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2026年4月20日放送の『風、薫る』第16回は、ようやくこの物語が本格的に「トレインドナース」へ向かって動き出した回だった。ここまで長く、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)がそれぞれ別の場所で苦しみ、迷い、寄り道しながら進んできたけれど、今回ついにその経験が一本の線につながったように感じる。
炊き出しの現場で、誰もがためらう中、とっさに子どものそばへ駆け寄ったりんと直美。その行動を見ていた捨松(多部未華子)が、二人に「trained nurse」にならないかと声をかける。この流れはかなり熱かった。これまでの重さやもどかしさが長かったぶん、ようやく「この話はここへ向かうのか」と思える回だった。
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第16回のポイント
- 炊き出しの場で、りんと直美は再会する。
- 鹿鳴館の婦人たちは炊き出しに不慣れで、現場はぎこちなく進む。
- 倒れた子どもに対して、とっさに動いたりんと直美の姿を捨松が見ていた。
- 捨松は二人に、トレインドナース養成所への参加を勧める。
個人的に印象に残ったこと
今回まずよかったのは、りんが炊き出しを手伝いに来て、そこで直美とまた顔を合わせる流れだった。直美は教会とのつながりが鹿鳴館の婦人たちに知られないよう、必死にりんへ口止めする。その様子を見ていた吉江(原田泰造)が事情を察して、わざと初対面のようにふるまうのもよかった。かなりぎこちなくはあったけれど、あそこで直美を守る側に回れる吉江はやっぱりいい人だと思う。
捨松がりんのことを那須で会った人間だと覚えていたのも印象的だった。鹿鳴館でどれだけ多くの人と接しているだろうに、あの時ほんの短く会ったりんをきちんと記憶している。それだけ捨松は、人をただ流して見ているのではなく、ちゃんと印象ごと掴んでいる人なのだろうと思った。
炊き出しの場面もかなりよかった。鹿鳴館の婦人会の側は不慣れで、段取りも悪く、がっついておにぎりを取っていく人々に戸惑っている。一方で直美は、慣れた様子で人を並ばせ、落ち着かせ、場を回している。ここだけ見ると本当に仕事ができる人間に見えるし、実際にそうなのだろうと思う。ただ、その“仕事ができる”の中に、炊き出し経験者としての現実もにじんでいるのが、この作品らしい苦さでもあった。
そして、子どもが炊き出しを食べて吐き出す場面。夫人たちはコロリかもしれないと恐れて動けない。その中で、りんが迷わず駆け寄り、直美も水を持ってすぐ動く。この二人の反応は本当によかった。今までいろいろ不満やもどかしさもあったけれど、ここでは素直に「この二人はすごい」と思えた。考えて動いたのではなく、体が先に動いている感じがある。たぶん二人にとっては、それが“当然”だったのだろう。だからこそ強い。
もっとも、その自己流の手当てを捨松が止めて、具体的に処置や吐しゃ物の処理方法を指示する流れもよかった。ここで初めて、「善意で動けること」と「正しい知識を持って看護できること」は別なのだと見せてくる。しかも捨松自身も手当てに加わろうとし、直美が「おやめください! 奥様がそのようなこと……」と止めた時に、「病人を前にして、立場など関係ありません!」と言い切るのが本当に格好よかった。
今回の捨松はかなりよかった。これまで少し打算的にも見えるところがあったけれど、今回ははっきりと芯が見えたと思う。看病する人たちが蔑まれることへの怒りもそうだし、トレインドナースという存在を日本に作ろうとする意志もそうだし、りんと直美に向かって「自分の夢のために力を貸してほしい」と頼めるところもよかった。上から命じるのではなく、必要な人材としてきちんと頭を下げている。ここがすごくよかった。
トレインドナースの説明の場面も、この作品がようやく本題に入った感じがあった。日本にはまだいない職業だから、りんが「いないものになれということか」と驚くのも自然だし、直美が「日本では他人の看病は貧しい人がお金を得るために危険をおかしてする仕事だ」と言うのも、その通りなのだろうと思う。そこに対して捨松が、「どうして、看病する人たちが蔑まれなければならないのですか?」と憤るのも力強かった。
