本記事にはアフィリエイト広告を利用しています。
2026年2月27日放送『どんど晴れ』第113回は
結納の余韻を吹き飛ばす一言から始まった。
「いずれは柾樹が継ぐ」。
曖昧だった後継問題が、公の場で確定する。
それは祝福の言葉であると同時に、誰かの立場を奪う宣告でもあった。
家を守るとは何か。
女将の決断とは何か。
そして、取り残された者はどうなるのか。
物語は一段、重い局面に入った。
※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。
👇 前回(第112回)の感想はこちら

和やかな席に走った緊張──後継問題の表面化
・啓吾(大杉連)たちは環(宮本信子)とも打ち解け、和やかな雰囲気の中で結納は終わろうとしている。
・房子(森昌子)は環に夏美(比嘉愛未)をよろしく頼むと伝え、環は夏美が人の心を開かせる才能は両親の愛情の賜物かもしれないと話す。
・啓吾が柾樹(内田朝陽)の仕事について質問する。山室(中原丈雄)は柾樹が経営・広報・人事を担っていると思っているが、柾樹は現在は伸一(東幹久)の下で学んでいる最中だと説明する。
・山室が「いずれは加賀美屋を継ぐのだろう」と問うが、柾樹は即答できない。啓吾も不安になる。
・夏美が空気を変えようとするが、啓吾は柾樹が継ぐ前提で夏美が女将修業をしていると思っている。
・啓吾が環に柾樹が継ぐのかと改めて尋ねると、伸一が答える。
・伸一は、父・久則と自分が帳場を担ってきたこと、自身は海外で修業し現在の経営を任されていること、後継者は未定であることを理路整然と説明する。
・啓吾は大女将が柾樹が継ぐと言っていたと主張するが、伸一は大女将は既に引退し、今は環が女将だと返す。
・環は、現状は久則と伸一が帳場を預かっているが、盛岡に戻れば夏美を若女将にし、いずれは柾樹が継ぐと明言する。
・納得できない伸一は声を荒らげるが、環にたしなめられる。
個人的感想
正直に言って、ここにきて伸一がかなり不憫に見えてきた。
啓吾が柾樹に仕事の話を振ったとき、彼の中では
「盛岡に戻った=後を継ぐ覚悟を決めた」
という図式が出来上がっていたのだろう。
山室も同じだ。慰留を振り切って退職し、盛岡に帰った。ならば後継ぎになるのだと思うのは自然だ。だから結納の和室の場面でも、「柾樹は後継者」という前提で話が進んでいた。
ところが実際には、柾樹は伸一の下で働いている。
その事実を、当の伸一がいる前で
「いずれ継ぐんだろ?」
と確認する。しかもどこか不満げに。
これはさすがにデリカシーに欠ける。伸一の立場を考えると、かなりきつい。
そもそも夏美が女将修業を始めたのは柾樹と結婚したいという理由だけだった。そして、再開したのは、婚約が白紙になっても、「女将になりたい」という意思で戻ってきたはず。
ここで改めて浮かぶ疑問。
女将と経営者は、夫婦でなければならないのか。
この違和感は彩華のときからあった。あのときも一度整理はしてみたが、その後特に説明はなく自分の中では流してきた部分だ。今また同じ疑問が顔を出している。
そして、もう一つ気になっているのが「赤字」という言葉だ。
柾樹の経営改革レポートで板場の仕入れを“赤字”と表現したことで、視聴者の中に「加賀美屋は赤字で、それは伸一のせい」という印象が広がっていないだろうか。
だが現状の加賀美屋は黒字だ。
それは柾樹自身も認め、レポートでも示されている。
問題は将来予測だ。
売上は頭打ちで、今後は減少が見込まれる。
ここで一度、現状を整理してみる。
柾樹は大女将・カツノ(草笛光子)から、「俊江(中江有里)が命をかけて守った“今の加賀美屋”を守ってほしい」と託されたのだと私は理解している。伸一たちが建て替えを進めようとしている中で、この加賀美屋そのものを残してほしい、と。そして柾樹はそれを引き受けた。
しかし実際に中身を見てみれば、新規客は伸びず、売上は頭打ち。将来的には減少に転じる可能性が高い。つまり、何らかの手は打たなければならない。
