朝ドラ『風、薫る』第104回感想・ネタバレ|シマケンとの結末は…。りんの手は患者に使う手だった

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2026年8月20日放送の『風、薫る』第104回は、りん(見上愛)とシマケン(佐野晶哉)の物語に、ひとつの区切りがついたように見える回だった。

シマケンは、浜松に帰ることを決める。

りんは、恵風看護婦会のこと、家族のことを考えながらも、シマケンと一緒に行きたいと伝える。

しかしシマケンは、りんの手は大勢の人のために働くすてきな手だと言い、別れを告げる。

一方で、宮川佳枝(相田翔子)の看護では、りんが持ちやすいように布を巻いた匙を用意し、佳枝が自分の手でみそ汁を飲めるようにしていた。

患者の手を支えるりん。

患者のために働くりんの手。

この二つが重なり、最後にりんは「この手は患者さんに使いたいんだって分かった」と言う。

看護婦として生きることと、愛する人を選ぶこと。

その二つがぶつかる回だった。

前回の記事はこちらです。

朝ドラ『風、薫る』第103回感想・ネタバレ|シマケンは浜松へ。強さと弱さの言葉がもやもやを残した回
2026年8月19日放送の『風、薫る』第103回は、全体的に気持ちのいい回ではなかった。シマケン(佐野晶哉)は小説家の道を諦め、浜松に帰ることを決める。しかし、その事情を十分に説明しないまま、りん(見上愛)に「一緒に浜松に来てほしい」と頼む...

第104回のポイント

  • 雨の日の宮川家で、佳枝は匙をうまく持てず、りんに謝る。
  • りんは、持ちやすいように布を巻いた匙を佳枝に用意する。
  • 佳枝は自分で匙を持ち、みそ汁を飲めるようになり、おいしいと喜ぶ。
  • 一ノ瀬家では、シマケンが環(英茉)に、寂しい時は好きなことをするといいと教える。
  • 美津(水野美紀)は、りんにそろそろ自分のためも考えなさいと助言する。
  • りんはシマケンに、一緒に浜松へ行きたいと伝える。
  • しかしシマケンは、りんにはやるべきことがあると言い、一緒に生きるべきではないと別れを告げる。
  • りんは誰もいない一ノ瀬家に帰り、上がり框で泣きじゃくる。
  • 丸山(若林時英)はシマケンに、本当にそれでいいのかと問い詰める。
  • シマケンは、実家の後始末にりんを巻き込めないと言う。
  • 直美(上坂樹里)は、仕事はりんがいなければいないなりのやり方を考えると、りんの背中を押す。
  • 直美は、シマケンに何か訳があるのではないかと考え、りんを下宿へ向かわせる。
  • しかし、りんがシマケンの下宿に着いた時、部屋はもう空っぽだった。
  • 恵風看護婦会に戻ったりんは、この手は患者さんに使いたいんだって分かったと直美に話す。
  • 直美は「私はこの手が好き」と言い、りんの手を強く握る。

