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2026年3月30日に放送された『どんど晴れ』第139回。
第139回は、これまで水面下で積み上がっていた不穏が、ついに加賀美家の表の場で爆発した回だった。伸一は秋山を“ビジネスパートナー”として家族の前に連れてきて、全面建て替え案で進みたいと訴える。一方で環たちは、家族で決めた柾樹案を覆すようなやり方に強く反発し、加賀美家の空気は完全に二つに割れてしまう。ただ今回見ていて苦しかったのは、建て替えかリフォームかという方針の違いだけではない。伸一が本当に孤立していたこと、そしてその孤立を誰も真正面からほどこうとしてこなかったことまで、はっきり見えてしまったからだ。そんな中で、夏美がようやく“話し合いの場”を作ったことが、この回の一番大きな意味だったように思う。
※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。
👇 前回(第138回)の感想はこちら

- 秋山を連れてきた伸一と、ついに割れた加賀美家の空気
- 個人的感想
- この場面で噴き出したのは「建て替えかリフォームか」ではなく、「誰の意見が家族の中で聞かれるのか」という問題
- 伸一の暴走は“突然の裏切り”ではなく、“対話から外された人間の暴発”として見える
- 柾樹案が支持されること自体より、「柾樹が言うから正しい」空気の方が危うい
- 浩司の「夢物語」発言に対する伸一の反論は、この場面の核心に近い
- 夏美がやったことは「余計なこと」ではなく、「対話の場を作り直したこと」だと思う
- 夏美はこの場面で初めて“若女将として家族の対立を止める人”になっている
- 環が最終的に折れたのは、伸一に譲ったというより“夏美の提案に乗った”からだと思う
- この場面は、「秋山が入り込んだ結果」より、「家族の中にあったひずみが表面化した結果」として見るとかなり苦い
- 個人的感想
- 夏美がつないだ一度きりの猶予と、柾樹の中に残ったわだかまり
- 個人的感想
- この場面は“話し合いの猶予”ができた場面であると同時に、“火種が消えていない”ことを見せる場面
- 恵美子だけが“誰がこの場を動かしたのか”を正確に見ている
- 秋山の怖さは、“自分だけが悪者になります”と言いながら、実際には一番得をする位置にいること
- 「自分には家族がいないが、伸一にはあんなに良い家族がある」は、秋山の言葉の中でもかなり危険
- 時江はこの場面で、“伸一の側に立つか、加賀美屋の側に立つか”をまだ決めきれていない
- 柾樹は夏美を理解しているが、納得はしていない
- 夏美は“対立を止める人”にはなれたが、“対立の代償”まではまだ背負いきれていない
- このラストは、“次の対立の主役が伸一から柾樹へ少し移る予感”を置いて終わっている
- 個人的感想
- まとめ
秋山を連れてきた伸一と、ついに割れた加賀美家の空気
- 伸一(東幹久)は秋山(石原良純)を家族の前で「ビジネスパートナー」だと紹介し、自分が考える全面建て替え案で進めたいと説得する。
- 浩司(蟹江一平)は、銀行が建て替え案には融資しないのだから無理だろうと反論する。
- それに対して伸一は、秋山のおかげで十分な金額の融資の目途がついたと説明する。
- 柾樹(内田朝陽)は秋山に、融資先はどこなのかと確認する。
- しかし秋山は、今はまだ答えられないと返答を濁す。
- 柾樹は、他人にそこまで任せるのはどうかと不安を口にする。
- 環(宮本信子)、久則(鈴木正幸)、浩司(蟹江一平)もその不安に同意する。
- 伸一は、秋山への信頼を語る。
- それに対して家族は秋山を不審に思い、両者の間に対立が生まれる。
- 伸一は、秋山がすでに資金の一部を振り込んでくれたのだと説明し、受付印が押された2億円の「振込受付書」を環に見せる。
- その書類は他の家族たちも確認する。
- 伸一は、それでもまだ疑うのかと家族に迫る。
- 久則と浩司は、疑うかどうかではなく、どうしてこうなる前に話してくれなかったのかと伸一に問う。
- 伸一は、そのことは悪かったと思っていると認めたうえで、自分の案の方がこれからの加賀美屋のためになるはずだと土下座して頼み込む。
