献すると言って広島へ向かった。
その多江が直面しているのは、負傷兵の傷だけではなく、看護婦を専門職として認めない社会の空気なのだと思う。
吾郎の「直美がうれしそうで」が本当に良かった
今回、一番温かかったのは吾郎の言葉だった。
「よかった、直美がうれしそうで。」
これは本当に良かった。
吾郎は、自分が父になる喜びよりも先に、直美が母になることを喜んでいることを見てくれた。
直美がどんな生い立ちだったか。
母を知らずに育ったこと。
文と再会しても、母と子としての時間は短かったこと。
吾郎はそれを知っている。
だからこそ、直美がうれしそうであることが何よりうれしかったのだと思う。
吾郎と直美は、きっといいお父さんとお母さんになる。
だからこそ、吾郎は出征したとしても、絶対に無事に帰ってこなければならない。
幸せな時間が大きいほど不安になる
直美と吾郎の場面は、とても幸せだった。
名前を考える吾郎。
美津にボタン付けを習う直美。
お腹に手を当てる二人。
本当に穏やかで、幸せな時間だった。
でも、このドラマはすでに戦争の中に入っている。
吾郎は軍人である。
いつでも行けるようにと言われている。
直美は妊娠している。
多江は陸軍病院で苦戦している。
捨松も何か大きな問題を抱えているように見える。
幸せそうな時間が大きいほど、この幸せは長く続くのかが心配になる。
捨松の登場で次の展開が動き出しそう
ラストに捨松が恵風看護婦会を訪れた。
前回、屋敷で咳き込む患者を看護していたのも捨松だった。
その患者のことなのか。
それとも戦争に関わる別の依頼なのか。
いずれにしても、直美の妊娠という個人的な幸せと、看護婦としての仕事がまた交差しそうである。
今週後半にかけて、戦争と看護婦の物語がさらに大きく動きそうだ。
まとめ
第106回は、直美の妊娠という幸せな出来事と、戦争の中で看護婦が直面する厳しさが同時に描かれた回だった。直美と吾郎の夫婦の時間は本当に温かかった。
特に吾郎の「よかった、直美がうれしそうで」という言葉は良かった。母を知らずに育った直美が、自分が母になることを喜べている。そのことを一番に喜ぶ吾郎は、きっといい父親になると思う。
一方で、多江は陸軍の病院で、負傷兵だけでなく、看護婦への偏見とも戦っていた。患者との会話や接触を恋情に結びつける記事には腹が立つし、看護婦という仕事がまだ正しく理解されていない現実も見えた。
幸せそうな時間が大きいほど、この幸せが長く続くのか心配になる。吾郎には絶対に無事でいてほしいし、直美にも安心して母になる時間を過ごしてほしい。
『風、薫る』感想まとめはこちら
懐かしい朝ドラをもう一度見たい方はこちら → NHKオンデマンドでは見られないけどTSUTAYA DISCASで楽しめる朝ドラ5選
