本記事にはアフィリエイト広告を利用しています。
2026年7月1日放送の『風、薫る』第68回は、直美(上坂樹里)と一ノ瀬家の関係が、改めて「家族」として形になっていく回だった。
引っ越し先が決まり、りん(見上愛)、美津(水野美紀)、環(英茉)と一緒に直美も暮らし続けるのかどうかが話題になる。
直美は「家族」と「家族みたい」は違うと遠慮する。しかし、寛太(藤原季節)の登場によって、りんは直美を含めて家族みんなで引っ越すのだとはっきり言い切る。
その一方で、シマケン(佐野晶哉)は小説家として認められたいのに、書評の才能を見出される。やりたいことと、できることが違う。そんな現実も描かれた回だった。
前回の記事はこちらです。

第68回のポイント
- 美津は、引っ越し先が決まったことをりんと直美に伝える。
- 直美は、このままうやむやにして自分も一緒に住むのは悪いと遠慮する。
- りんは、直美がいると楽しいし助かっている、環も家族みたいに懐いていると伝える。
- 寛太が直美を訪ねて一ノ瀬家に現れる。
- 寛太は詐欺をしながら各地を回る中で、直美のお守りに書かれた「浦崎八幡」を調べていた。
- 直美は、もう母親のことはいいかなと寛太に伝える。
- 寛太が「家族ごっこ」と言うと、りんは直美も含めて家族みんなで引っ越すと宣言する。
- 綿貫(小松和重)はシマケンに書評を書くことを提案する。
- りんと直美は、引っ越し準備の中で向いていることを分担すればいいと確認し合う。
- 丸山(若林時英)は団子屋を引き継ぎ、東京で甘い物で勝負すると宣言する。
- 山本(本田大輔)の手術を前に、りんは山本の言葉に励まされたと伝える。
- 団子屋で本を読むシマケンの前に、りんが現れる。
個人的に印象に残ったこと
今回まず印象に残ったのは、直美と一ノ瀬家の関係だった。
直美が夜遅く帰ってくる。
りんと直美がそろったところで、美津が話があると切り出す。
引っ越し先が決まったので、引っ越しの日を決めたい。だから、りんと直美の休みの日を合わせてほしいという話だった。
ここで、美津の中では、直美も一緒に引っ越す前提になっていることが分かる。
でも、直美はこのままうやむやにして、自分も一緒に住むのは悪いと考えている。
直美らしい遠慮だった。
直美は家族を知らない。
だからこそ、一ノ瀬家に受け入れられていることを嬉しく感じている一方で、自分が本当にそこにいていいのか、どこか遠慮しているのだと思う。
りんは、直美がいると楽しいし、助かっていると伝える。
環も家族みたいに懐いている。
しかし直美は、「家族」と「家族みたい」は違うと言う。
この言葉は、直美らしくて少し切なかった。
りんや美津や環にとっては、直美はもうかなり家族に近い存在なのだと思う。
でも直美にとっては、その「家族みたい」という言葉に安心できないのだろう。
本物の家族を知らないからこそ、「みたい」と言われると、自分はやっぱり外側の人間なのではないかと感じてしまうのかもしれない。
それでもりんは、もし嫌じゃなかったら考えてみてと伝える。
押しつけるのではなく、でも直美に残ってほしいという気持ちはちゃんと伝える。
この距離感が良かった。
その後、りんが荒い息遣いで勢いよく家に入ってくる。
後ろから男がついてくるという。
ほうきを持って臨戦態勢になる美津とりん。
この二人、いざという時の動きが早い。
男が戸を叩き、一ノ瀬さんのお宅ですよねと声をかけてくる。
居留守を使おうとするが、直美は声に聞き覚えがあるのか、戸を開ける。
男に向かってほうきを突きつける美津とりん。
しかし、その男の正体は寛太だった。
寛太は教会で直美の居場所を聞き、ここに来たという。
直美の友達だと思い込んだりんと美津は、謝って家に上げようとする。
しかし直美は、友達でもないし、大丈夫ですと寛太を外に連れ出す。
