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2026年4月9日に放送された『どんど晴れ』第148回。
第148回は、ついに加賀美屋が“家族総出の非常事態運営”に突入した回だった。仲居だけでなく板前まで離職し、組合にも頼れない中、環は家族全員に持ち場を割り振り、とにかく今いる人間だけで旅館を回すことを決断する。危機の中でも客前では普段通りに振る舞い、おもてなしの心を守ろうとする姿は確かに胸を打つ。一方で、その美しさの裏には現場の無理もはっきりと見えていた。そしてそんな極限状態の最中、夏美の父・啓吾が救急搬送されたという知らせが入る。若女将として加賀美屋を守る責任と、娘として父のもとへ駆けつけたい気持ち。その両方を同時に背負わされた夏美にとって、今回はかなり重い回だったと思う。
※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。
👇 前回(第147回)の感想はこちら

- 仲居流出の連鎖、そして啓吾にも異変――加賀美屋の危機がさらに広がり始めた場面
- ついに板場まで流出、それでも加賀美屋は回す――家族総出の非常事態運営が始まった場面
- 個人的感想
- この場面で大きいのは、“仲居の問題”が“板場の問題”にも広がって、旅館全体の機能不全になったこと
- 東京の料亭への引き抜きは、秋山の工作が“転職不安の煽り”ではなく“現実の受け皿の提示”まで進んでいることを示している
- 伸一を止める柾樹の言葉で、ようやく“相手の土俵に乗らない”という危機対応ができるようになってきた
- 環の「ここにいる人間だけで何とかしよう」は精神論でもあるけど、同時に“今ある資源を再配置する経営判断”でもある
- 恵美子が仲居姿でそつなく接客する場面は、加賀美家の“隠れ戦力”が前に出てきた感じがあってかなりいい
- 「普段と同じように振る舞う」は旅館としては正しいけど、そのぶん現場の負荷もかなり高い
- もしこの危機を乗り切れるなら、“人を減らしても回る”構造が逆に見えてしまう怖さもある
- この場面は、“加賀美屋はまだ回る”ことを示すと同時に、“その回し方はかなり危うい”ことも見せている
- 個人的感想
- 岸本の体調不良と、夏美の“付き添い”――加賀美屋の献身が美徳なのか負担なのかを考えさせられる場面
- 啓吾の急変、そして夏美は横浜へ――若女将である前に娘であることを突きつけられた場面
- 個人的感想
- この場面で大きいのは、夏美が初めて“加賀美屋の若女将”ではなく“朝倉家の娘”として引き戻されたことだと思う
- 夏美が最初に横浜行きを拒むのは、冷たいからではなく“責任感が強すぎるから”なんだと思う
- 恵美子の申し出は、“手伝う”ではなく“夏美の役目を引き受ける”と言っているから強い
- 環の「父はこの世でたった一人しかいない」は、旅館の論理より人間の論理を優先した言葉としてかなり重い
- ただ、その言葉が久則とカツノの関係を思い出させてしまう
- この場面は、加賀美屋が“家族総出で何とか回る”ことを見せつつ、その中心にいる夏美が抜けても回るのかを試される場面でもある
- 新幹線に乗るラストで、物語の重心が一時的に“加賀美屋”から“朝倉家”へ移る感じがある
- 個人的感想
- まとめ
仲居流出の連鎖、そして啓吾にも異変――加賀美屋の危機がさらに広がり始めた場面
- 仲居たちが退職したことを聞きつけ、環(宮本信子)が帳場にやって来る。
- 久則(鈴木正幸)はどうしたらいいのか分からず右往左往している。
- 伸一(東幹久)は組合に助っ人を頼みに行こうとする。
- しかし環は、それは無理だと止める。
- 他の旅館でも仲居や従業員たちが辞めており、どこも人手不足になっているらしい。
- その後、番頭の中本(高橋元太郎)が環を呼びに来る。
- みんなが中本について行こうとすると、帳場の電話が鳴り、伸一が出る。
- 電話の相手は啓吾(大杉漣)で、加賀美屋オリジナルケーキのことで夏美と相談したいと話す。
