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2026年1月31日放送の 『どんど晴れ』第90回、
田辺の「じゃじゃ麺が食べたい」という一言から始まった今回の騒動。
一見すれば、わがままな宿泊客と、それに振り回される仲居の物語に見える。
しかし第90回は、
「お客様の要望にどこまで応えるべきか」
「おもてなしとは何なのか」
という、加賀美屋そのものの在り方を問い直す回だった。
※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。
👇 前回(第89回)の感想はこちら

特別扱いが生む歪み――桔梗の間だけが特別な理由
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伸一(東幹久)と時江(あき竹城)は、桔梗の間の客・川端(中島久之)に「一番いい布団」を用意することを決める。
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風呂上がりの川端と彩華(白石美帆)が廊下ですれ違い、彩華は湯加減を気遣い、これから料理を運ぶことを伝える。
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伸一と時江は彩華には愛想よく対応する一方、通りかかった夏美(比嘉愛未)には無表情のまま対応する。
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田辺(温水洋一)は番頭の中本(高橋元太郎)と庭の話を交わし、庭を褒める。
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康子(那須佐代子)と清美(中村優子)も田辺に挨拶を交わす中、彩華が川端に料理を運んでいるところを田辺が目にする。
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田辺が料理の内容を尋ねると、彩華は「寒ブリ」だと答える。
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桔梗の間で寒ブリを食べた川端は、その味を絶賛し、自分が寒ブリ好きだと知った上で特別に用意されたことに感激する。
個人的感想
伸一と時江は、相変わらず桔梗の間の川端だけを特別扱いし続けている。
一番いい布団を用意し、寒ブリ好きだと分かれば、そのための特別料理まで出す徹底ぶりだ。
ここまで露骨に特別扱いをされれば、感激する客がいるのも分かる。
ただ一方で、「自分だけが特別扱いされている」と気づいた瞬間に、逆に不信感を抱かれる可能性もあるのではないかとも思ってしまう。
本来は、普段通りのもてなしを積み重ねる方が自然なはずだ。
番頭の中本は、人と関わるよりも庭木の世話をしているときの方が、よほど穏やかで幸せそうに見える。
この加賀美屋の複雑な人間関係に巻き込まれるくらいなら、黙々と庭を手入れしていたいというようにも見えてしまった。
■ 「特別扱い」が生む違和感
川端への対応は、
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布団
-
食事
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応対の丁寧さ
すべてが「過剰」に揃えられている。
これは好意というより、「評価されるための演出」に近い。
■ もてなしが“観察される側”に変わった瞬間
本来、旅館のもてなしは客のためのものだが、
この場面では完全に
「評価者に見せるための行為」
へと変質している。
もてなしが目的ではなく、手段になってしまった状態だ。
■ 彩華と夏美の扱いの差が可視化される構図
同じ廊下を通っていても、
-
彩華 → 笑顔で見送られる
-
夏美 → 無表情で素通り
という差がはっきり描かれている。
この差は技量ではなく、立場と期待値の差だ。
■ 中本という「距離を取る存在」
番頭の中本は、
-
勝負に関与しない
-
評価にも興味がない
という位置にいる。
人間関係から一歩引いた存在として、
加賀美屋の歪みを逆に際立たせている。
「他の客はいいのに?」田辺の要求が突いた不公平感
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夏美が田辺に料理を運ぶと、田辺は桔梗の間の川端に寒ブリが出されていることに気づく。
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田辺は「寒ブリが食べたいわけではない」が、他の客が献立表にない料理を出してもらえるなら、自分もじゃじゃ麺を作ってほしいと要求する。
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夏美は、桔梗の間に献立表とは異なる料理が出されたことを板場で確認する。
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浩司(蟹江一平)は納得していない様子ながら、川端はカキが苦手らしく料理を変更したと説明する。
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時江は、寒ブリもカキもどちらも加賀美屋の冬の一品なのだから問題ないとする。
