朝ドラ『風、薫る』第22回感想・ネタバレ|りんの何気ない一言が、直美の心の殻に初めて触れたのかもしれない

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2026年4月28日放送の『風、薫る』第22回は、看護婦養成所での生活がいよいよ始まり、一期生たちの個性や価値観の違いがはっきり見えてきた回だった。トレインドナースを目指す者たちが集まったとはいえ、最初から同じ志を持っているわけではない。人を救いたいと真っすぐ語る者もいれば、自分が生きるためにここへ来た者もいる。その温度差が、ようやく養成所編の面白さとして見えてきた気がする。

中でも今回は、直美(上坂樹里)の不器用さと防御の強さがかなり前に出ていた。そして、そこへりん(見上愛)が思わず踏み込んでしまう。直美にとってはきつい一言だっただろうが、逆に言えば、初めて誰かがあの硬い殻の表面に触れた瞬間だったのかもしれない。

前回の感想記事はこちら

朝ドラ『風、薫る』第21回感想・ネタバレ|ようやく始まった看護婦養成所編。ここから本当に物語が動き出しそう
2026年4月27日放送の『風、薫る』第21回は、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)がついに梅岡女学校の看護婦養成所へ入学し、ようやくこの物語が本格的にトレインドナースの道へ入っていく回だった。ここまでかなり長い助走があったぶん、正直ほっとし...

第22回のポイント

  • 養成所では、それぞれが看護婦を目指す理由の違いを見せ始める。
  • 看護教師バーンズの来日を前に、英語の本の翻訳が最初の課題として与えられる。
  • 英語ができる直美と玉田多江(生田絵梨花)は、早くも強いライバル関係を見せる。
  • りんの何気ない言葉が、直美の心の奥に触れる。

個人的に印象に残ったこと

今回まず印象に残ったのは、東雲ゆき(中井友望)が「看護ほど、どんな人間かが問われる仕事はありません」と言い、天命を受けてナイチンゲールと同じ道を選んだように語る場面だった。養成所に入ってきた理由がここまでまっすぐで理想的な人もいるのかと思わされたし、だからこそ直美がその話を聞いて不機嫌そうにネギを切っているのが意味深だった。たぶん直美には、ああいう迷いのない言葉がまぶしすぎるのだろうと思う。

そして、その後の直美は本当に不器用だった。りんが鍋の煮物を任せると、お酢を全部入れてしまう。マッチ箱作りも不器用だったが、料理もだめ。嘘をつくことや相手を見抜くことには長けているのに、生活の基本になるような手仕事は全然うまくない。このあたり、直美は生きるためにずっと身につけてきたものが偏っている人なのだろうと思う。だからこそ、人付き合いの武器や防御の仕方は知っていても、穏やかに誰かと暮らすための技術は持ちにくかったのかもしれない。

りんが直美のことを知ろうとして歩み寄るのに、「私の何を知っているのよ」と突き放すのも、いかにも直美らしかった。あの人は、自分から本音を見せる前に必ず壁を作る。誰かに知られることが、そのまま傷つくことにつながってしまうと分かっているからだろう。かなり強いバリアだと思う。

それでも今回少し面白かったのは、直美が「自分には人を見る目がないって分かったから、自分が思う自分じゃなくて、捨松(多部未華子)が言う自分を信じて看護婦になってみようと思った」と語るところだった。これまでの直美は、自分の判断や自分のやり方にかなりこだわっていた印象があった。そんな直美が、自分ではなく他人の見立てを信じてみようとするのは、かなり大きな変化だと思う。まだ自分を信じきれないからこその選択とも言えるが、それでも前に進もうとしているのは確かだ。

一方のりんは、父・信右衛門(北村一輝)の「翼と刀を環に与えるには自分自身にもなければ」という思いで動いている。ここはりんらしいし、かなり一貫している。自分がただ生きるためだけでなく、環の未来に何を渡せるかという視点がずっとあるのが、この人の芯なのだろうと思う。

食事の場面では、直美の作った煮物が不評で、本人は「西洋風の味付けだから口に合わなかったか」と嘯いているのも直美らしかった。失敗を失敗として素直に受け止めず、少しひねって返してしまう。可愛げがないと言えばそうなのだが、そうでもしないと自分を守れないのかもしれない。

そこへ松井エイ(玄理)が、看護教師バーンズはまだ船の上で来日途中だと説明し、ナイチンゲールの教育を受けたトレインドナースだと伝える。そして、日本語が話せないから授業は英語になる、というのもかなり大きな情報だった。ここで、英語ができる者とできない者の差が一気に現実的な問題になる。看護の理想や志だけではなく、言葉という現実的な壁があるのが面白い。