- しかし伸一は、今はそれどころではなく、仲居たちが急に辞め、ほかにも大変なことになっているのだと伝えて電話を切る。
- 房子(森昌子)は、加賀美屋に何かあったのではないかと、もう一度電話しようとする。
- だが啓吾がそれを止める。
- そしてその時、啓吾は頭に強い痛みを感じる。
個人的感想
加賀美屋の仲居が一斉に辞めただけでも大事件なのに、環の話では他の旅館でも同じように従業員が辞めていて、組合から助っ人を回してもらう余裕すらないらしい。つまりこれはもう、加賀美屋一軒の問題じゃなくて、秋山が盛岡の旅館業界全体を揺さぶっているってことなんだろうな。
ただ、そこが逆に気になる。秋山は一体どうやって、ここまで一気に旅館の従業員たちを動かしているんだろう。待遇が良くないですよ、もっといい職場がありますよ、と吹き込むだけで、そんなに簡単に皆が退職を決意するものなのか。やっぱり単なる煽りだけじゃなくて、もう次の就職先まである程度具体的に用意しているんじゃないかと思ってしまう。
でももしそうなら、それはかなり大規模な動きだよな。盛岡だけでそんなに都合よく好待遇の受け皿があるのか。あるいは盛岡に限らず、日本全国の人手不足の旅館やホテルに流そうとしているのか。そこまでやっているなら、もはや単なる買収屋ではなく、かなり組織的に人材の移動まで仕掛けていることになる。以前から仲居の斡旋みたいなことを匂わせていたけど、もし本当にそれを業としてやっているなら、許可を受けた有料職業紹介事業もやっているんじゃないかとさえ思う。
そして啓吾だよな。前にも頭痛の不穏な兆候は見せていたけど、今回はかなり強い痛みに襲われていた。加賀美屋がこんな状況の時に、夏美の実家の側にまで別の危機が重なるのはかなりきつい。若女将として加賀美屋を支えないといけない時に、父親まで倒れるとなったら、夏美はかなり厳しい立場に追い込まれるだろうなと思う。
この場面で大きいのは、加賀美屋の危機が“個別の買収騒動”から“地域全体を巻き込む動き”に広がったこと
ここまでは、加賀美屋が狙われている話として見られる余地があった。
でも今回、他の旅館でも従業員流出が起きていると分かる。
つまり秋山の狙いは、加賀美屋一軒を押さえることではなく、
盛岡の旅館業そのものの地図を書き換えること
なんだろうなと思う。
かなりスケールが大きくなった。
組合が助けにならないのは、加賀美屋側にとってかなり痛い
ここで組合が助っ人を出せないのはかなり重い。
前なら、外から人を入れて何とか急場をしのぐ、という発想もあった。
でも今はそれすらできない。
つまり加賀美屋はここで、
外部支援にも限界がある状況
に追い込まれた。
かなりきつい。
啓吾の頭痛は、夏美に“旅館を守る若女将”と“父を思う娘”の二つを同時に突きつける前振りなんだと思う
ここまでの夏美は、かなり加賀美屋側の人間として動いてきた。
でも啓吾が倒れるとなると話は別だ。
つまりこの場面は、
夏美が加賀美屋を守る役目と、朝倉家の娘であることを同時に背負わされる入り口
なんだと思う。
かなりしんどい展開になりそうだ。
この場面は短いけど、“加賀美屋の危機はまだ広がる”と示したかなり重い場面だった
仲居流出は止まらない。
組合も助けられない。
秋山の動きは加賀美屋の外にまで広がっている。
そのうえ啓吾にも異変が起きる。
つまりこの場面は、
一つの危機が落ち着くどころか、次の危機がさらに重なってくる
ことを示した場面だった。
かなり不穏な入りだったと思う。
ついに板場まで流出、それでも加賀美屋は回す――家族総出の非常事態運営が始まった場面
- 板場では、英雄(遠藤信)と哲也(宇佐見健)が退職を申し入れる。
- 二人は、東京の料亭が今なら良い条件で雇ってくれるため、加賀美屋を辞めたいと伝える。
- 浩司(蟹江一平)は激怒する。
- しかし環は、無理に引き止めても加賀美屋のためにはよくないとして、退職を認める。
- 英雄と哲也は頭を下げて謝罪し、板場を出て行く。
- その後ろで、中本が引き止めようとする声がむなしく響く。
