朝ドラ再放送『どんど晴れ』第112回感想(ネタバレ)──結納の祝宴に漂う違和感──伸一という火種

どんど晴れ

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2026年2月26日放送『どんど晴れ』第112回。

夏美と柾樹の結納という晴れの舞台。

格式と笑顔に包まれ、両家の縁が結ばれていくはずの時間だった。

しかし、和やかな空気の下には、いくつもの小さな違和感が静かに潜んでいる。

その中心にいるのは、やはり伸一だった。

※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。

👇 前回(第111回)の感想はこちら

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後継者という“既成事実”

・夏美(比嘉愛未)が、柾樹(内田朝陽)や環(宮本信子)たちを連れて盛岡から結納の挨拶に訪れる。

・和室には結納品が用意されており、啓吾(大杉連)と房子(森昌子)が仲人の山室夫妻に挨拶をする。

・山室(中原丈雄)は初めての仲人で浮かれていたことを、妻の道代(大沼百合子)に明かされる。

・山室は「盛岡を代表する老舗旅館・加賀美屋の後継ぎとの結納だ」と強調し、房子も女将の環が来る以上、それ相応の準備が必要だと語る。

・房子は智也(神木隆之介)に対し、失礼のない言葉遣いをするよう注意する。

・柾樹は環にかつて自分が働いていたホテルを案内するが、伸一(東幹久)は不満そうな様子を見せる。


 

個人的感想

山室の「加賀美屋の後継ぎとの結納だ」という発言は、なかなか踏み込んでいる。

柾樹が正式に後継者として決定している描写は、少なくとも視聴者には明示されていない。

にもかかわらず“後継ぎ”と断定する。

これは単なる世間的イメージなのか、それとも対外的にはすでに既定路線なのか。

組織論的に見ると、「内部で未確定でも外部には一本化したメッセージを出す」というのはよくある話だ。後継争いがあることを外に見せるのは、ブランド上マイナスになり得る。

そう考えると、結納という“対外的な儀式”においては、柾樹=後継者という物語にしておくほうが都合がいいのかもしれない。

一方で、房子が智也に言葉遣いを注意する場面。

最も危険なのは智也ではなく、どう見ても伸一だ。

この“注意の矛先のズレ”は、明らかに前振りに見える。

失言フラグが立っているのは、どう考えても別の人物だ。


 

伸一の“場違い感”

柾樹がホテルを案内する一方で、伸一は不満を隠さない。

この対比は明確だ。

・柾樹=過去の努力と実績

・伸一=当事者意識の希薄さ

という構図が静かに置かれている。

結納という格式の場において、伸一の軽さは浮いて見える。

言葉遣いという前振り

房子の注意は智也に向けられているが、物語構造上は“これから誰かが空気を壊す”予告のようにも見える。

緊張の場面での不用意な発言。

和やかな儀式と、その後に訪れる空気の変化。

この静かな不安が、次の展開への助走になっていると考えられる。

代表者不在の家と、実質的な家長

・夏美が結納の場に到着し、家族との再会を喜ぶ。啓吾と環も挨拶を交わす。

・環は、本来であれば柾樹の祖母・カツノ(草笛光子)が出席すべきところだが来られないことを詫びる。また、久則(鈴木正幸)がぎっくり腰で出席できず、代わりに長男の伸一が来たと説明する。

・伸一は軽い口調で挨拶をし、その様子に啓吾と房子はどこか不安げな表情を見せる。

・柾樹は仲人を務める山室夫妻を環に紹介する。

・加賀美屋の母屋では、久則が恵美子(雛形あきこ)に湿布を貼り替えてもらっている。

・結納が順調に進む中、智也は疲れた様子で「いつまで続くの?」と漏らす。


 

