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2026年5月22日放送の『風、薫る』第40回は、千佳子(仲間由紀恵)がついに手術を受ける決意を固める回だった。表面だけを見れば、和彦(谷田歩)の説得が実り、りん(見上愛)の看護も背中を押し、ようやく前に進んだように見える。けれど、今回の終わり方はそれだけでは済ませてくれなかった。りんが「勉強のため」という言葉に引っかかり、直美(上坂樹里)が「うそをつかれたかもね」とつぶやくことで、千佳子が本当に何を思って手術を決めたのかが、一気に分からなくなったからだ。
さらに、信右衛門(北村一輝)の名前が和彦の口から出たことや、バーンズ先生(エマ・ハワード)がどうやって医師たちと話を通したのかという細かい引っかかりも残った。手術決断という大きな前進がありながら、同時にいくつもの疑問も残る、かなり考えさせられる回だったと思う。
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第40回のポイント
- 千佳子はまだ手術を受ける決意を固めていない。
- りんは和彦に千佳子の本音を伝え、和彦は自分のために生きてほしいと訴える。
- 千佳子は最終的に手術を受けると決める。
- バーンズ先生はりんの手術立ち会いが正式に認められたと報告する。
- しかし、りんと直美は千佳子の決断の真意にまだ別の理由があるのではと感じている。
個人的に印象に残ったこと
今回まず印象に残ったのは、千佳子がまだ手術を受ける気にはなっていない一方で、渡辺行成(森田甘路)が、藤田邦夫(坂口涼太郎)の言うように、看護婦見習の不始末で退院という形がいちばん傷が浅そうだと考えるのもかなり嫌な感じだった。患者本人の意思よりも、病院の名誉や責任の置き場が先に来ている。ここはいかにもこの病院らしいと思った。
一方で、りんと直美は現場でちゃんと患者に向き合おうとしている。直美は万作(飯尾和樹)に杉山のための杖を頼み、りんも背中に当てられる板のようなものを頼む。バーンズ先生まで台をもう一つ作ってほしいと頼みに来るのも良かった。ここは、患者一人ひとりの不便や困りごとを少しでも減らそうとする動きがちゃんと形になっていたと思う。
バーンズ先生が、りんが患者から学びを得ていることに気づいているのもよかった。りんがアドバイスを求めると、バーンズ先生は直美にも意見を聞く。ここで直美が、寛太(藤原季節)の言っていた「自分のためだけだと踏ん張りがきかないけど、親や兄弟なら……」という言葉を持ち出すのが印象的だった。ただ、りんは千佳子から聞いたことを家族とはいえ勝手に話すことに抵抗を見せるし、バーンズ先生もそこには同意する。言っていいことと悪いことがある、という線引きはちゃんとしているのが良かった。
ただ、そのあとりんが和彦に話しかけた流れはかなり面白かった。今井益男(古川雄大)も和彦に話があるとやってくるが、和彦はりんの名字が「一ノ瀬」だと知ると、那須の元家老の一ノ瀬と関係があるのかと問う。そしてりんが信右衛門の娘だと気づいて驚く。ここは正直かなりご都合主義っぽくも見えた。千佳子も以前りんを武家の娘ではないかと勘づいていたが、視聴者からするとそこまで武家らしさが見えていたわけではない。もちろん、当時の立ち居振る舞いや言葉づかい、名字の珍しさなどから察することはできたのかもしれないが、ここはやや出来すぎにも感じた。
ただ、それでも和彦が「信右衛門のおかげで誤らず身を処することができた」と感謝を述べる流れは良かった。りんの父が、ただの元家老ではなく、和彦の人生にも何らかの影響を与えていたことが分かるからだ。信右衛門という人物の大きさを、死後に周囲の言葉で積み重ねていくやり方は、この作品らしいと思った。
そして、りんが和彦に、千佳子から聞いた祝言の日の話を伝える場面がかなり良かった。「空がきれいですね」と言ってくれたこと、その人が夫でよかったと思ったこと、そういう昔の気持ちを今でも千佳子が覚えていることを話す。ここでりんは、自分の看護だけでは力不足かもしれない、申し訳ないと頭を下げる。この素直さがやはりりんらしいと思った。
その言葉を聞いて、和彦が病室に飛び込み、「私のために手術を受けてくれないか」「つらくとも苦しくとも生きてほしい」「ともに美しい夕映えを見たい」と訴える流れは、かなり真っ直ぐだった。千佳子が「しかたありませんね」と折れるのも、夫婦の間にちゃんと愛情があることが見えて、そこは素直に良かった。
ただ、自分はここに少し引っかかりもあった。和彦の願いはもちろん愛情だと分かる。でも、「私のために生きてくれ」というのは、やはりかなりエゴでもあると思う。千佳子が自分のためではなく、夫のために生きる決断をしたと見るなら、それはそれでまた別の重さがある。
さらに、そのあと千佳子がりんに「手術に立ち会わせてあげる」と言い、「手術を見ることも勉強になるでしょ?」と返すのも意味深だった。もしここで千佳子が手術を受ける決断をした理由の一部に、「りんの勉強になるなら」という思いがあるとしたらどうだろうか。そう考えると、直美が「うそをつかれたかもね」と言った意味もつながってくる。和彦のために、だけではなく、りんのためにという建前を混ぜているのかもしれないし、逆に本心はそちらに近いのかもしれない。この曖昧さが、今回かなり気になった。
