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2026年2月4日放送の 『どんど晴れ』第93回は、
彩華の抱えていた「借金」という個人的な問題が一気に表に噴き出し、
それまで張りつめていた人間関係が大きく揺れ動いた。
夏美の悪意なき言葉、
浩司の覚悟、
そして集団の中で静かに進行する彩華の孤立。
派手な乱闘の裏で描かれていたのは、
誰かを守ろうとする行為が、必ずしも救いにはならないという残酷な現実だった。
※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。
👇 前回(第92回)の感想はこちら

悪意なき夏美と、負けを認められない彩華
彩華(白石美帆)が生け花をしているところへ夏美(比嘉愛未)がやってくる。
彩華は、夏美が雑誌に掲載された記事について触れ、一定の評価を示すが、夏美は謙遜する。
しかし、夏美が悪意なく彩華を褒め続ける態度に対し、
彩華は「いい子ぶらないで」「あなたのそういうところが好きじゃない」と感情を露わにする。
彩華は、調査員が来ることも、その判定で女将修業の結果が決まることも事前に知っていたと明かす。
そして、自分が勝つはずだった、環もそう思っていたはずだと、夏美の勝利を皮肉交じりに語る。
彩華は敗北を認めず、
夏美が勝ったのは偶然に過ぎないと強気な姿勢を崩さない。
一方、夏美は彩華と仲良くなりたい、
彩華に勝ちたいと思ったことは一度もなく、ただ「彩華のようになりたいだけだ」と率直に伝える。
その最中、時江(あき竹城)が現れ、
「玄関に変な人が訪ねて来ている」と彩華を呼びに来る。
個人的感想
夏美に悪意がないことは、ここまでこの作品を見てきた視聴者にはよく分かる。
ただし、相手を持ち上げ続け、「あなたのようになりたい」「勝てるなんて思っていない」と言われることが、
必ずしも好意として受け取られるとは限らない。
むしろ状況次第では、
それは嫌味や上から目線に聞こえてしまうこともあるだろう。
彩華が「そういうところが好きじゃない」と言ったのは、感情としては理解できる。
夏美は、人との距離の詰め方が明らかにおかしい。
また、彩華はこの期に及んでもなお、負けを認めていない。
そもそも女将修業対決そのものが非常に分かりづらい勝負ではあるが、
劇中の共通認識としては「夏美の勝ち・彩華の負け」であることは間違いない。
「夏美が勝ったのは偶然に過ぎない」という彩華の主張も、
全否定はできないものの、
調査員を引き当てた“運の強さ”も含めて、
それが座敷童の持つ不思議な力なのかもしれない、という解釈も成り立つ。
■ 善意は、必ずしも救いにならない
夏美の言葉は一貫して善意だ。
しかしその善意は、
相手のプライド
敗北直後の感情
力関係の逆転
といった要素を全く考慮していない。
結果として、
「慰め」ではなく「追い込み」になってしまっている。
■ 彩華が認められないのは「負け」そのものではない
彩華が拒絶しているのは、
夏美
結果
評価
ではなく、
自分が積み上げてきたものが否定された現実だ。
だからこそ、
偶然・運・外的要因に原因を求め続ける。
■ 座敷童という装置の再確認
調査員を引き当てる運の強さ。
これは単なる偶然ではなく、
加賀美屋という場に宿る力
夏美が“選ばれている存在”であること
を視覚的に補強する演出でもあるかもしれない。
借金取り来訪――彩華を守るための乱闘
加賀美屋の玄関に、いかにも借金取りと分かる風貌の男が二人現れる。
彩華は動揺しつつも、人目につかない裏へ回ってほしいと頼む。
異変に気づいた久則(鈴木正幸)と伸一(東幹久)は、慌てて浩司(蟹江一平)を呼びに行く。
彩華は「借金はきちんと返すから、二度とここには来ないでほしい」と懇願するが、
借金取りたちは聞く耳を持たず、強引に返済を迫る。
借金取りが彩華に詰め寄ったその瞬間、
浩司が二人の間に割って入り、制止しようとする。
やがてもみ合いとなり、
