本記事にはアフィリエイト広告を利用しています。
2026年2月10日放送の 『どんど晴れ』第98回、
夏美が女将修業を再開してから8か月。
仲居たちとの関係も良好になり、加賀美屋で働ける喜びを実感する日々が続いていた。
しかしその一方で、
柾樹による経営改革は板場との対立を深め、
旅館の中に不穏な空気を広げていく。
「正しいこと」をしているはずなのに、
なぜ人は追い詰められていくのか――
第98回は、改革の痛みと人間関係の歪みが浮き彫りになる回だった。
※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。
👇 前回(第97回)の感想はこちら

8か月後の夏美と、板場で起きた決定的な衝突
夏美(比嘉愛未)が女将修業に復帰してから8か月が経過し、
康子・則子・恵とも打ち解け、生き生きと働いている様子が描かれる。
その姿を見て、佳奈(川村ゆきえ)と清美(中村優子)は安心した表情を見せ、
そこへ現れた時江(あき竹城)は「夏美が変わった」と告げて去っていく。
庭では、番頭の中本(高橋元太郎)が松の手入れをしており、
冬に夏美が世話をしたおかげで松の葉が青々としてきたと夏美を褒める。
一方、板場では、
前日に「余計なものは仕入れないでほしい」と指示されたにもかかわらず、
板長・篠田(草見潤平)が大量の魚を仕入れてきたことで、柾樹(内田朝陽)と衝突が起こる。
納得できない柾樹は、
「明日からは仕入れに自分も同行する」と申し出るが、
-
仕入れは板場の仕事だと主張する浩司(蟹江一平)
-
言う通りにしてもらえないなら仕方がないと突き放す柾樹
-
なぜ従わなければならないのかと激怒する篠田
と、対立は激化する。
浩司が両者の間に立って仲裁するも、
篠田は「柾樹の言う通りにはしない」と言い切る。
個人的感想
夏美が翼事件で修業を逃げ出し、柾樹の家に居候していた時期は、まだ家出中の智也の夏休み中だった。
智也の家出終了と夏美の修業復帰がほぼ同時期だと考えると、現在は4月くらいの感覚だろうか。
そんな中、前日に「余計なものは買ってこないでほしい」と言われていたにもかかわらず、大量の魚を仕入れてきた篠田。
それに納得できない柾樹は、翌日から仕入れに同行すると言い出す。
間に挟まれた浩司は相当大変そうだが、
女将・環(宮本信子)から権限を与えられている柾樹に対し、篠田は堂々と「言う通りにはしない」と宣言し、実際にその通りの行動を取っている。
柾樹のやり方の是非は置いておいても、
これは明確な業務命令違反であり、後日何らかの処分を受けても文句は言えない態度だ。
柾樹の根拠が分かりにくい経費削減指示が気に入らないのは理解できるが、篠田の態度はあまりにも傲慢すぎる。
また、「なぜ仕入れに同行されなければならないのか」と強く反発する姿は、
同行されると困る事情があるのではと勘繰られても仕方がない。
人格者とは言えない篠田だけに、キックバックを受け取っていても驚かない。
もし何もやましいことがないなら、仕入れに同行させて実態を説明すれば、柾樹も納得する可能性はあったはずだ。
そもそも柾樹が「板場が赤字だ」と言っているのは、
売上に対する食材費の適正支出額を17%と設定した場合に、超過しているという意味でしかない。
この17%という数字の根拠が示されない限り、板場が納得できないのは当然だ。
この数値が以前からの加賀美屋の統一ルールなのか、
それとも柾樹が本で学んで独自に設定したものなのかで、受け止め方は大きく変わる。
もし統一ルールなら、データを示して説明すれば済む話だが、
それができないということは、
-
売上額を一般従業員に開示したくない
-
17%という数値が柾樹の独自基準で説得力がない
このどちらかだろう。
自分は後者だと思っている。
もし自分が篠田の立場だったとしたら、この「上限17%」という数字を突きつけられた時点で、まずこう問い返すと思う。
「そもそも、その適正支出額17%という数字は、誰が、どんな根拠で決めたものなんですか?」と。