授業料や寮生活の話も現実的でよかった。りんはすぐに、自分には環(宮島るか)と母と妹がいて、自分が働かなければならないから無理だと答える。ここがりんらしいし、きれいごとに飛びつかないのもよかった。そこへ捨松が、ナースは女でも自分の力で生きていける給金であり、授業料も後から返せると説明する。そして月30円という数字が出てきた時のりんと直美の反応も分かりやすかった。マッチ工場の3年分、という直美の言葉だけで、その額の大きさが伝わってきた。
そして何よりよかったのは、なぜ自分たちなのかという問いへの答えだった。直美には「当然のように弱いもののそばに立てる人」だと感じたこと。りんには「とっさに誰より早く男の子に手を差し出したこと」は、やろうと思ってできることではない、と認めたこと。つまり、捨松は二人の“知識”ではなく、“行動”を見ていたのだ。ここはかなりよかった。
誰もが恐れて動けなかった場面で、とっさに動けたこと。それは訓練ではまだ得られない資質なのだろうし、だからこそ捨松は二人を選んだのだと思う。ここにようやく、りんと直美がこの物語で選ばれる理由がきちんと見えた感じがした。
最後に、りんが家へ帰ったところで、外に見張るような男の姿が映るのも不穏だった。せっかく前へ進みそうなのに、まだ過去が簡単には手放してくれない。ここはさすがに嫌な予感しかしないが、それでも今回のラストは不安より期待の方が少し勝っていた。
捨松:
「trained nurse(トレインドナース) になりませんか?」
「訓練されたnurse(ナース)という意味です」捨松に提案を受けたりんと直美。https://t.co/WBqnkwLyW4
👆見逃し配信はNHK ONEで見上愛 上坂樹里 多部未華子 pic.twitter.com/buhmZuNLRd
— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) April 19, 2026
捨松は、ようやく視聴者が素直に乗れる「推進力」になってきた
今回かなり大きかったのはここだと思う。これまでの『風、薫る』は、テーマは分かるのに、登場人物たちの打算や嘘や寄り道が前に出て、気持ちよく乗り切れない部分があった。でも今回は、捨松がはっきりと「何をしたいのか」を語り、そのために誰を必要としているのかも明確に示した。
病人の前に立場は関係ない、看病する人が蔑まれていいわけがない、自分は社会を変えたい。ここまで言い切ってくれると、ようやく視聴者としても「この人の夢がどう実現するのか見たい」と思いやすい。物語の推進力として、かなり大きな存在になってきたと思う。
りんと直美の「とっさの行動」が、ようやく肯定されたのがうれしかった
これまで二人は、それぞれ危うさも欠点もかなり見せてきた。でも今回の炊き出しの場面では、その危うさとは別の良さがちゃんと光っていた。誰も動けない場面で動けること。弱っている人の側へ自然に行けること。それを見ていてくれる人がいたこと。
この「見るべき人が見ていた」という感覚はかなり気持ちがよかった。二人にとってはたぶん、深く考えた行動ではなかったのだろう。でも、そういう無意識の優しさや行動力こそが、人生の転機になる。そこが今回すごくよかった。
4週目にして、やっと「この物語はここへ行くのか」と思えた
正直、ここまでかなり長かったと思う。重い回も多かったし、テーマが前に出すぎて息苦しい感じもあった。でも第16回でようやく、「トレインドナース」という物語の中心がきちんと立ち上がった感じがする。
しかもそれが、ただ設定として出てきたのではなく、二人の性格や経験とちゃんと結びついているのがよかった。ここから先は、ようやく「どう成長していくのか」を楽しみに見られそうな気がする。
まだ不安はあるが、今週から本当に巻き返せるかもしれない
もちろん不安が消えたわけではない。りんの家の外にいた男もそうだし、現実的に寮生活に入れるのか、家族の問題はどうするのか、簡単には進まないだろう。でも、それでも今回はちゃんと「続きが気になる」と思えた。
やっと、ここまで積み上げてきたものが前向きな変化につながりそうなところまで来たのだと思う。
まとめ
2026年4月20日放送の『風、薫る』第16回は、りんと直美の人生が本格的にトレインドナースへ向かって動き出しそうな回だった。炊き出しの現場で二人が見せた行動力を、捨松がきちんと見ていたこと。そして、その資質を「自分の夢のために貸してほしい」と頭を下げて頼んだこと。この流れはかなりよかった。
4週目にしてようやく、物語が大きく前へ進みそうな手応えが出てきた。まだ不穏な影は残っているが、それでも今回は素直に「ここから面白くなりそうだ」と思えた回だった。
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