個人的感想

環が「本来ならカツノが来るべき」と述べたのは筋が通っている。

家の“格”という意味では、祖母が最上位だ。

ただ、視聴者としてはもう一人の存在が気になる。

柾樹の父・政良だ。所在が明らかになった以上、形式論だけで言えば彼が来るべき立場とも言える。

とはいえ、22年の空白。

組織論で言えば、長期不在のトップは実務的にも象徴的にも機能しづらい。

急に出てきても統率力はない。

結果として、現実的な“代表権”は環が握っている、ということなのだろう。

そして伸一。

「ああ、どうもどうも、お久しぶりです。」

これはもう、危険物の匂いしかしない。

格式ある場での第一声がそれだ。

啓吾と房子の微妙な表情がすべてを物語っている。

さらに久則のぎっくり腰。

電話一本で済みそうな話ではある。

だが事前連絡してしまえば、ドラマは生まれない。

物語は常に“当日のハプニング”を必要とする。


 

代表者の正統性

この場面は「誰が家を代表するのか」というテーマを静かに提示している。

・本来の代表=カツノ

・血縁上の代表=政良

・実務上の代表=環

という三層構造がある。

現実に機能しているのは環であり、物語もそこに重心を置いている。

加賀美屋の実権が誰にあるのかを、改めて示す場面と考えられる。

伸一という不安要素

結納という最も形式が重視される場に、最も形式に弱そうな人物が配置されている。

これは明確な対比構造だ。

・環=礼節・統制

・伸一=軽さ・不用意

後の空気の変化を予告する装置として機能している可能性が高い。

儀式と日常の対比

結納の厳粛な場面と、母屋で湿布を貼られる久則。

この対比は象徴的だ。

表では家の未来を決める儀式が進み、裏では現当主が動けない。

“家の重心が移りつつある”ことを示唆しているとも考えられる。

結納は順調に進んでいる。

だが、微細な不安要素がすでに配置されている。

崩れはまだ小さい。

しかし兆しは十分にある。

家長カツノの「最後の仕事」

・病床のカツノは平治(長門裕之)と話をしている。

・平治は、カツノに自分の体を第一に考えるべきだと伝える。

・カツノは、夏美の花嫁姿を見るまでは死ねないと語る。

・涙を浮かべる平治に対し、カツノは加賀美家の家長としてやるべきことを果たさねばならないと述べる。

・カツノは、これからの加賀美屋について何か考えがある様子を見せ、それを平治にも知っておいてほしいと言う。


 

個人的感想

平治の心配は本気だ。

彼はカツノ個人を見ている。

一方でカツノは、自分を“家長”として見ている。

この視点の違いがはっきりしている。

ただ、家長としてやるべきこととは何か。

冷静に振り返ると、カツノが家長として君臨してきた期間、加賀美家が家族として一枚岩だったとは言い難い。

政良を拒絶し、俊江を酷使し、環とも確執があり、久則にも厳しい。

孫の中でも柾樹をかわいがり、明確に線を引いていた。

皮肉なことに、カツノの退場が現実味を帯びてきた今、家はまとまり始めているようにも見える。

組織論でいえば、強烈なカリスマの存在は統制を生む一方で、分断も生む。

その重石が外れたとき、初めて水平的な結束が生まれることもある。

だからこそ気になる。

「やるべきこと」とは何なのか。

もし現実的に考えるなら、後継の明確化。

あるいは伸一の処遇。

そこに触れるなら、確かに“家長の最後の仕事”と言える。

そして、なぜ平治なのか。

家族ではない平治に共有するというのは、単なる雑談ではないはずだ。

まさか「柾樹の経営改革で茶釜の発注を減らす」などという話なら、それはそれでブラックユーモアだが。


 