寛太が久しぶりに出てきた。
相変わらず、ろくでもない。
憲法発布で何かと忙しいといい、憲法発布の記念碑建設にかこつけて、見栄っ張りの小金持ち相手に寄付金を集める詐欺を働いているらしい。
直美が「相変わらずろくでもない」と言うのも当然だと思う。
ただ、その一方で寛太は、直美の母親探しについては妙に親身である。
詐欺を東京から西へ広げて熱海に着いた時に、直美が肌身離さず身につけているお守りの「浦崎八幡」を見つけたという。
地元では安産祈願で知られた神社らしい。
さらに「夕凪」という女郎についても聞いてみたが、分からなかったと伝える。
一応は親に安産を願われて生まれてきたんじゃないのか。
寛太はそう言う。
この言葉は、直美にとってかなり大きかったのではないかと思う。
直美は、自分の出生についてずっと重いものを抱えてきた。
でも、浦崎八幡が安産祈願で知られた神社だとすれば、直美は少なくとも、誰かに無事に生まれてくることを願われていたのかもしれない。
それが真実かどうかは分からない。
でも、直美にとっては少し救いにもなる話だったのではないか。
寛太は、これから母親のことを調べて分かったら、どこを訪ねたらいいかと聞く。
ここに来ていいかとも聞く。
直美は、ここはもう引っ越すと答える。
引っ越し先はと聞く寛太に対して、直美は答えない。
そして、いろいろとありがとうと感謝を告げるが、もう母親のことはいいかなと伝える。
直美は、一ノ瀬家と暮らす中で、少しずつ満たされてきたのかもしれない。
母親を探したい気持ちが完全になくなったわけではないだろう。
でも、母親を見つけなければ自分が満たされないという状態からは、少し変わってきたのだと思う。
それに対して寛太は、りんたちとの家族ごっこで満たされているのかと言う。
この言葉はきつかった。
直美が一番気にしているところを突いたようにも見える。
家族ではなく、家族ごっこなのか。
直美がそこにいることは本物ではないのか。
家の中で会話を聞いていたりんは、たまらず外に出る。
そして寛太に、「引っ越し先へいらしてください」と言う。
直美も含め、家族みんなで引っ越すので、そちらにいらしてくださいと突きつける。
ここはとても良かった。
りんは、直美のことを「家族みたい」ではなく、家族として扱うと言い切った。
寛太の「家族ごっこ」という言葉を、りんがはっきり否定したように見えた。
直美も、りんも、見つめ合って笑い出す。
寛太の登場により、直美と一ノ瀬家の絆はより強固になったように感じた。
まさに、雨降って地固まるだった。
一方で、綿貫はシマケンに書評を書いてみないかと提案する。
しかしシマケンは、この間渡した自分の原稿の方が気になっている。
シマケンとしては、小説を認めてほしいのだろう。
けれど綿貫は、まあ今までのよりは良かったよとは言うが、あまり興味はなさそうだった。
よくできてた。
そう一言だけ言って、原稿をシマケンに返す。
そしてシマケンは、書評を書くことを引き受ける。
ここは少し切なかった。
綿貫は、シマケンの小説にはそこまで興味がないのだと思う。
でも、書評の才能は見抜いている。
小説家になりたいシマケンにとって、書評を書くことは本当にやりたいことではないのかもしれない。
ただ、やりたいこととできることが違うなんてことは、よくある。
シマケンはその現実を受け入れられるのだろうか。
最初に書評を書くことを受け入れた場面は、綿貫が自分の小説に興味がないことを悟って、半ば受け入れたようにも見えた。
りんと直美は、引っ越し準備を進めている。
不器用な直美が縛った本は荷崩れするが、器用なりんが縛れば崩れない。
ここで、りんは直美に言う。
こういう手を動かす仕事は自分がやるから、直美はどれからどう荷台に載せるか、誰が何をするか指図して。
向いている方が、向いていることをやればいい。