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夏美は、他の客には変更対応をしたのに田辺にはできないのはおかしいと板場に訴える。
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伸一は、桔梗の間の客は「特別なお客様」だと説明し、浩司と時江は材料がないからじゃじゃ麵は作れないと断る。
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夏美は柾樹(内田朝陽)に相談し、「特別な客とそうでない客の区別はおかしい」「材料がないなら自分で買ってくる」「それでも無理なら自分で作る」とまで言う。
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柾樹はそれを止め、浩司が作った料理をそのまま出すべきだと伝え、加賀美屋の伝統的な考え方を説く。
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夏美は柾樹の考えに納得する。
個人的感想
正直に言うと、田辺の要求はかなり無理がある。
じゃじゃ麺がどうしても食べたいなら、自分で店に行けばいいだけの話だ。
他の客に献立表にない料理を出したから、自分にも同じことをしろという理屈は、一見もっともらしく聞こえる。
だが、そもそも板場で調理できない料理を、予約もなく突然来た客が要求する時点で、これはかなり強引だ。
現代なら「モンスターカスタマー」と言われても仕方がない。
とはいえ、そもそもの原因は、伸一たちが桔梗の間の川端だけを特別扱いし、浩司の料理を出さなかったことにある。
もし本当にカキが食べられないのだとしても、
伸一・時江・彩華の三人は、浩司の料理を「信じる」ことができなかったのだと思う。
ここで印象的だったのは、夏美の変化だ。
以前なら独断で突っ走っていたはずの夏美が、今回は柾樹にきちんと相談している。
しかも柾樹は、恋人だからと情に流されじゃじゃ麺の提供を許すのではなく、「浩司の料理をそのまま出すべきだ」と真っ当な判断を下した。
加賀美屋の料理は、板場が誇りを持って作ったものだ。
客の要望があっても、「これが加賀美屋の料理です」と自信を持って出すべきだ、という柾樹の言葉は筋が通っている。
皮肉なのは、
長年加賀美屋にいる伸一や時江、そして浩司の恋人であるはずの彩華よりも、
加賀美屋に来て間もない柾樹の方が、浩司の料理と板場を信じていることだ。
信じてくれる上司と、信じてくれない上司。
どちらの下で働きたいかは、考えるまでもない。
■ 「特別対応」が連鎖的な要求を生む構図
一人の客を特別扱いすると、
他の客も「なぜ自分はダメなのか」と考え始める。
今回の田辺の要求は、
川端への特別対応が引き金になっている。
■ 問題は田辺ではなく、内部の判断基準
田辺の要求そのものよりも深刻なのは、
加賀美屋内部で「誰を特別扱いするか」の基準が曖昧なこと。
-
調査員らしい
-
評価されそう
-
上の判断
こうした都合で対応が変わっている。
■ 夏美の成長は「相談できるようになったこと」
夏美の変化は、
正解を出したことではなく「相談したこと」そのものにある。
暴走する前に立ち止まり、
第三者の意見を受け入れられるようになっている。
■ 柾樹は“伝統の守り方”を理解している
柾樹は、
伝統を「変えないこと」ではなく、
-
自信を持って出すこと
-
ぶれないこと
として捉えている。
だからこそ、
安易な特別対応を否定できた。
■ 信頼される上司と、恐れられる上司
浩司の料理を
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信じない伸一たち
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信じる柾樹
この対比は、
今後の人間関係と組織の分岐点になっていくのではないか。
旅館の外へ連れ出すという選択――じゃじゃ麺とイーハトーブ
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田辺は「じゃじゃ麵を出してもらえないのか」と改めて不満を口にする。
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夏美は、加賀美屋で過ごすということは料理も含めたおもてなしを受け取ってほしいと伝える。
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田辺は浩司の新作料理「生ガキの羽二重焼き」を食べ、「加賀美屋の料理がうまいことは最初から分かっている」と評価する。
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夏美と柾樹は、田辺が料理を受け入れたことに安堵する。
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しかし田辺は、料理を完食した後でも「やっぱりじゃじゃ麵も食べてみたかった」と言う。
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夏美は「いい店がある」と言い、田辺をイーハトーブへ連れて行く。
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裕二郎(吹越満)が作る“盛岡一”のじゃじゃ麵が田辺に提供される。
