朝ドラ再放送『どんど晴れ』第97回感想(ネタバレ)──数字で切る経営改革は正しいのか?柾樹が踏み込んだ“板場の聖域”

どんど晴れ

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2026年2月9日放送の 『どんど晴れ』第97回は、

加賀美屋の経営改革が、ついに本格的に動き出した。

柾樹が最初に手を付けたのは、旅館の要ともいえる板場の食材費だった。

数字で示される「赤字」、

合理性を盾にしたトップダウンの改革、

そして長年続いてきた暗黙のルール。

正論に見えるからこそ、

どこか不安を覚えてしまう今回の展開。

果たして柾樹の改革は、加賀美屋を救うのか、それとも壊すのか。

※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。

👇 前回(第96回)の感想はこちら

朝ドラ再放送『どんど晴れ』第96回感想(ネタバレ)──勝負の終わりと改革の始まり、加賀美屋に忍び寄る本当の危機
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板場に踏み込む柾樹|合理性という名の強権発動

柾樹(内田朝陽)は板場を訪れ、板長の篠田(草見潤平)にその日に仕入れた魚の内容を確認する。

篠田は、

「何かあったときのため」に余分な魚を仕入れていたと説明する。

柾樹はその考え自体には一定の理解を示すものの、

仕入れにかかる費用が高すぎるとして、篠田と衝突する。

最終的に柾樹は、

自分の考えを一方的に押しつける形で、

「明日からは必要でないものは仕入れないように」と指示し、

理由を十分に説明しないまま板場を後にする。

篠田は強い不満を募らせる。

その様子を見ていた伸一(東幹久)と時江(あき竹城)。

そして浩司(蟹江一平)は、

「あとで柾樹にはちゃんと言っておく」と篠田をなだめる。

その後、柾樹の後を追ってきた夏美(比嘉愛未)が説明を求めるが、

柾樹は「仕事が終わった後に話す」と約束するにとどまる。


個人的感想

板場に来て、

一方的に言いたいことだけを言い、

十分な理由を示すこともなく、

軽い聞き取りだけで翌日からのコストカットを命じる柾樹。

環(宮本信子)から権限を与えられているとはいえ、

かなりの強権的なやり方だと感じる。

篠田は決して好感の持てる人物ではないが、

この進め方では、

誰であっても反発するのは当然だろう。

さらに問題なのは、

夏美がこの改革について何も知らされていない点だ。

これは完全に柾樹の独断であり、

事前の共有も、根回しもない。

このやり方のまま進めば、

板場だけでなく、

加賀美屋全体が荒れるのは目に見えている。

正直、かなり嫌な予感しかしない。


■ 正論でも、やり方を誤れば反発を生む

仕入れコストの見直し自体は間違っていない。

しかし、理由も示さず、

一方的に命じる改革は、

現場からすれば「攻撃」にしか映らない。

■ 「権限」を得た途端に変わる態度

権限を与えられた瞬間、

対話よりも命令を選ぶ姿勢は、

柾樹自身の危うさを示している。

■ 夏美との断絶が決定的になりつつある

最も理解を得るべき相手である夏美に、

情報が一切共有されていない。

この断絶は、

改革の失敗だけでなく、

人間関係の亀裂にもつながりかねない。


「昔気質の板長」という聖域と、経営側の本音

母屋では、柾樹の経営改革が早くも始まったことについて、

環(宮本信子)・久則(鈴木正幸)・伸一・恵美子(雛形あきこ)が話し合っている。

久則も伸一も、

板長の篠田は昔気質の職人で、仕入れには特にうるさいため、

改革は必ず揉めるだろうと懸念を示す。

恵美子は、

柾樹に経営を任せることになった場合、

夫である伸一の立場はどうなるのかと心配する。

一方、環は、

理想と現実は違うとし、

柾樹の経営改革がうまくいくとは考えていない。

環一派は、改革の失敗を前提に物事を見ている様子だった。


個人的感想

環も久則も伸一も、

柾樹の経営改革がうまくいくとは思っていない。

特に環に関しては、

失敗することを期待しているようにすら見える。

旅館が困った事態に陥ることよりも、

自分たちの経営権や立場を守ることの方が、

優先順位が高いのだろう。

久則は、

板場に手を入れただけで揉めると確信しており、

伸一も、

板長の篠田は昔気質で仕入れにうるさい人物だと認識している。

このやり取りだけでも、

篠田が加賀美屋の経営層である加賀美家の人間ですら、

簡単には口出しできない存在であることがうかがえる。

篠田の機嫌を損ねれば、

加賀美屋の料理そのものが成り立たなくなる――

そんな暗黙の了解がありそうだ。

そして、意外だったのは恵美子の反応だ。

自分は若女将になりたくない、

夏美を応援すると言っていたはずなのに、

柾樹が経営権を持つことで、

夫・伸一の立場がどうなるのかを気にしている。

若女将にならないことと、

夫が経営者レースから脱落することが、

同じ線上にあるという認識が、

そこまで深くなかったのかもしれない。


■ 改革の成否より「誰が負けるか」を見ている人たち

環一派は、

改革が成功するかどうかではなく、

「柾樹が失敗するかどうか」に関心がある。

これは組織として、かなり危険な状態だ。

■ 板長・篠田という“聖域”