仮にその基準が19%だったとしたら、同じ数字を見ても“赤字”ではなく“黒字”になるはずだ。
にもかかわらず「赤字」という言葉を使うのは、実態として損失が出ているというより、単に利益率を上げたいだけなのではないか、という疑問が残る。
もし本当に経営を立て直したいのなら、
仕入れを削る他にも、新規客を増やす努力や、
さんさ踊りの時期にしか来ない客に対して、紅葉や雪の季節、一本桜の開花時期にも再訪してもらう工夫を考えるべきではないのか。
コスト削減だけを「赤字対策」と呼ぶことには、どうしても納得がいかない――
そう感じるのが、板場に立つ人間としての率直な本音ではないだろうか。
柾樹の言い方で、板場だけでなく加賀美屋全体が赤字であるかのような誤解を招いているのではないかと気になってしまう。
第96回で描かれたように、新規客が減り売上も下がってはいるが、
加賀美屋自体はまだ黒字経営である。
明確な「業務命令違反」として切り取る視点
柾樹の指示を無視し、
「言う通りにはしない」と公言した篠田の態度は、
組織論的には明確な業務命令違反である。
やり方への不満と、命令に従わないことは別問題だ。
「仕入れ同行」を拒むこと自体が疑念を生む構造
同行を拒否する理由が説明されない限り、
見られたくない事情があるのではと疑われるのは当然だ。
何も問題がないなら、
堂々と同行させて説明すればいい。
「板場が赤字」という言葉の危うさ
赤字という表現は強すぎる。
実態は「利益率をもっと上げたい」という話に過ぎないのではないか。
言葉の選び方一つで、
混乱は強まる。
17%という数字の正体問題
17%が
-
加賀美屋の統一的内部ルールなのか
-
柾樹の独自基準なのか
これが明示されない限り、
板場が納得する余地はない。
夏美の戸惑いと、失敗を待つ環一派
柾樹の強い物言いを心配した夏美は、
そのやり方について慎重な意見を伝える。
しかし柾樹は、
「夏美の言う通りにしていたら、いつまで経っても改革なんてできない」
と苛立ちを見せる。
さらに、夏美が篠田のやり方にも一定の理解を示したことで、
柾樹は「夏美までそんなことを言うのか」と突き放すような態度を取る。
心配する夏美に対し、
「何も心配しなくていい」と言い残し、柾樹は外へ出ていく。
一方、帳場では環(宮本信子)・久則(鈴木正幸)・伸一(東幹久)・時江が、
再び柾樹と板場が揉めている件について話し合っていた。
環・伸一・時江は、
柾樹がいずれ失敗するのを待つような姿勢を見せるが、
久則だけは「みすみす問題が起こるのを待つのはおかしい」と、
現実的な考えを示す。
個人的感想
柾樹は、夏美だけは自分の味方だと思っていたのだろう。
だが、急ぎすぎる柾樹の経営改革に、夏美がついていけていない現状がはっきり見えてきた。
成果を出したい気持ちが強すぎて、
柾樹は功を急ぎ過ぎているのではないだろうか。
環一派が、旅館に問題が起こることよりも、
柾樹が失敗することを重要視しているのはいつものことだが、
今回は久則だけが珍しく現実を見ていた。
みすみす問題が起こるのを待つという姿勢は、
一般的な常識を持っていればおかしいと感じるはずだ。
おかしなことをおかしいと思えなくなっている環たちは、
完全に考え方が凝り固まっている。
「夏美だけは味方」という前提が崩れた瞬間
柾樹は無意識のうちに、
「夏美だけは自分の考えを理解してくれる」
という前提で動いていた可能性が高い。
その夏美からも慎重論を向けられたことで、
柾樹の孤立感と焦りは一気に強まった。
改革における「功を急ぐ危うさ」
改革にはスピードも必要だが、
共有・説明・合意形成を省いた改革は、
現場では「改善」ではなく「圧力」として受け取られる。
柾樹は成果を出そうとするあまり、
順序を完全に間違えているかもしれない。
環一派の「失敗待ち」という歪んだ論理
旅館にとってのリスクよりも、
柾樹が失敗することを優先する姿勢は、
経営者として完全に本末転倒だ。
これは改革への不安ではなく、
保身のための静観でしかない。
久則が「普通の感覚」を失っていない理由