柾樹が選んだのは「建て替えない改革」だ。今の加賀美屋を守りながら、無駄な支出を削減する。宿泊料を調整し、これまで届かなかった層にも手を伸ばす。客単価を下げても客数を増やし、売上全体を維持・拡大しようとする方向性だ。
一方で、伸一は逆だったのではないか。黒字である今のうちに融資を引き、建て替えによって付加価値を高め、高級化路線へ舵を切る。客数が多少減っても、単価を上げて売上を伸ばす戦略。
もちろんこれは作中で明確に説明されたわけではない。だが、もしそうだとすれば、赤字に転落する前の“黒字の今”こそが勝負どきだったとも言える。
少なくとも、伸一が何もせず赤字を垂れ流していたわけではない。停滞していたわけでもない。柾樹とは違う方向を向いていただけで、彼なりに加賀美屋の未来を考え、動いていた可能性は十分にあると思っている。
方向性は真逆だが、
「現状のままでは危ない」という認識は共有していた可能性が高い。
もし伸一の融資が成功していたらどうだったか。
もし建て替えが現実味を帯びていたら。
環は本当に柾樹を選んだだろうか。
環自身、九代目就任の際の挨拶で、仲居と板前を前に建て替え計画に触れている。つまり、少なくとも一時期は伸一の路線に理解を示していた。
今回の決断は、
柾樹の“支出削減という成果”を評価した結果かもしれないし、
銀行から融資を断られ続け、建て替えが現実的でないと判断した結果かもしれない。
どちらにせよ、伸一は何もせず赤字を垂れ流していたわけではないと思うし。
停滞していたわけでもないと思っている。
むしろ彼なりに、加賀美屋の未来を考え、動いていた可能性は高い。
その伸一が、ここで一気に梯子を外された。
融資を引っ張ってこれなかった時点で能力不足だ、と言われれば反論は難しい。だが、それだけで切り捨てるには、少し酷だと感じてしまう。
今回一番やりきれないのは、もしかすると伸一かもしれない。
公の場での後継確定
この回の核心は、
非公式だった後継問題が公の場で確定したことだ。
伸一の説明は事実として正しい。
だが最終決定権は環にある。
家制度においては、
実務よりも“指名”が重い。
ここで権力の所在が明確になった。
経営路線の分岐
物語上明言はされていないが、
伸一と柾樹は異なる戦略を志向していた可能性があるのではないか。
・伸一=高級化・設備投資・単価上昇
・柾樹=支出抑制・価格調整・客数増
どちらが正解かは分からない。
ただし、どちらも“何もしない”選択ではない。
この対立は、単なる後継争いではなく、
経営思想の対立とも読める。
不憫さの正体
伸一が不憫に見えるのは、
努力が否定されたからではなく、
“物語の語り口”が彼を悪役側に寄せているからだ。
赤字というミスリードする言葉。
声を荒げる演出。
空気を読まない立ち位置。
だが実態はそこまで単純ではない可能性がある。
この回は、
後継確定の瞬間であると同時に、
伸一という人物を再評価させる可能性もある回であった。
横浜の夜──若女将の喜びと不安
・夏美は横浜の実家に戻り、一泊する。
・啓吾は、環が後継者を柾樹と明言したことを喜びつつも、伸一の様子を見て、加賀美屋で働くことと加賀美家の一員になることの両方に不安を覚える。
・夏美は両親に対し、「なんとかなる。伸一たちとも話し合ってやっていくつもりだ」と答える。
・智也(神木隆之介)も受験のことで心配されており、夏美に同調する。
・自室に戻った夏美は、若女将として認められた喜びと同時に、環の母としての立場や伸一たちと家族として過ごす将来を思い、不安を抱える。
個人的感想
まず細かいところだが、横浜の夏美の部屋。
しばらく柾樹が使っていたはずなのに、その痕跡がまったくない。
きれいに掃除をして出ていったのだろう。
あの男、変なところで律儀だ。
さて本題。
当初、夏美が目指していたのは「女将になること」だった。
だが一年以上加賀美屋で働く中で、
女将=職業ではなく、
女将=家族の一部になること
へと意味が変わったのだと思う。
だから今の夏美にとって、若女将になることはゴールではない。
「加賀美家の人間たちと上手くやっていけるか」
