朝ドラ『風、薫る』第94回感想・ネタバレ|赤痢を抑え込んだ総力戦。りんと直美は迷いながら前に進む

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2026年8月6日放送の『風、薫る』第94回は、赤痢との戦いが大きく進んだ回だった。

アサ(美山加恋)の入院から一週間。

容体はなかなか良くならない。

患者は増え続け、避病院だけでは受け入れきれなくなる。

それでも、りん(見上愛)、直美(上坂樹里)、黒川(平埜生成)だけで戦っていた現場に、少しずつ村人たちの力が加わっていく。

穴を掘る人。

食事を作る人。

軽症者を受け入れる家。

すべてのマンパワーを使って、赤痢を抑え込んでいく流れは見ごたえがあった。

りんも直美も、迷っている。

でも、迷いながらも着実に前へ進んでいる。

そんな回だったと思う。

前回の記事はこちらです。

朝ドラ『風、薫る』第93回感想・ネタバレ|「怖い」と言える看護婦たち。直美の助けてくださいが村を動かした
2026年8月5日放送の『風、薫る』第93回は、赤痢の避病院に直美(上坂樹里)が駆けつけ、りん(見上愛)と共に現場を支えていく回だった。直美は、駅で近くに赤痢が出たことを知り、りんならきっとそこにいると思って引き返してきた。「でも……いた。...

第94回のポイント

  • アサの入院から一週間が経過したが、容体はよくならない。
  • 田島(中野英樹)と太助(板橋駿谷)が穴を掘っていると、村の男たちが手伝いに来る。
  • 横沢(井上祐貴)は物資を調達してくる。
  • 山辺(六角慎司)は、手分けしてやるから何をすればいいか教えてほしいと太助に聞く。
  • 長太郎(渋谷そらじ)は物陰から避病院の様子を見ている。
  • りんと直美は、長太郎を母・アサに会わせないことが本当に正しいのか悩む。
  • アサの容体が急変し、黒川が手当てをする。
  • 患者が多すぎるため、直美は軽症者の受け入れ先が必要だと考える。
  • 山辺は村長の本間(大高洋夫)に、大きな屋敷で軽症者を受け入れてほしいと頼む。
  • 本間は最初拒むが、本間家の大奥様にも感染疑いが出たことで受け入れを認める。
  • 直美は長太郎に、おっかぁに会えたら何を話したいかを聞く。
  • 長太郎は避病院の外からアサに声を届ける。
  • ひと月後、軽症者は皆退院する。
  • 柳生(中村倫也)は、自分が内務省衛生局の人間だと直美に明かす。
  • 柳生は、今回の対応を目覚ましい事例として上に報告すると話す。
  • アサも食事を取れるようになり、もうすぐ退院できるところまで回復する。

