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2026年7月21日放送の『風、薫る』第82回は、直美(上坂樹里)が文(内田慈)への思いをついに吐き出す回だった。
寛太(藤原季節)の調査によって、文が直美の母親である可能性はかなり高くなった。
それでも文は認めない。
直美も、看護婦と患者という関係のままでいいと自分に言い聞かせようとする。
しかし、吉江(原田泰造)に「本当にそれでいいんですか?」と問いかけられ、直美はついに本音をこぼす。
何で捨てたのか。
何で名前も付けてくれなかったのか。
謝ってほしかった。
抱き締めてほしかった。
おっかさんと呼んでみたかった。
直美の周りには今、いい人がたくさんいる。けれど、母親に求めていたものは、やはり別物だったのだと思わされた回だった。
前回の記事はこちらです。

第82回のポイント
- 美津(水野美紀)は文の部屋を訪ね、梅干しのお吸い物を作る。
- 美津は、りん(見上愛)が幼い頃よく風邪をひく子だったことを文に話す。
- 美津は、りんが元気でいてくれれば親としてはそれでいいと語る。
- 寛太は、直美の母親探しの調査結果を報告する。
- 寛太の調査により、文が直美の母親である可能性がかなり高くなる。
- 直美は文の看護を続け、脈の測り方を文に教える。
- 文は直美の心臓の鼓動を感じるが、「生きてる証ですね」という言葉に反応し、手を引っ込める。
- 帝都医大病院では、患者が入院を取りやめたいという話が出る。
- 直美は木村教授(前野朋哉)に、もっと安くする方法や町医者の紹介などを提案する。
- 環(英茉)が直美を心配しているところへ、吉江が訪ねてくる。
- 吉江は寛太から直美の話を聞き、心配して会いに来た。
- 直美は吉江に、文が母親だと分かったが、向こうは認める気がない様子だと話す。
- 吉江に本当にそれでいいのかと問われ、直美は母親への本音を涙ながらに吐き出す。
- 文の部屋では、文が何か容器を見つめる場面で終わる。
個人的に印象に残ったこと
今回は、直美の話を聞いた美津が文の部屋にやって来るところから始まった。
文は、お店にも迷惑をかけてしまってと、瑞穂屋のことを気にしている。
美津は迷惑を否定する。
ただ、文がいないと、お客様がどこの方なのかさっぱり分からないとも言う。
文は、美津なら誰が相手でも日本語で通じるでしょうと返す。
この二人の会話は、どこか穏やかだった。
直美と文の間には緊張感がある。
でも、美津と文の間には、少し柔らかい空気が流れている。
美津は、りんが赤子の頃、よく風邪をひく子で、無事に大人になれるか心配したという話をする。
そのうち、首にネギを巻き、腹痛には梅のお吸い物を飲ませると治まることが分かった。
りんが看護婦になった時に、なぜネギと梅干しなのか分かったかと確認したところ、りんは全く分からぬと答えたらしい。
二人は笑い合う。
道理は分からない。
でも、お腹には優しい。
そう言って、美津は文に梅干しのお吸い物を作る。
文はおいしいと飲む。
この場面は、母親の知恵という感じがした。
医学的な理屈は分からない。
でも、子どもを育てながら覚えたことがある。
美津はそうやって、りんを育ててきたのだろう。
そして文は、りんが新潟に行って半年経つことを踏まえて、美津に「寂しいですね」と聞く。
美津は、今のところはネギも梅干しもいらないようで、元気でいてくれれば親としてはそれで、と答える。
この言葉は、文にかなり響いたと思う。
元気でいてくれればそれでいい。
親としては、それが本音なのだろう。
美津はりんと離れていて寂しい。
でも、りんが元気でいてくれればいい。
文は何とも言えない表情を見せていた。
文が本当に直美の母親なら、この言葉は痛かったはずだ。
自分は直美に、元気でいてくれればそれでいいと言える立場なのか。
そもそも、直美を捨てた自分に親を名乗る資格があるのか。
文の中で、何かが揺れたように見えた。
一方、寛太は直美の家の前で子どもたちと遊んでいる。
