朝ドラ『風、薫る』第63回感想・ネタバレ|ツヤとヒデに芽生えそうな友情。病院で働く姿がやっぱり一番面白い

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2026年6月24日放送の『風、薫る』第63回は、看護婦として働き始めたりん(見上愛)たちの現場が、かなり見応えのある形で描かれた回だった。

直美(上坂樹里)は、患者への差し入れをめぐって小川吾郎(甲斐翔真)と衝突する。一方、ツヤ(東野絢香)は講義についていくために必死で勉強し、看護科一期生の土居ヒデ(池田朱那)との間に、新しい関係が生まれ始める。

正直、小説がどうのこうの、祝言がどうのこうのという話よりも、この作品は病院で人が働いている場面が一番面白い。

今回も、看護婦、看病婦、看護科の生徒たちが、それぞれの立場で壁にぶつかりながら前へ進もうとしているところが良かった。

前回の記事はこちらです。

朝ドラ『風、薫る』第62回感想・ネタバレ|初給金はいくら!?看護婦取締と講師の重さが見えてきた回
2026年6月23日放送の『風、薫る』第62回は、ツヤ(東野絢香)が看護を学ぶ道を開こうとする一方で、りん(見上愛)たち看護婦の給金という現実も描かれた回だった。前回、りんたちは看護婦になったばかりにもかかわらず、看護婦取締として看病婦たち...

第63回のポイント

  • 小川吾郎が、陣内清(細川岳)の見舞いに好物のぼた餅を持ってくる。
  • 直美は、食事制限中の清にぼた餅は一口でもだめだと止める。
  • 直美と吾郎は、「優しい暴力」をめぐって口論になる。
  • 黒川(平埜生成)は、看護科一期生に腎臓の講義を行う。
  • 黒川は、ツヤが書くことに苦戦していることに気づき、りんに報告する。
  • りんは、ツヤに「看護婦とは何か」を貸し、分からないことは何でも聞いてほしいと伝える。
  • 渡辺(森田甘路)は、看病婦を減らし、帝都医大病院をトレインドナースによる看護が受けられる病院にしようと考えている。
  • シマケン(佐野晶哉)は、完成した小説を最初に読ませたい相手がいるようだ。
  • フユ(猫背椿)とヨシ(明星真由美)が、看護科一期生に実習を指導する。
  • 包帯をうまく巻けなかったヒデに、ツヤが優しく包帯の巻き方を教える。
  • フユはりんに、ツヤが看護婦になれるようよろしく頼む。
  • トメ(原嶋凛)が看護科の生徒に指導しているところへ、喜代(菊池亜希子)が現れる。

個人的に印象に残ったこと

今回まず印象に残ったのは、小川吾郎が陣内清を見舞いに来る場面だった。

吾郎は、清の好物であるぼた餅を差し入れに持ってくる。

しかし、清は食事制限中である。

直美は、ぼた餅は一口でもだめだと止める。

やっとおもゆが食べられるようになったのに、これを食べたら後戻りだと清に言う直美。

それに対して吾郎は、そんなに言うことないだろと反発する。

この二人、初対面からかなり険悪だった。

直美は、食事制限が必要な患者に、好き勝手な飲食を勧めるのは、優しいようで体を傷つける暴力のようなものだと説明する。

「優しい暴力」。

この言葉は、かなり直美らしかった。

見舞いに来た人からすれば、好物を食べさせてあげたいという気持ちは優しさなのだろう。病気で苦しんでいる友人に、少しでも喜んでもらいたい。吾郎の気持ちも分からなくはない。