- 秋山(石原良純)の仕業に我慢できない伸一は、こうなったのは自分のせいだと責任を感じ、秋山のところへ行こうとする。
- 柾樹(内田朝陽)は、秋山たちはそうやって怒鳴り込んでくるのを待っていて、伸一が暴力でも振るえばそれを利用するかもしれないと忠告する。
- 久則も、そんなことになればますます面倒になると言って、伸一を止める。
- どうすればいいのかと伸一が問うと、環は、ここにいる人間だけで何とかしようと提案する。
- 仲居もいなくなり、組合も頼れない今、どうするのかと不安になる久則に対し、環は、みんなで力を合わせれば何とかなるはずだと話す。
- そして環は、夏美に同意を求める。
- 時江(あき竹城)には、恵美子(雛形あきこ)に着替えてすぐ旅館へ来るように伝えてと指示する。
- 佳奈(川村ゆきえ)には、担当以外の客のことも頼む。
- 久則、伸一、柾樹には、板場を手伝うよう指示する。
- 中本には、帳場への目配りを頼む。
- さらに環は、客の前では普段と同じように振る舞うよう、皆に言い聞かせる。
- 一同は「はい!」と力強く返事をし、それぞれの持ち場へ向かう。
- 夏美は、ロビーにいる客へ冷たい麦茶を出す。
- 仲居姿に着替えた恵美子は、そつなく接客をこなす。
- その時、中本に支えられながら、岸本様(丹阿弥谷津子)が戻ってくる。
- 岸本様は花巻へ行ってきて、少し疲れた様子を見せる。
- 夏美は、少し休まれた方がいいのではないかと提案する。
個人的感想
ついに板前の英雄と哲也まで退職を申し入れてきた。しかも今度は、もう転職先が決まっている。東京の料亭に好条件で引き抜かれた形だ。ここで、秋山が盛岡の中だけで人を動かしているわけではなく、日本各地の好条件の職場へつなぐところまでやっているのがかなりはっきりしてきた。
ただ、裏を返せば、盛岡の中だけではもう受け皿にも限界があるということでもあるのかもしれない。就職先を選ぶ時に、給料だけがすべてじゃない人もいる。慣れた土地を離れたくないとか、地元にいたいとか、そういう理由で働く場所を選ぶ人も当然いる。そういう人に対しては、いくら全国の好条件の求人をぶら下げても、秋山のやり方はいずれ壁に当たるんじゃないかとも思う。
それと、昨日の仲居たちの時は、夏美が必死に引き止めたから、法的には合意退職までは成立していないだろうなと思っていた。でも今回は環が「無理に引き止めても加賀美屋のためにはよくない」と言って退職を認めた。これで英雄と哲也については合意退職が成立したことになるから、14日前がどうとかいう話はもう問題にならない。そこは昨日との違いだ。
そして加賀美屋側は、またしても「ここにいるみんなで何とかする」という精神論で乗り切ろうとしている。もちろんドラマだから何とかなるんだろうとは思う。でも、前板長の篠田たちが辞めた時も家族一丸で乗り切ったし、今回もまた同じように乗り切れるのだとしたら、逆に今まで人員配置に多少の余剰があった可能性も出てくる。
もし今回、六人辞めても最終的に三人くらい補充すれば回る、みたいな結論になるなら、結果として三人分の人件費は浮くことになる。そう考えると、経営のスリム化に成功したとも見えてしまう。もちろん現場の負担はかなり重くなるだろうけど、そのぶん浮いた人件費で、残った時江、佳奈、中本みたいな人たちは厚く遇するべきだろうとも思う。
それにしても、前回も今回も、家族総出でギリギリ回しているのに、お客様の前では普段どおりに振る舞えと言っているわけだから、当然料金は正規料金なんだろうなとは思ってしまう。まあ、恵美子に接客してもらえるかもしれないという、ある意味プレミアムな体験はできるのかもしれないけどさ。
この場面で大きいのは、“仲居の問題”が“板場の問題”にも広がって、旅館全体の機能不全になったこと
前回は仲居が辞めた。
それだけでもかなり痛い。
でも今回は板前まで抜ける。
つまりここで加賀美屋の危機は、
一部門のトラブルじゃなく、
旅館全体のオペレーション崩壊
に進んだんだと思う。
かなり決定的だ。
