朝ドラ『風、薫る』第67回感想・ネタバレ|ヒデ退学。りんの「いい看護婦」は、本当に正解なのか

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2026年6月30日放送の『風、薫る』第67回は、ヒデ(池田朱那)が看護婦になる道をやめると決め、りん(見上愛)自身も外科の看護婦取締を外される回だった。

前回、ヒデは「一ノ瀬先生が、いい看護婦なら、私は看護婦にはなれないし、なりたくありません」とりんに告げた。

今回はその続きとして、ヒデが何を夢見て看護科に入ったのか、そして、りんの働き方や言葉がヒデにどう見えていたのかが描かれる。

りんは優しい。真面目で、目の前の人を放っておけない。

でも、その優しさが人を救うとは限らない。りんが口にする「いい看護婦になれる」という言葉も、相手によっては励ましではなく、どこか薄っぺらく響いてしまうのかもしれない。

前回の記事はこちらです。

朝ドラ『風、薫る』第66回感想・ネタバレ|りんの働き方は「天職」なのか。ヒデが看護婦をやめると言った理由
2026年6月29日放送の『風、薫る』第66回は、ツヤ(東野絢香)の解雇から二か月後の帝都医大病院が描かれた。りん(見上愛)は看護婦取締として、そして看護科の先生として、相変わらず忙しく働いている。いや、忙しいというより、ツヤの一件以降、自...

第67回のポイント

  • ヒデは、りんに看護婦になることをやめると告げる。
  • ヒデは「人の役に立つ仕事をして、女でも生きていける」と夢見て看護科に入ったと話す。
  • ヒデはりんに「看護ってなんですか?」と問う。
  • 直美(上坂樹里)は、看護婦という仕事は日本にできたばかりで、まだ形が定まっていないのだとヒデに伝える。
  • 虎太郎は製薬会社の仕事で帝都医大病院を訪れ、りんと再会する。
  • 虎太郎は、辞める人は辞める、努力すれば上に上がれる世の中だと話すが、りんとはかみ合わない。
  • 多田院長(筒井道隆)は、外科の看護婦取締を直美が兼任し、りんは一看護婦として勤務するよう命じる。
  • 渡辺(森田甘路)は、優秀なヒデが辞めたことについてりんを責める。
  • りんは自分が人を指導したり管理したりするのが下手なのだと受け入れる。
  • 直美が外科取締も兼任することになり、りんと直美の間に微妙な空気が流れ始める。
  • 直美はトヨの様子を見に長屋へ行き、嘉平に心配される。