でも、患者の体にとって危険なら、それは優しさでは済まされない。

食べさせたい気持ちが、患者の回復を妨げるなら、それは確かに暴力に近いものになる。

直美は、男だろうが軍人だろうが一歩も引かない。

吾郎も強い口調で言い返す。

仲裁する清。

険悪な雰囲気の中で、直美は病室を後にする。

直美と吾郎は、どちらも気が強そうで、一触即発の空気だった。今後もバチバチにやり合いそうな気配がある。

ただ、直美の言っていること自体は正しいと思う。

患者のためと言いながら、患者の体に悪いことをする。それはやはり看護婦として止めなければならない。

次に印象に残ったのは、黒川の講義だった。

黒川は、看護科一期生に対して腎臓の講義を行っている。

梅岡看護婦養成所では、看護婦であるバーンズ先生が教えていたが、帝都医大看護科では医師の黒川も講義を行っている。

やはり帝都医大看護科の講義は、梅岡看護婦養成所よりも医学寄りで、レベルも高いのかもしれない。

看護科一期生たちは、黒川が話す腎臓の説明を、すらすらとノートに書き写している。

一方、ツヤは書くことが苦手なようで、必死に食らいついている。

そんな様子に、黒川が気づく。

黒川は、ツヤが字を書けていないことをりんに報告する。

ただ、字は書けていないが、仕事で使う腎臓や肝臓といった漢字は覚えている様子も伝える。

ここが良かった。

黒川は、ただツヤができていないと切り捨てるのではない。

できていない部分に気づきながら、できている部分も見ている。

これから講義はより難しくなり、ましてや英語などとなると心配だと話す黒川。

それに対してりんは、難しいのに腎臓や肝臓は書けたのなら、やればできるということだから、自分が手助けしてみると話す。

このりんの前向きさも、りんらしかった。

黒川はそんなりんの様子を見て、「苦手だったなぁ。ああいう熱血教師」とつぶやく。

でも、その表情には笑みがこぼれている。

黒川は、看護婦や看病婦に対して、味方になってくれそうな気配がある。

厳しいだけの医師ではなく、現場の人たちをちゃんと見てくれる人なのかもしれない。

りんは、自分たちがナイチンゲール女史の本を一部訳した「看護婦とは何か」をツヤに貸す。

ツヤは助かりますと感謝する。

りんは、ツヤが看護婦になれば看病婦の希望になれるから、分からないことは何でも聞いてくださいと伝える。

この言葉も良かった。

ツヤは、ただ自分一人の夢のために看護婦を目指しているだけではない。看病婦から看護婦になれる人が出れば、それは他の看病婦にとっても希望になる。

看病婦として働いてきた人が、経験を生かし、学び直し、看護婦になる。

その道が開ければ、フユやヨシたちのような人たちの見え方も変わってくるのだと思う。

一方で、多田(筒井道隆)のもとには、渡辺が卯三郎(坂東彌十郎)からの歯科新設の意見書を手渡す。

意見書には、「歯科は庶民に最も近い医療」と記されている。

卯三郎がやりたい新しい事業は、歯医者だった。

前回、卯三郎が身近な医療で新しい事業を考えていることが語られていたが、それが歯科だったのはなるほどと思った。

病院という大きな医療機関ではなく、庶民に近い医療。

卯三郎らしい視点なのかもしれない。

その一方で、渡辺の考えも明かされる。

看護婦の養成がうまくいけば、徐々に看病婦を減らし、3年後には帝都医大病院を、トレインドナースによる看護が受けられる病院とうたえるようになる。

ここはかなり気になった。

看護婦が増えること自体は良い。

でも、それは看病婦の居場所がなくなっていくことでもある。

フユやヨシのように、現場で技術と経験を積んできた人たちはどうなるのか。

看護婦に置き換えられて終わりなのか。

もしツヤが看病婦から看護婦になれれば、看病婦の希望になるかもしれない。

でも、年齢制限などで看護婦になれない人たちもいる。

フユはその現実を分かっているのではないかと思う。

シマケンの部屋では、太一(林裕太)が酒を飲んでいる。

帰らないのかと聞くシマケンに、太一は、帰ったら幸せそうな顔をしている義姉さんがいるから帰りづらいと告げる。

太一はまだ安(早坂美海)のことを引きずっているのだろう。

太一は、シマケンが書いた小説を見つけ、読もうとする。

しかしシマケンは、最初に読ませたい人がいるからと、太一から取り上げる。