個人的に印象に残ったこと

今回は、アサの入院から一週間が経過したところから始まった。

しかし、アサの容体はよくならない。

前回、村の女たちが食事づくりに協力し始め、避病院の空気は少しずつ変わってきた。

それでも、赤痢そのものが急におとなしくなるわけではない。

患者はまだ多い。

容体が悪い人もいる。

その現実が、今回も重くのしかかっていた。

裏の空き地では、田島と太助が穴を掘っている。

そこへ村の男たちが手伝いにやって来る。

横沢も物資を調達してきた。

山辺は、手分けしてやるから何をするか教えてくれと太助に聞く。

この流れは良かった。

最初、村人たちは医者を信用せず、避病院に向かう黒川たちに石まで投げた。

しかし今は違う。

村人たちが自分たちで動き始めている。

穴掘り。

物資の調達。

役場の人間の協力。

少しずつ、赤痢との戦いが、医者と看護婦だけのものではなくなってきた。

物陰には長太郎の姿がある。

母・アサの様子が気になるのだろう。

太助に見つかり、危ないんだから家にいろと言われる。

太助は戻るよう命じる。

走り去る長太郎を、りんは目で追う。

長太郎は、ただ母に会いたいだけである。

しかし赤痢は、それを許してくれない。

家族に会うことすら危険になる。

伝染病のつらさは、ここにあると思う。

夜の井戸端で、りんと直美が飴湯を飲んでいる。

直美は、長太郎のことが気になっていると言う。

りんは、アサの息子だと説明する。

直美は、アサがなかなか回復していないことをりんと話す。

りんは言う。

「もしもの時、このままでいいのかな……。」

長太郎を母に会わせないままでいいのか。

その悩みである。

直美は、会わせないのが正しい、それは間違いないと答える。

りんも、その点では同じ意見である。

医学的には正しい。

伝染を広げないためには、親子でも近づいてはいけない。

それは分かっている。

でも、人としての気持ちは別である。

りんは、アサに生きていてほしいと思って避病院へ連れてきた。

しかし同時に、父・信右衛門(北村一輝)を看病できず、戸越しに会えないまま失った時のことを思い出す。

あの時、りんは父と会えなかった。

父を看病することもできなかった。

今なら、あの時の父の気持ちも分かる。

そう言うりん。

この悩みは、りんだからこそ深い。

避病院へ運ぶことの意味も、隔離の必要性も、今のりんには分かる。

でも、会えないまま別れるかもしれない恐怖も知っている。

長太郎とアサを会わせないことが正しい。

けれど、それで本当にいいのか。

りんは、医学的な正しさと人の気持ちの間で揺れている。

直美も、アサも長太郎も寂しいよねと理解を示す。

どうにもできない状況に、りんは叫ぶ。

「あ〜! 赤痢、腹が立つ!」

病気に怒っても仕方ない。

直美は呆れる。

でも、他に怒りの矛先がない。

りんと直美は、それを受け入れる。

この場面は、すごく人間らしかった。

誰かを責めたいわけではない。

でも腹が立つ。

アサを苦しめ、長太郎を母から引き離し、村全体を不安にさせる赤痢が腹立たしい。

病気に怒っても仕方ない。

でも怒らずにはいられない。

そういう感情は、よく分かる。

そこへマル(清水緑)が駆けてくる。

アサの様子がおかしいという。

りんと直美がアサを看ると、荒い息遣いに頻脈。

水分も足りていない。

ぶり返してしまっている。

直美は黒川を呼びに行く。

りんはアサに声をかけ続け、元気づける。

黒川は注射をし、アサを手当てする。

これで様子を見ようと言う黒川。

しかし、患者のこの込み具合では治るものも治らないと嘆く。

ここで直美は、役場の人がいたことを黒川に確認する。

避病院が限界なら、軽症者を移す場所が必要になる。

直美の頭は、次の手を考えている。

役人の山辺は、村長の本間の大きな屋敷に軽症者の受け入れをお願いに行く。

たくさんの患者が入るのは、この屋敷しかない。

山辺はそう頼む。

しかし本間は断る。

軽症でも伝染病である。

自分の家に入れたくない。

そのやり取りを、横沢は手帳に書き留めている。

村人が、医者がちゃんと消毒をすると伝えても、本間は受け入れない。

そして村人たちに問う。

自分の家に病人を入れられるか。

「よう考えれ。おっかねえんだて。」

これは、本音だと思う。

軽症者だとしても、伝染病の患者を自分の家に入れるのは怖い。

理解できていないものを受け入れるのは、誰にとってもおっかない。

本間を責めるのは簡単である。

しかし、自分の家に伝染病の患者を入れられるかと聞かれたら、簡単に頷ける人ばかりではないと思う。

本間の言葉は、村人たちの恐怖を代弁しているようにも見えた。

太助は、アサだけではなく、みんな隠していたことを話す。

今に村中がそうなる。

他にこの村が存続する方法があるのか。