東京の料亭への引き抜きは、秋山の工作が“転職不安の煽り”ではなく“現実の受け皿の提示”まで進んでいることを示している
これが大きい。
条件がいいらしいよ、というだけじゃ人はそこまで簡単には動かない。
でも、もう具体的な転職先がある。
しかも東京の料亭という、板前にとっては分かりやすく魅力的な肩書だ。
つまり秋山はもう、
不満を煽る人ではなく、
辞めた後の出口まで用意する人
になっている。
かなり強い。
伸一を止める柾樹の言葉で、ようやく“相手の土俵に乗らない”という危機対応ができるようになってきた
前なら、伸一が感情的に飛び出していくのを、そのまま止められなかったかもしれない。
でも今回は違う。
柾樹は、相手がそれを待っているかもしれないと読む。
久則もそれに乗る。
つまり加賀美屋側もここで少しずつ、
感情で動く側から
危機対応を考える側
へ変わってきているんだと思う。
そこはかなり大きい。
環の「ここにいる人間だけで何とかしよう」は精神論でもあるけど、同時に“今ある資源を再配置する経営判断”でもある
たしかに言葉だけ聞くと精神論っぽい。
でも今回の環は、ただ気合いを入れているだけじゃない。
- 恵美子を客室へ
- 佳奈に担当外も
- 男衆を板場へ
- 中本を帳場へ
と、かなり具体的に人を再配置している。
つまりこれは、
非常時のオペレーション再編
でもある。
意外とかなり経営者らしい判断をしている。
恵美子が仲居姿でそつなく接客する場面は、加賀美家の“隠れ戦力”が前に出てきた感じがあってかなりいい
これまで恵美子は、支える側、家の中を守る側として描かれてきた。
でもここで実際に現場へ入る。
しかも「そつなく」こなす。
つまり恵美子は、ただ優しいだけの人じゃなくて、
本気でいざとなれば戦力にもなる人
ここはかなり良かった。
「普段と同じように振る舞う」は旅館としては正しいけど、そのぶん現場の負荷もかなり高い
正規料金を取る以上、客には普段どおりを求められる。
だからこそ環はそう命じる。
旅館としては筋が通っている。
でもそのぶん、内側で回している人間の負担はかなり大きい。
つまりこの場面は、
サービス業のつらさ
がかなりよく出ている。
崩れていても、客前では崩れられない。
もしこの危機を乗り切れるなら、“人を減らしても回る”構造が逆に見えてしまう怖さもある
今回みたいに、家族総出で何とか回せてしまうと、
見方によっては「今まで本当にこの人数が必要だったのか」という話にもなりかねない。
もちろん、非常時の無理が恒常化できるわけじゃない。
でも経営目線で見ると、
余剰人員の削減が可能かもしれない
という読みも出てしまう。
そこがちょっと怖いところだ。
この場面は、“加賀美屋はまだ回る”ことを示すと同時に、“その回し方はかなり危うい”ことも見せている
今回の場面で確かに分かるのは、
加賀美屋はまだ終わっていないということだ。
家族総出で、何とか現場を回せている。
そこには強さもある。
でも同時に、そのやり方はかなり綱渡りだ。
誰かがさらに倒れたら一気に崩れる。
啓吾の件もそうだし、岸本様の疲れた様子もそうだし、
もう全部がギリギリだ。
だからこの場面は、
加賀美屋のしぶとさと
加賀美屋の限界
が両方見える、かなり大事な場面だったと思う。
岸本の体調不良と、夏美の“付き添い”――加賀美屋の献身が美徳なのか負担なのかを考えさせられる場面
- 環は、お客様への挨拶回りに行きたいので、時江に夏美がどこにいるのかを確認する。
- 時江は、岸本が具合の悪そうな様子を見せているため、夏美は岸本の部屋にいると伝える。
- 環が夏美に岸本の様子を尋ねると、少し熱があると報告される。
- 夏美は岸本に医者を呼んだ方がいいのではと提案したが、岸本は、しばらく横になっていれば大丈夫だからと断った。
- 夏美がそばについていることを環に伝えると、環は一人で挨拶回りへ向かう。
- 一方、板場では家族が一つとなって、この状況を乗り切ろうと働いている。
- その様子を健太と勇太も見ている。
- 夏美は引き続き岸本を看病している。
- 夜になり、岸本がせき込む。
