朝ドラ『風、薫る』第36回感想・ネタバレ|千佳子の心にどう近づくのか。りんと直美の「二人一組」が本格的に始まった

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2026年5月18日放送の『風、薫る』第36回は、先週ラストの直美(上坂樹里)の一言の真意が明かされ、りん(見上愛)と直美が本格的に「二人で一人前」のような形で千佳子(仲間由紀恵)の看護に向き合い始める回だった。前回の終わり方だけ見れば、直美がりんを突き放したようにも見えたけれど、実際にはそうではなかった。むしろ、直美はかなり危ういやり方ではあるが、りんに賭けたのだと分かる。

そのうえで今回印象的だったのは、千佳子がやはり簡単な相手ではないことだった。病気への不安、乳房を患うことへの恐怖、身分ゆえの気位、慣れない入院生活。そのどれがどの程度なのかはまだはっきりしないが、少なくとも「ただのわがままな華族の奥様」と片づけるには無理がある。だからこそ、りんの「心に触れる看護」がどこまで通じるのかが問われる回だったと思う。

前回の感想記事はこちら

朝ドラ『風、薫る』第35回感想・ネタバレ|看護の形が少しずつ見えてきた中で、最後の直美の一言が重かった
2026年5月15日放送の『風、薫る』第35回は、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)が、それぞれ違う形で患者に向き合えるようになってきたことが見えてくる回だった。りんは対話を通じて患者の気持ちをほぐし、直美は厳しさも込みで患者を動かしていく。...

第36回のポイント

  • 先週の直美の発言は、バーンズ先生(エマ・ハワード)の言葉をそのまま訳したものだった。
  • 直美はさらに意味をずらした通訳で、りんに千佳子の看護を任せる流れを作る。
  • りんは千佳子の看護に入るが、問いかけも接触も拒まれ、病室を追い出される。
  • 寮では生徒たちが皆で理由を考え、りんは「患者と同じ気持ちになる」ことに気づく。
  • それでも翌日、千佳子に「気持ちは分かる」と言ったことで、逆に反発を招く。

個人的に印象に残ったこと

今回まず印象に残ったのは、先週ラストの直美の「一ノ瀬りんには、まだ、侯爵夫人の看護をする技量はありません。」という言葉が、直美自身の本音ではなく、バーンズ先生の言葉をそのまま通したものだったと分かったことだった。前回あれだけ重く終わったので、まずそこが整理されたのはよかった。

ただ、そのあとが直美らしかった。バーンズ先生の「りんに看護させ、何かあれば養成所のせいにする気です」というかなり直接的な英語を、多田重太郎(筒井道隆)たちには「華族の奥様の看病など恐れ多いと固辞されています」と、まったく違う方向に訳して伝える。ここはやはりかなり危うい。でも同時に、ただ機械的に訳すだけでは何も動かない場面で、直美はあえて現実を動かすための訳を選んでいるのだとも感じた。

さらに、上手くいけば実習生の手柄になるから、りんにやらせてみたらどうかとバーンズ先生に提案するのもよかった。りんは家老の娘でもあり、患者を怒らせ、笑わせ、心に触れる看護ができるかもしれない、という見立てもかなり鋭い。単なる思いつきではなく、園部(野添 義弘)の件も含めて、りんの強みをちゃんと見ているのだと思った。

その流れで、りんが「やらせてください」と答えると、バーンズ先生が天を仰ぐのも少し面白かった。直美の危うい策も含めて、やはりこの二人はかなり扱いづらくも面白い見習いなのだろう。

ここでバーンズ先生が、りんだけでなく直美の言葉を信じたのだと言い、「言葉には責任が伴うから、患者のために二人で協力しなさい」と命じるのもよかった。今までも二人のバディ感は出てきていたが、今回はそれが明確に「役割」として与えられた感じがあった。

一方で、黒川勝治(平埜生成)が本当に大丈夫かと気にしているのに対し、藤田邦夫(坂口涼太郎)が「問題が起きたら梅岡看護婦養成所に責任を取らせればいい」と企んでいるのはかなり嫌な感じだった。藤田はやはり、見習いたちを育てる気はなく、失敗の証拠を待っているように見える。この人は今後もかなり大きな壁になりそうだと思った。

千佳子の病室でのやり取りも印象的だった。りんは女中ではなく看護婦見習だと名乗り、まずシーツ交換をしてみせる。そして千佳子の読んでいた『源氏物語』の「御法」に気づき、「すてきなものをお読みですね」と声をかける。このあたりはかなりりんらしい。いきなり病気の話ではなく、相手の興味や気持ちの入り口を探ろうとしている。

