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2026年5月1日放送の『風、薫る』第25回は、ここまでずっと刺々しく、人を拒み続けてきた直美(上坂樹里)が、ようやく自分の弱い部分を言葉にし、養成所の空気も少しずつまとまり始める回だった。前回までは、りん(見上愛)と直美がぶつかり合うことで緊張感が生まれていたが、今回はその先が描かれたのがよかった。ただ仲直りした、という単純な話ではなく、互いの「正しさ」の違いを抱えたまま、それでも同じ場所で学んでいくための土台が少しできた感じがある。
そして最後には、ついにバーンズ先生が登場する。ようやく本当に看護を教える人が現れたことで、養成所編が次の段階に入るのだという感じがはっきりした回でもあった。
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第25回のポイント
- 門限破りの罰として、りんと直美は清掃を命じられる。
- りんは直美のそばに残り、直美はついに自分の出自を打ち明ける。
- 一期生たちは「observe」の意味を共有し、少しずつまとまり始める。
- バーンズ先生がついに登場し、物語は次の段階へ進みそうな気配を見せる。
個人的に印象に残ったこと
今回まず印象に残ったのは、門限に間に合わなかった罰として、りんと直美が寮の清掃を命じられている場面だった。直美は、先生も他のみんなも寝ているのだから分かりやしないと、あっさりサボろうとする。いかにも直美らしい反応だと思った。ルールがあると分かっていても、それを守ること自体に価値を感じていないし、見つからなければいいという発想の方が先に来る。
でも、そこでりんが一人で掃除に戻るのではなく、「うそとかズルとかが嫌いであっても、今ここで直美を一人にして置いていく方が間違いだと思う」と言って横に座るのがよかった。ここはかなりりんらしい。正しさを守るために人を切り捨てるより、目の前の人を放っておかない方を選ぶ。この感覚が、たぶんりんの「間違えたくない」の中身なのだろうと思った。
そこで直美が「正しいことが好きなのね」と返し、りんが「正しいことの何が嫌なんですか?」と聞き返すやり取りもよかった。ここに二人の根本的な違いが出ていたと思う。りんにとっては、うそやズルの方が疲れるし、正しい方が楽なのだろう。一方で直美にとっては、正しいことを貫く方が「疲れそう」なのだ。この違いはかなり大きい。ひとことで乱暴に言えば、たしかに「優等生」と「不良」に見えるかもしれないけれど、実際はもっと根が深い。正しさによって守られてきた人と、正しさの外側で生き延びてきた人との違いなのかもしれない。
りんが、自分は昔から間違えてばかりだから、勉強して判断を間違えないようにしたい、間違って人を傷つけないようにしたいと話すのも印象的だった。ここでいう「間違い」は、単純に正誤がはっきりしているものではなく、りん自身があとから悔やむような選択のことなのだろうと思う。信右衛門(北村一輝)の時もそうだったし、直美への言葉もそうだった。誰かにジャッジされる以前に、自分の中に引っかかりが残るかどうか。それがりんにとっての「間違えた」なのだろうと感じた。
そして、直美の首から下げているものに気づき、りんが「のっぴきならない事情があるなら微力ながらも力になりたい」と言う場面。ここでようやく直美が本音を話し始めるのが大きかった。教会で育ったけれど、神様も心から信じられない。祈っても、欲しいものは何一つ手に入らなかった。首から下げていたのはお守りではなく、親からもらった唯一のもの。そして、自分の母が「女郎」だったらしいことも打ち明ける。
これはかなり重かった。これまで直美の刺々しさや卑屈さは散々描かれてきたが、その芯にある恥や恐れがようやく見えた感じがした。みなしごだとは言えても、「女郎の娘」だとは言えなかった。この違いは直美にとってかなり大きかったのだろうと思う。だからこそ、りんが「言わなくていいです、言いたくないことは。全部正直にいうことが正しいとは思いません」と返すのがよかった。ここでりんは、前回みたいに正論で押し切るのではなく、ちゃんと直美の痛みに寄り添えていた。
そのあと、トメ(原嶋凛)が青森から送られてきたりんごをみんなに振る舞う場面もよかった。日曜日に一人寮に残っていたトメが、実家から届いたものを惜しみなく分ける。これがまず優しいし、その空気の中で直美が「observe」の解釈をみんなに共有し始めるのも大きかった。これまで、自分が苦労して手に入れた知識を簡単に渡したくない、という態度だった直美が、ここで自分から説明する。それを多江(生田絵梨花)が素直に受け取り、喜代(菊池亜希子)が感謝する。そしてりんも「観察する」という訳語を共有する。ようやく7人が同じ方向を見る瞬間が来た感じがした。
