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2026年4月21日放送の『風、薫る』第17回は、りん(見上愛)も直美(上坂樹里)も、それぞれ進む道が見えかけているのに、まだ最後の一歩を踏み出しきれない回だった。トレインドナースという新しい道が示されても、りんの前には美津(水野美紀)の強い反対が立ちはだかる。一方の直美も、小日向栄介(藤原季節)との結婚へ向かう流れの中で、それが本当に自分の幸せなのかを吉江(原田泰造)との対話の中で揺らし始めている。
今回は大きな出来事が起きたというより、二人の心がどこで引っかかっているのかが見えた回だったと思う。だから派手さはないけれど、今後を考えるうえではかなり大事な回だった。
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第17回のポイント
- りんは美津にトレインドナースの話をするが、強く反対される。
- りんは信右衛門を救えなかった後悔と、環(宮島るか)に何もしてやれない不安を抱えている。
- 直美は小日向との関係を進めつつも、吉江との会話の中で迷いをにじませる。
- 環の熱が下がり、りんは少し安堵する。
個人的に印象に残ったこと
今回まず印象に残ったのは、りんがトレインドナースの話を美津にした時の反応だった。一ノ瀬家の人間がお金欲しさに、娘を置いて寮に入り、病人の面倒を見る下女になるなんて恥を知りなさい、と頭ごなしに否定する。やはり美津の中では、「一ノ瀬家」という名前の重みがまだ圧倒的なのだと思った。どれだけ現実に暮らしが苦しくても、家の誇りや格を捨ててまで生きる道は受け入れがたいのだろう。
ただ、見ている側からすると、そこまで過去の家格にしがみついても今の生活は楽にならないだろう、という気持ちにもなる。りんはもっと現実を見ているし、「普通に生きる」ことにそこまで抵抗はなさそうなのに、美津の価値観がその歩みを止めてしまっている。ここはかなりもどかしかった。
一方で、りんがナースの道を考える理由が、単なる高給や安定の話ではないことがはっきりしたのはよかった。信右衛門がコロリで倒れた時、自分では何もできなかった。トレインドナースが看病していたら、父は生きていたかもしれない。さらに今も、熱を出した環に何をしてやればいいのか分からない。その無力感が、りんの中でずっと残り続けていたのだと思う。
ここはかなり大事だった。りんにとってトレインドナースは、ただの就職先ではなく、「あの時できなかったこと」を埋めるための道でもあるのだろう。だからこそ、今回の迷いには重みがあった。ただ環と離れて寮生活に入ることを思うと、簡単には決められない。それでも、この道に心が動いてしまう。りんの中での葛藤がよく分かる回だった。
環が熱を出している場面も印象に残った。美津が焼いたネギを首に巻く民間療法を持ち出してくるのは、今見ると本当に効くのかと首をかしげたくなるが、美津にしてみればそれが自分の持っている看病の知恵なのだろう。りんはそういう昔ながらのやり方と、捨松(多部未華子)が示した新しい看護の知識のあいだで立っている。ここにも時代の変わり目が出ている気がした。
直美の方は、今週に入ってからかなり揺れているように見える。小日向に通行証がないのを見て便宜を図るのも、今までの直美らしいしたたかさではある。ただ、それが大事にならないか心配になるような危うさもある。自分にとって得になる方向へ動くことにためらいはないけれど、その積み重ねがいつか足元を崩すのではないかという不安がずっとある。
そんな中で、今回いちばんよかったのは吉江との会話だった。鹿鳴館のような立派な場所で働けるのはすごいことだと、まずは直美を肯定してくれる。そして、どうして牧師になったのかと聞かれても、難しく構えず、人を助けているようで自分が救われているのかもしれないと素直に語る。この人は本当にいい人だと思う。理想を押しつけず、まず相手を受け止めてくれる。
