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2026年2月23日放送『どんど晴れ』第109回。
遠野で父・政良と和解した柾樹。
その変化は、静かに、しかし確実に加賀美屋へ持ち帰られた。
父から託された言葉。
環や久則の思いへの気づき。
そして、伸一に向けた一言の謝罪。
第109回は、派手な展開こそないものの、
柾樹という人物が“変わり始めた瞬間”を丁寧に描いた回だった。
※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。
👇 前回(第108回)の感想はこちら

遠野の別れと、父から託されたもの
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夏美(比嘉愛未)とアキ(鈴木蘭々)が帰ることを知り、美咲(あんな)たちは別れを惜しむ。
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美咲は柾樹を「お兄さん」と呼び、柾樹もそれを受け入れるように頷く。
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柾樹と政良(奥田瑛二)が二人で話をする。
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政良は柾樹が加賀美屋を継ぐことになった経緯を気にかける。
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柾樹は、母・俊江(中江有里)のように無理をさせたくないと思い、一度は夏美との結婚を諦めたことを明かす。
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しかし夏美が自ら女将になると言い、修業していることを伝える。
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政良は夏美を「困難さえ笑顔で蹴散らす人」と評し、大丈夫だと太鼓判を押す。
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政良は夏美を座敷童と見間違えたことを話すと、柾樹はカツノ(草笛光子)も同じことを言っていたと伝える。
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柾樹は、カツノが夏美を見込んで自分に加賀美屋を継がせたのかもしれないと気づく。
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政良は柾樹が加賀美屋でうまくやれているのかを心配する。
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柾樹は「自分のやっていることは間違っていない。多少強引でもやり遂げる」と語る。
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政良はその頑なさに気づく。
個人的感想
数日一緒にいただけで、あそこまで別れを惜しむ。
テレビ番組でもよく見る光景だが、
正直「そんなに?」と思うこともある。
でも、美咲たちにとっては、
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夜を共に過ごし
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ご飯を作ってもらい
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心を開いた時間
その濃度は長さとは比例しないのかもしれない。
そこは否定する必要はない。
それより驚いたのは、
和解直後なのにいきなり加賀美屋の話になること。
22年ぶりの親子の会話。
もっとぎこちなく、
「どうして出て行ったのか」
「この22年どうしていたのか」
そういう確認から入ると思っていた。
なのにいきなり承継と経営改革の話。
深い。いきなり深い。
自分だったら、
22年ぶりに会った父に
「多少強引でもやり遂げる」
なんて宣言はしない。
会話に困って仕事の話に逃げたのか。
それとも、それが柾樹らしさなのか。
でも物語的には必要だった。
この会話があったから、
政良は息子の“頑なさ”に気づけた。
そしてもう一つ。
政良は夏美を
「困難を笑顔で蹴散らす人」と言う。
でも夏美だって、
笑顔を失い、逃げた時期があった。
笑顔は武器だけど、
万能ではない。
そこを忘れてしまうと、
夏美が“無敵の存在”になってしまう。
彼女も傷つく人間であることを、
物語は忘れてほしくない。
◆ 和解後すぐに“仕事の話”をした意味
これは不自然ではなく、
柾樹の性格そのもの。
彼は感情より先に理屈が出る。
父と和解した後でも、
-
自分の立場
-
自分の決意
-
自分の正しさ
を語る。
これは、
この段階では、まだ完全には柔らかくなっていない証拠。
◆ 「お兄さん」と呼ばれた柾樹
ここは静かに重要かもしれない。
父と再会し、
里子たちに“兄”と呼ばれる。
柾樹は、
-
子であり
-
兄であり
-
次の当主
複数の役割を同時に背負う位置に立った。
この回は、
柾樹が“孤独な息子”から
“誰かの存在になる人”へ移行する回でもある。
◆ 頑なさは政良譲りか?
