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2026年5月19日放送の『風、薫る』第37回は、丸山(若林時英)と千佳子(仲間由紀恵)というまったく違う患者を通して、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)が「患者の気持ちを分かる」とはどういうことかに少し近づいた回だったと思う。これまでこの作品では、観察すること、寄り添うこと、心に触れることが繰り返し語られてきた。でも今回は、患者の気持ちは結局本人にしか分からない、という当たり前だけれど重いところに、ようやく正面から触れた感じがあった。
そのうえで、看護婦見習の仲間たちがどんどん一つのチームになっていくのもかなり良かった。呼び捨てが広がる場面もそうだし、夕飯を持って木のところに集まる流れもそうだし、身分や立場を越えた「仲間」になってきた感じがはっきり見えて、そこはかなり気持ちがよかった。
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第37回のポイント
- 丸山は、自分のかゆみは他人には分からないと直美に気づかせる。
- 直美とりんは、患者と同じ気持ちにはなれなくても、分かるように努めるしかないというところへたどり着く。
- 看護婦見習たちは呼び捨てで呼び合うようになり、明らかに距離が縮まる。
- 千佳子は依然として心を閉ざしているが、その背景にある不安の大きさも見えてくる。
個人的に印象に残ったこと
今回まず印象に残ったのは、丸山が背中がかゆいふりをして、どこがどれくらいかゆいのかなんて他人には分からないと直美に分からせる場面だった。これはかなり良かった。今まで直美は、患者のために動くことも、現場を変えようとすることもできていたけれど、相手の感覚そのものを自分が理解できるとは思っていなかったはずだ。そこへ丸山が、「分からなくて当たり前なんだから、早く治るように薬を塗ったりして働いてよ」と返すのがよかった。
しかもそのあと、直美が「私の気持ちなんて何も分かるわけない」と意地悪く返すのも印象的だった。「治すためにかかないでほしいとどんなに思ったってかくし、薬の回数を増やすために先生にあれこれ考えて手を尽くしても、『一ノ瀬の時は極楽だった』って言われた私の気持ちなんて」と言うのは、丸山を困らせるためにいった言葉なのだろうが、『一ノ瀬の時は極楽だった』って言われた私の気持ちなんてというのは、かなり本音だったんじゃないかとも思う。やはり丸山のあの一言は、直美の中に残っていたのじゃないだろうか。
そこから丸山に「俺はどうしたらいいですか?」と言わせてしまうのは、直美の怖さでもあり、上手さでもある。その後、藤田邦夫(坂口涼太郎)に対して、丸山が「先生のおかげでよくなってきました。大家さんが先生はよく患者を診ている優しい名医だと言っている」と伝える流れも面白かった。おだてられて気分を良くした藤田が、看病婦たちに「患者には大家さんのようにもっと優しく!」と命じるのは、正直ちょっと滑稽でもあった。
ここでフユ(猫背椿)が直美に「ずるい女ね」と言うのもよかったし、それに対して直美が「ずる賢い女って言ってくれます?」と返すのもよかった。直美は自分がどういう人間かをかなり客観的に分かっている。そこが面白いし、敵に回すと厄介だが味方だとかなり心強い人物になってきたと思う。
一方で千佳子の病室では、息子の行彦が現れて母を心配する。手術をすれば治る見込みは半分もない、でも手術をしなければその半分すらない。千佳子がわがままを言っているわけでも、ただ機嫌が悪いわけでもないのだと夫に語る場面はかなり大きかった。ここでようやく、千佳子の苛立ちや拒絶の奥に、ちゃんとした恐怖と不安があるのだと見えてくる。しかもそれが乳房を失うかもしれない手術である以上、本人にしか分からない痛みや恐れがあるのだろうと思った。
しのぶ(木越明)、多江(生田絵梨花)、喜代(菊池亜希子)が着替えているところへ直美がりんを探しに来て、「りん」と呼び捨てにしているのに気づき、二人の仲の良さを羨ましがる流れ。そこから多江、喜代、しのぶが呼び捨てで呼び合い始め、さらにトメ(原嶋凛)がおんぶしてきたゆき(中井友望)まで自然に呼び捨てになるのがすごく良かった。ここはかなりほっこりしたし、この仲間たちの間に身分や立場ではない絆ができてきたのがはっきり見えた。