詐欺師のはずなのに、子どもたちとは屈託なく遊んでいる。
この人は本当に悪い人なのだろうか。
寛太はお茶を一杯飲み干し、直美に調査結果を報告する。
熱海の神社で、直美が無事に生まれるよう安産祈願した後、夕凪は横浜に男と引っ越したらしい。
ミルク粥を作るアメリカ人のおばさんの話をすると、覚えている人がちらほらいた。
その人は外国人居留地で有名な世話焼きおばさんで、女郎上がりの妊婦の面倒を見ていた。
それが直美の生まれる頃の話だった。
そして寛太は、はっきり言う。
「その夕凪が、柳川文。あんたの母親で間違いないだろう。」
ここで、文が直美の母親であることは、ほぼ確定したと言っていいのだと思う。
もちろん、まだ文本人は認めていない。
でも、熱海、横浜、アメリカ人のマダム、ミルク粥、女郎上がりの妊婦。
ここまでそろって、違うという方が難しい。
寛太は、直美が欲しかった情報をきっちり調べ上げてきた。
しかもその後、吉江にも直美のことを心配して報告に行っている。
寛太にとって、直美の母親を見つけることに直接の利益はない。
それでも動いてくれる。
吉江も寛太を根は悪い人ではないと言っていたが、もう単純にいい人なのではないかと思えてくる。
寛太が詐欺で騙している相手は、悪いことをして金を貯めた悪党だけであってほしい。
そう思いたくなるくらい、今回は普通にいい人だった。
その後も直美は、文の部屋で看護を続けている。
直美は、文の脈が少し速いと言い、やはり一度病院に行くことを勧める。
文は、直美が看てくれるのにお金がもったいないと拒否する。
文は、触っただけでよく分かるものだと感心する。
すると直美は、自分の手首を差し出し、脈の測り方を教える。
文は直美の手首に触れる。
直美は、血液の流れで心臓が脈打つ動きが脈拍だと教える。
そして言う。
「生きてる証ですね。」
この言葉を聞いた文は、怖くなったのか、脈を感じていた手を引っ込める。
ここはとても意味深だった。
文は直美の脈を感じた。
つまり、直美が生きていることを、自分の手で感じた。
もし文が直美の母親なら、自分が捨てた赤ん坊が、今、目の前で生きている。
その証を手で感じたことになる。
それはうれしいことでもあるはずだが、同時に怖いことでもあるのだろう。
生きている証。
それは、文にとって、自分の過去の罪の証でもあるのかもしれない。
帝都医大病院では、内科教授の木村と看護科の生徒のタマが、患者が入院を取りやめたいという話をしている。
入院してもらった方がいい。
木村はそう気にしている。
直美は、家への派出看護をすすめるか確認する。
タマは、その話も一応伝えたが、そんなお金はないと断られたらしい。
ここで直美は、木村にかなり踏み込む。
内科教授として院内でもそれなりの地位にあるのだから、もっと安くするとか、何かできることはないのかと確認する。
しかし木村は煮え切らない。
タマが、近くにいい町医者がないか紹介してはどうかと言うと、木村は「ああ、そうねぇ……」と気のない返事をする。
木村教授は、本当に院内で力があるのだろうか。
事なかれ主義に見える。
直美がこれから医療を受けられない人の問題に踏み込んでいくなら、木村はあまり頼りにならなそうだ。
むしろ、外科の今井教授や黒川の方が頼りになるのではないかと思ってしまう。
直美は、トヨや文を通して、お金がないから医者にかかれないという現実に強い怒りを持ち始めている。
でも、それを変えるには、個人の看護では限界がある。
医師や病院、制度を動かさなければならない。
木村の頼りなさを見ると、直美の前にはまた大きな壁がありそうだ。
一ノ瀬家では、環が直美がまだ起きないことを気にしている。
美津は、疲れているでしょうから、お休みの日くらいゆっくり寝かせてあげましょうと言う。
環は納得する。
直美は文の看病もあり、かなり疲れているのだろう。
そこへ吉江が訪ねてくる。
大きくなった環を見て驚く吉江。
美津とは初対面であり、挨拶をする。
その時、直美が起きてきて、吉江に気づく。