- 夏美は声をかけて部屋を開ける。
- 岸本は、夏美がずっとそこにいたのかと気にかける。
- しかし夏美は、たまたま通りかかったら声が聞こえたのだと嘘をつく。
- そして岸本に水を飲ませ、再び部屋の外へ出て、正座して待機する。
個人的感想
高齢の女性の一人客が体調を崩した場合、宿泊施設のマニュアルってどうなっているんだろうなと気になってしまった。今回は岸本本人が、医者を呼ぶことをはっきり拒否しているし、「横になっていれば大丈夫」と自分で判断している。そうなると、旅館側としてどこまで踏み込むべきなのか、かなり難しいよなと思う。
熱があるくらいでは、自分からわざわざ申告しないお客様も多いだろうし、それ自体は珍しいことではないのかもしれない。ただ、今回みたいに「高齢女性の一人旅」という条件があるなら、何かしらのルールや対応方針があった方がいいのかもしれないなとも思わされる。とはいえ、医者を呼ぶのを本人が拒否している以上、旅館側ができることもそんなに多くはない。せいぜい家族に連絡するかどうかを確認するくらいしか、すぐには思いつかないんだよな。何が正解なのかはかなり難しい。
板場では家族が一丸となってこの危機を乗り切ろうとしている。その様子を健太と勇太も見ていた。以前は恵美子が若女将をやることで寂しくなって家出した二人だけど、今回はさすがに状況の深刻さを感じ取っているようだった。もうあの時のように、ただ不満で飛び出すような感じではなさそうだなと思った。
ただ、最初は父と母が板場で必死に働いているのを見て、健太と勇太も何か手伝うとか、誰かに知らせに走るとか、何かしら動くのかと思った。でも実際には、ただ見ているだけだった。そこは少し意外だった。
そしてやっぱり引っかかったのは、夏美の岸本への付き添い方だ。吉田の時にも思ったけど、あの「部屋の外でずっと待機」は個人的にはかなり勘弁してほしい。客の立場でも、旅館の人が外で待っていると思うと落ち着かないし、働く側にとっても負担が重すぎる。清美が言っていた「お客様の都合で朝まで待機」というのが、まさにこういうことを指しているのだとしたら、この業務はやっぱり見直した方がいいと思う。
もしこの買収騒動を乗り切って、また融資が下りるようなことがあるなら、まず客室と帳場をつなぐ電話でも設置した方がいいんじゃないか。そういう設備投資の方が、お客様にも従業員にも喜ばれる、ずっとまともなお金の使い方だと思う。
この場面で大きいのは、“家族総出で旅館を回している美しさ”と“その裏で現場負担がさらに重くなっている現実”が同時に出ていること
表面だけ見ると、この場面はかなり美しい。
環は一人で挨拶回りに行き、夏美は看病をし、板場では家族が一丸となって働いている。
まさに「家族で危機を支えている」場面だ。
でもその一方で、実際に起きていることはかなり重い。
人手不足の中で、看病も、接客も、板場も、全部を少人数で抱えている。
つまりこの場面は、
家族の献身が輝いて見える場面であると同時に、
その献身によって無理がさらに現場にのしかかっている場面
でもある。
そこがかなり苦い。
岸本の体調不良は、“加賀美屋が今いちばん起きてほしくないこと”が起きた場面でもある
今の加賀美屋は、ただでさえ人手が足りない。
その状態で、宿泊客の体調不良が起きる。
これは旅館にとってかなり嫌な展開だと思う。
なぜならここで求められるのは、普段以上に細やかな対応だからだ。
つまり岸本の不調は、単なる一人の体調不良ではなく、
人手不足の旅館にとって最も負担の重いタイプのトラブル
として置かれているんだと思う。
客の安心のために人が張りつくという発想そのものが、今の労務問題の核心なのかもしれない
清美たちが問題にしていたのは、まさにこういうところなんだろうなと思う。
つまり、客の安心や満足のために、人がどこまでも付き添う。
それを“おもてなし”としてきた。
でもその結果、現場では待機や長時間拘束が常態化してしまう。
この場面は、その構造をものすごく分かりやすく見せている。
だからここは単なる看病の場面じゃなくて、