個人的に印象に残ったこと

今回は、雨の日の宮川家から始まった。

佳枝が、お膳の匙に手を伸ばす。

しかし、うまく持てない。

りんは代わりにお椀を持つ。

佳枝は「ごめんなさいね。今日は、具合が……」と謝る。

りんは匙でみそ汁をすくい、佳枝の口に運ぶ。

佳枝は一口だけ口にして、「もう、いいわ」と溜息をつく。

この場面は静かだが、とてもつらい。

佳枝はロイマチス、今でいうリウマチを患っている。

治る見込みはない。

日によって体調も違う。

手が動く日もあれば、匙を持つことさえ難しい日もある。

しかも、誰かの手を借りるたびに「ごめんなさい」と言ってしまう。

前回の「スッキリ治ったって日は来ない」という言葉が、ここにもつながっていた。

別の日。

りんは、持ちやすいように工夫した匙を佳枝に用意する。

持ち手に布を巻いた匙だった。

佳枝が布の部分を持ち、口に運ぶ動作を試す。

「これなら……持てるわ。」

佳枝は、自分でみそ汁のお椀を持ち、布の巻かれた匙でみそ汁を飲む。

そして「おいしい」と喜ぶ。

この場面はとても良かった。

りんは、佳枝の代わりに何でもやるのではない。

佳枝が自分でできるように工夫する。

手が痛い。

匙が持てない。

ならば、持ち手を太くして、少しでも持ちやすくする。

看護とは、ただ世話をすることではなく、その人がその人らしく生きる力を少しでも取り戻すことでもあるのだと思った。

佳枝が自分でみそ汁を飲めたこと。

その「おいしい」は、単なる味の話だけではなかったと思う。

夕方の一ノ瀬家。

シマケンがとんびを飛ばし、環は絵を描いている。

シマケンと環は、りんが忙しいこと、りんに看護をお願いしたい患者さんがたくさんいるらしいことを話している。

シマケンは環に、絵が上手くなったことを褒める。

環は喜ぶ。

シマケンは、環に時間は速さが変わると教える。

好きなことをしていたら、あっという間に時間がたつ。

寂しい時、つまんない時は、好きなことをするといい。

気づいたら終わっている。

環は「うん!」と納得する。

この場面だけ見ると、シマケンは本当に環にとっていい存在である。

環の寂しさを分かっている。

りんが忙しくて家にいない時間を、どう過ごせばいいかを教えている。

前に環は、シマケンを小春日和みたいだと言っていた。

今回も、まさにそういう温かさがあった。

そこに直美が現れる。

直美は環に宿題はやったのかと確認する。

環は宿題をやりに行き、縁側にはシマケンと直美が残る。

直美は、りんをずっと忙しくさせてしまっていることをシマケンに謝る。

シマケンが、りんは人気なんでしょうと聞くと、直美は「恵風看護婦会の看板だからね」と答える。

りんは今、恵風看護婦会にとって欠かせない存在になっている。

裕福な患者からの信用を得る看板看護婦。

無償看護を支えるためにも必要な人材。

宮川佳枝のように、長く頼みたいと言ってくれる患者もいる。

この状態で、りんが浜松へ行くというのは、かなり大きな決断である。

夜。

美津は、安(早坂美海)の赤ちゃんのためにおむつを縫っている。

りんが「孫はかわいいんだねえ」と言うと、美津はりんにシマケンのことを確認する。

りんは、シマケンが小説はもうやめて、他のことをするって言っていると伝える。

美津は言う。

あの方は心根がいいから、何をやってもいずれは何とかなるでしょう。

美津はシマケンを信じている。

小説家でなくても、何者でもなくても、心根がいい人なら何とかなる。

そして美津は続ける。

「孫もかわいいけれど、我が子もかわいい。」

環のためもいいけれど、そろそろ自分のためも考えなさい。

これは美津からりんへの大事な助言だった。

りんはずっと、環のため、家族のため、患者のため、仕事のために生きてきた。

でも、美津から見れば、りんもまたかわいい我が子である。

りん自身の幸せも考えてほしい。

美津のこの言葉が、りんの背中を押したのだと思う。

シマケンの下宿。

りんは言う。

「シマケンさんと一緒に行きたいです。」

りんは決断した。

恵風看護婦会は、しのぶが退職し、患者も増えている。

家族もいる。

環もいる。

美津もいる。

それでも、シマケンと一緒に行きたい。

もちろん、迷いはある。

だからりんは、その状況も話す。

するとシマケンは「そうだよね。苦しませてごめん」と謝る。

そして言う。

「僕たちは、一緒に生きていくべきではないと思う。りんさんには、りんさんのやるべきことがある。」

りんはシマケンに近づき、手を握る。

「私は、シマケンさんと一緒に生きていきたいです。」

しかしシマケンは、その手を握り返したあと、りんの手は大勢の人のために働くすてきな手だと言い、手を放す。

そして、

「りんさん、さよなら。」

と別れを告げる。

これはつらい場面だった。

りんは、仕事も家族も考えた上で、それでもシマケンと一緒に行きたいと言った。

その決断をした。

でもシマケンは、りんの手は大勢の人のために働く手だと言って別れる。

シマケンは、りんを巻き込みたくなかったのだろう。

でも、だったらなぜ昨日、一緒に浜松に来てほしいと言ったのか。

ここがやはり分からない。

誰もいない一ノ瀬家に帰ってきたりんは、上がり框に座って泣きじゃくる。