個人的に印象に残ったこと

今回まず印象に残ったのは、ヒデが改めて看護婦になることをやめると告げる場面だった。

りんは、ヒデに対して「優秀だし、きっと、いい看護婦になると思う」と言う。

しかしヒデは、もう看護婦にはなりたくなくなったと答える。

ヒデは、西洋には看護婦という仕事に就く女が当たり前にいて、日本でもなれると思って看護科に入った。

人の役に立つ仕事をして、女でも生きていける。

そう夢見ていたという。

ここで分かったのは、ヒデは必ずしも「看護婦」そのものに強いこだわりがあったわけではないのかもしれないということだった。

ヒデが夢見ていたのは、人の役に立つ仕事をして、女性でも自分の力で生きていくことだったのだと思う。

そのための道として、看護婦という職業を選んだ。

だから、看護婦という仕事の未来が見えなくなった時、別の道を探そうと考えるのも、ヒデにとっては自然なことだったのかもしれない。

ヒデは、りんに「看護ってなんですか?」と問う。

りんは、簡単には答えられないけれど、目の前にいる人、弱っている人に手を差し伸べることだと思うと答える。

この答えは、りんらしい。

でも、少し引っかかるところもあった。

りんは、病人や怪我人とは限定していない。

目の前にいる人。

弱っている人。

その範囲はかなり広い。

もし、りんがすべての困っている人を救おうとしているのだとしたら、それは本当に「看護」なのだろうか。

もちろん、患者の心や暮らしに目を向けることは大事だと思う。

でも、あまりにも範囲を広げすぎると、りん自身が何もかも抱え込むことになってしまう。

ヒデは、その目の前にツヤさんがいましたよねとりんを責める。

これは厳しい言葉だった。

でも、ヒデの中では当然の問いだったのだと思う。

目の前に弱っている人がいたら手を差し伸べることが看護だと言うなら、なぜツヤを助けられなかったのか。

りんの看護観そのものを、ヒデは突いているように見えた。

そこに直美が割って入る。

直美は、それは申し訳ないと思うが、自分たちだって先生をやるのは初めてだし、看護婦という仕事は日本にできたばかりだから、まだ形も定まっていないのだと説明する。

だから、自分たちで作っていかなければならない仕事なんじゃないのか。

ヒデにも一緒に考えていくわけにはいかないか。

直美の言葉は現実的だった。

りんのように「いい看護婦になれる」と励ますのではなく、まだ何も定まっていない仕事だから一緒に考えないかと提案する。

これは直美らしい言葉だったと思う。

ただ、ヒデはすでに決めていた。

直美が帰宅すると、りんは二階で寝込んでいた。

直美は、ヒデが正式にやめることになったと伝える。

しかし、りんは返事もできない。

ヒデは、女性が働ける時間は限られているから、未来の見えないものに時間は使えない。だったら違う道を探そうと思うという考えだったようだ。

この判断は、冷たいようで、かなり現実的でもある。

看護婦という職業がまだ定着していない時代である。

何が正解かも分からず、教える側も手探りで、生徒も迷っている。

ヒデからすれば、そこに自分の限られた時間を費やすより、別の確かな道を探す方が良いと考えたのだろう。

ただ、女性の職業が限られている時代に、人の役に立ち、女でも生きていける仕事が他にどれだけあるのかは気になる。

違う職を見つけたとしても、また「これも違う」と簡単にやめてしまいそうな危うさも感じる。

おにぎりを握る直美と、ネギを切るりんの場面も印象に残った。

大きな出来事の後の、何気ない台所の場面。

りんが何かを抱え込んでいる時、直美がそばにいる。この二人の関係が、今までの積み重ねで自然に見えるようになっている。

ただ、その関係にも、今回は少し変化が出てくることになる。

りんがため息をつきながら病院の廊下を歩いていると、虎太郎と遭遇する。

製薬会社勤務の虎太郎は、薬の販売の挨拶回りで帝都医大病院に来ていた。

虎太郎は、部下が5人つくほどに出世していた。

りんは、虎太郎がけがや病気ではなくてよかったと言う。

すると虎太郎は、りんが元気なさそうなことに気づく。

りんは、外科の看護婦取締を任されたが、やめてしまう人もいることを打ち明ける。

それに対して虎太郎は、自分の会社でも辞める人はいるし、仕方のないことだと言う。

遅かれ早かれ、辞めるやつは辞める。

成果が出ないのは、その人に力がないから。

今は、努力をしたらしただけ上に上がれる自由な世の中だ。

虎太郎はそう主張する。

虎太郎は、りんを励まそうとしたのだと思う。

辞めた人がいるのは、りんのせいではない。

そう言いたかったのだろう。

でも、りんが求めていた言葉ではなかった。

りんは、努力だけじゃどうにもならないこともあると反論する。

お金の問題だったり、病気の問題だったり、そういう人たちだっているでしょう。

ここは、二人の価値観のズレがはっきり出ていた。

虎太郎は、努力すれば上に上がれると信じている。

りんは、努力だけではどうにもならない現実を見ている。

ツヤのことがまさにそうだった。

ツヤは努力していた。

寝る間も惜しんで勉強していた。

でも、お金の問題も、体力の問題も、制度の問題もあった。