加賀美屋の良さと加賀美屋のしんどさが、同じ行動の中に同居している場面
なんだと思う。
健太と勇太が“見ているだけ”なのは、今回はもう子どもの出番ではなく、“大人たちの責任の場面”として描いているからかもしれない
ここ、少し意外だったけど、逆に考えると意味はあるのかもしれない。
以前のように子どもが感情で動く場面ではなく、
今回は大人たちが責任を持って何とかする場面として描きたい。
だから二人はただ見ている。
つまり健太と勇太はここで、
手伝う子どもではなく、
家の危機を目で見て学ぶ子ども
として置かれているのかもしれない。
そう考えると少し納得はできる。
すごく現実的な改善案
派手なリゾート化とか、見栄えのいい設備投資より、
まずこういう基本的なインフラを整える方が、よほど価値がある。
- 客は何かあればすぐ連絡できる
- 仲居はずっと張りつかなくていい
- 労働負担は減る
- サービスの質も安定する
つまりこれは、
おもてなしを壊さずに現場負担を減らすためのアップデート
こういう方向が本当の改革なんじゃないかと思う。
“加賀美屋が守りたいもの”と“加賀美屋が変えなければならないもの”を同時に見せた場面だった
岸本への看病、環の挨拶回り、家族の奮闘。
そこには確かに加賀美屋の良さがある。
でもその良さが、そのまま今の現場のしんどさにもつながっている。
つまりこの場面は、
加賀美屋の美徳と
加賀美屋の限界
を同時に見せているんだと思う。
かなり地味な場面だけど、旅館のあり方そのものを考えさせる、かなり重要な場面だった。
啓吾の急変、そして夏美は横浜へ――若女将である前に娘であることを突きつけられた場面
- 翌日になり、久則は今日も板場に入るかと張り切っている。
- 環は、また久則がぎっくり腰になるのではないかと心配する。
- 久則は、徹夜をした夏美を気づかう。
- そして環は、岸本の様子を夏美に確認する。
- 夏美は、まだ熱は下がらないが、おじやなら食べられそうだと言っていたと答える。
- その時、帳場の電話が鳴る。
- 電話で、啓吾が救急車で運ばれたこと、これから手術をするかもしれないことが伝えられる。
- 智也が「先生が呼んでる」と房子を呼びに来る。
- 房子は慌てて電話を切り、走っていく。
- 父に何があったのかと気にする夏美に、久則は詳しいことは分からないが、手術になるかもしれないと聞かされたことを伝える。
- 久則は夏美に、横浜の総合病院へ急いで行くよう言う。
- しかし夏美は、今、加賀美屋をこのままにはしておけないこと、岸本の体調も良くないから、ちゃんと看病をしなければならないことを理由に、横浜へ戻るのを拒む。
- そんな中、恵美子がお客様の看病は自分がするからと申し出る。
- 夏美は、恵美子には健太と勇太の世話があるはずだと言う。
- しかし恵美子は、健太と勇太も加賀美屋が大変な状況だということを分かってくれているから心配いらないと答える。
- それでも迷う夏美に、環は、おもてなしの心を持って接客することは加賀美屋の人間なら誰にでもできるはずだと話し、あとは自分たちを信じてほしいと伝える。
- 環は、夏美の父はこの世でたった一人しかいないのだと諭す。
- その言葉を受け、夏美は横浜へ戻る決断をする。
- 久則、恵美子、環が夏美を見送る。
- そして夏美は新幹線に乗り、急ぎ横浜へ向かう。
- その姿でこの日の放送は終わる。
個人的感想
啓吾は前日にかなり強い頭痛に襲われていたのに、そのまま一晩我慢してしまったのかい、というのがまずきつい。あの時点で病院へ行っていれば、救急搬送という形にはならなかったかもしれないし、処置の仕方も違ったかもしれない。そう思うと、ちょっとした違和感を放置する怖さを改めて感じる場面だった。
智也が制服姿だったのも少し気になった。一度学校へ行ってから呼び戻されたのか、それとも学校へ行く前に啓吾が倒れたのか。まあ、そこは本筋ではないからどちらでもいいんだけど、横浜側もかなり慌ただしく動いている感じはよく伝わってきた。