- 秋山も、伸一の描く通りに進めば、加賀美屋は日本だけでなく世界にも名をとどろかせることになると援護する。
- 環は穏やかな口調ながら、柾樹の提案でいくと家族で決めたことだと秋山を退けようとする。
- しかし秋山は、家族である伸一は納得していないと反論する。
- さらに秋山は、従業員がどう思っているかも分からないと言う。
- 環は、その意見は参考にするが、今日はお引き取りくださいと笑顔で秋山に伝える。
- 環がその場を去ろうとすると、伸一がなおも食い下がる。
- その結果、家族の間でもみ合いになる。
- 浩司は激しい口調で伸一に詰め寄る。
- まわりが伸一と浩司を引き離す。
- 凍りついた空気の中で、夏美(比嘉愛未)が場を収める。
- 夏美は、伸一のやりたいことをもう一度みんなで考え直してみないかと提案する。
- そして、みんなが納得できる答えが出るまで、もう少し待ってもいいと思うと話す。
- 緊張した空気の中で、夏美は柾樹に同意を求める。
- 柾樹は渋々ながら同意する。
- 環も、一度だけだと受け入れる。
- 伸一はその判断に感謝する。
個人的感想
展開としてはかなり面白くなってきた。ただ同時に、自分の見方は世間とかなりずれているんだろうなとも実感した。前提として、自分は別に逆張りしたいわけでもないし、批判するためだけにドラマを見ているわけでもない。それでも、多くの人が「夏美がまた余計なことをした」と受け取っていそうなこの場面で、自分はむしろ「やっと夏美が良いことをしてくれた」と思ってしまった。
もちろん、伸一が今やっていること、やろうとしていることは褒められることではない。そこは間違いない。ただ、自分としては、伸一をここまでの行動に走らせたのは恵美子と時江以外の人たちだろうとどうしても思ってしまう。
環は「この話は柾樹の提案でいくと家族で決めたことだ」と言っていた。たしかに形式上はそうなんだろう。だけど、その肝心の「柾樹のリフォーム案」自体は、本当に家族で話し合って決めたものだったのか。そこが自分にはどうしても引っかかる。以前も書いたように、柾樹と伸一は一緒に銀行へ行き、融資担当とも支店長とも話をしている。その時点では、自分は当然、柾樹のリフォーム案は伸一を含めた家族全員が共有しているものだと思っていた。ところが実際には、家族そろっての食事の席で環が柾樹に案を説明させ、その時の伸一はまるで初めて聞いたかのような反応をしていた。これで本当に「家族で決めた」と言えるのか。自分はかなり疑問だ。
しかも、その時伸一は明らかに反論したそうだった。ところが柾樹は、伸一が何か言おうとした瞬間に「だけど」と言葉をかぶせて、自分の持論をそのまま話し続けた。あれを見ていると、伸一の意見を聞く気が最初からないように見えてしまう。柾樹が独断で案を固めず、きちんとみんなで話し合って合意形成していれば、伸一は秋山の提案に乗らなかったかもしれない。さらに環、久則、浩司も、伸一の話をきちんと聞こうとしない。浩司に至っては、あからさまに兄を馬鹿にし始めていた。
伸一だって、大女将から株を譲り受けて、家族で何とかうまくやっていこうと決意したはずだ。それなのに、リフォーム案には意見も言えない、話し合いの土台にすら上がれない。そういう状況なら、自分の話を聞いてくれる秋山の方へ気持ちが傾いていくのは、むしろ自然だと思ってしまう。おそらく秋山に騙されているんだろうし、伸一がやろうとしていること自体はよくないことなんだろう。でも、その土台を作ったのは柾樹、環、久則、浩司の側だろうに、という気持ちは消えない。
もし最初から伸一の話を聞いてくれる環境があったなら、伸一だって「秋山という人物がいて、こういう提案を受けているんだけど、家族としてはどう思うだろうか」と確認したかもしれない。でも現実には、柾樹は過剰に持ち上げられ、自分は嘲笑の対象になり、意見を言おうとしても遮られる。そんな空気を自分たちで作っておいて、「事前に相談しろ」「勝手に決めるな」と言っても、正直説得力はない。ただ、伸一はハニートラップのことは隠している以上、相談はできないのかもしれないが。
