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2026年8月18日放送の『風、薫る』第102回は、シマケン(佐野晶哉)にとって天国から地獄のような回だった。
前回、小説の新聞連載が決まったシマケン。
りん(見上愛)も「やりましたね、シマケンさん!」と心から喜んでいた。
しかし、兄・万太郎が借金を作って失踪したことが分かり、さらに新聞連載も広告主の関係で別の作家に差し替えられてしまう。
そして綿貫(小松和重)から突きつけられたのは、あまりにも残酷な言葉だった。
「君の文章は、純粋で美しい。が、極めて、どうしようもなく……強さがない。」
物語全体を通して、シマケンには虎太郎や横沢のような「強さ」はなかった。
でも、りんが選んだのは、その純粋で美しいシマケンだった。
ただ、小説家として世に出るために必要だったのは、その純粋さや美しさではなく「強さ」だった。
何という皮肉だろうか。
前回の記事はこちらです。

第102回のポイント
- シマケンは、りんに再来週の月曜に明光新報を見てほしいと頼む。
- りんは連載が決まったと分かり、シマケンの手を握って喜ぶ。
- 直美(上坂樹里)としのぶ(木越明)は、シマケンが小説家になれるなら結婚かと盛り上がる。
- 宮川男爵家の奥様・佳枝(相田 翔子)はロイマチスを患っており、長期的な看護が必要になる。
- りんは佳枝の手足を温め、指を一本ずつほぐす。
- 佳枝は、りんの手を心地いいと感じ、これからずっとお願いできるかと頼む。
- しのぶが妊娠4か月であることが分かる。
- しのぶは妊娠を迷惑だと謝るが、直美はバーンズ先生の言葉のように励ます。
- 一ノ瀬家では、りん、環(英茉)、美津(水野美紀)が、眠ってしまったシマケンを起こす。
- シマケンの義姉・絹が下宿を訪れ、兄・万太郎が借金を作って失踪したことを伝える。
- シマケンの小説が掲載されるはずの日、新聞には別人の名前が載っていた。
- 綿貫は、広告主の親族の作家に差し替えられたとシマケンに説明する。
- 食い下がるシマケンに、綿貫はシマケンの文章には「強さがない」と告げる。
- シマケンは「才能がないってことですね」と確認し、綿貫は頷く。
- 下宿に戻ったシマケンは、涙を流し、原稿を破る。
個人的に印象に残ったこと
今回は、シマケンがりんに「再来週の月曜に明光新報を見てください」と頼む場面から始まった。
りんはすぐに、連載が決まったのだと分かる。
そして、シマケンの手を握り、
「やりましたね、シマケンさん!」
と喜ぶ。
この場面は本当に幸せそうだった。
前回、シマケンはついに小説連載の許可を得た。
虎太郎に「努力しろ。血へど吐くまで努力しろ!」と言われ、退路を断って、ようやくつかんだ成果だった。
りんも、その成功を心から喜んでいる。
シマケンが世に出る。
そうなれば、りんとの関係もいよいよ前に進む。
少なくとも、この時点ではそう思えた。
恵風看護婦会では、直美としのぶが盛り上がっている。
新聞連載が決まって、小説家になれるのなら結婚ってことか。
それでもまだグズグズしていたら、シマケンのお尻を叩く。
直美はそう言う。
直美らしい。
シマケンは、ここまでかなりグズグズしてきた。
りんも「今はこれで十分」と言ってはいたが、周囲としては、さすがに連載が決まったなら次の段階に進んでほしいという気持ちになるのだろう。
しのぶが「私からもお話が」と切り出しかける。
しかし、ツルが戻ってきて、りんも宮川さんのところに行かないといけないと言い、しのぶの話は後回しになる。
