朝ドラ『風、薫る』第18回感想・ネタバレ|直美がようやく「自分を偽るだけではだめだ」と気づいたのに、最後が重すぎた

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2026年4月22日放送の『風、薫る』第18回は、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)がそれぞれ別の場所で、自分の中にある思い込みや偽りを突きつけられる回だった。りんは島田(佐野晶哉)との対話の中で、自分が本当に迷っているものの正体に少し近づく。一方、直美は小日向栄介(藤原季節)だと思っていた男の正体が詐欺師だったことで、自分のやろうとしていたこともまた、同じように「自分を偽って他人を利用すること」だったのだと気づかされる。

今回はかなり重要な回だったと思う。特に直美にとっては、自分のやり方が行き止まりだとやっと思い知る回だった。その分だけ最後の環(宮島るか)がさらわれる展開は重く、せっかく少し前へ進みそうになったところで、また大きな不安を突きつけてきた感じがあった。

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第18回のポイント

  • りんは島田にナースになることへの迷いを打ち明け、その本音を見抜かれる。
  • 島田はりんを見張る男の存在にも気づき、追い払う。
  • 直美は小日向の正体が詐欺師だったと知り、自分自身の姿も重ねてしまう。
  • 直美は捨松(多部未華子)に嘘を詫び、鹿鳴館を辞めたいと申し出る。
  • ラストで環が何者かにさらわれる。

個人的に印象に残ったこと

今回まず印象に残ったのは、りんが島田にナースになることへの迷いを相談する場面だった。ここで島田がただ背中を押すのではなく、かなり核心を突いてくるのがよかった。家族のことが気がかりなのか、それともナースになれば再婚が難しくなるという、自分の中の偏見に引っかかっているのか。これはかなり鋭い問いだったと思う。

りん自身は、たぶん最初は環や美津たちのことを理由にしていたのだろう。でも島田の言葉で、自分の中にも「看病を仕事にする女」への偏見が残っていることに気づいたのかもしれない。捨松が「社会の方がおかしい」と言っていたことに感銘を受けていたのに、りん自身もまた、その社会の価値観をまだ完全には振り払えていない。そこが見えたのが今回かなり大きかった。

島田の語る、自分が病弱で部屋で本ばかり読んでいたこと、世の中からはじき出されたような孤独、そして夜中に看病に来てくれたおばさんの冷たい手の感触の記憶も印象的だった。役に立たない言葉ばかり詳しくなったという言い方は島田らしいが、その奥にはちゃんと「看病される側」の体験がある。だからこそ、りんの迷いに対しても、ただ理屈だけではなく身体感覚のある言葉を返せるのだろうと思った。

そして島田が、りんを見張るような男の存在に気づいて追い払う場面もよかった。今までの島田は少し思想が強めで、何者でもないことにこだわる変わり者として見えていたが、今回はちゃんと頼れる人物としても見えた。りんが感謝するのも自然だったし、対話によってもやもやの正体が少し見えたことも含めて、りんにとってかなり大事な時間だったのだと思う。

一方の直美は、かなりきつい現実を突きつけられた。小日向だと思っていた男は詐欺師で、直美に近づいたのも鹿鳴館へ出入りするためだけだった。しかも、その男は直美の嘘も見抜いていて、詐欺師だから下手な嘘は分かると言う。ここは本当にきつかった。結局、直美は「いい条件の男をつかまえよう」としていたし、相手は「鹿鳴館に入るために使える女を探していた」。目的は違っても、やっていることの構造は似てしまっていたのだろうと思う。

だからこそ、直美が激しく怒るのも分かる一方で、小日向をどこまで責められるのかという複雑さも残った。親のいない子が石を投げられる、見下される、と怒鳴る言葉は本音だろうし、その傷は本物だ。でも同時に、直美自身も「自分を偽って条件のいい結婚に近づく」ということをしようとしていた。その意味で、今回の出会いはかなり皮肉だったと思う。

ただ、小日向のような詐欺師に引っかかったからこそ、直美は引き返せたのかもしれない。もし相手が本当に条件のいい軍人で、そのままうまく話が進んでいたら、直美は自分のやっていることの危うさに気づかずに進んでいたかもしれない。そう考えると、今回の失敗はかなり痛いけれど、必要な失敗でもあったのだろうと思う。