浩司が「兄貴の話は夢物語なんだから目を覚ませ!」と言った時、伸一は「俺の話、一度でも真剣に聞こうとしたことないだろ!?」と返していた。まさにその通りなんだよ。浩司は一度も伸一の話を真剣に聞こうとしていない。あの一言はかなり本質を突いていたと思う。
そんな、まともな話し合いが成立しているとは言い難い場面で、夏美が「伸一さんがやりたいことをもう一度みんなで考え直してみませんか」「みんなが納得する答えが出るまで今しばらく待ってみてもいいと思うんです」と言った。多くの人は、ここで、また夏美が余計なことをしたと感じるんだろう。でも自分は、「ああ、やっと伸一が意見を言える場が整った」と思ってしまった。夏美、よくやったとすら思ってしまった。
話し合ったところで、伸一の意見が通る可能性は低いだろう。でも少なくとも、頭ごなしに否定されずに自分の考えを表明する機会だけは、夏美が整えてくれた。それだけでも大きい。正直、その結果がどうなるかはどうでもいい。柾樹案が支持されるのか、伸一案が支持されるのか、あるいは折衷案になるのか。それ自体はもうそこまで重要じゃない。ただ、自分がずっと気持ち悪かったのは、伸一だけが蚊帳の外に置かれ、最初からないがしろにされ続けていたことなのだ。
柾樹は本音では夏美の提案に賛成していなかったんだろうけど、この場では同意せざるを得なかったのだろう。柾樹が反対しない以上、環も「一度だけ」と条件付きで伸一との話し合いに応じた。そこまでは引き出したんだから、やっぱり今回の夏美の一言は意味があったと思う。
それにしても秋山は見事だね。環に何を言われても動じないし、しかも露骨に間違ったことは言わない。だから余計に厄介だ。もしここに大女将・カツノがいたら、秋山とどういう対決になっていたのか、それは少し見てみたかった。
この場面で噴き出したのは「建て替えかリフォームか」ではなく、「誰の意見が家族の中で聞かれるのか」という問題
表面上は、
- 伸一の全面建て替え案
- 柾樹の一部リフォーム案
の対立に見える。
でもこの場面で本当に重いのは、
どちらの案が優れているかそのものより、
伸一の意見が、最初からまともに検討される位置に置かれていないこと
なんだと思う。
浩司が切る。
久則も環も止めない。
柾樹も話を受け止める前に自分の理屈を重ねる。
だから伸一は、案が否定されたというより、
発言権そのものを失っている人
として描かれている。
この積み重ねがあるから、
秋山の「あなたの考えは正しい」が効いてしまう。
伸一の暴走は“突然の裏切り”ではなく、“対話から外された人間の暴発”として見える
もちろん、伸一が秋山と組んで勝手に話を進めたのはよくない。
褒められることではない。
ただ、この場面を見ていると、
伸一は最初から家族を裏切りたくて動いたというより、
自分の話を聞いてもらえない状態が続いた結果、外に理解者を求めた人
に見える。
それが正しいとは言わない。
でも、そう見えるように積み重ねてきたのは、この数回の家族の空気だ。
つまりここは、
伸一が悪い
で終わる話ではなく、
伸一をここまで追い込んだ家族の側の責任もある
と感じさせる場面なんだと思う。
柾樹案が支持されること自体より、「柾樹が言うから正しい」空気の方が危うい
柾樹の案には理屈がある。
それは分かる。
でもこの場面の嫌さは、
話し合った結果、柾樹案が残った
というより、
最初から柾樹案が正しい前提で場が進んでいる
ように見えることだ。
だから自分としては引っかかる。
本来なら必要なのは、
- どこを残すのか
- どこを変えるのか
- 既存客に何が必要か
- 新規客に何を売るのか
を一つずつ詰める議論のはずだ。
でも実際には、柾樹側の構想は“未来志向”として扱われ、
伸一側の構想は“夢物語”として先に処理されてしまう。
この差が、伸一をますます孤立させている。
浩司の「夢物語」発言に対する伸一の反論は、この場面の核心に近い
「俺の話、一度でも真剣に聞こうとしたことないだろ!?」
ここはかなり大事だと思う。
たぶんこの場面の本質が一番よく出ている。
伸一が求めているのは、
全面建て替え案への無条件の賛成ではなく、
せめて一度、自分の考えをまともに聞いてくれ
ということなんだろう。
その権利が最低限すら与えられていない。
