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2026年4月13日放送の『風、薫る』第11回は、りん(見上愛)がようやく東京で仕事と住まいを得る一方で、その新しい暮らしがまだ仮の足場にすぎないことも強く感じさせる回だった。卯三郎(坂東彌十郎)の店に転がり込むような形で働き始めたりんは、やっと「どこにも行けない状態」から抜け出せた。けれど、奥田家では亀吉(三浦貴大)がりんと環を探し続けていて、りんの生活はまだ全然落ち着いていない。
それでも今回のりんには、久しぶりに少し前を向く力が見えた。英語やフランス語、ドイツ語の挨拶まで学び始める姿には、ただ逃げてきた人ではなく、ここから何とか自分で生きていこうとする意志が感じられた。第11回は、まだ不安定ではあるけれど、りんが新しい世界の入口に立った回だったように思う。
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第11回のポイント
- りんは卯三郎の店を訪ね、仕事と住まいを得る。
- 教会では、りんがだまされていないかと直美(上坂樹里)たちが気にしている。
- 奥田家では亀吉がりんと環の行方を追い、美津(水野美紀)と安(早坂美海)は居場所を隠し続ける。
- りんは店で外国語を学び始めるが、早くも外国人客の対応で壁にぶつかる。
個人的に印象に残ったこと
今回まず印象に残ったのは、りんが卯三郎の店を訪ねた場面だった。料理の本が1円、フランスの本が3円と聞いて驚くところからして、りんが今まで見てきた世界とはまったく違う場所に足を踏み入れたのだと分かる。ここは単なる店ではなく、りんにとって「知らないもの」が集まる新しい世界の入口なのだろう。
そして卯三郎に会ったりんが、まっすぐ自己紹介をするのもよかった。一ノ瀬りん、21歳ですと名乗りつつ、離縁がまだできていないから本当は一ノ瀬りんではないと正直に言う。その生真面目さがりんらしい。そこに対して、卯三郎が「一ノ瀬でも三ノ瀬でも構わない」と言うのも面白かった。名前や身の上に過度にこだわらず、「読み書きができるなら務まる」という実務的な見方をしているのが、いかにもこれまでりんが出会ってきた人たちとは違う。
月3円の給金で即決するりんも印象的だった。フランスの本も3円だと聞いた直後だから、その3円がどれくらいの重さを持つのかが逆によく見える。給金が安いのか、本が高いのか、あるいはその両方なのか。どちらにしても、りんにとっては「自分で稼げる3円」がものすごく大きいのだと思う。しかも環を連れてきてもいい、物置でもよければ住まいもあるという条件までついている。卯三郎の申し出はかなり破格に見えるし、りんがすがるように飛びつくのも当然だった。
ただ、その一方で、教会側の反応はかなり現実的だった。吉江(原田泰造)も直美も、そんなうまい話があるはずがないと思っている。特に直美が「世間知らずの士族の娘がだまされたに決まっている」と言い切るところには、直美らしい冷たさと現実感の両方があった。さらに、「東京で身寄りのない女が生きていくなら、逆に金持ちをだまして結婚するくらいじゃないと」とまで言うのもすごい。そこには直美のたくましさがあるし、同時に、それくらいしないと生き残れないという東京の厳しさの認識もあるのだろう。
卯三郎の店の空気も面白かった。もともとは西洋の書物を扱う本屋だったが、今は何屋か分からないという文(内田 慈)の説明が象徴的だった。つまり、ここは既存の枠にきれいに収まらない場所なのだと思う。西洋の書物もあり、舶来品もあり、人も情報も出入りする。そういう曖昧で自由な場所だからこそ、りんのような「行き場のない人間」もひとまず受け入れられるのかもしれない。
勝海舟(片岡鶴太郎)がふらっと現れて卯三郎と一緒にうなぎを食べに行く場面も妙に印象に残った。歴史上の大人物が、ここではどこか日常の延長線上に出入りしている感じがあって、卯三郎の店がただの商売の場ではなく、何か人や情報の交差点のような場所であることが伝わってきた。
📺#朝ドラ 【#風薫る】#勝海舟 役で #片岡鶴太郎 さん登場。
「瑞穂屋」を営む #清水卯三郎 とは旧知の仲だとか。
瑞穂屋に時折ふらっと現れる常連さんです。https://t.co/0tEND4EeaH
👆勝海舟登場の見逃し配信はこちら pic.twitter.com/3rSzJcMpHU— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) April 12, 2026