そしてやっぱり大きいのは、父親が手術するかもしれないと聞いても、夏美がまず仕事を優先しようとしたことだ。この価値観って、放送当時から今に至るまでの間にかなり変わったように感じる。今なら、家族の体調不良や子どもの行事で休むことに対して、もっと寛容な空気がある。ペットが亡くなったから休む、ということすら一定の理解を得られる時代だ。だから今の感覚で見ると、父の手術より旅館を優先しようとする夏美の判断はかなり重く感じる。
もっとも、夏美だって、仲居たちが大量離職していない、買収騒動もない、岸本も元気、という状況だったら、迷わず横浜へ戻っていたはずだろう。今は条件が全部最悪の形で重なってしまっているからこそ、若女将としての責任と娘としての気持ちがぶつかっている。そこがかなりしんどい。
その中で、やっぱり今回いちばん印象に残るのは恵美子の万能感だ。実務的な面だけ見ても、たぶん恵美子は夏美にできることの大半を、いや下手したら夏美以上にそつなくこなすんだろうなと思わせる。信じる心の強さだって、たぶん夏美に負けていない。ただ、唯一足りないのは座敷童要素くらいだろうなと思ってしまった。
そして最後に、どうしても引っかかるところもある。環は夏美に「啓吾はこの世でたった一人の父親なのよ」と言って横浜へ行かせた。その言葉自体はすごくまっとうだと思う。でも、それを聞くとどうしても思い出してしまう。久則にとっても、カツノはこの世でたった一人の母親だったはずだ。久則にカツノを生きているうちに会わせることは、やろうと思えばできたはずなのに、結局は夏美と柾樹の結婚式を優先してしまった。あそこはやっぱり少し残念だったなと思う。久則はもういい年をした大人なんだから後回しでもいい、ということなのかもしれないけど、そこは少し複雑な気持ちが残る。
この場面で大きいのは、夏美が初めて“加賀美屋の若女将”ではなく“朝倉家の娘”として引き戻されたことだと思う
これまでの夏美は、かなり一貫して加賀美屋側の人間として動いてきた。
でも今回は違う。
父が倒れた。
手術になるかもしれない。
この知らせは、若女将としての役割を一気に飛び越えて、
娘としてどうするのか
を真正面から突きつけてくる。
つまりこの場面は、夏美にとって
加賀美屋の人間であることより前に、朝倉家の娘であることを思い出させる場面
だったんだと思う。
夏美が最初に横浜行きを拒むのは、冷たいからではなく“責任感が強すぎるから”なんだと思う
今の感覚だと、父が倒れたならすぐ戻れよと思う人も多いと思う。
でも夏美がここで迷うのは、親不孝だからじゃない。
むしろ逆で、
今ここで自分が抜けたら加賀美屋がもっとまずいことになる
と本気で思っているからだ。
つまりこれは、愛情の欠如じゃなくて責任感の過剰なんだと思う。
かなり夏美らしいし、かなり苦しい。
恵美子の申し出は、“手伝う”ではなく“夏美の役目を引き受ける”と言っているから強い
ここ、すごく大きい。
恵美子はただ「大丈夫よ」と慰めるだけじゃない。
岸本の看病も含めて、
あなたが今やろうとしていることは自分が引き受ける
と言っている。
だから夏美も迷う。
でも逆に言えば、ここまで言ってもらわないと離れられないくらい、今の夏美は加賀美屋に結びついている。
かなり重い場面だと思う。
環の「父はこの世でたった一人しかいない」は、旅館の論理より人間の論理を優先した言葉としてかなり重い
環はずっと女将として考えてきた人だ。
でもここでは違う。
加賀美屋の事情より、目の前の娘と父の関係を優先させる。
つまりこの一言は、
女将の判断である前に、
人としての判断
かなり重いし、かなりいい言葉だったと思う。
ただ、その言葉が久則とカツノの関係を思い出させてしまう
ここはかなり引っかかる。
夏美には「父は一人しかいない」と言う。
それは正しい。
でも同じ理屈なら、久則にとってもカツノはたった一人の母親だった。
あの時は会わせなかった。
今回は行かせる。
もちろん事情は違うし、久則は大人だし、夏美は娘としてまだ若い。
そういう違いはある。
でもそれでも、見ている側としては少し複雑なものが残る。