木に腰掛けて落ち込んでいるりんと直美の場面も、今回の中心だったと思う。直美は、自分は肌が強くてぴっかぴかだから肌の弱い人の気持ちは分からないとりんに言い、りんも負けじと自分の肌を見せるが「これシミじゃない?」と返される。このあたりのやり取りは軽くて面白いが、その先の会話はかなり大事だった。直美は、背中がかゆくて眠れないことはない。りんは、乳がんの患者の本当の気持ちなんて分からない。ここで二人は、どうやったって患者と同じ気持ちにはなれない、という結論にたどり着く。
でも、その先で「看護婦として患者の気持ちを分かる、分かるように努める」と整理できたのが大きかった。これはかなりいい到達点だったと思う。分かると言い切ってしまう傲慢さでもなく、分からないから諦めるでもない。その間で、分かろうとし続ける。今回はそこにたどり着いたのが良かった。
そのあと、暗くなって帰ろうとする二人のところへ、多江、喜代、しのぶ、ゆき、トメの五人が夕飯を持って現れる流れもすごく良かった。みんな、落ち込むとここに来る、りんがここにいることもすぐ分かったと言う。りんが「勝手に押しかけてきて、勝手に一緒にいてくれて、心強い」と言うのもいい言葉だった。かなり好きな場面だったし、このチームが本当に出来てきたのだと思った。
そしてその一方で、りんは「千佳子が今、一人で寂しくないのだろうか」と気にしている。ここで終わるのがかなり良かった。仲間たちに支えられたことで、りんが改めて千佳子の孤独へ思いを向ける流れになっていたからだ。
藤田先生の気を良くし、働く環境を整える直美ですが、
看護婦見習いの直美と看病婦のフユとの雲行きもあやしげです。👇ズルい女?https://t.co/TYrKXtIWs5
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直美はやはり「ずる賢い」。でも、それを自覚して使っているのが強い
今回の直美はかなり良かった。藤田をうまく操るところも、丸山を逆手に取るところも、フユに言われた「ずるい」を「ずる賢い」に言い直させるところも、全部含めて直美らしい。この人は人の反応を見て、どう動かせば目的に届くかを本当によく分かっている。
それが危うさにもつながるのだが、今はまだその力が患者や仲間のために使われているのが大きい。だから、かなり頼もしく見えるようになってきた。
看護婦見習たちは、もうかなり強いチームになってきている
今回の呼び捨ての流れや夕飯のシーンを見ると、この仲間たちはもうかなり強い。養成所の最初の頃のぎくしゃくした感じはほとんどなくなり、今はちゃんと同じ方向を向く仲間になっている。身分も性格も違う人たちが、ここまで自然に一緒にいられるようになったのはかなり大きい。
「勝手に押しかけてきて、勝手に一緒にいてくれて、心強い」というりんの言葉も本当に良かった。この関係性はこの作品のかなり大きな魅力になってきたと思う。
千佳子の孤独にどう近づくのかが、いよいよ本題になってきた
千佳子については、本人にしか分からない不安や恐怖があることが今回かなりはっきりした。乳がんかもしれない、手術を受けるかもしれない、その先に何が残るのかも分からない。そんな状態で「気持ちは分かる」と言われても腹が立つのは当然だろうと思う。
だからこそ、りんと直美がたどり着いた「同じ気持ちにはなれない。でも分かるように努める」という考え方が、ここからどう生きるのかがかなり気になる。いよいよ本当に千佳子の看護が始まる感じがした。
みんなで名前を呼び捨てで呼んでみた。
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まとめ
2026年5月19日放送の『風、薫る』第37回は、患者の気持ちは本人にしか分からない、という当たり前だが重い事実に、りんと直美が正面から向き合った回だった。そのうえで、「分かるように努める」という看護婦としての立ち位置に少し近づいたのが大きかった。
また、看護婦見習たちの間に地位や身分を越えた絆が育ってきているのもかなり気持ちが良かった。千佳子の心をどう理解し、どう近づいていくのか。そこへ向けて仲間たちが同じ方向を向き始めたことも含めて、かなり楽しみになる回だったと思う。
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