朝ドラ再放送『どんど晴れ』第102回感想(ネタバレ)──風の又三郎と遠野の計略…柾樹の孤独と動き出す新章

どんど晴れ

本記事にはアフィリエイト広告を利用しています。

2026年2月14日放送『どんど晴れ』第102回。

加賀美屋の危機を何とか乗り越えた一同。

しかし、柾樹の胸の内には、誰にも言えない孤独が残っていた。

イーハトーブで語られる「風の又三郎」。

父の話を拒絶する柾樹。

そして、遠野取材という新たな展開。

経営改革の余波が続く中、物語は静かに次の章へと動き出す――。

※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。

👇 前回(第101回)の感想はこちら

朝ドラ再放送『どんど晴れ』第101回感想(ネタバレ)──板場危機の後に現れた“もう一つの闇”──柾樹の父はなぜ消えたのか
2026年2月13日放送『どんど晴れ』第101回。家族一丸で板場の危機を乗り越えた加賀美屋。安堵の空気が流れるはずだった第101回は、思いがけず“過去”へと物語を進めた。「悪しき慣習」という言葉。それは柾樹だけのものではなかった。かつて同じ...

風の又三郎と柾樹の孤独 ― イーハトーブの夜

イーハトーブで柾樹(内田朝陽)と裕二郎(吹越満)が経営改革について語り合っている。

裕二郎は柾樹のやり方を心配し、「急ぎすぎではないか」と問いかけるが、柾樹は「5年後、10年後の加賀美屋を考えたら、今やれることを本気でやらなきゃ意味がない」と強い決意を見せる。

そのとき、急に風が強くなり始める。

帰ってきたビリー(ダニエル・カール)は、岩手山から吹き下ろしてくるこの強風は何なのかと裕二郎に尋ねる。

その後、夏美(比嘉愛未)がイーハトーブに戻るが、柾樹とは入れ違いで会えない。

裕二郎はビリーに宮沢賢治の『風の又三郎』の話をしながら、子供の頃の柾樹はまるで風の又三郎のようだったと夏美に語る。


個人的感想

柾樹の覚悟は本物だと思う。

「5年後、10年後を考えるなら、今やれることをやらなきゃいけない」

この理屈は間違っていない。

むしろ経営者としては正しい。

ただ、問題は“やり方”と“孤立”だ。

裕二郎が心配するのも当然で、改革はスピードだけでは進まない。

周囲の理解と足並みがなければ、正論ほど浮く。

そして柾樹は、夏美を巻き込みたくないと言う。

これは一見、優しさだ。

でも同時に、覚悟の裏返しでもある。

「一人で背負う」と決めた瞬間、

彼はもう誰にも弱音を吐けない。

正直に言えば――

加賀美屋を内部から少しずつ変えるより、

伸一の言うように思い切ってリゾートホテル化に舵を切った方が、

古い膿も慣習も一度に整理できるのではないか、とも思ってしまう。

今の体制のまま改革するのは、

足場がぬかるんだまま全力疾走するようなものだ。

そしてもう一つ。

夏美を巻き込みたくないなら、

よりを戻さず距離を置いたままの方が、柾樹は楽だったのではないか。

守るものが増えれば、矢面に立つ覚悟はより重くなる。

座敷童に続いて、今度は「風の又三郎」。

夏美=家に福を呼ぶ存在。

柾樹=どこからか来て、どこかへ行ってしまいそうな存在。

この対比はなかなか残酷だ。

そして最後のすれ違い。

携帯電話がある時代でも、人は簡単にすれ違う。

物理的距離ではなく、

タイミングと心の距離が合わない。

それが今の二人の状態なのかもしれない。


風の演出は“柾樹の象徴”

強風が吹く。

これは単なる天候描写ではなく、

柾樹の存在そのものか。

風は

・目に見えない

・触れられない

・留まらない

改革者もまた、組織にとっては風だ。

刺激を与えるが、

同時に秩序を乱す。


「巻き込みたくない」は孤立宣言

柾樹は夏美を守ろうとしている。

だが、

守る=共有しない

共有しない=理解されない

という構図が生まれる。

孤独な改革は失敗しやすい。

夏美を排除することが、

結果的に柾樹をさらに孤立させる可能性もある。


リゾート化という“別解”