バーンズから届いた英語の本2冊と、「最後の章の意味を理解するまで読みなさい。それが私の最初の授業です」という手紙もかなり厳しい。いきなり本格的だし、まだ先生が着いてもいないのに課題から始まるのも大変そうだった。養成所の手探り感はあるが、バーンズ本人はかなり容赦ない人なのかもしれない。

そしてやはり今回の見どころは、直美と多江のバチバチした空気だった。医者の家系の娘で、知識も教養もある多江と、みなしごとして生き延びてきた雑草魂の直美。構図としてかなり分かりやすいし、いいライバル関係になりそうだと思った。英語の翻訳でも、多江は苦戦し、直美は理解できている。そこで直美が「頭の固い人には訳すの難しいだろうね」と毒づき、「ざまあみろ」とまで思っているのはかなり性格が悪いのだが、直美らしいとも思う。

ただ、その直後にりんが「知っているなら教えてあげればいいじゃないですか」と言うのもりんらしかった。直美が「みなしごの私からなんて教えてほしくないでしょ」と卑屈になるのに対して、りんが「疲れそう……」とぽつっと言うのも印象的だった。この一言はかなりよかった。直美の防御の仕方を、頭ごなしに否定するのではなく、「それ、自分で自分を疲れさせていない?」と見抜いた感じがある。

さらにりんが、「髪と一緒にいろいろ断ち切ったって……そう自分にうそついているみたいで、かえって疲れそう」と言ってしまうのも強かった。これはかなり踏み込んだ言葉だし、直美からすれば心の奥を見透かされたようで痛かったはずだ。だからこそ、「でれすけ」と言い返して部屋を出て行ってしまうのだろう。りんはすぐに言い過ぎたと気づいて取り繕うが、もう遅い。ここはかなり重要な場面だったと思う。

直美は不器用で、でも人の痛みに一番敏感な人なのかもしれない

今回の直美を見ていて改めて思ったのは、この人は本当に不器用だということだった。料理はだめ、人付き合いもぎこちない、素直に教えることもできない。でもその一方で、いじめのようなことにはすぐ反応するし、弱い側にいる人間の痛みにはかなり敏感だ。

だからこそ、多江への敵意も単なる嫉妬だけではないのかもしれない。自分には持てなかったものを持っている人間への反発と、自分が見下されるかもしれないという恐れが、全部一緒になって出ている気がする。直美は優しいというより、「痛みを知りすぎていて、反応が過剰になる人」なのだろうと思う。

直美と多江は、かなりいいライバルになりそうだ

今回の英語の翻訳を見ていると、この二人の関係はかなり面白くなりそうだった。医者の家に育ち、最初から「病人を生かすため」と語れる多江と、自分が生きるために看護婦を目指す直美。出発点がまるで違うからこそ、ぶつかるたびにお互いの足りないものが見えてきそうだ。

しかも二人とも英語ができるという共通点があるから、単なる思想の対立だけでは終わらない。能力が拮抗しているからこそ、本気のライバルになれるのだと思う。ここはかなり楽しみになった。

りんの何気ない一言が、直美の殻を壊す最初のひびになるのかもしれない

今回いちばん大きかったのはここかもしれない。りんはあまり深く計算して話す人ではない。だからこそ、思ったことがそのまま出る。今回の「疲れそう……」もそうだし、「うそついているみたいで」という言葉もそうだ。たぶん、あれは正論をぶつけるというより、りんが本当にそう見えたから言っただけなのだろう。

でも、そういう何気ない一言の方が、直美みたいな人にはいちばん刺さるのかもしれない。直美は今まで、自分の殻を守るためにいろいろな言葉や態度を使ってきた。でもりんは、その防御を真正面から論破するのではなく、疲れそうだと言ってしまう。その無邪気さが、逆に壁を揺らしていくのかもしれないと思った。

養成所編は、ただの仲良し成長物語にはならなさそうで面白い

今回よかったのは、養成所が最初から仲良しクラブにはなっていないことだった。対立もあるし、価値観の違いもあるし、女学校時代からの人間関係も持ち込まれている。東雲ゆきと、こと・さちの関係もまだ何かありそうだし、この場が単純に理想に燃える場所ではないのがむしろいい。

看護婦になるという共通の目標はあっても、集まっているのはそれぞれ違う事情と傷を持った人たちだ。そのごちゃごちゃした感じが、ここからの物語の厚みになりそうだと思えた。

まとめ

2026年4月28日放送の『風、薫る』第22回は、看護婦養成所の生活が本格的に始まり、一期生たちの違いや緊張感がはっきり見えてきた回だった。中でも、直美と多江のライバル関係、そしてりんと直美の距離の詰まり方がかなり印象に残った。

まだ授業そのものは始まったばかりだが、ここから単なる仲良し成長物語ではなく、ぶつかり合いながら変わっていく話になりそうな予感がある。第22回は、その面白さの入口としてかなり良い回だったと思う。

『風、薫る』感想まとめはこちら

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