争いを嫌い、
しかし曲がったことも嫌い。
結果、
逃げるか、突き進むかの二択になる。
政良は“逃げた”。
柾樹は“突き進む”。
方法は違うが、
どちらも極端。
ここに親子の似姿がある。
◆ 夏美という媒介
この場面で明確になったのは、
柾樹が加賀美屋を継いだ背景に
夏美の存在があること。
カツノは、
夏美を見込んだ。
だから柾樹に継がせた可能性。
つまり、
夏美は偶然ではなく、
物語を動かす軸。
原風景・宮沢賢治・そして環の真意
-
初めて遠野に来たはずなのに懐かしさを感じる夏美。
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政良は、遠野は人々の思い描く“原風景”に近いからだと説明する。
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政良は宮沢賢治の言葉を引用し、真摯な態度で向き合えば石も語りかけてくると話す。
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柾樹が向き合う相手は自然ではなく“人間”、しかも家族であると指摘する。
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夏美は遠野行きを勧めたのは環(宮本信子)や久則(鈴木正幸)だったと話す。
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柾樹も遠野に迎えに行くよう言われたと明かす。
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二人は、環と久則が自分たちを引き合わせようとしていたことに気づく。
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政良は、父である自分と分かり合えたのだから、環たちとも分かり合えるはずだと助言する。
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政良は、自分は金勘定に興味がなく自然の中で絵を描いて生きたかったが、その夢を捨てて加賀美屋を継ごうとしたと告白する。
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自分が正しいと思うことをやろうとすると諍いが起き、我慢できずに一人で家を出たと明かす。
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そして柾樹に「加賀美屋を頼んだぞ」と託す。
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柾樹には自分にはない強さがある、そして夏美は柾樹にとっても加賀美屋にとっても大切な存在になると断言する。
個人的感想
まず、環の意図。
環はこれまで、
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伸一を推し
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夏美を排除し
-
彩華さえ利用した
そういう人物だった。
その環が、
柾樹と政良を会わせた。
純粋な善意か。
策略か。
確実なのは、
会わせたかったという事実だけ。
個人的に一番腑に落ちるのは、
柾樹の“強引さ”を止めるためだったのではないか、という点。
政良は、
-
正しさを貫こうとして
-
諍いを起こし
-
押し殺せなくなり
-
逃げた
柾樹も、
-
正しいと思うことを
-
強引に進めようとしている
父と同じ道を辿る可能性。
それを見せたかったのではないか。
そして政良の告白。
「自分を押し殺して我慢して生きていくこともできなくなった」
この一言が重い。
これは単なる無責任な逃亡ではないかもしれない。
政良は曲がったことが嫌いだが、争いを好まないタイプ。
真面目で責任感の強い人間であれば、精神的にかなり追い詰められていた可能性がある。
極端な話、自死に至ってもおかしくないほどの状態だったのではないか。
まずは“逃げる”ことで命を守った。
その後、迎えに行こうとした。
しかし拒まれた。
そう考えると、
無責任な父という像は少し変わる。
そして一番気になるのは、
「夏美もついていてくれる」
という政良の言葉。
俊江は?
俊江は政良の味方ではなかったのか?
もし俊江が加賀美屋側に立っていたなら、
政良が一人で出て行った理由の一部になる。
ここはまだ伏線だと思う。
◆ 遠野=原風景の意味
遠野は、
“帰る場所”
ではなく、
“本来の自分に戻る場所”。
政良はここで絵を描き、
柾樹はここで和解した。
遠野は再出発の地。
◆ 環の意図は何だったのか
可能性は三つ。
-
本当に仲直りさせたかった
-
柾樹の強引さを矯正したかった
-
万が一拗れれば伸一が有利になると踏んだ
だが描写を見る限り、
一番近いのは②かなと思う。
環は冷酷だが、
加賀美屋を壊す人間ではない。
柾樹の“暴走”を止めたかったのかもしれない。
◆ 政良はなぜ夢を捨てたのか
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父の急死?
-
家業の危機?
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俊江との結婚?