この時点では、しのぶの話が何なのか分からない。
しかし、後で妊娠だと分かる。
宮川家で、りんは佳枝の問診をしている。
りんが今日の体調を確認すると、佳枝は「今日も昨日もよくない」と答える。
そして、
「明日もあさっても……。」
と続ける。
この言葉だけで、佳枝が抱えているつらさが伝わってくる。
一日だけ具合が悪いのではない。
今日もよくない。
昨日もよくない。
明日もあさっても、おそらくよくない。
そういう体と付き合っていかなければならない。
りんは、これから私がしっかり看護すると伝える。
しかし佳枝は言う。
「何をしていただいても、治るものではないのよ。」
りんは体温を測り、痛みやしびれの有無を確認し、体温計測後に手足を温める。
ここでナレーションにより、ロイマチスは今でいうリウマチであり、当時は治療法がなかったと説明される。
これはかなり重い。
治らない。
完治する方法がない。
でも、痛みやつらさはある。
生活は続く。
誰かの手を借りなければならない。
りんが、至らぬところがあればおっしゃってくださいと伝えると、佳枝は一生誰かの手を借りないといけないことを気にする。
佳枝は言う。
「スッキリ治ったって日は来ないの。治らなくてつらい日か……。治らないけど心地いい日のどちらか。」
この言葉は、なんとなく分かる気がした。
健康な人には理解が難しい体調と折り合いをつけながら生きていかなければならない日々。
完全に治る日は来ない。
でも、少しだけ楽な日がある。
つらい日と、心地いい日。
その間を行き来しながら生きていく。
しかも、そのたびに誰かの手を借りる。
常に迷惑をかけているような気持ちになる。
自分の体なのに、自分の思うように動かない。
それは本当にしんどいと思う。
りんは佳枝の指を一本ずつほぐす。
佳枝は言う。
「あなたの手は……とても心地いいわ。これから、ずっと、お願いできる?」
りんは「はい」と返事をする。
ここは、りんの看護がかなり自然に生きた場面だった。
治せない。
でも、心地よくすることはできる。
痛みを完全に消せなくても、少し和らげることはできる。
孤独を少し軽くすることはできる。
佳枝にとって、りんの手は、治療ではなくても救いだったのだと思う。
りんは看護日記を直美に渡す。
宮川が継続してくれることを、直美は喜ぶ。
そうやって、うちを信用して長く頼んでくれる患者さんが増えるのはありがたい。
直美はそう言う。
裕福な患者に継続して利用してもらうことは、恵風看護婦会にとって大きい。
お金のない人への看護を続けるためにも必要である。
ただ、ここでしのぶが立ち上がろうとして体勢を崩す。
りんと直美が心配して駆け寄る。
しのぶは大丈夫大丈夫と答える。
りんは、しのぶが妊娠しているのではないかと察する。
しのぶは「4か月だって」と答える。
りんは、どうして黙っていたのかと聞く。
しのぶは、恵風看護婦会がますます忙しくなってきたことで、言い出せなかったようだ。
「ごめんなさい、迷惑かけて。さすがに、子供ができたら働くわけにはいかないし……。」
しのぶは謝る。
この言葉はつらい。
妊娠したことを、喜びよりも先に迷惑だと思ってしまう。
働く場に穴を空けることを申し訳ないと思ってしまう。
忙しい組織であればあるほど、そう感じてしまうのだろう。
しかし直美は英語で言う。
「何を言うのです、しのぶ。」
そして日本語で続ける。
「妊娠を迷惑などと、看護婦が口にするのは断じて許しません。」
バーンズ先生なら、きっとそう言うんじゃない?