個人と家の対立構造

平治は“カツノ個人の命”を守ろうとする。

カツノは“家という制度”を優先する。

ここには明確な価値観の対比がある。

命よりも家。

この思想が、加賀美屋をここまで持たせてきたとも言えるし、分断を生んできたとも考えられる。

家長の最後の仕事

「やるべきこと」という発言は、遺言的ニュアンスを帯びている。

考えられるのは

・後継の確定

・家族関係の修復

・経営方針の最終決断

いずれも“家の重心”を定める行為だ。

物語上、ここは大きな転換点になり得る。

平治に語る意味

血縁ではない平治に知らせる。

これは象徴的だ。

平治は加賀美家の外部に位置しながら、精神的には深く関与している存在だ。

つまり、家の未来は「血縁だけの問題ではない」と示唆している可能性がある。

家を閉じるのか、開くのか。

カツノの決断は、その方向性を示すものになるのかもしれない。

評価される夏美と、構造的な違和感

・結納後の食事会が始まり、房子と環が夏美について話をする。

・山室も夏美の仲居としての働きぶりに関心を持ち、質問する。

・環は、夏美を指名する客が増えており、女将の目から見ても一人前の仲居だと評価する。

・環は、夏美のそばには柾樹がいるため、啓吾と房子が心配することはないと安心させる。

・柾樹が、夏美は自分より加賀美家の人間と仲が良いと言い、智也も姉は誰とでも仲良くなれるのが取り柄だと語る。

・夏美は、加賀美家の人たちが初めから家族だったような気がすると話す。

・環は、夏美が仲居の仕事だけでなく大女将・カツノの看病もしていると述べる。

・夏美は、大女将のことが好きで自分からやっていることだと答える。


 

個人的感想

食事会の会話、令和基準で聞くと突っ込みどころが多い。

まず「部屋つき担当=会社でいう課長」。

それはさすがに盛りすぎだろう。

部屋つきが複数いる構造なら、全員課長では組織が崩壊する。

名ばかり管理職だらけの会社になってしまう。

とはいえ、先輩である佳奈(川村ゆきえ)を追い越して任されているのなら、評価は相当高いのは事実だ。

スピード昇進というニュアンスは理解できる。

次に「指名が増えている」という話。

構造的に考えると、これはなかなか危うい。

部屋つきが滞在中ずっと世話をする体制なら、指名制はリスクも内包する。

富裕層=人格者ではない。

これは歴史的にも、現代的にも証明済みだ。

指名を断れない構造なら、仲居側の安全性はどう担保されるのか。

令和の感覚で見ると、どうしてもコンプライアンスの視点が入る。

夏美は加賀美家の人たちが初めから家族だったような気がするって言ってたけど、

夏美が加賀美屋に居着いている座敷童なんだとしたらその感覚も正しいだろう。

ずっと加賀美屋で生活していたことになるのだから。

さらに看病の件。

結婚前から“嫁候補”が介護を担う。

当人が自発的とはいえ、親としては複雑だろう。

「好きでやっている」は免罪符になりがちだが、構造としてどうかという問いは残る。

そして伸一。

全員が夏美の話に耳を傾ける中、一人だけ食べ続け、ワインを飲み続ける。

緊張感ゼロ。

この場の空気とのズレが、妙に生々しい。


能力評価と“家への適応”