でも、脈を取ろうと腕に触れた瞬間に嫌がられ、体温測定も後回しにされ、問診にも答えてもらえない。代わりに答えるのは女中頭の武野(円城寺あや)で、りんは患者本人に近づけない。そして「今日のお通じはいかがですか?」と聞いたところで「無礼者! 恥を知りなさい!」と激怒され、追い出されてしまう。ここは見ていてかなりきつかった。看護として当然必要な確認なのだろうが、千佳子の立場や感覚からすると、そこまで踏み込まれること自体が耐えがたかったのだろうと思う。

その様子をヨシ(明星真由美)がほくそ笑むのもかなり嫌だったが、同時に現場の看病婦たちからすれば「だから言ったでしょう」という感覚なのかもしれないとも思った。

寮での場面はかなりよかった。りんが何もさせてもらえないと嘆くと、皆が理由を探る。誰かに触れられるのが嫌なのではないか、ましてや胸となると、というところまで考えが及ぶのがよかった。ここで、皆で話し合う中で「患者と同じ気持ちになってみる」という方向へりんが気づくのもよかったし、養成所の生徒たちがちゃんと集団として機能している感じもあった。

ただ、その翌日にりんが「奥様のおつらい気持ちはよく分かります」と言ってしまい、千佳子に「気持ちが分かるなんてたやすく言わないでちょうだい」と枕を投げつけられるのは重かった。これもかなり自然だったと思う。りんは寄り添おうとしているのだが、寄り添おうとする言葉ほど、相手には浅く聞こえることがある。特に千佳子のように、自分の体と身分と将来への不安を一人で抱えている人にとっては、「分かる」と言われること自体が腹立たしいのだろうと思った。

直美はやはり危ういが、今はまだ「誰かのため」にその危うさを使っている

今回の直美はかなり直美らしかった。普通なら正確に訳すべきところを、現実が動くように言い換えてしまう。その危うさは相変わらずだと思う。ただ、今のところそれが自分の利益のためではなく、りんや看護婦の未来のために使われているのが救いなのだろう。

でも、やはりこのやり方はいつか大きな綻びを生む気もする。だから今回の直美は頼もしくもあり、不安でもある。その両方を同時に感じさせる存在だった。

りんの「心に触れる看護」は、相手が心を閉ざしている時こそ難しい

園部の時もそうだったが、りんの強みは会話や雰囲気を通して相手に近づくところにあるのだと思う。でも、千佳子のように明確に距離を置き、言葉さえ拒む相手には、その強みがまだうまく機能しない。だから今回のりんは、強みがあるからこそ、そこが通じない相手の前で立ち止まっているように見えた。

この先、園部で得た経験がどう生きてくるのか。あるいは、りん自身が「話すこと」以外の関わり方を学ぶのか。そこがかなり気になるところだ。

千佳子はわがままなのではなく、まだ不安の置き場がないだけなのかもしれない

今回の千佳子はたしかにきつい。でも、それを単純にわがままと切り捨てたくはないと思った。乳がんの疑いがあり、成功率の低い手術を受けるかもしれず、しかも身分が高いからこそ、弱さを見せる場所も少ない。そう考えると、窓の景色や看病婦の態度にいちいち引っかかるのも、全部不安の表れなのかもしれない。

だからこそ、この人に本当に必要なのは、病気の説明だけでも、上等な病室でもなく、「不安を言葉にしなくても受け止めてもらえる感覚」なのではないかと思った。

第36回は、看護の技術より「心への近づき方」が問われた回だった

今回はシーツ交換や薬の塗り方のような技術の話ではなかった。相手の心の閉ざし方をどう観察し、どう距離を測るか。まさに observe の延長線上にある問いだったと思う。

だからこそ、りんと直美の二人一組がどう機能するのかが重要になってきそうだし、次回以降かなり面白くなりそうな手応えがあった。

まとめ

2026年5月18日放送の『風、薫る』第36回は、千佳子という難しい患者を前にして、りんと直美の「二人一組」が本格的に試され始めた回だった。直美は危うい形ではあっても、りんに賭けた。りんは対話で心に近づこうとしたが、千佳子にはまだ通じない。その難しさがかなり丁寧に描かれていたと思う。

ただ、生徒たちが皆で理由を考え、少しずつ看護の輪郭を掴んでいく様子はかなり気持ちがよかった。第36回は、技術ではなく「心にどう近づくか」が問われる、本格的な看護ドラマらしい回だったように思う。

『風、薫る』感想まとめはこちら

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