いずれにせよ、
“自分の夢より責任を選んだ”。
しかし心はついていかなかった。
理想と現実の乖離。
それが崩壊を招いた。
◆ 柾樹は強いのか、危ういのか
政良は「強い」と言う。
だがそれは、
折れない強さか、
折れるまで止まらない強さか。
父は折れた。
息子は突き進んでいる。
やり方は違うが、
本質は似ている。
◆ 俊江は味方だったのか
ここは重要。
もし俊江が政良の味方だったなら、
なぜ連れて行かなかったのか。
もし味方ではなかったなら、
なぜそうなったのか。
政良が「夏美もついていてくれる」と言ったのは、
自分には“完全な味方”がいなかったという含みかもしれない。
加賀美屋へ戻る――感謝と変化の兆し
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バス停で見送りの場面。
政良は夏美に柾樹のことを頼み、柾樹にはカツノのことを頼む。 -
夏美は結婚式には紀美子(あめくみちこ)と一緒に出席してほしいと政良にお願いするが、政良は明言を避ける。
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バスに乗る直前、柾樹と政良は静かに頷き合う。
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バスの中から夏美はいつまでも政良に手を振る。
-
加賀美屋では、環と久則のもとに政良から電話が入る。
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盛岡に戻った柾樹と夏美を、環と久則が出迎える。
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柾樹が感謝を伝えると、環と久則は「家族なんだから当たり前」と受け止める。
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玄関掃除をする夏美に、佳奈(川村ゆきえ)が遠野で何かいいことがあったのかと尋ねる。
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帳場では柾樹が伸一(東幹久)に休ませてもらったことを感謝する。
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伸一は旅館組合に謝り、寄付金を支払ってきたことを報告。
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柾樹は迷惑をかけたことを詫びる。
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ナレーションで、遠野での再会と家族の思いを知り、柾樹の中で何かが変わったと示されて終了。
個人的感想
まず、結婚式の話。
なぜ「紀美子も一緒に」となったのか。
政良と紀美子の関係はまだ曖昧だ。
内縁の妻なのか、支え合う同志なのか。
そして政良が「石川」姓を名乗っている理由も未解明。
ここはまだ伏線。
政良が出席を即答しなかったのはリアルだった。
22年ぶりに和解したばかり。
加賀美屋との関係も整理されていない。
簡単に約束できない。
そこは大人の距離感。
そして電話。
久則が嬉しそうに兄と話す姿は素直に良かった。
兄弟には確執がない。
カツノだけが、まだ立ち止まっている。
部屋の外で電話を聞くカツノの表情。
あれを見ると、
カツノは政良の居場所を知らなかった可能性があると思う。
遠野行きは“偶然の再会”ではなく
環と久則の静かな采配。
カツノだけが取り残されている。
そして帳場の柾樹。
ここが一番大きな変化。
以前の柾樹なら、
-
寄付金を払った?
-
なぜ勝手に?
-
無駄な支出だろう?
と詰め寄っていた。
しかし今回は謝った。
「ご迷惑をおかけしました」
この一言。
たぶん今回の回で一番重要な変化。
寄付金の金額は不明。
でもあれだけ揉めたのだから、
月1000円とかではないだろう。
問題は金額ではなく、
0か100かの発想だった。
払うか払わないか。
断ち切るか従うか。
でも組織はその間で動く。
段階的に減額する選択肢もある。
柾樹は極端だった。
だが、遠野で何かがほどけた。
◆ バス停の“託し合い”
政良は
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夏美に「柾樹を頼む」
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柾樹に「カツノを頼む」
これは責任のバトン。
父は退き、
息子に家を託す。
同時に、
家族の修復も託した。
◆ 政良の電話の意味
電話は和解の証明。
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母とはまだ距離がある
-
でも弟とは繋がる
カツノが外から聞いていた演出は、
「最後の未解決」
を示している。
父子は和解した。
だが母子はまだ。
◆ 柾樹の変化は“柔らかさ”
遠野前の柾樹は、
正しさを武器にしていた。
遠野後の柾樹は、
正しさに“謝罪”が加わった。
謝れるようになった。
これは大きい。
改革は強さだけでは進まない。
関係性の中で進む。
政良ができなかったのはここ。
柾樹は今、その違いを手に入れた。
◆ 0か100かからの脱却
今回の帳場のシーンは、
極端思考からの脱却の兆し。
寄付金問題は、
金額の問題ではない。
価値観の問題。
柾樹は初めて、
「自分の正しさ」と「家族の関係性」を両立しようとした。
◆ 遠野編の本質
遠野は幻想の地ではなかった。
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父との和解
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自己理解
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極端さの自覚
柾樹を“少しだけ大人にする場所”だった。
まとめ
第109回は、人物の内面が確実に動いた回だった。
父との和解で得たのは、
過去の清算だけではない。
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心を開くこと
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話し合うこと
-
謝ること
それができるようになった柾樹。
政良ができなかったことを、
息子はできるかもしれない。
遠野は幻想の地ではなく、
成長のための場所だった。
ここから加賀美屋はどう変わるのか。
本当の改革は、
今から始まる。
『どんど晴れ』感想まとめはこちら
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