バーンズ先生が、りんの手術立ち会いが正式に認められたと報告し、生徒たちに、患者は人だから強くて弱くて、時にはうそもつくが、体はうそをつかない、人を知りなさい、体温のある肉体を知りなさいと語るのも良かった。ここはかなりいい言葉だったと思う。患者の言葉も感情も揺れるし、時に建前も混ざる。でも体はうそをつかない。医療と看護の現場で、そこを見落とすなという話なのだろう。
ただその直後に、りんが「勉強のため」という言葉に引っかかり、直美だけが「うそをつかれたかもね」と何かに気づく。この終わり方がかなり良かった。きれいな話で終わりそうなところを、最後にもう一度疑問を差し込んできたからだ。りんが一人で千佳子の病室へ向かうところで終わるのも、かなり気になる締め方だった。
一方で、美津(水野美紀)と安(早坂美海)のところへシマケン(佐野晶哉)が槇村家の話を持ってくる流れもあった。宗一(上杉 柊平)との件をまずは槇村兄弟で会ってみたらどうかと提案され、安が感謝し、美津も頭を下げる。ここで安が、次男がよかったが有望だろうが小説家なんて先が知れないと、かなり現実的で堅実なことを言うのも面白かった。りんなら、どんな仕事でも長男でも末っ子でも気にしないと思うとシマケンの背中を押すのも、よかった。
ただ正直、この恋バナパートについてはやはり本筋との温度差を感じるところもある。看護の話がかなり濃くなっている今、そちらの方は「どうぞお好きに」という感じになるのも正直なところだった。
りん:「空をきれいだと思う人が主人でよかったと……」
りんは千佳子の夫・元彦に千佳子から聞いたふたりの祝言の話をしました。
👇りんの父のことを元彦は知っていましたhttps://t.co/EVcQTk5t1S
見上愛 谷田歩#朝ドラ #風薫る pic.twitter.com/fIh5h5mscJ
— 朝ドラ「風、薫る」公式 (@asadora_nhk) May 21, 2026
千佳子の決断は、本当に和彦のためだけだったのか
今回一番気になったのはここだった。表向きは和彦の説得で手術を決めたように見える。でも、そのあとりんに「手術を見せてあげる」と言う流れや、「勉強になるでしょ?」という言い方を考えると、千佳子の中には別の動機もあったのではないかと思えてしまう。
もし、成功率の低い手術を受けること自体を、自分一人の生のためではなく、誰かの学びや未来につなげる意味で受け入れたのだとしたら、それはかなり重い決断だと思う。直美の「うそをつかれたかもね」がどこを指しているのかはまだ分からないが、そこに引っかかるのは自然だと思った。
バーンズ先生の言葉は良かったが、医師たちとのやり取りはやはり引っかかる
今回のバーンズ先生の「患者はうそをつくこともあるが、体はうそをつかない」という言葉はかなり良かった。けれど、その一方で、病院側とどうやって話をつけたのかはやはり少し気になる。バーンズ先生は、表向きは片言の日本語しかできないふりをしているのに、今回はかなりすんなり「正式に許された」と報告している。
考えられるのは、日本語ができることをばらして話したか、誰かが通訳したか、筆談したか、実は医師の中に英語を話せる人がいる、そのあたりだろうが、ドラマの中ではそこが流されているので、どうしても細かく気になってしまう。こういう小さな引っかかりが残るのも、この作品の癖かもしれない。
信右衛門という存在の大きさがまた一つ積み上がった
今回、和彦が信右衛門の名を知っていたことで、改めて信右衛門という人物がかなり大きな人だったのだろうと感じた。ただの優しい父親ではなく、他人の進むべき道にも影響を与えるような人物だったのかもしれない。なぜ元家老から百姓へと転じることになったのか、その背景がいつか明かされるならかなり興味深い。
第40回は、決断の回でありながら、真意を問い直す回でもあった
今回は千佳子が手術を決意した、というだけならかなりすっきりした回になるはずだった。でも実際には、そこへ「本当にそれが本心なのか」「誰のための決断なのか」という問いが差し込まれている。だから単なる前進ではなく、決断の中身をもう一度見直させるような回になっていたと思う。
まとめ
2026年5月22日放送の『風、薫る』第40回は、千佳子がついに手術を決意する大きな転換点の回だった。ただ、その決断が本当に和彦のためだけだったのか、あるいはりんの勉強になるからという別の意味も含んでいたのか、まだはっきりとは分からない。その曖昧さを残したまま終わったのが印象的だった。
また、りんの看護は確かに千佳子の心を動かしたように見えるし、バーンズ先生の言葉もかなり良かった。一方で、細かい設定面での引っかかりや、和彦が信右衛門を知っていたことのご都合感も少し残る。とはいえ、次回いよいよ手術がどう描かれるのか、かなり気になる回だったと思う。
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