経営層が手を出せない現場の象徴。

この聖域に手を入れる以上、

衝突は避けられない。

■ 応援と利害は両立しない

恵美子の動揺は、

「夏美を応援する気持ち」と

「夫の立場を守りたい気持ち」が

両立していないことを浮き彫りにしている。


加賀美屋の暗黙のルールと“使わない魚”の意味

出かけようとする柾樹を、浩司が引き止める。

浩司は、

加賀美屋には加賀美屋なりのルールがあり、

余分な魚も仕入れることで、

卸から良い魚を優先的に回してもらっているのだと説明する。

それを理解したうえで、

柾樹は「それでも悪しき慣習はなくしていく」と宣言する。

その後、浩司のもとに夏美がやって来る。

浩司は、柾樹がまだ加賀美屋のことを十分に理解していないとして、

魚の仕入れの実情を夏美にも説明する。

使わない魚も買い取るというのは、

業者との付き合いの中で成立してきた暗黙の了解であり、

その関係があるからこそ、

加賀美屋は常に最高の魚を仕入れられているのだと浩司は語る。

夏美は、

それは経費の無駄遣いになるのではないかと疑問を呈するが、

浩司はこのやり方があるからこそ、

加賀美屋の料理の質が保たれているのだと伝える。


個人的感想

加賀美屋に悪しき慣習が多いこと自体は、間違いない。

改革が必要な点も数多くある。

ただし、この「使わない魚を買う」という慣習については、

板場への丁寧な聞き取りと精査なしに、

単純に無駄だと切り捨てていい話ではないと思う。

もし「使わない魚」が、

そのまま廃棄されているのであれば、

食品ロスという観点でも、

経費面でも問題があるだろう。

しかし、

それが板場の見習いたちの練習用に使われ、

さらに賄いとして再利用されているのであれば、

一概に無駄な経費とは言い切れない。

また、

大量に仕入れることでボリュームディスカウントが効き、

結果として「一番いい魚」を安く仕入れられている可能性もある。

明日から必要な分だけ仕入れるとなれば、

そもそも良い魚を回してもらえなくなるか、

回してもらえたとしても割高になるかもしれない。

結局のところ、

納得できる条件で仕入れができる業者を見つけ、

関係そのものを見直すしかないのだろう。

以前、高価格帯の店で長年料理人をしている友人から、

「食材や調理法を少し変えただけでも、

常連客は気づく人は気づき、クレームにつながる」

という話を聞いたことがある。

料理経験のない柾樹の、

合理性だけを重視した改革は、

料理の現場にとってはかなり危うい。

そのことを、この場面は強く感じさせた。


■ 慣習は「無駄」か「投資」か

数字だけを見れば無駄に見える支出も、

品質や信頼関係を維持するための投資である場合がある。

そこを切り分けずに改革を進めるのは危険だ。

■ 現場の論理と経営の論理は一致しない

経営の合理性と、

料理の現場で積み上げてきた感覚は、

必ずしも同じ方向を向いていない。

そのズレをどう埋めるかが、本当の改革になる。

■ 夏美は「橋渡し役」になれるのか

現場の事情を知り、

かつ経営側の理屈も理解しようとする夏美。

彼女が介在できなければ、

両者の溝は深まる一方だろう。


荒れる板場、矢面に立たされる夏美

板場では、板長・篠田が不機嫌さをあらわにし、

板前たちに八つ当たりするような態度を見せている。

その空気は仲居たちにも伝わり、

加賀美屋全体の雰囲気は明らかに悪化していた。

時江は、

「板長が荒れると板場の空気が荒れ、仲居にもとばっちりが来る」

「柾樹ぼっちゃんも、もう少し考えてくれればいいのに」

と夏美にこぼす。

なぜかその場では、

夏美が申し訳なさそうに謝罪する形になってしまう。

一方、環はカツノ(草笛光子)を訪ね、

柾樹が板場に口出ししていることを報告する。

その改革が、

大女将・カツノの意思を引き継いだものなのかを確認するが、

そうではないと分かる。

そこで環は、

「柾樹のやりたいことを、どうか見守ってください」

と依頼し、

カツノから「もちろんです」との言質を取る。

環は、

「いらぬ助言はしないよう釘をさしておいた」

と、満足そうに時江へ報告するのだった。


個人的感想

板長・篠田は、

典型的なハラスメント気質の人物だ。

気に入らないことがあると、

周囲に当たり散らし、

職場全体の空気を悪くする。