内部改革ではなく、

・スクラップ&ビルド

・ブランド再設計

・旧慣習の一掃

という選択肢もあり得る。

ただしそれは、

加賀美屋という“家”を一度壊す覚悟が必要。

柾樹は壊さずに変えようとしている。

そこが最大の難易度。


「父はいない」――触れてはいけない過去

夏美からの電話に柾樹が出る。

柾樹は、環(宮本信子)に謝罪してきたことを報告し、「ただ夏美の顔が見たかっただけだ」と本音を漏らす。

夏美は、時江(あき竹城)から聞いた柾樹の父親の話を切り出す。

しかし柾樹はその話題を強く拒絶する。

「俺に父親はいない。二度とその話はしないでくれ。」

そう言って、はっきりと線を引く。


個人的感想

正直に言えば――

母屋で打ち上げしていたときに電話すればよかったのでは?と思ってしまった。

結局電話するなら、

すれ違いの時間は何だったのか。

ただ、それは結果論であって、

夏美にとっては“今”が自然なタイミングだったのだろう。

問題はそこじゃない。

夏美は、父親の話がどれだけ柾樹にとって深い傷なのかを、まだ理解していなかった。

5歳で父がいなくなる。

それは「寂しい思いをした」では済まない。

・捨てられたのかもしれない

・愛されなかったのかもしれない

・理由も分からない

そんな疑問と共に成長する。

柾樹が「父親はいない」と言い切るのは、

怒りではなく、防御だと思う。

父の存在を否定することでしか、自分を保てない。

夏美は無邪気に、

「探してみよう」

「結婚式に出てもらおう」

と言う。

悪意はない。

でもその無邪気さは、ときに刃になる。

夏美の“鈍感力”は確かに強い。

・空気を変える

・状況を動かす

・停滞を壊す

その力がなければ、物語は進まない。

でも同時に、

相手が必死に閉じている傷口を、

躊躇なく開けてしまう危うさもある。

とはいえ――

夏美のような存在がいなければ、

柾樹は一生、父と向き合わないだろう。

良くも悪くも、

何かを起こしてしまう人間。

それが夏美なんだと思う。


「父はいない」は自己防衛宣言

柾樹の「俺に父親はいない」は、

事実の否定ではなく、

関係の否定。

存在を認めれば、

感情も蘇る。

だから存在ごと消す。

これは未処理の喪失。


5歳での失踪が与える影響

5歳という年齢は、

・自己肯定感形成期

・親との愛着形成期

ここで父が消える。

その後の柾樹の

・甘え下手

・全部自分で背負う性格

・孤立型改革

は、ここに繋がっている可能性が高い。


夏美は「風を止める存在」か「風を強める存在」か

座敷童が家を守る存在なら、

風の又三郎は去っていく存在。

夏美は、

柾樹を留める存在になるのか、

それとも彼をさらに動かす存在になるのか。

今回の父親話題は、その分岐点。


板場再建と篠田の去就 ― 残されたもの・5年後赤字の衝撃 ― 経営分析レポートの意味

加賀美屋の板場では、夏美と佳奈(川村ゆきえ)も加わり朝食の準備が進んでいる。

そこに、いったん加賀美屋を去ったはずの英雄(遠藤信)と哲也(宇佐見健)の姿もあった。

板長の篠田(草見潤平)のことを気にする伸一(東幹久)を、浩司(蟹江一平)が裏庭へ連れ出す。

篠田は、自分は加賀美屋を去るが、英雄と哲也のことは頼むと二人を連れて戻ってきたという。そして、自分は裏切った身だから戻れないが、伸一には感謝していると語っていたらしい。

一方、平治(長門裕之)はカツノ(草笛光子)に、卸の上岡と伸一が揉めていたので自分が一喝しておいたと報告する。

話題は柾樹の経営改革へ。

カツノは柾樹が作成した「経営分析レポート」を平治に見せる。そこには、現状のままでは5年後に赤字転落するという収益シミュレーションが記されていた。

改革の必要性は理解しながらも、柾樹のやり方が本当に正しいのか判断できずにいるカツノ。


個人的感想

まず英雄と哲也の立場が本当に不安定すぎる。

篠田が「二人のことはよろしく頼む」と言うということは、

やっぱり雇用関係は篠田にあったのか?