直美がそう言う。
この言い方は良かった。
直美自身の言葉として励ますよりも、同じ師から学んだ人たちだからこそ、バーンズ先生の言葉を真似る方が、しのぶには響いたのだと思う。
しのぶは安堵して笑う。
りんと直美は「おめでとう」と伝える。
妊娠を迷惑ではなく、おめでとうと言える場所。
それは本来、当たり前であってほしい。
でも、働く女性たちにとっては、簡単ではない。
ここは恵風看護婦会の大事な場面だったと思う。
一ノ瀬家にりんが帰ると、ふすまの修理をお願いされていたシマケンが寝てしまって起きないようだった。
さすがに起こしましょうかという美津。
りんと環と美津が三人がかりで声をかけて、シマケンを起こす。
起き上がるシマケンに、りんが眼鏡を差し出す。
その様子を美津が見ている。
ここは、シマケンがかなり一ノ瀬家に入り込んでいる場面だった。
ふすまの修理を頼まれている。
家で寝てしまう。
りんが眼鏡を差し出す。
環も美津もいる。
もう半分家族のような空気である。
しかし、その後、シマケンには大きな問題が降りかかる。
シマケンの下宿に、兄・万太郎の妻・絹が訪ねてくる。
絹は、万太郎がここに来ていないかを尋ねる。
シマケンがここには来ていないと答えると、絹は浜松ではもう捜す所がなく、他に万太郎が行きそうなところを知らないかと聞く。
シマケンは「何があったんですか?」と確認する。
万太郎は、新しい事業の投資に失敗し、借金を作っていなくなったらしい。
母はどうしているのかとシマケンは気にする。
絹は、親戚にもお金を借りていて、あちこちお詫びに行っていると伝える。
そして、もし万太郎から知らせがあったら教えてほしいと頼む。
シマケンは頭を下げる。
「もちろんです。兄が、とんだ、ご迷惑を……。」
さらに、
「私に何かできることがあれば何でも言ってください。」
と続ける。
これはシマケンにとってかなり大きな出来事である。
シマケンは、太い実家があったからこそ、好き勝手に小説を書き、「何者でもない」ことにぐるぐる悩んでいられた部分がある。
もちろん本人なりに苦しんではいた。
でも、実家が安定しているからこそ、夢を追う余裕があった。
その実家が崩れ始めている。
兄が借金を作って失踪。
母は親戚に詫びて回っている。
義姉も困っている。
もう楽な状況ではいられない。
シマケンの夢だけを考えていればいい状況ではなくなってきた。
そして、シマケンの小説が載る日が来る。
りんが朝刊を確認し、小説の欄を見る。
しかし、そこにはシマケンではない別人の名前が載っていた。
これはきつい。
天国から地獄である。
綿貫は、シマケンに言う。
「だから、悪かったって言っているだろう。急に別の連載に差し替えが決まったんだよ。」
その作家は、新聞社の大きな広告主である小室商船の親族らしい。
そんな兼ね合いもあり、すまないと綿貫は謝る。
これはなかなか酷い仕打ちである。
連載が決まったと伝えた。
シマケンは喜んだ。
りんにも伝えた。
周囲も喜んだ。
それなのに、本人に断りもなく差し替え。
広告主の関係で、別の作家に枠を取られる。
新聞社の事情はあるのだろう。
でも、シマケンにとってはあまりにも残酷である。
綿貫は言葉では謝っている。
しかし、とても真剣に謝っているような態度には見えなかった。
シマケンは食い下がる。
運がなかったということか。
僕はどうすればいいですか。
書評を書けば小説を書かせてもらえるなら書きます。
記者が近道なら記者でも何でもやります。
すると綿貫は「どうした?」と聞き返す。
シマケンは答える。
「努力したいんです。」
ここは、前回の虎太郎の言葉が効いているのだと思う。
努力しろ。
血へど吐くまで努力しろ。
虎太郎にそう言われたから、シマケンは努力しようとしている。
書く努力は、もうこれ以上ないほどした。
あとは、紙面に載せてもらう努力をするしかない。
他にもう、努力の仕方が分からない。
シマケンはそう訴える。
この言葉は痛かった。
シマケンは、これまで自分の文章を書くことにこだわってきた。
でも、紙面に載らなければ読者には届かない。
ならば、書評でも記者でも何でもやる。