こういう環境は決して健全ではない。

普段は優しい顔を見せるからこそ、

つい許されてしまうのだろうが、

良くないことは良くない。

柾樹には、

売上やコストといった数字の改革だけでなく、

こうした職場環境の問題にも

目を向けてほしいところだ。

それにしても、

なぜ柾樹が独断で進めている改革について、

夏美が時江に謝らなければならないのか。

夏美には何の責任もない。

それなのに、

環派に戻った時江は、

再び夏美に理不尽な矛先を向け始めている。

環はカツノから、

「余計な手出しはしない」という言質を取り付けた。

こういう立ち回りは、

やはりしたたかだと感じる。

ただ一つ気になるのは、

カツノは引退したはずなのに、

いつまでたっても「大女将」のままだということ。

それでいて、

「権力がなくなった」と嘆いていたのだから、

もっと強く権力を振りかざしたかったのだろうか、

と疑ってしまう。


■ 改革が生む「現場ストレス」

経営改革が始まると、

最初に噴き出すのは、

現場のストレスと不満だ。

その矛先が、

弱い立場の人間に向かうのは、

組織あるあるでもある。

■ 環の本当の狙い

環は改革を止めたいわけではない。

「失敗するのを、静かに待ちたい」だけだ。

だからこそ、

カツノを表舞台から遠ざける必要があった。


本で学ぶ経営と、現場が積み上げてきた現実

柾樹の部屋には、

「逆転への経営戦略」「分かりすぎる経営分析」など、

経営に関する本が山積みされており、

彼が本気で勉強している様子がうかがえる。

夏美は、

「柾樹の言っていることはもっともだが、

長年続いてきた慣習はそう簡単には変えられない」

と伝えるつもりでいた。

しかし、

毎日勉強を重ねている柾樹の姿を見て、

さらに具体的な経営数字を突きつけられ、

次第に言葉を失っていく。

柾樹は、

加賀美屋が生き残るために

どうしても変えなければならない現実があると語り、

板場が赤字であることを数字で示す。

夏美は、

柾樹の志の高さに圧倒され、

抱いていた不安を口に出せないまま。

そんな心情をナレーションが補足し、

この日の放送は幕を閉じた。


個人的感想

柾樹は、

完全に「本で得た知識」を武器に

経営改革を進めようとしている。

誰でも最初は初心者だし、

学ぶ姿勢そのものは否定されるものではない。

ただ、

誰の助言も求めず、

書籍の知識だけで、

180年続いた老舗旅館の経営を

いきなりトップダウンで変えようとしている


その姿勢には、正直なところ不安を覚える。

「逆転への経営戦略」には、

コストカットは協議不要、

トップダウンでスピーディーに進めろ、

とでも書いてあったのだろうか。

今作は、

長年の悪しき慣習 vs 本から得た合理性

という構図に、はっきり舵を切ったように見える。

板場が赤字だという説明も、

食材費の適正割合を売上の17%と設定し、

実際はそれを上回っているから赤字、

という計算らしい。

実際の食材費は売上に対して

18.5%前後に見える。

理屈の上では確かに「赤字」になるのだろう。

ただ、その17%という基準はどこから来た数字なのか

それこそ「分かりすぎる経営分析」から

引っ張ってきた数字ではないのかと勘ぐってしまう。

仮に、

「要らない魚は買わない」としても、

「じゃあ最高の魚は値上げします」と言われたら、

本当に赤字幅は縮むのか。

結局は業者選定からやり直す必要が出てくるだろうし、

魚だけでなく、

食材構成比が魚介類の次に高い野菜や肉類といった他の食材にも

手を入れなければ意味がない気がする。

魚の卸しでも怪しい人物が暗躍しているなら、肉の卸しだってどうなっているのか分からない。

売上が年間4億7千万円もあり、

柾樹の試算では

板場の赤字は年間680万円程度。

大女将の報酬が不要になり、

夏美や柾樹自身の人件費を抑えれば、

旅館全体としては

致命的な数字には見えない。

それよりも怖いのは、

「最高の魚」を卸してくれる業者を失い、

料理の質が落ち、

クレームが出て、

客が離れていくことだ。

柾樹も伸一も、

「今の経営のままではダメだ」

という点では一致しているのだから、

本来はもっと話し合えるはずだ。

180年の伝統を守るのか、

別の形の旅館に生まれ変わるのか。

それなら、