加賀美屋の従業員なのか、篠田の弟子なのか、

ドラマ的には情の世界で動いているけど、現実目線だと曖昧でよく分からない関係だ。

とはいえ、二人が戻ってきたのは救いだ。

そして篠田の「感謝している」という言葉。

ここが引っかかる。

伸一はキックバックの存在を知っていた。

しかも“もしものための積立金”だと把握していた。

ということは――

篠田の不正は完全な単独犯というより、

長年の慣習の中に組み込まれていた構造の一部だった可能性もある。

篠田が「裏切った」と言うのは、

・積立金に手を付けたこと

・信頼の枠を超えたこと

そのどちらかなのだろうか。

全部使い切ったのか、一部なのかは曖昧だが、

少なくとも“完全に消えた資金”という描写はない。

平治が上岡にガツンと言ったことで、

・抱き合わせ販売なし

・キックバックなし

になったと解釈するなら、

これはある意味、柾樹の改革の成果。

ただしそれは柾樹の力ではなく、

平治という地元の力学で解決した。

結局、柾樹は「正論」、

平治は「現実的解決」。

そして経営分析レポート。

5年後赤字。

これは感情論ではなく、数字。

ここが一番重い。

柾樹のやり方は強引でも、

問題提起は正しい。

伸一のリゾートホテル化も、

柾樹の内部改革も、

どちらも「生き残るため」の策。

なのに、なぜ対立構造になるのか。

協働すればいいのに。

カツノは、

「悪い習慣だと分かっていたが変えられなかった」

と認めている。

つまり、

問題の存在は知っていた。

でも変えなかった。

そこを柾樹が変えようとする。

それは同時に、

カツノのこれまでの経営を

否定することにもなる。

改革とは、未来を作ることでもあり、

過去を壊すことでもある。

そこが一番痛い。


篠田は「悪」なのか「構造の犠牲者」なのか

キックバックは悪。

でも、

・長年黙認されていた

・積立金として機能していた

とすれば、

これは個人の犯罪というより、

組織文化の歪み。

篠田は“象徴”に過ぎない可能性。


経営分析レポート=物語の方向転換装置

赤字シミュレーションは、

感情では反論できない材料。

これは

・視聴者への説明

・物語の正当化

の役割も持っている。

柾樹の行動に「数字」という根拠が与えられた。


カツノの葛藤

カツノは今、

・伝統の守護者

・未来の保証人

という矛盾した立場。

柾樹の成功は、

自分の否定になるかもしれない。

でも失敗すれば加賀美屋が終わる。

この板挟みが、

今後の最大のドラマ軸になる。


賭けに出た若手漁師ルート ― 上岡と決別

柾樹が新たに仕入れてきたヒラメを見て、浩司は「いいヒラメだ」とその品質を評価する。

そして浩司は、翌日からは自分も仕入れに付き合うと申し出る。これは事実上、卸の上岡との決別を意味する決断だった。

一方で浩司は、柾樹が周囲の反感を買ったままやっていけるのかと心配する。

柾樹は、どこの旅館も本音では無駄なコストは削減したいはずだ、加賀美屋が成功すればいずれ他も賛同する、と自らの選択に自信を見せる。


個人的感想

ヒラメの質は問題なし。

ここは大きい。

少なくとも「理念だけの改革」ではなく、

現場レベルでも成立していることが証明された。

浩司が「自分も仕入れに付き合う」と言ったのは、

実質的な支持表明だろう。

これは柾樹にとってかなり心強い。

ただ、気になるのはその先。

今はまだ加賀美屋だけが

若手漁師ネット卸を使っている。

つまり、

・質の良い魚を

・比較的安く

・優先的に

仕入れられている可能性が高い。

でももし、

「加賀美屋がうまくいっているらしい」

と他の旅館が一斉に参入してきたら?

需要が急増すれば、

・価格は上がる

・供給は不安定になる

・質もばらつく

可能性は十分ある。

そうなったとき、

上岡との関係を完全に断った加賀美屋は

もう後戻りできない。

柾樹の言う

「成功すればみんな賛同する」

は理想としては美しい。

でも市場は理想では動かない。

需要と供給は感情を読まない。

この賭けは、

・短期的には柾樹の勝ち

・中長期でどうなるかは未知数

という印象。

5年後10年後の答え合わせ、

物語がそこまで描いてくれたら面白い。


柾樹の改革は「構造破壊型」

柾樹は

・既存の流通構造を外す

・直接仕入れに近づける

・中間コストを削減する

いわばディスラプター。

だが構造を壊す者は、

壊した後の責任も負う。


上岡は本当に負けたのか?