そして今回よかったのは、りんがもうすでに店で働きながら、英語やフランス語、ドイツ語の挨拶まで勉強し始めていることだった。信右衛門の「学ぶことは、時に世を渡る翼となり、身を守る刀となる」という言葉が、ここで具体的に生き始めている気がする。ただ守られる側ではなく、自分の力を増やそうとしている。この姿勢はかなり大きい。
ただし、現実は甘くない。いきなり一人で店番を任されて、外国人客からモーパッサンの詩集はあるかと聞かれて答えられない。やる気だけでは越えられない壁が、もうすぐそこにある。そこで島田(佐野 晶哉)という男が現れるところで終わるのも、かなり分かりやすい引きだった。りんにとっての助けになるのか、それとも別の波乱を運んでくるのか、かなり気になる。
一方で、奥田家の動きも不穏だった。美津と安がりんの居場所を隠しているのは当然として、亀吉がそれを見抜きながらも、なお環とりんを探しているのが引っかかる。今さら何のためにそこまで執着するのか。愛情とは思えないし、家の体面なのか、自分の所有物を取り戻したい感覚なのか、あるいはもっと別の事情があるのか。このあたりはかなり不気味だった。
卯三郎は、りんの「使える力」を最初から見ていたのかもしれない
今回の卯三郎を見ていると、単なる親切な人というだけではなさそうだと思った。読み書きができるかをまず確認し、それができれば務まると言う。つまり、りんの境遇に同情したというより、「この人は使える」と見たから雇った面もあるのだろう。
でも、それは決して冷たい話ではなく、むしろりんにとっては救いでもある。哀れまれて世話されるのではなく、働ける人間として見られることの方が、りんにとってはずっと大きいはずだ。月3円以上のリターンがあると思ったから雇ったのかもしれないし、実際、卯三郎はかなり商売上手な人に見える。けれど、それでもりんの「学び」が値踏みされたうえで居場所を得たのだとしたら、それは悪いことではないように思う。
亀吉は愛情ではなく、体面や執着でりんたちを探しているように見える
今のところ、亀吉がりんと環を探す理由に愛情は感じられない。むしろ、逃げられたこと自体が自分の面子に関わるからではないかと思ってしまう。奥田家の嫁が逃げた、娘も連れて消えた。それをそのままにしておけない、という体面の問題の方が大きそうだ。
だからこそ、亀吉と虎太郎がすれ違う場面も気になった。今はまだ直接ぶつかっていないけれど、この二人が接触する時はかなり面倒なことになりそうだ。視聴者としてはもう奥田家の話は早く切り上げてほしい気持ちもあるが、向こうがりんを手放してくれない限り、まだ波乱は続くのだろう。
りんは「逃げてきた人」から「学んで働く人」へ少しずつ変わり始めている
今回いちばん前向きに見えたのはここだった。りんは、東京へ逃げてきた直後はただ困っている人だった。でも第11回では、手紙を書き、物置を掃除し、外国語まで学び始める。まだ何もできないし、外国人客の前では立ち尽くしてしまうけれど、それでも学ぼうとしている。
この変化は大きいと思う。信右衛門の教えが、ここでようやく「生きるための実際の力」になり始めているからだ。りんはまだ直美のようなしたたかさは持っていない。でも、その代わりに学びながら前へ進もうとする素直さがある。その違いが今後どう成長につながるのかが楽しみになってきた。
捨松の夢と、りん・直美の線はやはりどこかでつながりそうだ
捨松(多部 未華子)の夢にはりんと直美がいずれ関わっていくのだろうと思う。そしてその時に重要になるのが、英語なのかもしれない。直美はすでに英語ができる。りんも今、外国人相手の店で英語や他の言葉を学び始めている。
まだ先の話かもしれないが、この二人がそれぞれ別の場所で積み上げているものが、いずれ捨松の夢につながっていくのだと考えると、今のこの地味な積み重ねにも意味があるように見えてくる。だから第11回は、派手ではないけれど、かなり大事な準備回だったように思う。
まとめ
2026年4月13日放送の『風、薫る』第11回は、りんがようやく仕事と住まいを得て、新しい生活の足場をつかみ始める回だった。ただしその足場はまだ不安定で、奥田家の影も消えていない。安心よりも、ようやく入口に立てたという感覚の方が強い。
それでも、りんが外国語を学び始め、自分で働こうとしている姿には確かな変化があった。直美や捨松の線とどうつながっていくのかはまだ先だとしても、ここから二人が成長していく道筋が少し見えてきた気がする。第11回は、その意味でかなり重要な回だった。
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