多江が、ただ訳すのではなく「理解する」とはどういうことかを考え、「看護婦とは何か」の答えがこの最後の章に集約されていると話すのもよかったし、ゆき(中井友望)が「病人がいちいち言葉にせずとも、その顔つきやちょっとした態度の変化から気分や体調を察する力を持つこと」と説明し、直美が「これこそが observe、観察するです」とつなげる流れもきれいだった。知識を競うだけではなく、少しずつ言葉を共有しながら理解していく感じがあった。
そしてアップルパイの場面も面白かった。直美が作れると言った瞬間、一斉に止めに入るみんなの反応がもう正解だったと思う。まだ完全な仲良しではないけれど、このあたりの空気にはちょっとした温かさが出てきた。
ただ、その中で多江だけが別室で手紙を読み、それをくしゃくしゃに丸めてしまうのはかなり不穏だった。みんなが少しまとまり始めている空気の中で、そこだけ異質だった。何が書かれていたのかは分からないが、多江にまだ別の大きな問題があることを匂わせる場面だったと思う。
最後にバーンズ先生が現れ、「しゃんとしなさい」と一喝するのもかなりよかった。みんなが想像していた優しい先生とは違いそうで、初登場からきつい。この先どういう指導をしてくるのか、かなり楽しみになった。
What is a nurse? 看護とは何か
生徒たちがたどり着いた答えは……👇このシーンの続きはhttps://t.co/N7thTjBneA
見上愛 上坂樹里
伊勢志摩 玄理
生田絵梨花 菊池亜希子 中井友望 木越明 原嶋凛https://t.co/5fSkHyjQV1 pic.twitter.com/5SLPQXOMwV— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) April 30, 2026
直美は「悲劇のヒロイン」でいたいのではなく、そうでない自分の置き場がまだ分からなかったのかもしれない
ここまでの直美には、どこか不幸を抱えている自分でいないと崩れてしまいそうな感じもあった。見ている側からは「悲劇のヒロインじゃなきゃ気が済まないのか」と思えるところもたしかにあった。でも今回、自分の出自を打ち明けたことで、それは単に不幸に酔っているというより、そこを失ったら自分が何者か分からなくなる怖さでもあったのかもしれないと思った。
だから今回の告白は大きかった。弱さを見せたことで、少しは生きやすくなっていけるかもしれないし、ここからようやく他人を信じる入口に立てたのかもしれない。
りんは正しさにこだわる人だが、今回はちゃんと優しさが先に立っていた
前回はりんの正しさが、直美を追い詰める言葉として出てしまった。でも今回は違った。掃除をサボる直美のそばに残ったことも、言いたくないことは言わなくていいと伝えたことも、りんの中で「正しさ」より「相手を思う気持ち」が前に出ていたと思う。
このバランスが取れてくると、りんはやっぱりかなり強い。正しいことを言えるだけでなく、相手のしんどさも見られるようになるなら、看護婦としてもかなり大きいのだろうと思う。
7人がようやく「同じ目的のために協力できる集団」になり始めた
今回の一番の収穫はここかもしれない。トメのりんご、直美の解釈、多江の理解、ゆきの説明、りんの訳語。それぞれが持っているものを出し合って、ひとつの答えに近づいていく感じがあった。ようやく「養成所の一期生たち」がチームらしくなってきた気がする。
もちろん、まだ完全にまとまったわけではないし、多江の手紙のような不穏さも残っている。でも、今までのぎくしゃくした空気だけではなく、協力できる可能性が見えたのは大きい。
バーンズ先生の登場で、ようやく本当に「看護を学ぶ話」へ入りそう
今までは、養成所に集まるまでの話、人間関係がこじれる話、英語の課題の話が中心だった。でも最後にバーンズ先生が来たことで、ようやく本当に看護を教える人が現れた。ここから先は、理想だけでなく、もっと具体的に何を学び、何に躓くのかが描かれていくのだろう。
そういう意味で、第25回は、養成所編の空気を作りつつ、次の段階へつなぐ回としてかなり良かったと思う。
まとめ
2026年5月1日放送の『風、薫る』第25回は、直美が初めて本音を打ち明け、りんもそれを受け止めたことで、ようやく二人の関係が少し動いた回だった。また、トメのりんごをきっかけに一期生たちも少しまとまり始め、養成所の空気がようやくチームらしくなってきたのもよかった。
その一方で、多江の手紙の不穏さや、バーンズ先生の厳しそうな登場もあり、ここから先はもっと本格的に看護を学ぶ話へ進んでいきそうだ。第25回は、人間関係のしんどさを越えて、ようやく少し前向きな手応えが出てきた回だったように思う。
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