りんがここまで泣くのは、それだけシマケンを選んでいたということなのだと思う。

丸山の店の前では、シマケンと丸山が話している。

丸山は、りんに実家のことを言ったのかと確認する。

それでいいのか。

本当にいいのか。

丸山は念を押す。

そして声を荒げる。

「それっぽっちの気持ちだったんですか? シマケンさん!」

丸山の気持ちはよく分かる。

ここまで来て、なぜ何も言わないのか。

なぜりんに本当のことを伝えないのか。

シマケンは、実家の後始末で戻るのだから、りんは巻き込めないと言う。

りんが知ったら、何とかしようとする。

「それは、僕が嫌だ。」

つまり、シマケンはりんに実家の事情を知られたくなかった。

りんが知れば、きっと何とかしようとする。

自分の手で助けようとする。

それが嫌だった。

ここで、昨日の「一緒に浜松に来てほしい」は、やはり本心ではなかったのではないかと思えてくる。

実家の事情を知ったら、りんは何とかしようとするから嫌だ。

そう考えているなら、実家の事情を知らないまま連れて行くことも、初めからなかったはずである。

実家の後始末は、りんの力を借りずに自分でやりたい。

それなら、そもそも一緒に浜松へ連れて行くという話は矛盾している。

つまり、あのお願いは本心ではなく、りんに選ばせ、悩ませ、そして最終的には別れるための回りくどいやり方だったのかもしれない。

ぐるぐると悩み続ける男らしい、回りくどい別れ方である。

恵風看護婦会では、直美がりんに、なぜ一緒に行くとはっきり言わなかったのかと問い詰める。

りんは、仕事のこともあるからそれは言えないと言う。

すると直美は言う。

「仕事は、りんがいなきゃいないなりのやり方、考える。それとこれとは別でしょ。」

これは、ある意味で真理だと思う。

直美は恵風看護婦会の経営者である。

本来なら、りんという看板看護婦を失うのは大きな痛手である。

しのぶも退職する。

患者も増えている。

宮川家のような長期看護もある。

それでも直美は、仕事は仕事として何とかするという。

りんの人生とは別だと言う。

直美にとって、りんは従業員ではなく、バディであり家族なのだろう。

だから経営者としての顔より、バディとしての顔を優先する。

直美は、シマケンがなぜそんな簡単に諦めたのかを気にする。

何か訳があるのではないか。

そう考え、りんにシマケンの下宿へ行くよう促す。

渋るりんに、直美は嘘をつく。

シマケンがこの間、顔色が悪かったし、家で倒れているかも。

今日一日派出看護のお願いだ。

そう言って、りんの背中を押す。

りんは駆け出す。

直美はどうしても、りんとシマケンをくっつけたいように見える。

経営者として考えれば、りんにはいてもらわなければ困る。

でも直美は、りんの幸せを優先しようとする。

ここまで見てきて、少し自分の中で納得できたことがある。

このドラマを、看護婦という仕事を確立させる物語だと思って見てきた。

もちろんそれは間違いではない。

でも、もしかするとこのドラマは、仕事だけがすべてではない、ということもかなり強く描こうとしているのかもしれない。

仕事は大事。

看護婦の仕事も大事。

でも、それよりも大事なものがある。

愛する人と生きること。

自分の幸せを選ぶこと。

直美が「仕事は、りんがいなきゃいないなりのやり方、考える」と言い切ったことは、そういう意味にも見えた。

世の中には、自分が辞めたら会社が回らなくなるから辞められないと悩む人がいる。

でも、いなくなったらいなくなったで、今いる人材と新しく入ってくる人材で組織は何とか回っていくことも多い。

余人をもって代えがたい人間など、そう多くはない。

重要な戦力がいなくなっても、意外と何とかなる。

だから、ああだこうだ言わずに、自分の大切なものを取りに行け。

この場面は、そんなふうに悩める人の背中を押しているようにも見えた。

もちろん、かなり勝手な意訳だとは思う。

賛同する人はあまりいないかもしれない。

でも、自分にはそう思えてしまった。

丸山の店の表では、女性が倒れ込む。

りんはすぐに駆け寄り、丸山の店の椅子に座らせ、丸山に水を持ってこさせる。

シマケンの下宿へ向かう途中でも、りんは患者を放っておけない。

これがりんである。

その後、りんはシマケンの下宿に着く。

しかし、部屋はもう空っぽだった。

呆然とするりん。

もうシマケンはいない。

恵風看護婦会に帰ってきたりん。

直美はシマケンのことを確認する。

しかし、りんは言う。

「もういい。」

直美が「どうして?」と聞く。

りんは答える。

「この手は患者さんに使いたいんだって分かったから。」

シマケンに向かって伸ばした手。

佳枝の匙を支えた手。

倒れた女性に駆け寄った手。

患者のために働く手。

シマケンは、りんの手は大勢の人のために働くすてきな手だと言った。

りんはその言葉を、別れとして受け止めただけではない。

自分の生きる方向として受け取ったのだと思う。

直美は言う。

「私はこの手が好き。」

そう言って、りんの手を両手で強く握りしめる。

りんは「ありがとう」と感謝する。

りんは、シマケンと一緒に生きることを選ぼうとした。

でも最後に、自分の手は患者のために使いたいと分かった。