努力したからといって、看護婦になれるわけではなかった。

だから、虎太郎の言葉はりんには響かない。

今のりんが欲しい言葉は、虎太郎の言葉ではなく、シマケンの言葉なのかもしれない。

詰所に戻ってきたりん。

直美がおにぎりを食べている。

直美は、りんにも「食べる?」と聞く。

二人で並んでおにぎりを食べる。

りんは、ずっと直美に言いたかったことを言う。

「直美さんのお握り大きくない?」

小さいよりはいいでしょと笑う直美。

大きくも小さくもない方がいいと言うりん。

そんなことはできるわけがないと直美が返し、二人は笑い合う。

この場面は良かった。

重い話が続く中で、二人が少しだけいつもの空気に戻る時間だった。

りんと直美は、違う人間である。

りんは丁寧で、抱え込みやすい。

直美は大ざっぱで、不器用だけれど要領がいい。

おにぎりの大きさにも、二人の違いが出ていたように思う。

そこにトメ(原嶋凛)が入ってきて、院長先生が話があると呼んでいることを伝える。

ここから空気が変わる。

りんは多田院長に、自分の力不足を詫びる。

しかし渡辺は、力不足で済まされるかと責める。

一番成績がよく優秀な生徒だった土居ヒデが辞めたことで、りんを厳しく責める。

ヒデを今後病院を牽引していくような看護婦へと考えていたのに、「あなたのような者が……!」とまで言いかける。

渡辺の言い方はかなりきつかった。

優秀な生徒を失ったことへの怒りは分かる。

ただ、それをすべてりんのせいにするのは違うと思う。

そもそも、まだ看護婦になったばかりの人に、管理もしろ、講師もしろという体制自体が無茶なのだ。

優秀な生徒を失いたくないなら、もっと看護婦としての経験があり、きちんと指導できるバーンズ先生のような人を、帝都医大病院が用意するべきだったと思う。

このままでは、辞めるのはヒデだけとは限らない。

多田は渡辺を制止し、りんに十分反省してくださいと促す。

りんは、二度とこのようなことが起こらないよう、他の看護婦と話し合うつもりだと伝えようとする。

しかし多田は、今後は直美に外科の取締も兼任してもらい、りんには一看護婦として勤務してもらうつもりだと告げる。

直美が教える内科の生徒にはばらつきがないと、医師からも評価されているらしい。

急な話であり、りんのためにも直美は反論する。

しかしりんは、「分かりました」と受け入れる。

ここはかなり大きな転換だった。

適材適所という意味では、たしかに分かる部分もある。

りんは手術介助もできるし、患者に寄り添う力もある。

プレイヤーとしてはかなり優秀なのだと思う。

一方で、指導や管理となると、抱え込みすぎたり、相手に寄り添いすぎたりしてしまう。

直美は不器用で雑なところもあるが、要領がよく、距離の取り方もうまい。

だから、プレイヤーよりもマネージャーに向いているのかもしれない。

でも、それを急に言われるのはつらい。

院長室を出たりんは、直美によろしくお願いしますと頭を下げる。

自分は、人を指導したり管理したりするのが下手なのだと思うと言う。

成果が上がらなかったら仕方ない。

そう言って、りんは外科も直美に託す。

この受け入れ方も、りんらしい。

責めたり怒ったりするのではなく、自分が下手だったのだと受け止めてしまう。

でも、その分、心の中にはかなり傷が残っていそうだった。

りんは、入院患者の山本辰治(本田大輔)に担当になったことを伝える。

山本は、あの見習さんはどうしたのかと気にする。

りんは、辞めてしまったことを伝える。

山本は、辞めたのは自分のせいかと気にする。

山本は、自分が努力するより、下の者を育てる方がよっぽど難しいと言う。

自分の家は代々徳川様のお庭を任された庭師だから、若い衆の出入りが多いと、嘘とも本当とも分からないような話をする。

この山本という人物は、少し不思議な人だった。

でも、言っていることは妙に本質的だった。

自分が努力するより、下の者を育てる方が難しい。

まさに今のりんに刺さる言葉である。

りんは真面目に努力することはできる。

でも、人を育てることはまた別の難しさがある。

努力家だからこそ、相手にも努力を求めてしまうこともある。

それが相手を追い詰めることもある。

山本の言葉は、りんにとって大事な視点だったと思う。

山本は、これから取締の一ノ瀬さんに看ていただけるなら喜んでと言う。

しかしりんは、取締でもなくなったことも正直に伝える。

すると山本は、それなら一ノ瀬さんも少しは楽になるねと気遣う。

この言葉が優しかった。

りんは外科取締を外されたことを、失敗や降格として受け止めている。

でも山本は、それで少し楽になるなら良かったのではないかと見る。

患者からこう言われることで、りんの気持ちも少し違って見えるのかもしれない。

内科の直美が外科の取締も兼任することを伝えると、フユも心配そうな表情を見せる。

フユは、りんのことも直美のことも見ている。

だからこそ、二人の関係や負担の変化が気になったのだと思う。

詰所でりんと直美が鉢合わせる場面も印象的だった。

二人の間に、微妙な空気が流れる。

直美は、トヨの様子を見に行きたいから夕飯は先に食べててとりんに伝える。