ここがセットになっている。
環の母としての立場。
伸一の立場。
家の中の感情。
そこを無視して昇格することは、
今の夏美にはできない。
彩華との決定的な違いはそこだろう。
彩華は“役職”を取りにいった。
夏美は“関係性”を守ろうとしている。
誰かを押しのけてまでなる女将ではない。
ここにきて、夏美の成長がはっきり見える。
家に入るということ
啓吾が不安を覚えたのは当然だ。
・職場としての加賀美屋
・家族としての加賀美家
この二重構造が、今回初めてはっきり可視化された。
働くことと、家に入ることは別問題だ。
だがこの物語では、それが不可分になっている。
夏美のアップデート
若女将と明言されたにもかかわらず、
夏美は単純に喜んでいない。
これは成長の証だ。
初期の夏美なら、
「やった!」で終わっていたかもしれない。
だが今は、
“家の空気”を読んでいる。
自分の昇格が誰かの痛みになるかもしれない。
そこまで想像できるようになっている。
座敷童から家の一員へ
夏美はこれまで、
家を自然に明るくする存在、いわば“座敷童”的立ち位置だった。
だが若女将になるということは、
象徴的存在から、責任を負う存在へ移行することを意味する。
愛される存在でいるだけでは足りない。
対立を引き受ける覚悟が必要になる。
今回の不安は、
その境界線に立っている証なのかもしれない。
味方であり続ける人──時江の覚悟
・環、伸一、柾樹が加賀美屋に戻り、時江(あき竹城)が出迎える。
・伸一の様子が普段と違うことに気づいた時江は、後を追う。
・伸一は、結納の席で環が柾樹が継ぐと皆の前で明言したことを伝える。
・時江は環のもとへ行き、事実を確認する。
・そして、本心では伸一に継いでほしかったのではないかと詰め寄る。
・環は、自分は女将として既に決めたことだと説明する。
個人的感想
時江は、最後まで伸一の味方でいようとしている。
以前、時江が理不尽に解雇されたとき、
最後まで彼女を守ろうとしたのは伸一だった。
この二人の間には、単なる上司部下ではない、
何か特別な信頼関係があるように見える。
だからこそ、今回も真っ先に動いた。
環が考えを翻したことは事実だ。
長い間、伸一を後継候補として見てきたはずだ。
それを公の場で覆した。
時江からすれば、
「なぜ今なのか」
という思いは当然だろう。
役職としての仲居頭ではなく、
一人の人間として伸一の将来を案じている。
そこに打算は感じない。
むしろ、この場面で最も情があるのは時江かもしれない。
伸一の孤立と支え
後継を外された伸一は、
家の中で急速に立場を失いつつある。
その中で唯一、即座に動いたのが時江だ。
これは象徴的だ。
血縁ではない人物が、最も強く寄り添っている。
環の決断の重み
環の「もう決めたこと」という言葉は冷静だ。
情よりも家の未来を優先する。
それが女将としての判断だ。
だが、その決断が誰かの人生を左右する以上、
反発が起きるのは避けられない。
承認を失った男──伸一の葛藤
・伸一は自室で酒を飲み、荒れた様子で恵美子に愚痴をこぼす。
・恵美子は伸一を心配し、環にも何か考えがあるのではないかと諭す。
・夏美が若女将になることを知らされ、恵美子は驚く。
・伸一は、夏美が若女将になるなら柾樹が後継ぎになった方が都合がよいのだと語る。
・そして、環は最後に母親ではなく女将としての選択をしたのだと嘆く。
個人的感想
一度は加賀美屋を出ていった柾樹が後継者になる。
これは、ずっと家を守り続けてきた伸一にとっては飲み込めない現実だろう。
自分は現場に立ち、帳場を預かり、融資を取りに奔走し、
少なくとも「何もしていなかった」わけではない。
その末に出た結論が、後継からの脱落。
酒をあおりたくもなる。
ただ、安心したのは、
伸一が恵美子に八つ当たりしなかったことだ。
夏美が若女将になると知ったとき、
「だから柾樹が有利になる」と理解している。
状況は冷静に見えている。
だからこそ余計に辛い。
環は最後の最後で、母ではなく女将として選択した。
伸一はそう受け止めた。
つまり、