これで本当に、シマケンとの物語には終止符が打たれたのだろうか。

佳枝の匙と、りんの手

今回、佳枝のために用意した布を巻いた匙が印象的だった。

りんは、佳枝の代わりに食べさせるだけではなく、佳枝が自分で食べられるように工夫した。

これは看護としてとても良かった。

患者ができないことを全部引き受けるのではない。

患者ができることを増やす。

その人の尊厳を守る。

佳枝が自分で匙を持ち、みそ汁を飲み、おいしいと言えたことには大きな意味がある。

この場面があったからこそ、最後の「この手は患者さんに使いたい」が強く響いたのだと思う。

りんの手は、患者を抱え込む手ではなく、患者が自分で生きる力を支える手でもある。

シマケンの「一緒に来てほしい」は本心だったのか

シマケンの行動は、正直よく分からない。

昨日、りんに一緒に浜松に来てほしいと言った。

でも今日、りんが悩みながらも一緒に行きたいと伝えると、一緒に生きていくべきではないと別れを告げた。

実家のことを言えば、りんは何とかしようとする。

それが嫌だ。

そう考えているなら、最初からりんを浜松に連れて行く気はなかったのではないか。

一緒に来てほしいと言ったのは、本心ではなかったのだろうか。

それとも、本心ではそう思ったけれど、りんが本当に来ると言った瞬間、現実が見えて引いたのか。

どちらにしても、かなり回りくどい。

りんを苦しませたことは確かである。

シマケンらしいと言えばシマケンらしいが、もう少し正面から別れてほしかった気もする。

りんにとってシマケンは仕事や家族より大きかったのかもしれない

りんは、恵風看護婦会のことも、家族のことも考えた上で、それでもシマケンと一緒に行きたいと言った。

これはかなり大きい。

仕事もある。

環もいる。

美津もいる。

恵風看護婦会は忙しい。

それでも、シマケンと生きたい。

どれかに順位をつけることはできないのだろうが、シマケンの存在はりんにとって、かなり大きなものだったのだと思う。

理解されづらい考え方かもしれない。

でも、その人にとって何が一番大事かは、他人が決めることではない。

りんは一度、本当にシマケンを選ぼうとした。

だからこそ、別れの痛みも大きかった。

直美は経営者よりバディを優先した

直美は、恵風看護婦会の経営者である。

りんは看板看護婦である。

裕福な患者からの信用を得るためにも必要な存在である。

しのぶも退職する。

患者も増えている。

普通に考えれば、りんに浜松へ行かれると困る。

それでも直美は、仕事は何とかすると言った。

りんの人生とは別だと言った。

これは、経営者としては危ういかもしれない。

でも、バディとしては正しいのだろう。

直美にとって大事なのは、恵風看護婦会の経営だけではない。

りんが自分の幸せを選べることも大事なのだ。

直美は、仕事よりも、りんが愛する人と結ばれることを優先した。

そこに直美らしさが出ていたと思う。

仕事だけがすべてではない、という話なのかもしれない

今回を見て、少し考えが変わった。

このドラマは看護婦の物語だと思って見てきた。

でも、看護婦という仕事を描きながら、同時に「仕事だけがすべてではない」ということも描いているのかもしれない。

りんがいなくても、恵風看護婦会は何とかする。

大事な人がいるなら、自分の幸せを取りに行っていい。

仕事の責任を理由に、自分の人生を諦めなくていい。

直美の言葉には、そういう響きがあった。

もちろん、実際には看護婦会の運営も大事である。

患者もいる。

無責任に放り出していい話ではない。

それでも、仕事があるから幸せを選べないという考え方を、直美は否定したかったのかもしれない。

シマケンとの物語は終わったのか

これで、シマケンとの物語は終止符が打たれたと思っていいのだろうか。

シマケンは浜松へ行った。

りんは患者のためにこの手を使うと決めた。

直美もその手を好きだと言った。

流れとしては、別れである。

ただ、このドラマはこれまでも恋模様を引っ張ってきた。

本当にこれで終わるのかは分からない。

個人的には、これで一度区切りにして、看護婦の物語へ戻ってほしい気持ちがある。

赤痢パートを超える山場がまた来るのか。

そこが気になる。

まとめ

第104回は、りんとシマケンの別れの回だった。りんは仕事や家族のことも考えながら、それでもシマケンと一緒に行きたいと伝えた。しかしシマケンは、りんの手は大勢の人のために働く手だと言い、別れを選んだ。

佳枝のために布を巻いた匙を用意し、倒れた女性に駆け寄るりんの姿を見ると、確かにりんの手は患者のために働く手だった。最後にりんが「この手は患者さんに使いたいんだって分かった」と言ったことには説得力があった。

一方で、シマケンの行動にはかなりもやもやが残った。一緒に浜松へ来てほしいと言いながら、りんが決断すると別れを告げる。実家の事情を話さず、回りくどくりんを苦しませたようにも見えた。

これで本当にシマケンとの物語が終わったのか。看護婦の物語として、赤痢パートを超える山場がまた訪れるのか。次の展開を見守りたい。

『風、薫る』感想まとめはこちら

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