吉江は、朝早くに突然すみませんと謝る。
そして、寛太から直美の話を聞いたと言う。
寛太はあれ以来、教会にたびたびパンを食べに来ているらしい。
困惑した直美は「追い返しちゃってください」と言う。
でも吉江は、寛太のことを根は悪い人ではないと見ている。
そして、直美のことを心配して、自分に話をしに来てくれたのだろうと感じている。
吉江は本当に優しい。
相手の奥にある善意をちゃんと見ようとする人である。
吉江は、瑞穂屋の方が母親だと直美は思っているのかと確認する。
直美は頷く。
しかし、向こうは認める気はない様子だったと伝える。
自分の母親かと聞いた時に、赤ん坊を捨てるようなひどい人に見えるかと言われてしまった。
直美はそう話す。
でも、このまま看護婦と患者という関係でいいと言う。
吉江は聞く。
「いいんですか、それで?」
直美は、それが文さんの気持ちなのでと、自分に言い聞かせる。
しかし吉江は、さらに続ける。
「でも……本当にそれでいいんですか?」
吉江は、直美が本音を押し殺していることを見抜いていたのだと思う。
直美は、文の気持ちを尊重しようとしている。
看護婦と患者でいい。
母親と名乗られなくてもいい。
そう言おうとしている。
でも、本当は全然よくない。
それを吉江は分かっていた。
直美は、ついに感情をこらえきれなくなる。
本当は言いたいことがたくさんある。
許したわけじゃない。
何で捨てたのか。
何で名前も付けてくれなかったのか。
子どもの頃からずっと言いたかった。
大変だった。
つらかった。
親がいないせいで。
あんたがいないせいで。
直美は涙を流しながら、本音を語る。
そして言う。
謝ってほしかった。
抱き締めてほしかった。
おっかさんって呼んでみたかった。
ここは今回一番重い場面だった。
直美は、母親に会いたかった。
でも、ただ会いたかったわけではない。
謝ってほしかった。
自分がどれだけつらかったのかを知ってほしかった。
そして、抱き締めてほしかった。
おっかさんと呼んでみたかった。
直美の周りには今、いい人がたくさんいる。
りんがいる。
環がいる。
美津がいる。
吉江がいる。
寛太もいる。
小川もいる。
直美は、今ではかなり恵まれた人間関係の中にいるようにも見える。
でも、母親への思いは、それとは別なのだと思う。
どれだけ周囲に優しい人がいても、子どもの頃に欲しかったものは埋まらない。
抱き締めてほしかった。
おっかさんと呼びたかった。
この思いは、他の誰かが完全に代わりになれるものではないのだろう。
吉江は、さっきぼーっと寝坊してきた直美を見て安心したと言う。
直美はこの家にすっかり受け入れられている。
直美は頑張って看護婦になって、友を見つけて、家族になって。
今の直美が、自分で幸せになったのだと伝える。
もっともっと、いくらでも幸せになってほしい。
吉江はそう願う。
吉江は本当に善意の塊のような人である。
直美の迷いも、怒りも、寂しさも、全部受け止めようとしている。
母親に捨てられた過去は消えない。
でも直美は、自分で幸せを作ってきた。
そのことを、吉江はちゃんと見ている。
美津も、離れた場所でその話を聞いてしまっていた。
美津は何を思ったのだろう。
りんの母として、そして今は直美を家族として受け入れている人として、直美の本音を聞いた美津の心も動いたはずである。
最後は、文の部屋で、文が何かの容器を見つめている場面だった。
文も体調が悪そうである。
直美が文に言いたいことを言い、抱き締めてもらい、おっかさんと呼ぶために残された時間は、あまり多くないのかもしれない。
急げ直美。
そんな気持ちになる終わり方だった。
直美「おっかさんて呼んでみたかった」
吉江先生に本当の胸のうちを話す直美。
👇直美の胸のうちをぜひ本編でhttps://t.co/Rdv1uwGBXH[見逃し配信中]#朝ドラ #風薫る
上坂樹里 原田泰造 pic.twitter.com/jDHX2Rgymw— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) July 20, 2026