だからあの反論はかなり重い。
夏美がやったことは「余計なこと」ではなく、「対話の場を作り直したこと」だと思う
ここをどう見るかで、この場面の印象はかなり変わる。
多くの人はたぶん、
また夏美が場をかき回したと思うのかもしれない。
でも、この回に限って言えば自分は、
やっと夏美が必要なことを言った
場面に見える。
なぜなら夏美は、
- 伸一案に賛成したわけではない
- 秋山を支持したわけでもない
- 建て替えを推したわけでもない
ただ、
もう一度みんなで考え直そう
全員が納得できるまで待とう
と言っただけだ。
これは結論をひっくり返したというより、
壊れていた話し合いの入り口を一回だけ作り直した行為
としてかなり大きい。
夏美はこの場面で初めて“若女将として家族の対立を止める人”になっている
今までの夏美は、
- その場を和ませる人
- 感情に反応する人
- 良くも悪くも勢いで動く人
として描かれることが多かった。
でも今回は違っていて、
もみ合いになった場を止めたうえで、
誰か一人の肩を持つのではなく、
話し合いの継続そのものを提案している。
これはかなり若女将的な行為なんだろうと思う。
お客様対応ではなく、
家の内部の分断をいったん収める役に回っている。
つまりこの場面の夏美は、
単なるお人よしではなく、
対立の交通整理をする人
として一段上がって見える。
環が最終的に折れたのは、伸一に譲ったというより“夏美の提案に乗った”からだと思う
環は本音では秋山を信用していないし、
建て替え案に戻ることにも反対のはずだ。
それでも「一度だけ」と言った。
これは伸一に負けたのではなく、
柾樹が完全には反対せず、
さらに夏美が“もう一度考えるだけ”という形で出してきたからだろう。
つまりこの場面では、
環を動かしたのは伸一の土下座ではなく、夏美の整理の仕方
だったように見える。
そこが面白い。
この場面は、「秋山が入り込んだ結果」より、「家族の中にあったひずみが表面化した結果」として見るとかなり苦い
秋山はもちろん危険だし、
この対立を煽っている。
でも、それだけではここまでにはならなかったはずだ。
ここまで空気が壊れるのは、もともと家族の中に
- 伸一への軽視
- 柾樹への過剰な期待
- 対話しないまま結論だけ決める癖
があったからだと思う。
つまりこの場面は、
秋山が壊した
というより、
もともとひびが入っていた家族の構造が、秋山をきっかけに一気に割れた
場面なんだろう。
だから見ていて単なる悪役登場以上の嫌さがある。
家の中にあった問題が、ついに隠しきれなくなった場面だからだと思う。
夏美がつないだ一度きりの猶予と、柾樹の中に残ったわだかまり
- 部屋を出た環に対して、久則と浩司が「いいのか」と確認する。
- 環はこめかみを押さえるだけで、はっきりとは答えない。
- 伸一は、秋山のおかげだと感謝を伝える。
- しかし恵美子(雛形あきこ)は、もう一度話し合えることになったのは、夏美が見るに見かねて間に入ってくれたおかげだと伸一に伝える。
- 恵美子はそのまま母屋の方へ戻っていく。
- 時江(あき竹城)は秋山に、どうして伸一に無断で銀行へ断りに行ったのかを確認する。
- 秋山は、悪者になるのは自分でいいのだと説明する。
- その言葉によって、伸一はますます秋山への信頼を強める。
- 一方、帳場に戻った柾樹はため息をつく。
- 夏美は柾樹に謝る。
- 柾樹は、夏美の気持ち自体は理解している。
- 夏美は、きっと良い答えが出るはずだと信じている。
- 柾樹は、夏美はいつも前向きだよなと返す。
- しかしその後、「でもな」と言って椅子に座る。
- ナレーションは、夏美はその柾樹の態度に少しおかしなものを感じたと説明し、その日の放送は終わる。
個人的感想
環は明らかに納得していない。こめかみを押さえていたのは、まさに頭痛の種がまた一つ増えた、ということなんだろうなと思った。
伸一は秋山に感謝を伝えていたが、ここで恵美子が冷静に状況を見ているのが印象的だった。もう一度話し合えることになったのは、夏美が見るに見かねて間に入ってくれたからだと、ちゃんと本質を押さえている。この場面で仮に恵美子が夏美の代わりに間に入ろうとしても、おそらく柾樹も環も納得しなかったんだろうなとも思う。もし恵美子が、夏美ならこの場を動かせると分かったうえで自分は静観していたのだとしたら、なかなかしたたかだ。