伸一も巻き込まれ、さらに戻ってきた柾樹(内田朝陽)も加勢する形で乱闘状態になる。
その場の緊張が最高潮に達したところで、
夏美が「すぐそこの交番に行ってくる」と告げると、
借金取りたちは捨て台詞を残して逃げ去っていく。
個人的感想
反社会的な雰囲気を漂わせる男たちを前にしても、
浩司が彩華を守るために立ち向かっていった姿には、
腕力以上に「想いの強さ」を感じた。
伸一も、明らかにビビりながらではあったが逃げずに踏みとどまった。
伸一のキャラクターを考えると、
ここで逃げ出していても不思議ではないだけに、意外と立派だ。
都合よく柾樹も戻ってきたが、
膝蹴りを一発食らっており、戦力としては正直微妙だった。
最終的に事態が収まったのは、
夏美が機転を利かせて「交番に行く」と言ったからだろう。
宿泊客がいる中で110番通報し、パトカーが来るのは避けたい、
そんな加賀美屋側の事情があったのかもしれない。
ただし、最初に浩司に手を出したのは借金取り側とはいえ、
実際には体を押した程度だった。
そこから浩司が感情的に反撃し、乱闘に発展した以上、
責任の所在がどちらにより重くあるのかは、簡単には判断できない。
■ 浩司の行動は「正義」か「衝動」か
彩華を守ろうとした浩司の行動は、感情的には理解できる。
しかし、
相手が誰であれ
旅館という公共性の高い場で
物理的衝突を起こした
という点では、
決して手放しで称賛できるものではないという考え方もできる。
■ 夏美の「現実的な判断」
感情で突っ走る男たちとは対照的に、
夏美の「交番に行く」という一言は、
この場を最も早く、最も現実的に収める手段だった。
ただし、
この場を丸く収めたからといって、
彩華の抱えている問題が何一つ解決していないことも事実である。
守れなくなる一線と、浩司の覚悟
戻ってきた環(宮本信子)に対し、
久則と伸一は「夏美が機転を利かせてくれたおかげで、大きな乱闘騒ぎにならずに済んだ」と報告する。
彩華は深々と頭を下げて謝罪し、
環と久則は、何が起きたのか説明を求める。
一方、夏美は柾樹と浩司の手当てを行う。
その最中、浩司から彩華が借金を抱えている事情を聞かされる。
浩司は「自分がきちんと話をつけてくる」「金さえ返せば、もうここには来ないはずだ」と語る。
深刻な話題の中でも、
柾樹と浩司は昔話を持ち出し、冗談交じりに笑い合う場面も見せる。
その流れで浩司は、
柾樹が彩華と抱き合っていたところを見てしまったことを追及する。
柾樹は事実そのものは否定しなかった。
浩司は、
柾樹が彩華に気がないことは分かっていると前置きしつつ、
彩華は昔から柾樹のことが好きだったと明かす。
その事実に気づいていなかった柾樹を、鈍感だとからかう。
そして浩司は、
彩華が誰を好きであっても自分の気持ちは変わらない、
これからもずっと待ち続けると、柾樹と夏美の前で宣言する。
個人的感想
借金取りが職場にまで押しかけ、乱闘騒ぎに発展してしまった以上、さすがの環でも彩華を守り切るのは難しいだろう。
理不尽な判断で簡単に首を切ってきたのが加賀美屋だ。もし環が彩華を見限ったら、迷いなく切り捨てられてもおかしくない。
浩司の話から、彩華の借金の原因が母親の入院費であることが分かった。おそらく父親が亡くなった際には相続放棄をして、父親の借金問題自体は整理されていたのだろう。
その後、入退院を繰り返すほど病弱になった母親の医療費を工面する中で、追い詰められ、よくない筋から金を借りてしまったのではないか。
作中の時代設定は2005年12月頃だと思われる。あと一か月待てば、2006年1月にグレーゾーン金利を事実上認めない最高裁判決が出て、過払い金返還請求が一気に広がっていく。
だが、大手業者が本格的に金利を見直すのは2007年頃からであり、仮に彩華が大手から借りていたとしても、当時は相当な高金利だったはずだ。
まして、取り立てに来た借金取りの風体を見る限り、相手は大手とは考えにくく、かなり質の悪い高利貸しである可能性が高い。
でも後々、過払い金返還請求は可能なはずだ。浩司と彩華は過払い金を取り戻せ!