小説家になるために、泥臭く努力したい。
シマケンなりに、ようやく変わろうとしていたのだと思う。
しかし綿貫は頭を下げる。
申し訳ない。
そして、今まではっきり言わなくて申し訳なかったと言う。
運でも努力でもない。
シマケンが書くものには、強さがない。
綿貫はそう説明する。
綿貫は、小説以外は書かないというシマケンの頑なさは嫌いではなかった。
自分はシマケンみたいに不器用に生きられないから言えなかった。
そして、決定的な言葉を言う。
「君の文章は、純粋で美しい。が、極めて、どうしようもなく……。強さがない。」
綿貫はシマケンに原稿を返す。
シマケンは原稿を受け取る。
そして確認する。
「強さ……。つまり……僕には……。才能がないってことですね。」
綿貫は、シマケンを見つめて頷く。
シマケンは「ありがとうございました」と頭を下げる。
これは本当に残酷だった。
綿貫は、今までもずっとシマケンの小説を認めていないように見えていた。
シマケンの小説より、書評の才能を評価していた。
モデルがある女郎の話を誇張して書く能力や、人の作品を評価する能力には長けていると見抜いていたのだろう。
新聞が売れるように、シマケンをうまく使っていたようにも見える。
そして、書評も書かなくなったシマケンには、もう利用価値がないと見切ったのかもしれない。
もちろん、綿貫なりにシマケンのことを思っていた部分もあるのだろう。
でも、今回の態度は厳しかった。
シマケンにとっては、連載差し替えだけでも十分きつい。
その上で、才能がないと突きつけられた。
努力することさえ許されないような言葉だった。
下宿に戻ったシマケンは、原稿を叩きつけ、涙を流し、破る。
シマケンの天国から地獄。
まさにその言葉がぴったりだった。
綿貫編集長「君の文章は純粋で美しい……が……
極めてどうしようもなく……強さがない」新聞に載るはずだった自分の小説が載っておらず、編集長に問いただすシマケン。
👇そこで編集長に言われたのは……https://t.co/itO3fB8RyJ[見逃し配信中]#朝ドラ #風薫る
佐野晶哉 小松和重 pic.twitter.com/zYcYna8KYr— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) August 17, 2026
宮川佳枝の「治らないけど心地いい日」が重い
宮川佳枝の言葉は、かなり印象に残った。
「スッキリ治ったって日は来ないの。治らなくてつらい日か……。治らないけど心地いい日のどちらか。」
慢性的な痛みや不調と生きる人にとって、これはかなり切実な感覚なのだと思う。
治るか治らないかではない。
治らないことは分かっている。
その中で、どれだけ心地よく過ごせる日を増やせるか。
それが看護の役割になる。
りんの手が、佳枝にとって心地いいものになった。
完治できなくても、りんの看護には意味がある。
これは派出看護の大事な方向性だと思う。
しのぶの妊娠を迷惑と言わせなかった直美が良かった
しのぶは妊娠を迷惑だと謝った。
忙しくなっている恵風看護婦会で、自分が働けなくなることを申し訳なく思ったのだろう。
でも、りんと直美は「おめでとう」と言った。
特に直美がバーンズ先生の言葉のように、
「妊娠を迷惑などと、看護婦が口にするのは断じて許しません。」
と言ったのは良かった。
同じ師に学んだ人たちだからこそ、バーンズ先生の言葉として届くものがある。
看護婦が命を支える仕事なら、妊娠を迷惑とは言わせない。
恵風看護婦会が忙しい現実はある。
でも、それと妊娠を祝うことは別である。
しのぶが安心して笑えたのは良かった。
綿貫はシマケンを利用していたのか
綿貫は、シマケンの小説を最初から高く評価していたわけではないと思う。
むしろ、シマケンの書評や、女郎の話を膨らませて書くような能力を評価していた。
人の作品を読む力。
素材を料理する力。
読者に届きやすい形に整える力。
そこには才能があったのだろう。
でも、シマケンが本当に書きたい小説には「強さがない」。
綿貫はそれを分かっていた。