だからこそ、吉江の言葉は静かに効いてくる。炊き出しの時の直美を「本当に知らない人に見えた」と返すところも、かなり本質的だった。つまりあの時の直美は、自分の知っている直美ではなかったのだということだろうし、結婚についても「それが本当の幸せならば」と言うことで、表面上は祝福しつつ、でも本当にそれでいいのかを直美自身に問い返している。押しつけがましくないのに、かなり核心を突いているのがすごい。
今回のりんと直美を見ていると、相談相手によってこんなにも違うのかと思わされる。りんは美津に頭から否定され、ますます身動きが取れなくなる。一方で直美は、吉江に受け止められることで、逆に自分で考えざるを得なくなる。どちらが幸せかは一概に言えないが、少なくとも後者の方が、自分の答えには近づけそうに見えた。
吉江:「人を救っているようで、私が救われてるのかもしれませんね」
このシーンの見逃し配信はNHK ONEでhttps://t.co/7NLACLxDFo
上坂樹里 原田泰造 pic.twitter.com/YaBqJ9JX6K
— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) April 20, 2026
りんの迷いは「環と離れたくない」と「何もできない自分を変えたい」の間にある
今回のりんは、かなりはっきりした動機を持っていたと思う。父を救えなかった後悔、環を前にしても何もできない無力感。ナースの道に惹かれる理由は十分にある。だから「やりたい」の気持ちは本物なのだろう。
ただ、その一方で幼い環を置いて寮へ入ることの重さもある。ここがりんの迷いの中心なのだと思う。自分が変わるために娘と離れるのか、それとも娘のそばにいるために今のままでいるのか。どちらを選んでも痛みがあるからこそ、簡単には決められない。今回のりんは、その迷いがすごく人間的だった。
美津は反対しているというより、自分の世界を守ろうとしているのかもしれない
美津の反対はかなりきつかったが、ただ意地悪で言っているわけではないのだろうとも思う。美津にとっては、「一ノ瀬家」の名前や、女が守るべき体面こそが、今まで自分を支えてきた世界そのものなのかもしれない。それを娘が自分から捨てようとしているように見えるから、余計に許せないのだろう。
でも、その世界はもう時代に合わなくなっている。だからこそ、いずれ美津も変わる必要があるのだと思う。今はまだその途中で、いちばん厄介な形で立ちはだかっているのがつらいところだ。
吉江は「答えを与えない優しさ」を持っている
今回の吉江は本当によかった。何かを強く勧めるわけでもなく、直美を裁くわけでもなく、ただ受け止めたうえで、本当にそれが幸せなのかを直美自身に考えさせる。こういう関わり方ができる大人は強いと思う。
だから直美も、吉江の前では少し揺らぐのだろう。自分の選んだ道を肯定してほしいだけなら、もっと都合のいい相手はいくらでもいるはずだ。でも吉江はそうはしない。優しいのに甘やかさない。この距離感がすごくよかった。
第17回は、二人ともまだ「決断の手前」にいることを見せた回だった
今回は大きく何かが進んだわけではない。でも、りんも直美も「もうこのままではいられない」と分かっていながら、まだ最後の決断までは届いていないことがよく見えた。だから物語としては少し停滞して見えるかもしれないが、この迷いをちゃんと描いたのは必要だったと思う。
ここを飛ばしてしまうと、選択が軽く見えてしまう。だから今回は、静かだけれど重要な回だったように思う。
まとめ
2026年4月21日放送の『風、薫る』第17回は、りんも直美も、それぞれ新しい道の手前で迷っていることがよく分かる回だった。りんは父を救えなかった後悔と、環と離れたくない気持ちの間で揺れる。直美は結婚という道へ進みかけながら、それが本当に自分の幸せなのかを問い返される。
相談する相手によって、向き合い方がここまで違うのも印象的だった。頭ごなしに反対する美津と、受け止めたうえで問いを返す吉江。今回はその対照も含めて、二人がまだ決めきれない理由を丁寧に見せた回だったように思う。
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