秋山を見ていると、人の心につけこむにはこういうやり方が有効なのかもなと、ある意味では勉強になる。代理人が本当に勝手に融資を断れるのかどうかは別として、無断で断ったことを「悪者になるのは自分でいい」と引き受ける。そして、それを自分が勝手にやったことにした方が伸一の立場が少しでもよくなるんじゃないか、自分にはもう家族はいないが、伸一にはあんなに良い家族がある、だからその家族のためにもこれからも自分が矢面に立つつもりだ、と言う。これはかなり効くだろうなと思う。伸一の立場を気にかけるだけじゃなく、さっきまで伸一に強く反対していた家族のことまで、決して悪く言わず「あんなに良い家族」と持ち上げる。こんなの、伸一はコロッと騙されてしまうだろう。
時江の表情は、まだ秋山を信用したのか、それとも疑いを深めたのか、そこが読み切れない感じだった。ただ、少なくとも簡単には飲み込んでいないと思う。
柾樹はため息をついて明らかに怒っている。それでも、夏美の「家族の和を大事にしたい」という気持ちは理解してくれている。ただ、正直なところ、これは柾樹がかなり自分の意見を飲み込んでいるようにも見えた。夏美も、柾樹の態度が少しおかしいと感じ取っていたし、今度は柾樹の方が誰にも相談せず、秋山に対抗する手を考え始めるんじゃないかという気もしてくる。家族の和を大事にすると言いつつ、このまま対立構造が全部消えてしまうとは思えない。どんど晴れは、そういうドラマじゃない気がするからだ。
この場面は“話し合いの猶予”ができた場面であると同時に、“火種が消えていない”ことを見せる場面
表面的には、夏美の介入でひとまず場は収まった。
もう一度話し合う時間もできた。
だから一見すると、危機はいったん先送りにされたように見える。
でも実際には、
- 環は納得していない
- 柾樹も飲み込めていない
- 時江も秋山を測りかねている
- 伸一だけが秋山への信頼を深めている
という状態で、火種はまったく消えていない。
つまりここで得られたのは解決ではなく、
たった一度の猶予
なんだと思う。
恵美子だけが“誰がこの場を動かしたのか”を正確に見ている
伸一は秋山に感謝している。
でも恵美子は、それは違うと分かっている。
もう一度話せるようになったのは、夏美が間に入ったからだと、ちゃんと見抜いている。
つまり恵美子はここで、
場の表面ではなく
実際に誰が対立を止めたのか
をきちんと把握している。
相変わらず、感情に飲まれずに構造を見ている人なんだなと思う。
秋山の怖さは、“自分だけが悪者になります”と言いながら、実際には一番得をする位置にいること
秋山は、自分が悪者になると言う。
一見すると自己犠牲的だ。
でも実際にはそれによって、
- 伸一からの信頼を深め
- 家族からの直接の追及もかわし
- さらに「伸一の家族のことまで思う自分」という顔まで作る
ことができている。
つまりこれは自己犠牲ではなく、
悪者を引き受けることで、いちばん深い信頼を取りにいく手口
なんだと思う。
かなりいやらしい。
「自分には家族がいないが、伸一にはあんなに良い家族がある」は、秋山の言葉の中でもかなり危険
この言い方は本当にうまい。
なぜなら、家族を悪く言えば伸一もどこかで警戒するかもしれない。
でも秋山は逆に、家族を立てる。
しかも、自分にはないものとして羨ましがる。
すると伸一の側からすると、
この人は家族を壊そうとしている人ではなく、
自分と家族の両方を分かってくれる人
に見えてしまう。
ここがかなり危ない。
時江はこの場面で、“伸一の側に立つか、加賀美屋の側に立つか”をまだ決めきれていない
時江は問いただす。
でも完全には切らない。
表情も読み切れない。
つまり今の時江は、まだ決断していないのだと思う。
それが逆にリアルで、
時江もまた今、
情で動くのか、危機管理で動くのか
の境目にいるんだろう。
だからあの曖昧さが出る。
柾樹は夏美を理解しているが、納得はしていない
ここはかなり大事だと思う。
柾樹は夏美を責めない。