伸一の言っていた

「リゾートホテル化」も

議論の俎上に載せる価値はあるはずだ。

にもかかわらず、

誰も腹を割って話そうとしない。

とにかく対立構造を作り続ける――

このドラマらしさ全開で、

見ている側はなかなか気が休まらない。


■ 本で学ぶ経営 vs 現場で積み上げた経験

柾樹は決して何も考えずに改革を進めているわけではない。

部屋に山積みされた経営本からも、

「本気で加賀美屋を立て直そうとしている」こと自体は伝わってくる。

ただし、

本から得た知識はあくまで一般論であり、

180年続いてきた老舗旅館という特殊な環境に

そのまま当てはめて通用するとは限らない。

特に板場の仕入れは、

単なるコスト計算ではなく、

・料理の品質

・職人の技術

・仕入れ業者との信頼関係

・常連客の味覚の記憶

といった、数字に表れない要素の集合体だ。

そこを「売上に対する17%が適正」という

一つの数値だけで切ってしまう危うさは、

やはり否定できない。


■ 「赤字」の定義は本当に正しいのか

柾樹の示した板場の赤字は、

あらかじめ設定した基準値からの乖離によって

導き出された数字にすぎない。

もし、

・まとめ買いによる価格交渉

・仕込みや賄い、修業への再利用

・料理全体の付加価値向上

といった効果が加味されていないのであれば、

それは「赤字」ではなく

必要経費と見ることもできる。

数字は嘘をつかないが、

数字の切り取り方次第で

現実はいくらでも歪んで見えてしまう。


■ 夏美が「言えなかった」ことの意味

この場面で印象的なのは、

夏美が反論できなかった理由が

「理解できなかったから」ではなく、

「志の高さに押されてしまったから」だという点だ。

夏美は不安を感じている。

しかし、

・本気で勉強している柾樹

・数字を示して語る覚悟

・加賀美屋を守りたいという思い

それらを前にして、

「でも…」と言えなかった。

これは、

恋人間の対話としても、

経営判断としても、

非常に危うい状態だ。

異論を言えない空気が生まれた時点で、

改革はすでに一方向に傾き始めている。


■ 改革の最大の弱点は「相談相手がいないこと」

柾樹の改革で最も不安なのは、

やり方そのものよりも、

誰とも相談していないことかもしれない。

伸一とも、

板場とも、

夏美とも、

本音のすり合わせが行われていない。

もし本当に加賀美屋を守りたいのであれば、

・現場の知恵

・過去の失敗

・別の選択肢

を集めた上で、

落としどころを探る必要があるはずだ。

トップダウンはスピード感を生むが、

同時に、

致命的な見落としも生みやすい。


■ この改革は「成功」か「失敗」か

この時点では、

柾樹の改革が正しいかどうかは

まだ判断できない。

ただ一つ言えるのは、

このやり方のままでは、必ず誰かが傷つく

ということだ。

伝統を壊す改革か、

慣習に縛られたままの衰退か。

その二択ではなく、

第三の道を探れるかどうかが、

今後の分かれ道になるだろう。


■ まとめ

第97回は、

「正しいこと」と「うまくいくこと」は必ずしも一致しない

という現実を突きつける回だった。

柾樹のやっていることは、

数字だけを見れば間違っていない。

赤字を放置する経営は確かに危険だし、

悪しき慣習を断ち切る覚悟も必要だ。

しかし、

板場の仕入れには理由があり、

職人のプライドがあり、

長年築いてきた信頼関係がある。

それらを十分に聞き取らないまま、

本で得た知識と数字だけで切り込めば、

反発が生まれるのは当然だろう。

一方で、

「昔からこうしてきた」という言葉が、

不正や無駄を覆い隠す免罪符になっている可能性も否定できない。

合理性と伝統、

改革と現場、

理屈と感情。

その狭間で、

不安を抱えながらも何も言えなかった夏美の姿が、

今回いちばん視聴者の感覚に近かったのかもしれない。

柾樹の改革は、

成功するのか、失敗するのか。

それとも、別の「落としどころ」を見つけるのか。

板場という最も触れてはいけない場所に手を伸ばした今、

加賀美屋は、もう後戻りできない局面に入ったように見える。

『どんど晴れ』感想まとめはこちら

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