本記事にはアフィリエイト広告を利用しています。
2026年4月24日放送の『風、薫る』第20回は、りん(見上愛)がようやく自分の言葉で、自分の進む道を選び取る回だった。前回、亀吉(三浦貴大)に向かって勢いで「ナースになる」と言い切ったものの、その本音はまだ揺れていたはずだ。けれど今回は、その揺れを抱えたまま、それでも自分はこの道へ進むのだと腹をくくるところまで来た。
しかも今回よかったのは、単に「環(宮島るか)のため」だけでなく、自分が自分の力で生きていきたい という思いが、りん自身の口からはっきり出てきたことだった。ここまでかなり長かったけれど、ようやくりんが自分の人生の上がりを、自分で決め直した回だったように思う。
前回の感想記事はこちら

第20回のポイント
- 虎太郎(小林虎之介)は、不安を抱えるりんの背中を押す。
- 東京へ戻ったりんは、美津(水野美紀)にナースになる決意を伝える。
- 美津は最終的にりんの覚悟を認め、帯を売った金を渡す。
- りんは卯三郎(坂東彌十郎)と「社会」について語り合う。
- 明治19年12月、梅岡女学校の入学の日を迎え、りんと直美(上坂樹里)は再会する。
個人的に印象に残ったこと
今回まずよかったのは、虎太郎との場面だった。りんは奥田家では勢いでナースになると言ったものの、本当は不安ばかりだと打ち明ける。それに対して虎太郎が「だいじだ。りんならできる」と言うのがすごくよかった。派手な言葉ではないけれど、虎太郎はやっぱりりんのことを、ちゃんと「できる人」だと見ているのだと思う。ここで余計な理屈を足さずに、ただ背中を押す言葉を渡せるのが虎太郎らしかった。
そして、今回の中心はやはり美津とのやり取りだった。りんは東京へ戻って、ナースになると決めたことを伝えるが、美津は当然のように反対する。「あなたは一ノ瀬家の娘なのですよ」と言われても、もうそれだけではりんは引き下がれない。ここでりんが、母のような奥様になりたかった、自分の甘さでそれは叶わなかった、と泣きながら認める場面はかなりよかった。
この場面で大事だったのは、りんが「仕方なく」ナースになるわけではないことを、自分で言葉にしたことだと思う。環に同じ思いはさせたくない。学はあった方がいい。誰かに人生を委ねるのはもう嫌だ。そういう言葉が、ようやくりんの中で一本につながった感じがした。父・信右衛門(北村一輝)が言っていた「学ぶことは、時に世を渡る翼となり、時に身を守る刀になる」という言葉を、美津に返すのもよかった。ここでやっと、信右衛門から受け取ったものが、りんの人生の選択に直結した感じがあった。
また今回も、りんは「私…間違えました」と言う。この言葉はたしかに繰り返し出てきていて、少し意図を感じるところもある。ただ、今回に関しては、単なる口癖ではなく、自分の本音から目をそらしていたことに気づいた言葉として機能していたと思う。良い縁談があると言われて動揺したのは、自分がまだどこかで「奥様」の双六に引かれていたからかもしれない。でも、それでもやっぱり違うと、自分で言い直した。そこは大きかった。
美津の反応も、今回はかなり印象が変わった。もちろん最後まで「一ノ瀬家」や「藩主の親族の娘が筆頭家老に請われて嫁いだのだから」と、自分たちの家格を織り交ぜずには話せないのは、やっぱり美津らしいし、正直めんどくさい人だなとも思う。でも、それでも最後は帯を売った金を差し出し、縁談話は嘘で、本音を確かめたかっただけだと言う。女の幸せは良き家に嫁ぐことだという考えは変わらない。でも、りんの覚悟だけは認める。この着地はよかった。
完全に価値観を変えたわけではない。でも、娘の覚悟を見て、自分の考えとは違っても背中を押す。美津にできる精一杯がここだったのだろうと思う。「今度こそ勝ち戦にしろ」という言い方も、美津らしくてよかった。
卯三郎との場面も面白かった。りんが辞書をもう少し借りたいと頼むと、卯三郎は辞書をそのまま渡してくれる。ただし「リターンさえあれば」と言うのが卯三郎らしい。この人は本当にいつもリターンを口にするので、逆に返せない時はどうなるのか気になる。今のところは気前よく見えるが、それが全部計算の上なのか、本当に投資として見ているのか、そのあたりはまだ底が見えない。