村人たちも本間に迫る。

そこへ本間家の女中が走ってくる。

大奥様が腹が痛いと言っている。

本間の家族にも感染の疑いが出た。

ここで本間は考えを改める。

「分かったて。」

受け入れを許可する。

正直、本間の家族に感染者が出ていなかったら、受け入れることはなかったのだろうと思う。

でも、それを責める気にはなれない。

人は、自分の問題になって初めて動けることがある。

それは弱さでもあるけれど、人間らしさでもある。

避病院では、軽症者が大八車に乗せられ、運ばれようとしている。

大八車に乗った柳生は、煙を見つめている。

黒川が軽症者に同行する。

一方、直美は草むらにしゃがんだ長太郎を見つける。

逃げていく長太郎に、直美が声をかける。

「何、話したい? おっかぁに会えたら。」

「言いたいことは言わなきゃ伝わらないよ。」

この言葉は、直美自身の後悔から来ているのだと思う。

直美は、文(内田慈)が自分の母親だとほぼ確信していた。

一度でいいから「おっかさん」と呼んでみたかった。

でも、それは叶わなかった。

言いたいことを言えなかった。

もし言っていたら、何かが変わったのかもしれない。

もちろん、現実はそんな簡単ではない。

でも、言わなかったことは残る。

直美は、その後悔を知っている。

だから長太郎に、言いたいことは言わなきゃ伝わらないと伝えたのだと思う。

ワラの上に横たわるアサは、また熱が上がってきている。

りんは、喉が渇いていないか確認する。

アサは首を横に振る。

りんは、何か口にしないと元気が出ませんよと声をかける。

その時、外から長太郎の声が聞こえる。

「おっかぁ!」

「おっかぁ〜、聞こえっか〜!」

「おっかぁ〜、おら、待ってっから〜!」

長太郎の声に、アサが反応する。

りんは、長太郎の声を聞きながら、父・信右衛門とのことを思い出す。

戸越しに会えなかった父。

看病できなかった父。

伝えられなかった思い。

アサの肩に置かれたりんの手を、アサが握る。

りんも握り返す。

「アサさん、気をしっかり持って! 家に戻りましょう。」

アサは涙を流しながら頷く。

ここはすごく良かった。

長太郎はアサに触れていない。

会えてもいない。

でも、声は届いた。

医学的な正しさを守りながら、人としての思いも届けた。

りんと直美が悩んだ末の、一つの答えだったように感じる。

そして、長太郎の声はアサに生きる力を与えたのだと思う。

ひと月後。

軽症者は皆、退院した。

時間は一気に進んだ。

りん、直美、黒川を中心に、田島や看病婦たち、村人の助けも加わり、赤痢を抑え込むことに成功したようである。

ただ、ひと月以上赤痢と戦っていたことになる。

そうなると、寮の女学生たちはどうなっているのか。

環はどうしているのか。

心配は尽きない。

特にりんは、高越女学校では早い夏休みという形で出てきたはずである。

ひと月という時間は、かなり長い。

もちろん感染症との戦いがそれだけ長引いたのは分かる。

でも、周囲の生活がどうなっているのかは少し気になった。

柳生は直美に声をかける。

「君、この辺の者じゃないだろ。」

直美は、ここにはたまたま来たことを伝える。

柳生は、自分が内務省衛生局の人間だと名乗る。

やはりただ者ではなかった。

東京から来た人間で、赤痢を持ち込んだと噂されていた柳生。

無表情にりんたちを観察していた柳生。

その正体は、内務省衛生局の人間だった。

柳生は、現地調査に来て発症したことを話す。

そして、死亡率を一割に抑えられたこと、米の収量への影響も少ないだろうこと、目覚ましい事例だったと上には報告しておくと直美に伝える。

ここは確かに格好良かった。

ただ、少しだけ突っ込みたくもなった。

内務省衛生局の専門の役人が、現地調査に来て発症した。

それを決めた顔で言うのは、かっこいいのか。

むしろ間抜けな行為ではないのか。

もちろん、現地調査に危険はつきものなのだろう。

衛生局の人間が感染してしまったという点は、防ぎたくても防げなかったという怖さでもある。

直美は、東京で派出看護の会をやっていることを柳生に伝える。

柳生は「道理で。俺は運がよかったな……」と納得する。

そして、患者を怒鳴るのはやめた方がいいと忠告も忘れない。

「世話になった」と一礼し、去っていく。

この柳生は、今後も物語に絡んできそうである。

内務省衛生局の人間に、直美は自分が東京で派出看護の会をやっていると名乗ることができた。

これが恵風看護婦会の今後にどうつながるのかは分からない。

味方になってくれるのか。

ただの報告で終わるのか。

それでも、かなり大きな出会いだったと思う。

避病院では、アサが食事を取れるようになってきている。

黒川も、もうすぐ退院だと言っていると、りんは伝える。

アサは、りんにありがとうございますと頭を下げる。