これは前回のりんと直美の関係にもつながる話だったと思う。
りんはプレイヤー向きで、手を動かす仕事が得意。
直美は不器用だけれど、全体を見て指示を出すのが得意。
二人は違う。
でも、違うからこそ補い合える。
取締をめぐって微妙な空気が流れ始めていた二人だったが、ここで少し納得し合えたのは良かった。
丸山が、どれから運ぶかを確かめると、直美が指示を出す。
直美はこういう役割だと生きるのだと思う。
一ノ瀬家は、マツ(丸山礼)たちに別れの挨拶をする。
そして、引っ越し先の新居に到着する。
ちょっと広くなったと喜ぶ環。
新居を見物するみんなは嬉しそうだった。
直美も一緒にそこにいる。
この新居は、直美にとっても新しい居場所になるのだろう。
丸山は、直美に店はいいのかと聞かれると、あの店はおやっさんから引き継いだと答える。
これからは自分もこの東京で、大好きな甘い物で勝負に出ると宣言する。
丸山もまた、自分の道を進み始めた。
毎日来てくださいねという丸山のお願いに、りんと直美が困る場面は少し笑えた。
甘い物で勝負に出る丸山。
それは丸山らしいし、応援したくなる。
シマケンの書評は評判を呼び、島田健次郎は誰だという問い合わせも来ているらしい。
綿貫は、評論の才能があるんじゃないかと言う。
そして、たくさんの書籍をシマケンに渡し、全部読んで書評を書いておいてくれるかと頼む。
こんなにたくさんの本となると、自分の作品を書く時間がなくなると困るシマケン。
ここも、やりたいこととできることのズレが出ていた。
シマケンは小説を書きたい。
でも、世間が反応しているのは書評である。
評価されるのはうれしい。
でも、それが自分の本当にやりたいことではない。
これはかなり苦しいと思う。
看護婦の話でも、りんと直美の適材適所が描かれていた。
ここでも、シマケンにとっての適材適所が問われているようだった。
出勤が遅いりんと直美を、多江(生田絵梨花)とトメ(原嶋凛)は心配している。
そこへ、通勤経路がどちらの方が近いかでけんかしながら、りんと直美が入ってくる。
仲良くけんかしている様子を見て、逆に安堵する多江とトメ。
この場面も良かった。
前回、りんと直美の間に微妙な空気が流れていた。
だから、多江とトメも心配していたのだろう。
でも、けんかできるということは、関係が完全に壊れているわけではない。
むしろ、言い合える関係だからこそのけんかである。
山本の手術は予定通り午後から行われることになり、手術介助にはりんが入る。
それを伝えると、山本は、それは頼もしいねえと答える。
りんは、山本の言葉に励まされたと言う。
しかし、山本の話はほとんど嘘であることを妻がばらす。
山本もまた、嘘つきだった。
直美も寛太も嘘をつきまくる人物だが、また新しい嘘つきが現れた。
このドラマ、本当に嘘つきが多い。
ただ、山本の嘘は、人をだますためだけのものではないようにも見える。
山本の「自分が努力するより、下の者を育てる方がよっぽど難しい。答えが出るのはずっと先だ」という言葉に、りんは励まされた。
その話が本当か嘘かは分からない。
でも、りんを励ましたのは事実である。
世の中には、優しい嘘もあるということなのだろうか。
りんは、今日は自分が励ますと言い、手術頑張りましょうと山本に声をかける。
ここは、りんが少し前を向き始めたようにも見えた。
最後は、団子屋でため息をつきながら本を読むシマケン。
そこにりんが現れて、今日の放送は終わった。
シマケンは、書評の仕事に追われ、自分の小説を書く時間を失いそうになっている。
そこにりんが現れる。
シマケンにとって、りんはやはり特別な存在なのだろう。
次回、二人がどんな話をするのか気になる。
直美の持っているお守りは安産祈願で知られた神社のものらしいと