環の評価は、仲居としての能力と家族への溶け込みの両方を肯定している。

単なる職務遂行能力ではなく、

「家の一員として機能しているか」が評価軸になっている。

これは企業評価というより、家制度的評価だ。

指名という象徴

指名が増えるという設定は、

・人気

・信頼

・価値の可視化

を示す演出だが、同時に「個人への依存構造」を強める要素でもある。

組織としての加賀美屋より、夏美個人に価値が集中しつつあるとも読める。

これは将来的に、個と組織のバランス問題を孕む可能性もある。

家族化の物語

夏美が「初めから家族だった気がする」と語った台詞は象徴的だ。

血縁でもなく、外から来た存在。

それでも最も自然に家の中に溶け込んでいる。

もし夏美が“加賀美屋に居着く座敷童”だとするなら、

彼女にとって加賀美屋は「嫁ぎ先」ではなく「帰る場所」だ。

だから違和感がない。

だから介護も自然に引き受ける。

だから家族がまとまり始める。

皮肉なことに、

血縁者よりも“外から来た存在”が家を安定させている。

ここがこの物語の核心だと考えられる。

一方で、看病の件は

“家族化”が進むほど役割も自然に拡張される、という側面を示している。

愛情と役割期待は隣り合わせだ。

伸一の孤立

全員が一体感を見せる中で、伸一だけが物理的に食べ続けている。

これは象徴的な演出だ。

家族化が進む場面で、

最も血縁が近いはずの人物が、最も外側にいる。

この違和感が、この後の空気の変化の起点になる可能性は高い。

海外で磨かれた自負──伸一の本音

・夏美の親友で柾樹の同僚でもあった久美子(別府あゆみ)たちが挨拶に訪れる。柾樹の元恋人・香織(相沢紗世)は出張中で不在。

・久美子は幸せそうな二人を茶化す。

・食事会は和やかに続き、智也は写真を撮り続けている。

・智也が伸一に盛岡の外に出たことがあるか尋ねると、伸一はロンドンやロサンゼルスで修業していたと説明する。

・智也が横浜にいたことはないかと聞くと、伸一はホテルサービスを学ぶなら外国の方がよいと述べ、横浜には関心がない様子を見せる。

・環は、日本のおもてなしと外国のホテルサービスの違いを知っておいてほしいと思ったと説明する。

・啓吾が、夏美の参考にもなるから話してやってほしいと促すと、伸一は夏美はやっと仲居の仕事を覚えたばかりで参考になるかと軽んじるような発言をする。

・啓吾、房子、環は伸一の様子に不安げな表情を見せる。

・夏美と柾樹が戻る中、ナレーションで結納は無事に終わろうとしていたが、このあと思いもよらぬことが起こると示唆されて放送が終わる。


 

個人的感想

香織不在は少し肩透かしだが、彼女が出てきても波風は立たなかっただろう。

今、空気を乱す役は別にいる。

伸一だ。

ロンドン、ロサンゼルス。

経歴としては申し分ない。

ただ、それをどう使うかだ。

横浜を軽く切り捨てる発言。

これは単なるプライドか、それとも価値観の問題か。

海外経験が長いなら、日本的慣習に違和感を持つのは自然だ。

だが同時に、外から見たからこそ日本的ホスピタリティの強みを理解することもあり得る。

伸一が何を拠り所にしているのかが、まだ見えない。

高級志向なのか、合理主義なのか。

そして啓吾への一言。

あれは明確に空気を冷やした。

能力評価というより、立場の上下を強調する言い方だった。

結納の場でやることではない。

ナレーションの「思いもよらぬこと」。

大げさだが、たいていは予兆の延長線上だ。

本当に想定外なら、横浜を軽んじられた山室が副総支配人に相談して、加賀美屋が吸収合併されるくらいの爆弾が欲しいところだが、

現実的には、伸一が火種になる可能性が高い。

今後のキーマンは間違いなく伸一だ。


 

上下構造の露呈

啓吾への発言は、

仲居としての未熟さを指摘したようでいて、

実際には序列を示す言動だった。

結納という“対等な家同士の場”で、

一方が他方を見下す構図は危うい。

これは家と家の関係性を壊しかねない要素だ。

予告としてのナレーション

今回の回は、全体として和やかだった。

だが細かな違和感が散りばめられている。

・伸一の軽口

・価値観のズレ

・周囲の不安

ナレーションは、その違和感を回収する予告と考えられる。

大崩壊ではないかもしれない。

しかし、小さな火種が表面化する展開は十分にあり得る。

伸一は、家の外に立っているのか。

それとも中から変えようとしているのか。

まだ断定はできない。

だが、物語の軸が彼に移りつつあるのは確かだ。

 

まとめ

今回の結納は、形式としては滞りなく進んだ。

だが物語としては、むしろ火種が丁寧に配置された回だった。

・柾樹=後継者という外向きの物語

・家長の重心が揺らぐ加賀美家

・“家族化”する夏美

・そして、価値観のズレを隠さない伸一

祝宴の場は穏やかだった。

しかし、違和感は確実に積み重なっている。

結納という制度の儀式の裏で、

家を本当に支えているのは誰なのか。

家長でも、後継者でもなく、

もしかすると“座敷童”なのかもしれない。

ナレーションが告げた「思いもよらぬこと」。

それは突然の雷ではなく、

すでに漂っている空気が形になる瞬間なのかもしれない。

『どんど晴れ』感想まとめはこちら

 
 

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