気持ちは分かるとも言う。
でもそれで問題が解決したとは全然思っていない。
つまり今の柾樹は、
夏美への理解と
秋山を止めなければいけない焦り
を両方抱えている状態なんだと思う。
だから「でもな」で止まる。
あの一言の先に、本音がまだかなり残っている。
夏美は“対立を止める人”にはなれたが、“対立の代償”まではまだ背負いきれていない
夏美は場を止めた。
それ自体は大きい。
でもこの場面で見えてくるのは、
場を止めたことで新しい緊張も生まれているということだ。
特に柾樹は、夏美のやったことを否定しきれない一方で、
そのせいで秋山に時間を与えてしまったとも感じているかもしれない。
つまり夏美はここで、
対立を収める役
にはなれたが、
その結果誰が何を飲み込むか
まではまだ把握しきれていない。
だからこそ、柾樹の「少しおかしい」空気を感じるんだろう。
このラストは、“次の対立の主役が伸一から柾樹へ少し移る予感”を置いて終わっている
ここまでの主な火種は伸一だった。
でもこの場面の終わり方を見ると、
次に単独で動き出しそうなのはむしろ柾樹の方にも見える。
夏美は和を作った。
伸一は秋山に寄っている。
環は保留した。
となると、
現実的に危機感を一番強く持っている柾樹が、家族の合意を待たずに何かし始める
可能性が出てくる。
だからこの場面は、
表向きは小休止だけど、
実際には次のぶつかり合いの予兆をかなり濃く残している終わり方だったと思う。
まとめ
今回の第139回は、表向きには「伸一の全面建て替え案」対「柾樹のリフォーム案」の対立に見える回だった。でも実際に見ていて一番重かったのは、案の優劣そのものよりも、伸一の意見が最初からまともに扱われていないように見えたことだと思う。浩司は真っ先に切り、久則も環もその流れを止めず、柾樹もまた伸一の言葉を最後まで受け止めるより、自分の理屈を先に出していた。話し合った結果、伸一案が退けられたというより、最初から伸一には十分な発言権が与えられていなかった。だからこそ、伸一の「俺の話、一度でも真剣に聞こうとしたことないだろ!?」という言葉が、この回の核心のように響いた。
もちろん、伸一が秋山と組んで家族に黙って話を進めていたことは褒められない。そこは間違いない。ただ、その暴走の土台を作ったのは誰なのかと考えると、どうしても家族側の責任も見えてくる。特にこの数回、柾樹は過剰に持ち上げられ、伸一は夢物語を語る無能のように扱われ続けてきた。もし最初から伸一の話をちゃんと聞く環境があったなら、秋山という人物がいて、こういう提案を受けているんだがどう思うか、と家族に相談していた可能性もあったはずだ。だから今回の伸一の行動は、単なる裏切りというより、対話から外された人間が外に理解者を求めた結果として見えてしまう。その意味でかなり苦かった。
その中で、今回いちばん大きな仕事をしたのは夏美だったと思う。多くの人はまた余計なことをしたと感じるのかもしれないが、自分にはむしろ逆に見えた。夏美は伸一案に賛成したわけでも、秋山を支持したわけでもない。ただ、「伸一さんがやりたいことをもう一度みんなで考え直してみませんか」「みんなが納得できる答えが出るまで待ってもいいと思う」と言っただけだ。つまり結論をひっくり返したのではなく、壊れていた話し合いの入り口を一回だけ作り直した。伸一の意見が通るかどうかは別として、少なくとも頭ごなしに否定されず、意見を表明できる場を整えた。この一点だけでも今回の夏美はよくやったと思う。
一方で、その“猶予”が新たな火種も生んでいるのも確かだった。環は納得していないし、柾樹も飲み込めていない。時江も秋山を信用していないだろう。それでも伸一だけはますます秋山に依存していく。つまり今回得られたのは解決ではなく、たった一度の猶予に過ぎない。そしてその猶予の先で、次に誰が単独で動き出すのかを考えると、むしろ柾樹の方が危うく見えてくる。第139回は、加賀美家の分裂がついに表面化した回であると同時に、ようやく“本当の意味での話し合い”が始まるかもしれない、その入り口がやっとできた回だったと思う。
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