寛太が母の情報を伝えにきてくれました。👇このシーンの見逃し配信https://t.co/LeJmrt2EIS#朝ドラ #風薫る
見上愛 上坂樹里 藤原季節 pic.twitter.com/QXBTnUUV8J— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) June 30, 2026
直美はもう一ノ瀬家の「家族」になっている
直美は、自分が一ノ瀬家にそのまま住み続けることを遠慮していた。
「家族」と「家族みたい」は違う。
この言葉には、直美の寂しさと遠慮が出ていたと思う。
でも、りんも美津も環も、すでに直美を家族として受け入れている。
寛太に「家族ごっこ」と言われた時、りんがはっきりと、直美も含めて家族みんなで引っ越すと言ったのが良かった。
直美にとって、一ノ瀬家はもう仮の居場所ではなく、本当に帰る場所になりつつあるのだと思う。
寛太は悪党なのに、なぜか直美には親身である
寛太は相変わらずろくでもない。
憲法発布の記念碑建設にかこつけて、寄付金詐欺を働いている。
普通に悪党である。
それなのに、直美の母親探しについては妙に親身である。
浦崎八幡のことも調べ、「夕凪」についても聞いている。さらに、これから調べて分かったらどこに報告すればいいかまで気にしている。
なぜそこまで直美のために動くのか。
寛太の中にも、直美に対して何か思うところがあるのだろうか。
悪党なのに、完全な悪人ではない。
このあたりが少し気になる。
綿貫はシマケンの小説には興味がなさそうだった
綿貫は、シマケンの小説にはあまり興味がなさそうだった。
今までよりは良かった。
よくできてた。
その程度の反応だった。
一方で、書評については才能を認めている。
シマケンにとっては複雑だろう。
自分がやりたいのは小説を書くこと。
でも、評価されているのは書評を書く力。
やりたいこととできることが違う。
それはよくあることだが、受け入れるのは簡単ではない。
シマケンがこの現実とどう向き合うのか気になる。
向いている方が、向いていることをやればいい
引っ越し準備の場面で、りんは直美に、向いている方が向いていることをやればいいと言った。
これは、りんと直美の関係にとって大事な言葉だったと思う。
りんは手を動かすことが得意。
直美は全体を見て指示を出すことが得意。
どちらが上とか下ではなく、役割が違う。
前回、外科取締を直美が兼任することになり、二人の間に微妙な空気が流れていた。
でも、今回の引っ越し準備で、二人は少しその違いを受け入れられたように見えた。
適材適所という意味では、看護婦の仕事にもつながる話だったと思う。
このドラマは本当に嘘つきが多い
今回改めて思ったのは、このドラマは嘘つきが多いということだ。
直美も嘘をつく。
寛太も嘘をつく。
山本も嘘をつく。
しかも、その嘘が全部同じではない。
人をだますための嘘もあれば、自分を守るための嘘もある。
そして、誰かを励ますような優しい嘘もあるのかもしれない。
山本の話はほとんど嘘だったが、それでもりんは励まされた。
ウソをつくことも、ある意味では適材適所なのだろうか。
そんなことまで考えてしまった。
まとめ
第68回は、寛太の登場によって、直美と一ノ瀬家の絆がより強くなった回だった。
直美はまだ遠慮していたが、りんは直美も含めて家族みんなで引っ越すとはっきり言った。これで「家族みたい」ではなく、本当に家族としての形が固まったように見える。
一方で、シマケンは小説ではなく書評の才能を見出され、やりたいこととできることのズレに向き合い始めた。
嘘つきがたくさん出てくるドラマだが、その嘘にもいろいろな形があるのかもしれない。
『風、薫る』感想まとめはこちら
懐かしい朝ドラをもう一度見たい方はこちら → NHKオンデマンドでは見られないけどTSUTAYA DISCASで楽しめる朝ドラ5選