その人がどんな顔をするかなと思いながら書いたからと、にやけるシマケン。

これは、どう考えてもりんに読ませたいのだろう。

シマケンの小説の話になると、また恋愛方面に流れそうな気配もある。

ただ、今回は病院の話の方が面白かったので、シマケンの小説については少し控えめに見てしまった。

夜になっても、ツヤは詰所で勉強し続けている。

その姿を見つけて、直美が驚く。

ツヤは、おとといから帰らずに勉強を続けているらしい。

これはさすがに心配になった。

ツヤは一所懸命勉強している。

試験も受けずに特例で講義を受けることを認められたのだから、頑張るしかないという気持ちもあるのだろう。

でも、看病婦として働きながら講義を受け、さらに帰らずに勉強を続ける。

体が持つのか心配になる。

りんもツヤの責任を持つと言っているが、ツヤ本人もかなり無理をしているように見える。

授業もそこそこに、看護科の生徒たちの実習が始まる。

フユとヨシについて教わることになった見習生たち。

フユに教わることになった土居ヒデは、患者の包帯交換を命じられる。

「包帯巻くくらいできるでしょ?」と聞かれたヒデは、「はい、できます」と即答する。

ところが、実際にやらせてみると、うまく包帯が巻けない。

患者が嫌がる様子を見て、フユが代わりに包帯を巻く。

この場面は、座学と実践の差がよく出ていたと思う。

ヒデは勉強ができる生徒なのだろう。

講義もきちんと聞けるし、知識もある。だから、包帯巻きくらいできると思っていたのかもしれない。

でも、患者を相手に実際にやってみると、思うようにできない。

紙の上で理解することと、人の体に触れて処置することは違う。

ここでヒデは鼻っ柱を折られたのだと思う。

その後、腎臓について復習しながら廊下を歩いていたツヤが、詰所に戻ってくる。

そこには、落ち込んでいるヒデがいた。

ツヤはヒデに、包帯の巻き方を優しく教える。

「なるほど」と納得するヒデ。

ツヤは「なるほど」はかわいくないなと言う。

ヒデは、かわいいかかわいくないかは看護に関係ありませんと答える。

するとツヤは、看護する相手は人なんだから、関係あるんじゃないかなと言う。

このやり取りが良かった。

ヒデは、看護を理屈や知識として捉えているところがあるのかもしれない。

一方、ツヤは看病婦として現場に立ってきた人である。患者にどう接するか、人としてどう見えるか、そういう部分も看護に関係すると感じている。

それを聞いてヒデは、また「なるほど」と納得する。

ヒデは素直なところがある。

自分に包帯を巻いてみてくださいと、ツヤにお願いする。

ツヤは手際よくヒデに包帯を巻いていく。

その速さにヒデは驚く。

ツヤは「仕事だから」と答える。

この一言も良かった。

ツヤにとって包帯を巻くことは、勉強ではなく仕事として身につけてきた技術なのだ。

ここでヒデは、自分が仕事をしていることに気づく。

看護は勉強だけではなく、仕事である。

患者の体に触れ、患者の苦痛を減らし、確実に処置をする。そこには知識だけでは足りない現場の技術がある。

そしてツヤは、一生の仕事にしたいからもっと勉強しないと、と決意をにじませる。

ツヤとヒデの間には、友情が芽生えそうな、いい空気が流れていた。

この場面は本当に良かった。

勉強ではヒデが上かもしれない。

実践ではツヤが上かもしれない。

二人がお互いを補い合えば、座学と実習を乗り越えていけるのではないか。

そんな期待が持てる場面だった。

その微笑ましい光景を、フユとりんが見つめている。

フユはりんに、「ツヤさんは、なれそうなのかい?看護婦」と確認する。

りんは、「はい。頑張っています」と答える。

するとフユは、りんによろしく頼むとお願いする。

ここで、フユの気持ちがはっきりした。

ここ数回、フユはツヤを見つめるシーンが多かった。

看護婦にチャレンジすることをよく思っていないのか。それとも応援しているのか。どちらなのか分からなかった。

でも今回、りんにツヤのことをよろしく頼むと言ったことで、フユはツヤを応援しているのだと分かった。

フユは、自分が看護婦になることは難しいのかもしれない。

年齢制限もあるし、帝都医大病院は看病婦を看護婦へ置き換えようとしている。いずれフユの居場所はなくなってしまうのかもしれない。