そこに多江(生田絵梨花)とトメも入ってくる。

多江は、二人の関係を心配する。

トメは、ストレートな物言いの多江をたしなめ、多江を連れて奥に消える。

壁のひび割れを見つめるりん。

ここは、分かりやすい暗示だった。

壁のひび割れは、りんと直美の関係にもひびが入り始めていることを示しているのだろうか。

直美が悪いわけではない。

りんが悪いわけでもない。

でも、外科取締を直美が兼任することになったことで、二人の立場は変わってしまった。

これまで同じように悩み、支え合ってきた二人が、少し違う位置に置かれ始めている。

これはかなり気になる。

一方、直美はトヨにおかゆを作っている。

仕事で疲れているだろうにすまないというトヨに、直美は、まっすぐ帰るより、気分を変えたくてと答える。

嘉平は、そんな直美の様子を「大丈夫かい?」と心配する。

そして、ここに戻ってきたいならなんとかするよと優しく声をかける。

直美もまた、かなり疲れているのだと思う。

外科取締も兼任することになり、りんとの間にも微妙な空気が流れている。

りんの家に帰るより、長屋でトヨの世話をする方が気が楽なのかもしれない。

嘉平の言葉は優しかった。

直美にとって、長屋はただの住まいではなく、戻れる場所でもあるのだろう。

ヒデは看護婦ではなく「女でも生きていける仕事」を求めていた

ヒデは、看護婦になることそのものに絶対的なこだわりがあったわけではないように見えた。

西洋には看護婦という仕事に就く女性がいて、日本でもなれると思った。

人の役に立つ仕事をして、女でも生きていける。

ヒデが求めていたのは、そういう未来だったのだと思う。

だから、看護婦という職業に未来が見えないと感じた時、違う道を探すという判断になった。

ただ、女性が働ける選択肢が限られている時代に、ヒデが納得できる職業がどれだけあるのかは気になる。

看護婦をやめた後、ヒデがどこへ向かうのかも気になるところだ。

りんの「いい看護婦になれる」は、励ましとして薄く聞こえる時がある

りんは、ツヤにもヒデにも「いい看護婦になれる」と言っている。

りんは優しいから、本気でそう思って言っているのだろう。

でも、少し薄っぺらく聞こえる時がある。

看護とは何かと聞かれて、簡単には答えられないと言っている。

それなのに、「いい看護婦」になれる人は簡単に見極められるのだろうか。

もし、相手を引き止めるためにとりあえず言っているのだとしたら、あまりに軽い。

りんの優しさは本物だと思う。

でも、その優しさが、相手にとって本当に必要な言葉になっているとは限らないのだと思う。

虎太郎の言葉は、今のりんには届かなかった

虎太郎は、りんを励ましたかったのだと思う。

辞める人は辞める。

成果が出ないのは、その人の力の問題。

努力すれば上に上がれる。

だから、りんのせいではない。

そう言いたかったのだろう。

でも、りんには響かなかった。

りんは、努力だけではどうにもならない人を見ている。

ツヤのことも、貧困のことも、病気のことも見ている。

虎太郎の言葉は、成功していく側の言葉に聞こえる。

今のりんが求めているのは、虎太郎のまっすぐな上昇志向ではないのかもしれない。

りんはプレイヤー向き、直美はマネージャー向きなのかもしれない

りんは手術介助もでき、患者に寄り添うこともできる。

一人の看護婦としては、とても力があるのだと思う。

でも、取締として人を管理したり、先生として人を育てたりすることには向いていないのかもしれない。

一方、直美は不器用で雑なところもあるが、要領がいい。

人との距離の取り方も、りんより冷静である。

だから、外科の取締も直美が兼任するという判断は、適材適所という面では分からなくもない。

ただ、それによって、りんと直美の関係に微妙な空気が流れ始めた。

二人とも悪くない。

でも、立場が変わることで関係が変わることはある。

壁のひび割れは、その不穏さを示しているように見えた。

まだ看護婦になったばかりの人間に背負わせすぎている

今回改めて思ったのは、やはり帝都医大病院はりんたちに背負わせすぎだということだ。

看護婦になったばかりの人間に、管理もしろ、講師もしろというのは、最初から無茶だった。

ヒデの退学をりんの責任として責めるのは簡単だ。

でも、本当に優秀な生徒を育てたいなら、経験のある指導者を病院側が用意するべきだった。

バーンズ先生のように、看護を知り、教える経験もある人が必要だったのだと思う。

このままでは、辞めるのはヒデだけとは限らない。

まとめ

第67回は、ヒデが正式に看護婦の道をやめ、りんも外科取締を外される回だった。

りんは真面目で優しいが、その優しさや言葉が、必ずしも人を救えるわけではない。むしろ、相手を迷わせることもあるのだと思う。

直美が外科取締を兼任する判断は適材適所にも見えるが、りんと直美の関係に微妙な空気が流れ始めたのが気になる。

看護婦という職業も、看護を教える仕組みも、まだまだ手探りなのだと感じた。

『風、薫る』感想まとめはこちら

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