久則は改革派でも保守派でもない。
ただ、
「問題が起きると分かっていて放置するのはおかしい」
という、
ごく当たり前の感覚を持っているだけだ。
夏美が再び「調整役」に押し出されていく構図
今回も、
板場と柾樹、改革派と保守派の間で、
夏美が調整役を担わされている。
本人の意思とは無関係に、
問題のクッション役にされていく構図は変わらない。
「悪しき慣習」は本当に無駄なのか?浩司が語る現実
裏庭で夏美と浩司が話し合う。
女将が間に入ってくれないため、
板場と柾樹の関係がますます険悪になっていること。
「使わない魚」も付き合いとして仕入れなければならないこと。
柾樹の言っていることも分からなくはないが、
昔からのやり方は簡単には変えられないという現実。
柾樹が言う「悪しき慣習」も、
筋としては一理あること。
しかも、大女将も女将も、
この仕入れの実情はすべて承知している。
だからこそ、
柾樹が改革をしようとしても無駄なのだと浩司は語り、
「板場のことは板場に任せるよう、柾樹を説得してほしい」
と夏美に頼む。
個人的感想
「使わない魚」を仕入れなければならない事情を、
大女将も知っていたという事実に、
夏美は大きなショックを受けているように見えた。
夏美は大女将を過大評価していると思う。
個人的には、大女将のいう伝統やしきたりは、
問題を孕んでいるものも多いように感じている。
今までのやり方を変えることで、
どこも魚を売ってくれなくなるとしたら確かに困る。
独自の仕入れルートを開拓できなければ、
老舗旅館がスーパーなどで仕入れなければならなくなるのか。
柾樹は改革を断行するなら、
まず同じ品質の魚を仕入れられる新たな仕入れ先を確保してから
動くべきではなかったのか。
今のやり方では、
既存の業者と険悪な関係になり、
同じ品質の魚が手に入らなくなったとき、
もう一度頭を下げて元に戻すつもりなのかと疑問が残る。
いっそ発想を変えて、
「使わない魚」ではなく「使う魚」にする、
あるいは肉料理メインに舵を切る改革も
あり得たのではないか。
大女将は「知らなかった」のではなく「承知していた」
夏美にとって衝撃だったのは、
慣習そのものよりも、
大女将がそれを知った上で黙認していたという点だろう。
「伝統」という言葉で正当化される既得権構造
使わない魚を仕入れる慣習は、
料理の質を守るための知恵でもあり、
同時に業者側の利益を守る装置でもある。
これは伝統というより、
相互依存の既得権構造だ。
柾樹改革の最大の欠陥は「順序」
改革の是非以前に、
柾樹は順序を完全に間違えているのではないか。
・代替ルートの確保
・品質維持の担保
・現場との合意
これらをすべて飛ばしている。
浩司は現実を知るが、未来を諦めている
浩司の言葉は現実的だが、
同時に「変わらないこと」を前提にしている。
無駄だと分かっていても、
現状を維持する方を選ぶ姿勢は、
組織を静かに衰退させる。
「使わない魚」を「使う魚」に変える発想転換
問題は仕入れ量ではなく、
使い切れない設計にある。
・賄いへの転用
・新メニュー開発
改革の余地は、
仕入れ以前にメニュー設計にあった可能性も高い。
イーハトーブの夜と、改革をめぐる本音
イーハトーブで、夏美はじゃじゃ麺を、佳奈も麺料理を食べている。
店内でも話題は加賀美屋で起きている柾樹の経営改革について。
そこへ裕二郎(吹越満)の娘・咲が現れ、
アキ(鈴木蘭々)が歯磨きを手伝おうとすると
「アキさんがお母さんだったらいいな」と無邪気に口にする。
アキはまんざらでもない様子を見せる。
話題は再び柾樹と板場の対立へ。
裕二郎とビリー(ダニエル・カール)は、柾樹のやろうとしていることは難しいと語る。
一方で聡(渡邉邦門)は、
結果がどうなろうとも誰かがやらなければ変わらない、
柾樹の行動には意味があると理解を示す。
裕二郎は、
柾樹は昔から一度決めたら何があっても突き進む性格だと語り、
佳奈は「話して分かり合えることなのかな」と不安を口にする。
翌朝、篠田が出勤するなり怒りをあらわにし、