手拭いで覆ったりんの顔がほころぶ。

この笑顔に、今回の赤痢との戦いの一区切りを感じた。

アサは助かった。

長太郎の声も届いた。

太助も村人たちも動いた。

りんと直美も、迷いながら前に進んだ。

赤痢との戦いは過酷だったが、ここまで見届けられて良かったと思う。

りんと直美は医学的な正しさと人の気持ちの間で悩む

今回のりんと直美は、長太郎をアサに会わせないことが本当に正しいのかと悩んでいた。

医学的には正しい。

伝染病なのだから、近づけてはいけない。

親子であっても、感染を防ぐことが最優先である。

でも、人としては苦しい。

長太郎は母に会いたい。

アサも息子に会いたい。

もしもの時、このままでいいのか。

りんが悩むのは当然だと思う。

りんは父・信右衛門を看病できずに失った。

直美は文を「おっかさん」と呼べなかった。

二人とも、言えなかったこと、会えなかったことの後悔を抱えている。

だからこそ、長太郎にただ我慢しろとは言えなかったのだと思う。

最後に声だけを届けたことは、医学的な正しさと人の気持ちの間で見つけた、一つの答えだった。

本間を簡単には責められない

村長の本間は、軽症者を屋敷に受け入れることを最初は拒んだ。

村長なのだから協力しろと言いたくなる。

しかし、伝染病の患者を自分の家に入れるのは、やはり怖い。

「おっかねえんだて」という言葉は本音だと思う。

理解できないものを受け入れるのは怖い。

自分の家族にうつるかもしれないと思えば、なおさらである。

本間家の大奥様に感染疑いが出たことで、本間は受け入れを決めた。

自分の家族に関わるまで動かなかったのか、とも言える。

でも、それを責める気にはなれない。

人は自分の問題になって初めて本気で動けることがある。

本間もまた、恐怖の中で変わった一人だったのだと思う。

柳生はやはりただ者ではなかった

柳生は、内務省衛生局の人間だった。

やはりただの患者ではなかった。

りんや直美を観察していた視線には、意味があったのだろう。

死亡率を一割に抑えられたことを、目覚ましい事例として上に報告する。

これは、りんたちの看護が公的に評価される可能性を示している。

直美が東京で派出看護の会をやっていると伝えられたことも大きい。

恵風看護婦会にとって、柳生との出会いが後々意味を持つのかもしれない。

ただ、現地調査に来て自分も発症したという部分だけは、少し気になった。

衛生局の人間としては、そこは防げなかったのかと思ってしまう。

現地調査に来て自分も発症してしまったことまで格好良く決め顔でいうことなのかと、どうでもいいことを感じてしまった。

ひと月以上の赤痢との戦い、その間の環や女学生たちはどうなったのか

赤痢は、一気に解決したわけではなかった。

ひと月後、軽症者が退院したということは、りんたちはかなり長い間この現場で戦っていたことになる。

それ自体はリアルだと思う。

伝染病を抑え込むのは簡単ではない。

ただ、そうなると気になるのが、環や高越女学校の女学生たちである。

環はシマケンに預けられていた。

りんは高越女学校の舎監である。

ひと月以上、そこを離れていたことになる。

その間、環はどうしていたのか。

女学生たちはどうなっていたのか。

望月校長はどう対応していたのか。

このあたりは少し気になった。

赤痢パートが見ごたえあるだけに、周辺の人たちの状況も少しだけ知りたくなった。

りんも直美も迷いながら前に進んでいる

今回のりんと直美は、正解だけを迷いなく選んでいたわけではない。

長太郎を会わせないことに悩む。

アサの容体に不安になる。

患者の増加に追われる。

村人に助けを求める。

それでも、二人は前へ進んでいる。

りんはアサの手を握り、家に戻りましょうと声をかけた。

直美は長太郎に、言いたいことは言わなきゃ伝わらないと促した。

二人とも、自分の過去の後悔を、今目の前にいる人のために使っている。

迷いながらでも、経験を次の誰かに活かしている。

そこに成長を感じた。

まとめ

第94回は、赤痢との戦いがひと月に及び、りん、直美、黒川、田島、看病婦、村人たちの総力で少しずつ収束へ向かう回だった。

長太郎をアサに会わせないことは医学的には正しい。それでも、人として本当にこのままでいいのかと悩むりんと直美の姿が印象的だった。声だけでも届けるという形は、二人が過去の後悔から見つけた答えだったように思う。

柳生が内務省衛生局の人間だったことも大きい。直美が恵風看護婦会のことを名乗れたことで、今後どこかでつながってくる可能性もありそうだ。

りんも直美も迷いながら、それでも着実に前に進んでいる。赤痢パートはかなり見ごたえがあり、看護の物語として大きな山場になっていると感じた。

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