美津の言葉は文に響いたはず
美津が文に語った、りんの幼少期の話はとても良かった。
風邪をひきやすかったりん。
首にネギ。
腹痛には梅のお吸い物。
道理は分からなくても、子どもを育てる中で覚えた知恵がある。
そして、元気でいてくれれば親としてはそれでいいという言葉。
これを文がどう受け止めたのかが気になる。
文が本当に直美の母なら、直美が元気で生きていることをどう感じているのか。
親としてそれでいいと思えるのか。
それとも、自分にはそんなことを言う資格がないと思っているのか。
文の表情には、言葉にできないものがあった。
寛太はもう普通にいい人なのではないか
寛太は詐欺師である。
でも今回は、普通にいい人だった。
子どもたちと屈託なく遊ぶ。
直美が必要としていた情報をきっちり調べる。
さらに吉江にも、直美を心配して話をしに行く。
ここまでやってくれるのだから、直美にとってかなり頼れる存在である。
寛太が本当に悪い人には見えなくなってきた。
詐欺師として騙している相手が、悪いことをして金を貯めた悪党だけであってほしいと思ってしまう。
木村教授はあまり頼りにならなそう
内科の木村教授は、かなり事なかれ主義に見える。
患者が入院を取りやめたい。
派出看護もお金がないから無理。
それなら町医者を紹介してはどうか。
直美やタマがそう考えても、木村は煮え切らない。
院内で本当に力があるのか疑いたくなる。
直美が医療費や貧困の問題に向き合おうとするなら、木村教授はあまり頼りにならなそうだ。
むしろ外科の今井や黒川の方が、現実的に動いてくれそうな気がする。
吉江は直美の本音を引き出してくれた
吉江は、今日も善意の塊のような人だった。
直美が「このまま看護婦と患者でいい」と言っても、そこで終わらせない。
「本当にそれでいいんですか?」と何度も確認する。
その問いかけがあったから、直美は本音を吐き出せた。
吉江は、直美に何かを押しつけているわけではない。
ただ、直美が自分の気持ちを偽らないように、そっと背中を押している。
直美の幸せを本当に願っている人なのだと思う。
直美はあとは実行するだけだ
直美は本音を言えた。
許したわけじゃない。
何で捨てたのか聞きたい。
謝ってほしい。
抱き締めてほしい。
おっかさんと呼んでみたい。
ここまで胸の内をさらけ出せたのなら、あとは文に向き合うだけだと思う。
もちろん、文が受け止めてくれるとは限らない。
文が認めるとも限らない。
でも、直美の中にある言葉は、もうはっきりした。
文の体調を考えると、時間はあまりないかもしれない。
直美には、後悔しないように動いてほしい。
母親への思いは、今の幸せとは別物なのだと思う
直美の周りには、今、本当にいい人がたくさんいる。
出自については同情する面もあるが、現在だけを見れば、かなり温かい人たちに囲まれている。
ある意味では、羨ましいほどである。
それでも、母親に抱き締められたかったという思いは消えない。
おっかさんと呼んでみたかったという思いは残る。
今が幸せだから、過去の寂しさがなかったことになるわけではない。
そこが今回、強く伝わってきた。
ただ、母親のことはここまで気にしているのに、父親のことは全く気にならないのだろうか。
そこは少し気になった。
まとめ
第82回は、文が直美の母親である可能性がほぼ確定し、直美が母親への本音を吐き出す回だった。
寛太の調査で材料はそろった。けれど文はまだ認めない。直美も看護婦と患者のままでいいと自分に言い聞かせようとする。
しかし吉江の問いかけによって、直美は「謝ってほしかった」「抱き締めてほしかった」「おっかさんって呼んでみたかった」と涙ながらに本音を語った。
文の体調も悪そうなので、残された時間は少ないのかもしれない。直美が後悔しないためにも、今度は文にその本音をぶつけてほしい。
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