ただ、今回の卯三郎との「社会」の話はかなりよかった。りんにとっての社会は、そこにいるみんなのものではないかという感覚。徳川の世は徳川様のもので、女や世間から外れた人はそこにいなかった。でも「社会」という言葉には、もっといろんな人がいる気がするという。この理解は、まだ十分に言葉になっていないけれど、すごく大事だと思った。
りんは今、君主のための世の中ではなく、弱い人でも、はじき出された人でも、居場所のある世の中をぼんやりと「社会」として掴み始めているのだろう。その感覚が、ナースという道を選ぶ理由ともつながっている気がした。
卯三郎が「医療はビッグマーケットになる」と笑いながら言うのも面白かった。かなり現代的な発想だが、それと同時に、10年後100年後には誰もがナースの看護を受ける社会が来ているかもしれない、という言葉には未来への視点がある。ただ理想を語るのではなく、商売としても社会としても見ている。その両方を持っているのが卯三郎の面白さなのだと思う。
そして最後、1886年12月、梅岡女学校の入学の日を迎え、りんと直美が再会するところで終わるのはかなりよかった。ここまで長く助走してきて、ようやく物語の本筋が本当に始まるのだという感じがした。
りんと直美はトレインドナースになるため看護婦養成所へ行く決意をしたようです。
いよいよふたりは看護の道へ。お楽しみに。👇 ふたりの決意!はこちらhttps://t.co/uHtrFdSu5K
見上愛 上坂樹里#風薫るオフショット pic.twitter.com/1IICnBxee8
— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) April 24, 2026
りんは初めて「仕方なく」ではなく、自分で道を選んだのだと思う
今回のりんは大きかった。今までも選んではいたけれど、どこかで流されていたり、追い込まれていたりした。でも今回は違う。環のためでもあるし、信右衛門の言葉もあるし、自分の無力感もある。いろいろなものが重なって、それでも「私はこの道を選ぶ」と言えた。
しかも、その理由が「仕方なく」ではなく、「自分の力で生きていきたい」になっているのが重要だった。ここに来てようやく、りんの選択が前向きなものとして見えた気がする。
美津はめんどくさいままだが、それでも今回はちゃんと母だった
美津は相変わらずめんどくさい。話の端々に家格を差し込み、自分たちの身分を忘れられない。でも、それでも今回はちゃんと母だったと思う。自分の考えを変えきれないままでも、りんの覚悟を認め、金を出し、送り出した。
完全に理解したわけではない。でも、理解しきれないまま応援するというのもまた一つの親の形なのかもしれない。今回はそこが見えたのがよかった。
「社会」という言葉が、ようやくりん自身の問題になってきた
これまで「社会」という言葉は少し観念的に出てくることもあったけれど、今回はかなりりん自身の問題として降りてきた感じがある。弱い人、女、外れた人にも居場所があるかどうか。それはまさに、今のりん自身の問題だからだろう。
だから今回の「社会」は押しつけがましい理念というより、りんが自分の生き方を考えた結果、ようやく見えてきた世界の形に感じられた。ここはかなりよかった。
第20回でようやく、本当に次の章へ入る感じがした
今週は少し進みが遅い感じもあったが、今回のラストでそれが全部つながった感じがする。りんが覚悟を決め、美津も送り出し、卯三郎と「社会」を語り、その先に梅岡女学校の入学がある。さらに、そこで直美とも再会する。
ようやく本当に、物語がトレインドナースの養成へ向かって本格的に進み出す。ここまで長かったぶん、今回はその入口としてかなり大事な回だったと思う。
まとめ
2026年4月24日放送の『風、薫る』第20回は、りんが自分の人生の上がりを「奥様」ではなく、自分の力で生きる道に置き直した回だった。環のためでもあり、自分のためでもある。その両方をようやく自分の言葉で言えたのが大きかった。
美津のめんどくささは相変わらずだったが、それでも最後にはりんの覚悟を認めた。そして、梅岡女学校の入学の日を迎え、ついにりんと直美がまた交わる。第20回は、長い助走の先で、本当に次の章へ入る感じのある回だった。
『風、薫る』感想まとめはこちら
懐かしい朝ドラをもう一度見たい方はこちら → NHKオンデマンドでは見られないけどTSUTAYA DISCASで楽しめる朝ドラ5選