「家を守る能力」で判断された、ということだ。
融資が通らず、建て替え構想が現実味を失った。
そこに女将としての見切りがあったのかもしれない。
もし恵美子が若女将補佐のような存在として、夏美を支える立場に回るなら、
まだ、伸一の経営参加の道は閉ざされないかもしれない。
今、伸一を立て直せるのは恵美子しかいない。
変なプライドや過去のこだわりを捨てて、
加賀美家一丸でいけるかどうか。
ここが分岐点だ。
承認の喪失
伸一が荒れる本質は、
後継を失ったこと以上に、
“承認を失った”ことにある。
自分の努力が評価されなかった、
そう感じている可能性が高い。
母と女将の分離
伸一は、環の選択を
「母ではなく女将としての判断」
と捉えた。
これは重要だ。
家族の情よりも、経営判断が優先された。
再編の可能性
まだ完全な決裂ではない。
・恵美子の立場
・伸一の経験
・柾樹の路線
これらをどう組み直すかで、
加賀美屋の未来は変わる。
伸一は終わった人物ではない。
むしろ今が、
彼の本当の選択の始まりなのかもしれない。
居場所を守りたいという成長・女将としての確信、母としての痛み
・柾樹は環に、自分のせいで家族が揉めることになるのではないかと心配を口にする。
・環は、今回の決断は柾樹のためではなく、すべては加賀美屋のためだと告げる。
・伸一のことは自分たちが何とかする、いずれ分かってくれるはずだから、柾樹は加賀美屋のことだけを考えてほしいと環は頼む。
・ナレーションで、女将としての決断は環の中で確信に変わりつつあるが、伸一には理解しがたいものであり、母としては身を引き裂かれる思いであると語られ、放送は終了する。
個人的感想
柾樹が「自分のせいで家族が揉めるのは嫌だ」と言った。
この言葉は、遠野に行く前と後ではまったく重みが違うはずだ。
以前の柾樹は、加賀美屋に自分の居場所はないと思っていた。
だから後継になれたとしても、改革が成功すればそれでいい、とどこかで割り切っていた可能性もある。
しかし遠野を経て、
話し合うこと、分かり合うこと、
そして自分にも居場所があると知った。
その居場所を、自分の存在によって壊すのは本意ではない。
ここが大きな変化だ。
柾樹も夏美も、当初はどこか自分本位だった。
だが今は明らかに違う。
家全体を見ている。
関係性を壊さない選択を考えている。
二人は確実に成長した。
対照的に、伸一は荒れている。
理解が追いつかず、感情が先行している。
正直なところ、
このままでは終わらないだろう。
伸一は必ず何かを起こす。
そうでなければ、物語として収まりが良すぎる。
居場所の再確認
柾樹の不安は、
「後継争い」ではなく「居場所の喪失」への恐れだ。
かつて自分が感じていた孤立を、
今度は家族に与えてしまうのではないか。
これは過去の自分を知っているからこその発言だ。
女将の決断と母の痛み
環は女将として決断した。
だが母としては別の感情がある。
家制度の論理と、血縁の情。
その板挟みが明示された。
今回の決断は経営判断であると同時に、
家族関係を再編する宣言でもある。
成長と停滞の対比
柾樹と夏美は、
「自分の成功」から「家の調和」へ視点が移った。
一方で伸一は、
まだ「自分の立場」に縛られている。
この対比は明確だ。
物語は、成長した二人を前に進ませ、
取り残された者に選択を迫る段階に入った。
伸一がどう動くか。
次回以降の焦点はそこにある。
まとめ
今回、環は明確に線を引いた。
母ではなく、女将として。
柾樹は家を壊したくないと願い、
夏美は関係性を守ろうとし、
伸一は承認を失い荒れている。
成長した者と、立ち止まった者。
家制度の中で、それぞれの立場がはっきりと分かれた。
だが、物語はここで終わらない。
柾樹と夏美は前を向いている。
問題は、伸一がどう動くかだ。
このまま静かに収まるはずがない。
どんど晴れは、必ず嵐を用意している。
『どんど晴れ』感想まとめはこちら
広告
懐かしい朝ドラをもう一度見たい方はこちら → NHKオンデマンドでは見られないけどTSUTAYA DISCASで楽しめる朝ドラ5選