それでも、ツヤには看護婦になってほしい。

若い看病婦が看護婦になれるなら、それは希望になる。

フユはそう思っているのかもしれない。

フユも、若い看護婦にはない技術を持っている人である。

だから、看護婦に置き換えられて終わりではなく、ずっと働ける道があればいいのになと思ってしまう。

最後に、トメが看護科の生徒に指導しているところへ、喜代が現れる。

ここで今日の放送は終わった。

喜代の登場は気になる。

帝都医大病院では働かない道を選んだ喜代が、ここでどのように関わってくるのか。

ツヤに影響を与えた存在でもあるので、次回が楽しみだ。

直美と小川吾郎は、今後もバチバチにやり合いそう

直美と小川吾郎は、初対面からかなり険悪だった。

患者に好物を食べさせたい吾郎。

食事制限を守らせなければならない直美。

どちらにも気持ちはあるが、看護婦としては直美が引くわけにはいかない。

直美は、患者の体を傷つける優しさを「優しい暴力」と表現した。

この言葉は強いが、直美の看護観がよく出ていたと思う。

吾郎も気が強そうなので、今後も衝突はありそうだ。

でも、直美は男だろうが軍人だろうが一歩も引かない。そこが直美の強さだと思う。

黒川は看護婦や看病婦の味方になってくれそう

黒川は、ツヤが書くことに苦戦していることに気づいた。

しかも、ただできていないと見るのではなく、腎臓や肝臓など仕事で使う漢字は覚えていることも見ていた。

これは大きいと思う。

ツヤの弱点を見つけるだけなら簡単だ。

でも、できている部分も見て、りんに伝える。

黒川は、看護婦や看病婦を頭ごなしに否定する医師ではなさそうだ。

りんの熱血教師ぶりに苦笑しつつも、表情には笑みがあった。

これから味方になってくれそうな気配を感じる。

ツヤとヒデは、お互いを補い合える関係になるかもしれない

ツヤは講義についていくのに苦労している。

字を書くことも苦手で、勉強面では看護科一期生たちに遅れを取っている。

一方、ヒデは座学では優秀そうだが、実習では包帯一つまともに巻けず、鼻っ柱を折られた。

そこでツヤがヒデに包帯の巻き方を教える。

この場面がとても良かった。

勉強はヒデが得意。

実践はツヤが得意。

二人がお互いを補い合えば、座学も実習も乗り越えられるのではないか。

ツヤが一方的に教わるだけではなく、ヒデに教えられることもある。

この関係は、今後かなり楽しみだ。

フユはツヤを応援していた

フユはここ数回、ツヤを見つめていた。

看護婦に挑戦することをどう思っているのか、正直よく分からなかった。

でも今回、りんにツヤのことをよろしく頼むと言った。

これで、フユがツヤを応援していることがはっきりしたと思う。

フユ自身は、年齢や制度の問題で看護婦になるのは難しいのかもしれない。

そして帝都医大病院は、いずれ看病婦を看護婦に置き換えようとしている。

そうなると、フユのような経験豊かな看病婦の居場所はどうなるのか。

若い看護婦にはない技術を持っているのだから、フユにもずっと働ける場所があってほしいと思う。

病院で働いている場面が、やっぱり一番面白い

今回改めて思ったのは、この作品は病院で働いている場面が一番面白いということだ。

患者への差し入れをめぐる直美の判断。

黒川の講義。

ツヤの勉強。

ヒデの実習失敗。

ツヤとヒデのやり取り。

フユの本音。

こういう現場の中で、看護とは何かが少しずつ見えてくる。

小説がどうのこうの、祝言がどうのこうのという話よりも、やはり病院で人が働いている光景の方がずっと面白い。

看護婦としてのりんたちが現場で何を見て、どう動くのか。

そこをもっと見たいと思った。

まとめ

第63回は、ツヤの頑張りと、ヒデとの新しい関係が印象に残る回だった。

ツヤは勉強に苦労しているが、その頑張りを見てくれている人はいる。ヒデとの間にも、友情が芽生えそうな良い空気があった。

直美と小川吾郎の衝突、フユのツヤへの思い、黒川の見守り方も含めて、病院で働く場面がやはり一番面白い。

次回、喜代がどのように関わってくるのかも気になる。

『風、薫る』感想まとめはこちら

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