「柾樹をここに連れてこい!」と訴える。
事態はさらに悪い方向へ転がっていく――
というナレーションで放送は終了した。
個人的感想
イーハトーブで夏美が食べていたのはじゃじゃ麺だと思うが、
佳奈が食べていたのは肉みそを混ぜた後のじゃじゃ麺なのか、
どうも違う麺料理にも見えた。
アキと裕二郎の関係性も、
以前から恋愛を予感させる描写があったが、
やはりこの二人はくっつく運命なのだろうか。
どちらかというと、アキの方が気がありそうだ。
夏美は、
大女将や女将も「慣習」を知っていたことに
ショックを受けていると打ち明ける。
なぜ止めなかったのかと疑問を抱く夏美に、
裕二郎は地元との付き合いの大切さを説く。
旅館は食材の仕入れだけでなく、
旅館組合、町内会、神社への寄進、祭りへの寄付など、
地域との「お互い助け合い」の中で成り立ってきた。
分かっていても簡単に抜けられるものではないという。
ビリーも、
抜ければ誰にも相手にされなくなるかもしれないと心配する。
この「助け合い」は今も存在する考え方だろう、
町内会の加入率低下や、
加入していない人がゴミ捨て場を使うと白い目で見られる
といった現実とも重なる。
ただ、
その付き合いが本当に必要なものなのか、
惰性で続けているだけなのかは
精査する必要があるのではとも感じる。
お互い助け合いというからには加賀美屋もまた助けられた過去があるのかもしれない。
聡だけが柾樹の改革を応援しているのは意外だった。
「間違ったやり方を続けることと、伝統を守ることは違う」
という言葉は重い。
師匠の平治もきっと同じことを言うだろうという聡の言葉は、
しきたりに縛られるカツノにこそ聞かせたい。
話し合っても分かり合えない人間は確かにいる。
しかし、話し合いの場すら持たないのは話が違う。
篠田があれほど怒っているということは、
柾樹が何らかの行動を起こし、
仕入れがうまくいかなかった可能性が高い。
柾樹の改革がどんな結末を迎えるのか、
いよいよ目が離せなくなってきた。
「お互い助け合い」は本当に助け合っていたのか
裕二郎の語る地元との付き合いは美談だが、
それは本当に双方向だったのか。
・困ったときに助けてもらえた実績はあるのか
・単なる一方的な負担になっていないか
大女将は「止められなかった」のか「止めなかった」のか
知っていたのに変えなかった理由は、
「無力」なのか
「現状維持を選んだ意思」なのか。
ここをどう解釈するかで、
大女将像は大きく変わる。
聡の言葉が示す「伝統」と「惰性」の決定的な違い
伝統とは守る理由が説明できるもの。
惰性とは説明できないまま続いているもの。
聡の言葉は、
物語全体のテーマを一言で言い表している。
話し合いを拒む人間が生む破局
分かり合えないこと自体よりも、
話し合いを拒む姿勢の方が危険。
篠田の激昂は、
対話の拒絶が限界に来たサインとも取れる。
柾樹は「正しいが孤立する改革者」なのか
柾樹の行動は理屈としては正しい。
しかし、孤立した改革は成功しない。
彼は正しい道を選んでいるのか、
正しさに酔っているだけなのか。
まとめ
第98回は、
「改革とは何か」「伝統とは何か」という問いを、
極めて現実的な形で突きつけてきた回だった。
柾樹のやっていることは、数字だけを見れば正しいのかもしれない。
しかし、その正しさは人の感情や長年の積み重ねを
簡単に切り捨ててしまう危うさも孕んでいる。
一方で、
慣習という名のもとに問題を放置し続けることもまた、
未来を奪う選択であることは否定できない。
誰かがやらなければ変わらない。
だが、やり方を誤れば人は離れていく。
怒りをあらわにした篠田の行動は、
この改革が「引き返せない地点」に近づいていることを示している。
柾樹の改革は、
加賀美屋を救うのか、それとも壊してしまうのか――
物語はいよいよ正念場を迎えようとしている。
『どんど晴れ』感想まとめはこちら
広告
懐かしい朝ドラをもう一度見たい方はこちら → NHKオンデマンドでは見られないけどTSUTAYA DISCASで楽しめる朝ドラ5選