本名は寛太で、小日向でも何でもないと明かす男に、直美は自分の本名も親の顔も知らないと打ち明ける。この場面は苦しかった。ここで初めて、直美は相手を責めるだけではなく、自分がどれだけ「何も持たない人間」だと思っているのかを露わにした気がする。どれだけ着飾っても、自分を偽っても、本当の自分に戻れば何もない。その閉塞感が今回かなりはっきり見えた。

そのあと捨松に嘘を詫び、「自分から打ち明けなければ詐欺師と同じになってしまう」と言うのもよかった。ようやく直美が、自分のやろうとしていたことを正面から見た感じがあった。鹿鳴館を辞めたいと申し出るところまで行ったのも大きい。ここで初めて直美は、「どうやってうまく立ち回るか」ではなく、「自分はどうありたいか」の方へ少し向き直ったのかもしれない。

りんの迷いは、家族だけの問題ではなく、自分の中の偏見との戦いでもあった

今回のりんでよかったのは、迷いの正体が少し整理されたことだった。環や美津たちの存在はもちろん大きい。でも、それだけではなく、看病を仕事にする女への世間の見方や、自分の中に残る偏見もまた、りんを止めていたのだろうと思う。

そこを島田に言い当てられたのはかなり大きい。りんは自分ではもっと「家族思いだから迷っている」と思っていたかもしれないが、実際にはもっと複雑だった。そのもやもやを言語化できたことで、次に進むための準備が少し整った感じがした。

直美はようやく「詐欺師になりきる前」に踏みとどまれたのだと思う

今回の直美はかなり痛かった。でも、その痛さがあったからこそ、ようやく引き返せたのだろうと思う。もしこのまま嘘を重ねて、相手を騙し、自分も騙しながら結婚まで進んでいたら、たぶん直美はもっと苦しくなっていた。

だから今回のケースは、上手くいかなかったことが逆によかったのかもしれない。自分のしていたことが詐欺師と変わらないと気づけたし、まだ引き返せる場所にいた。直美にとってはかなり大きな転機だったように思う。

「何者でもない自分」に耐えられない苦しさが、りんと直美に共通している

今回見ていて思ったのは、りんも直美も、結局は「何者でもない自分」に耐えにくいのだろうということだった。りんは母であり、妻であり、働く女であり、ナースになるかもしれない人でもある。そういう役目の中で自分を支えてきた。直美もまた、お嬢様のふりをしたり、鹿鳴館での立場を手に入れたりしながら、自分を何者かにしようとしていた。

でも、その偽りや役目が剥がれた時、自分には何もないと感じてしまう。そこが二人に共通しているのかもしれない。だからこそ、この先のトレインドナースという道が、「何者かになるため」なのか、「自分のままで生きるため」なのか、そのあたりがかなり重要になってきそうだと思った。

第18回は、ようやく直美にも「考えを改めるきっかけ」が来た回だった

これまで直美はかなり共感しにくいキャラクターでもあった。嘘をつき、立ち回り、条件のいい相手を探す。そのしたたかさは分かるが、応援しにくさもあった。でも今回は、そのやり方が自分自身を壊しかけていることに気づいた。ここはかなり大きいと思う。

ここから、自分を偽る方向ではなく、自分の力で生きる方向へ進めるのか。今回の失敗がそのきっかけになるなら、ようやく直美も見方が変わってくるかもしれない。

まとめ

2026年4月22日放送の『風、薫る』第18回は、りんと直美がそれぞれ自分の中の思い込みや偽りに向き合わされる回だった。りんはナースへの迷いの奥にある偏見に気づき、直美は自分のやっていたことが詐欺師と地続きだったと知る。どちらも痛いけれど、大事な気づきだったと思う。

その意味ではかなり重要な回だったが、最後に環がさらわれる展開は重すぎた。せっかくそれぞれが自分の足元を見始めたところで、また次の大きな不安が来る。この重さを越えた先に、本当にトレインドナースへの道が開けてくるのか。第18回は、かなり苦しいが見逃せない回だった。

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