高額療養費制度については以前にも触れたが、入退院を繰り返していれば「多数回該当」で自己負担限度額はさらに下がるのではないか。
もし無保険で10割負担だったとしたら、それはそれで驚きだ。母親は生活に困窮していそうだし、彩華自身にも扶養する余裕はなさそうなのだから、生活保護の申請という選択肢があってもおかしくない。
そんな重い事情が明らかになる一方で、夏美に手当てをされている最中、浩司はついに柾樹に「彩華と抱き合っていた件」の真相を確認する。
抱き合っていた事実はあったものの、恋心がないと分かり、浩司も夏美もどこか安堵した様子だった。
そして浩司は、彩華が誰を好きであっても自分の気持ちは変わらない、今まで待てたのだからこれからも待ち続けると断言する。
ここまで真っ直ぐな想いを持っている以上、周囲が何を言っても気持ちは揺らがないのだろう。彩華には、いつかこの浩司の想いに気づいてほしいと思う。
■ 環でも守り切れない「一線」
借金問題が表沙汰になり、
加賀美屋そのものを巻き込む事態になった以上、
彩華は「庇護される立場」から一気に危うい存在へと変わった。
どれだけ実力があっても、
組織に損害をもたらすリスクを抱えた人間を守り続けるのは難しい。
■ 制度に辿り着けなかった悲劇
彩華の状況は、
制度を知っていれば回避できた可能性もある。
しかし、
知識がない
相談できる相手がいない
時間的・精神的余裕がない
という条件が重なれば、
「悪い選択肢」しか見えなくなるのも現実だ。
■ 浩司の覚悟の宣言
この場面での浩司の言葉は、
恋愛感情というより「生き方の宣言」に近い。
見返りを求めず、
相手の気持ちが自分に向かなくても待ち続ける。
その覚悟の重さが、
この回で最もまっすぐに描かれた感情だった。
事件後に残されたのは、彩華の孤立だった
加賀美屋の廊下で、
夏美と柾樹は「いつか浩司の気持ちが彩華にも伝わればいい」と話しながら、親密な様子を見せる。
板場に戻った浩司は、
騒動で持ち場を離れたことを謝罪する。
中本(高橋元太郎)や英雄(遠藤信)、哲也(宇佐見健)は借金取りの件を気にするが、
板長の篠田(草見潤平)が一喝し、その場を引き締める。
一方、
康子(那須佐代子)・則子(佐藤礼貴)・恵(藤井麻衣子)・清美(中村優子)・佳奈(川村ゆきえ)の五人は一緒に昼食を取っており、
話題は彩華の借金のことへと及ぶ。
そこへ彩華が偶然居合わせてしまう。
突然の鉢合わせに、五人はぎこちない態度を取り、
彩華は言葉を失う。
その場に夏美が入ってきたところで、
「夏美は彩華のことが心配でならないのでした」というナレーションが入り、
今日の放送は幕を閉じる。
個人的感想
夏美と柾樹は、
仕事中に加賀美屋の中でいちゃつくのはそろそろやめた方がいい。
見ているこちらが恥ずかしくなるし、
お客様や同僚に見られたらどうするつもりなのかと心配になる。
板場では、
中本・英雄・哲也が浩司を気遣い、借金取りの話題に触れかけるが、
板長・篠田が一喝する。
噂話や余計な憶測を嫌う人物なのだろうか。
康子・則子・恵と、
佳奈・清美が一緒に昼食を取っている構図には違和感がある。
佳奈や清美の方から歩み寄るとは考えにくく、
康子たち三人が彩華を見限り、
再び「多数派」に寄ってきたと見るのが自然ではないだろうか。
借金取りの一件によって、
彩華の立場は完全に失われた。
「何があっても味方」と言っていた康子・則子・恵が、
次は誰の味方になるのかが気になる。
夏美は、
かつて加賀美屋で仲間外れにされた経験があるだけに、
今の彩華の孤立した状況が他人事とは思えないのだろう。
彩華があれほど敵意を向けてきた相手であっても、
なお心配できる夏美の精神構造は、
常人にはなかなか真似できない。
夏美に対しては賛否が分かれるが、
他人のためにここまで動こうとする力を持っていることだけは、
否定できない能力なのかもしれない。
■ 集団は「弱った個」を切り離す
借金という問題が表面化したことで、
彩華は一気に「触れてはいけない存在」へと変わった。
康子たちの態度は冷酷に見えるが、
集団が自己保身に走るとき、
最も弱い立場の人間が切り離されるのは珍しいことではない。
■ 夏美の共感能力は武器でもあり、危うさでもある
夏美は、
自業自得と切り捨てることができない。
それは強さでもあるが、
同時に自分を危険にさらす性質でもある。
今後、この「心配する力」が
救いになるのか、足枷になるのかが問われていく。
■ 第93回の締めとしての静かな残酷さ
派手な事件の後に描かれたのは、
暴力よりもずっと残酷な「孤立」だった。
誰も直接責めない。
しかし誰も寄り添わない。
この空気感こそが、
彩華を最も追い詰めている。
まとめ
借金取りの乱闘という大きな事件がありながら、
第93回で最も印象に残ったのは、
その後に描かれた「静かな空気」だった。
誰も直接彩華を責めない。
しかし、誰も寄り添わない。
集団の中で居場所を失っていく過程が、
淡々と、しかし確実に描かれていた。
一方で、
夏美だけは彩華を心配し続ける。
敵意を向けられてきた相手であっても、
過去に仲間外れを経験した自分と重ねてしまうからだろう。
この共感力は、
人を救う力にもなり得るが、
同時に自分自身を危うくもする。
浩司の一途な覚悟と、
彩華の孤立、
そして夏美の異質な善意。
第93回は、
「正しさ」や「優しさ」が必ずしも同じ方向を向かないことを、
静かに突きつけてくる回だった。
『どんど晴れ』感想まとめはこちら
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