それでも、シマケンを新聞社に置き、書評を書かせ、利用していたようにも見える。
今回、連載を約束しておきながら、広告主の都合で差し替えた。
そして最後に、才能がないと突きつけた。
シマケンのために言った部分もあるのだろうが、新聞社側の都合のよさも感じてしまった。
シマケンは努力することさえ許されなかった
シマケンは、努力したいと言った。
これは大きな変化だった。
これまでは、自分の書きたいものを書くことにこだわっていた。
でも今回は、紙面に載せてもらうための努力をしたいと言った。
書評でも記者でも何でもやる。
自分にできる努力を探していた。
虎太郎の「血へど吐くまで努力しろ」が、ちゃんと響いていたのだと思う。
しかし綿貫は、運でも努力でもないと言った。
強さがない。
才能がない。
努力の方向を探そうとした瞬間に、努力ではどうにもならないと言われたようなものだった。
これは本当にきつい。
努力することさえ許されなかったように見える。
シマケンは小説家にこだわるのか、物を書く仕事で成功するのか
シマケンは、八方ふさがりに見える。
兄は借金を作って失踪。
実家も厳しい。
小説の連載は差し替え。
綿貫からは才能がないと告げられた。
ここで諦めるのか。
綿貫一人に否定されただけで、本当に小説家の道を閉ざすのか。
ここまで粘ったのだから、綿貫以外に評価を求めてもいいのではないか。
一方で、時代に求められているのが「強い文章」なら、純粋で美しい文章にこだわらず、強い文章を書けるように努力する道もあるかもしれない。
でも、シマケンは自分のスタイルを曲げたくない男なのだろう。
小説家として世に認められたいのか。
自分の「美しい文章の小説」で世に認められたいのか。
この二つは似ているようで違う。
世の中に迎合してまで、自分を曲げたくない。
でも、紙面に載せてもらうためなら泥臭く努力する。
シマケンの中には、その矛盾があるのだと思う。
シマケンは、ゼロから一を生み出す才能はないのかもしれない。
でも、二代目夕凪の女郎の物語を膨らませて書いたものは世の中に受けていた。
書評も受けていた。
人に受け入れられる文章が書けないわけではない。
ただ、シマケンの頭の中にある物語は、今の読者には物足りない。
そういうことなのだろう。
小説家にこだわらず、物を書く仕事で成功できればいいと思う。
しかし、今の実家の状況を見ると、それも簡単ではなさそうである。
シマケンはりんと小説家の両方を手に入れられないのかもしれない
今回、一番皮肉だと思ったのはここである。
物語全体を通して、シマケンから虎太郎や横沢のような「強さ」を感じることはなかった。
シマケンは純粋で、美しいものを見る人だった。
だからこそ、りんはシマケンを選んだのだと思う。
りんの弱さや迷いを、初めから立派なものとして扱わず、ちゃんと見てくれる人だった。
でも、小説家として成功したいシマケンに必要だったものは、純粋さや美しさではなく「強さ」だった。
もしシマケンに虎太郎や横沢のような強さがあったら、りんはシマケンを選んでいなかったのではないか。
りんが選んだシマケンの魅力と、小説家として世に出るために必要な資質が、ずれている。
残酷なようだが、シマケンは初めから、りんと小説家の両方を手に入れることが不可能だったのではないか。
そう思えてきた。
まとめ
第102回は、シマケンが天国から地獄へ落とされる回だった。連載決定の喜び、りんの祝福、その先にあるはずだった未来が、広告主の都合と綿貫の言葉によって一気に崩れてしまった。
一方で、宮川佳枝の看護や、しのぶの妊娠も重要だった。治らない病とどう付き合うか。妊娠を迷惑と言わせない職場でいられるか。恵風看護婦会の意味も改めて見えた。
ただ、やはり今回はシマケンだった。純粋で美しい文章。でも強さがない。りんが選んだシマケンの魅力が、小説家として世に出るためには足りないものだったという皮肉が重い。
シマケンはここで諦めるのか。それとも別の形で物を書く道を探すのか。原稿を破った涙の先に、何が残るのか見届けたい。
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