上岡は一度退いたように見えるが、

・資金力

・ネットワーク

・既存の取引関係

を持っている。

市場競争が激化したとき、

最後に残るのはどちらか。

静かな長期戦になる可能性もある。


浩司の立ち位置の変化

浩司が仕入れに同行するのは、

・単なる手伝いではなく

・柾樹への信任

加賀美屋内部で、

現場の支持を得始めたのは大きい。

改革はトップダウンだけでは続かない。

現場が納得し始めた今、

物語は次の段階に入るかもしれない。


遠野への布石 ― 環の計略

久則(鈴木正幸)と伸一は寄り合いに出るたびに、周囲から嫌味を言われている様子だった。加賀美屋の経営改革は、地域の中でも波紋を広げているらしい。

そんな中、観光協会から加賀美屋に電話が入り、パンフレットに掲載する遠野の記事を夏美に書いてほしいという依頼が届く。

人手不足を理由に伸一と時江は難色を示すが、「遠野」と聞いた途端、環と久則の表情が変わる。

最終的には全員が夏美に「遠慮せず行ってこい」と背中を押し、夏美も快く了承する。

しかしナレーションは、遠野には夏美の知らない“何か”があることを示唆して、この回は幕を閉じた。


個人的感想

これはもう、

遠野に“何か”があるのは確定だね。

久則と環のあのリアクション。

あれは偶然ではない。

人手不足で大変な状況なのに、

普段なら慎重になりそうな二人が

あっさり夏美を送り出す。

これはもう、

「遠野に行かせること自体が目的」

としか思えない。

もしかして――

・柾樹の父に関係する場所?

・過去の失踪とつながる土地?

・カツノと柾樹父の因縁の現場?

いずれにせよ、

環と久則は何かを知っている。

それでも夏美を送り出すということは、

夏美なら動かせる何かがある

と期待しているのだろう。

一方で、都会育ちの夏美が

遠野をどう切り取るのかも純粋に楽しみ。

夏美は“外から来た目線”で物事を照らす存在。

遠野でもまた、

無意識に封印をこじ開ける役回りになるのかもしれない。

来週は舞台が一時的に移る展開。

重たい加賀美屋問題から少し空気が変わるのか、

それともさらに深い核心に踏み込むのか。

静かな仕込み回、という印象。


遠野という土地の意味

遠野といえば、

・民話

・伝承

・“語られなかった物語”

の土地。

今まで「語られなかった柾樹父の物語」と

リンクする舞台としては象徴的。


地域社会の圧力

寄り合いでの嫌味。

これは、

・加賀美屋の改革が地域経済に波及している

・卸との関係悪化が業界内で共有されている

ことを示している。

柾樹の改革は、

加賀美屋内部だけの話ではなく

地域構造そのものに波紋を広げ始めている。


夏美は「鍵」なのか

柾樹は父の話を拒絶する。

カツノはタブー視する。

加賀美家は沈黙する。

そこに無遠慮に踏み込めるのは

夏美だけ。

遠野送りは、

「爆弾を安全な場所で起爆させる」

ための配置なのかもしれない。


まとめ

第102回は、大きな事件が起きた回ではない。

しかし――

・柾樹の孤独が明確になり

・父という最大のタブーが再浮上し

・経営改革の現実的な数字が示され

・遠野という新たな舞台が用意された

完全なる“仕込み回”。

風の又三郎のように、

どこか寂しげな柾樹。

そして、無意識に核心へ踏み込んでいく夏美。

遠野には、きっと物語を大きく動かす何かがある。

静かな風が吹き始めた第102回。

次回、その風はどこへ向かうのか。

目が離せない展開になってきた。

『どんど晴れ』感想まとめはこちら

広告

懐かしい朝ドラをもう一度見たい方はこちら → NHKオンデマンドでは見られないけどTSUTAYA DISCASで楽しめる朝ドラ5選

タイトルとURLをコピーしました