この場面は、加賀美屋が“家族総出で何とか回る”ことを見せつつ、その中心にいる夏美が抜けても回るのかを試される場面でもある
ここまで加賀美屋は、夏美をかなり中心に置いてきた。
でも今回はその夏美が抜ける。
つまりこの場面は、
夏美がいなくても加賀美屋は加賀美屋でいられるのか
を試す場面でもあるんだと思う。
その意味で、見送る環・恵美子・久則の姿はかなり重要だ。
加賀美屋を守るのは夏美だけじゃない、とようやく示される。
新幹線に乗るラストで、物語の重心が一時的に“加賀美屋”から“朝倉家”へ移る感じがある
ここ数回ずっと、重心は加賀美屋にあった。
でもラストで夏美が新幹線に乗ると、一気に視線が横浜へ向く。
つまり物語がここで、
旅館の危機だけではなく
夏美個人の家族の危機
へも大きく舵を切る。
かなり大きな転換点だと思う。
まとめ
今回の第148回でまず印象的だったのは、加賀美屋が本当に“総力戦”に入ったことだと思う。前回までは、家族がまとまり直した、気持ちが一つになった、という話だった。でも今回はそこから一歩進んで、その家族の和が実際の労働力として試される段階に入った。仲居も板前も去り、外部の助けも見込めない。そんな中で環は、恵美子を客室へ、佳奈に担当外も任せ、久則・伸一・柾樹を板場に回し、中本には帳場を任せる。精神論だけではなく、かなり具体的に人を再配置して非常時の運営を組み立てていた。ここは女将としてかなり強かったと思う。
ただ、その一方で今回かなりはっきりしたのは、加賀美屋の“美しさ”がそのまま現場の無理にもつながっていることだ。岸本の体調不良に対して、夏美は部屋の外で正座して待機する。客を不安にさせないために「たまたま通りかかっただけ」と嘘をつく。でもこの場面を見ていると、やはり清美たちが問題にしていた「お客様の都合による待機」というものの重さがよく分かる。おもてなしの心として描かれてきたものが、同時に労働負担としても存在している。ここがかなり苦かった。もし今後加賀美屋が立て直されるなら、大規模な派手な改装より、まずは客室と帳場をつなぐ電話みたいな、こういう負担を減らす設備投資の方がずっと大事なんじゃないかとも思った。
そして今回、もう一つ大きかったのは、秋山の買収が加賀美屋一軒の問題ではなく、盛岡全体の旅館業を揺さぶる規模で進んでいることが見えてきたことだ。他の旅館でも従業員が辞めていて、組合も助けられない。さらに板前の英雄と哲也には、東京の料亭という具体的な転職先まで用意されている。つまり秋山は、単に不満を煽っているだけではなく、辞めた後の出口まで用意して人を動かしているわけだ。このあたり、本当に手慣れていて厄介だなと思う。一方で、盛岡にこだわる人間まで全部を動かせるわけではないだろうから、秋山の戦略にもいずれ限界は来るかもしれないとも感じた。
そして最後に一気に重みを増したのが、啓吾の救急搬送だ。前日から強い頭痛の兆候があったのに、そのまま一晩我慢してしまったらしいこともかなりきつい。ちょっとした違和感を放置する怖さを突きつけられるし、夏美にとっては若女将として加賀美屋を支える責任と、娘として父のもとへ行かなければならない気持ちが真正面からぶつかる場面になった。今の感覚だと、家族が倒れたなら仕事よりそちらを優先して当然という空気がかなり強いけど、この回では夏美はまず加賀美屋を優先しようとした。その重さは、今見るとなおさら際立つ。
そんな中で、やはり今回も恵美子の存在感は圧倒的だった。岸本の看病は自分がする、加賀美屋の人間ならおもてなしの心を持って接客することは誰にでもできる、だからあとは自分たちを信じて横浜へ行ってほしい。これは単なる励ましじゃなくて、夏美の役目を引き受けるという宣言なんだろう。そして環が「父はこの世でたった一人しかいないのよ」と言って背中を押す。第148回は、加賀美屋の家族総出の覚悟が描かれた回であると同時に、夏美が若女将である前に朝倉家の娘であることを突きつけられた回だったと思う。
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