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夏美はアキ(鈴木蘭々)が撮影した岩手山の写真を見せ、田辺はその写真を眺めながらじゃじゃ麵を食べる。
個人的感想
夕食を完食してなお、じゃじゃ麵にこだわる田辺には正直びっくりする。
連れて行く先はもちろん、ビリー(ダニエル・カール)が盛岡一と太鼓判を押すイーハトーブ。
ここまでは「まあ、結果的には良かったね」とも言えなくはない。
だが問題は、夏美の行動プロセスだ。
イーハトーブの場所を教えるだけで十分だったはずなのに、
夏美は仕事中にもかかわらず、宿泊客を連れて自分で店まで行ってしまう。
この行動には、どうしても過去の出来事が重なる。
アレルギーを持つ翼をイーハトーブに連れ出し、命の危険にさらしたあの一件だ。
あのとき時江から「何かするときは必ず相談しなさい」と注意されていたはずなのに、
今回も事前相談があったのかどうかは描かれていない。
仮に誰かに相談していたとしても、
-
時江や伸一が許可するとは思えない
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柾樹がOKを出したなら、そもそもそんな権限があるのか疑問
結局、今回も「夏美の独断」だった可能性が高い。
それでもきっと、このドラマは
「不思議な力」で結果オーライにしてしまうのだろう。
だからこそ、余計に不安になる。
そして田辺。
もし調査員だったとしても、評価対象外のイーハトーブでまで不機嫌を通そうとする必要はない。
仕事ではなく、もともとの性格が難ありなのでは?と思ってしまうのも無理はない。
■ 「結果が良ければOK」という危険な成功体験
今回も、夏美の行動は結果的に丸く収まっている。
だがそれは、
-
無断外出
-
無断での客の同行
というリスクを含んだものだった。
成功体験として積み重なると、
同じ行動を何度も繰り返す危険がある。
■ 夏美の問題は「善意」ではなく「手続きの軽視」
夏美は悪意で動いていない。
むしろ善意とサービス精神の塊だ。
だが問題は、
-
誰に
-
いつ
-
どこまで権限があるのか
という線引きを軽視している点にある。
■ 柾樹の“正論”が及ばない領域
料理の場面では、柾樹は夏美を正しく導いた。
しかし今回のイーハトーブ同行については、
柾樹が関与していたのかどうかが曖昧だ。
ここに、
「正論で止められる範囲」と
「夏美の暴走が止まらない領域」
の差が見えてくる。
■ 「おもてなし」とは何を守ることなのか
無理難題に応えることが、おもてなしなのか。
それとも、
-
料理人の誇り
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旅館の方針
-
働く人間の安全
を守ることも含めて、おもてなしなのか。
この回は、その問いを強く突きつけている。
勝手な行動と、女将としての資質
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夏美は田辺に「次は岩手山の見える部屋を用意するから、また泊まりに来てほしい」と伝える。
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カツノ(草笛光子)が田辺を見送る場面で、夏美が昨夜、独断で田辺をイーハトーブに連れ出してじゃじゃ麺を食べさせたことが発覚する。
-
田辺は、自分が無理を言ったせいだと夏美をかばう。
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田辺は「昨夜の対応では気を悪くする客もいるかもしれない」と指摘し、夏美とカツノは謝罪する。
-
田辺の意味深な発言に、カツノは何かに気づいたような表情を見せる。
-
日光に行っていた環(宮本信子)が戻ってくる。
-
カツノは「環がいない間はせめてお見送りを」と出てきていたが、環の帰還を知ると引き下がる。
-
夏美は「あのおもてなしは本当に正しかったのか」と落ち込み、
ナレーションで「決着は思わぬ方向へ進む」と示されて今週の放送が終わる。
個人的感想
田辺が無理を言ったのは事実だが、
それでも夏美がイーハトーブに連れ出した行動は、やはり独断だった可能性が高い。
カツノの「また勝手なことをして」という言葉が、それを裏づけている。
結果として良い方向に転ぶのだろうが、
組織で働く人間として、
-
ルールを守らない
-
事前相談をしない
-
勝手に判断する
こういう人は正直、非常に扱いづらい。
しかもその人物が「女将になろうとしている人間」なのだから、
なおさら問題は大きい。
田辺の「気を悪くする客もいる」という発言も納得がいかない。
無理難題を断られて気分を害すことを前提にしている時点で、
その構造自体がおかしい。
要求をすべて飲み続ければ、いずれ破綻するのは明らかだ。
それでも頭を下げるカツノと夏美の姿は、
結果としてモンスターを育てる側にも見えてしまう。
また、カツノは田辺の言葉から
「夏美のおもてなしは間違っていなかった」と確信したようにも見えるが、
そもそも隠居したはずの人間が、
環の不在時とはいえ簡単に現場に出てくるのはどうなのかとも思う。
現場から見て、
-
カツノが出てくる方が心強いのか
-
それとも、隠居した人間が顔を出す方がやりづらいのか
この点も気になった。
最後に、賛同を得られないのは承知しているが、
どうしても考えてしまう仮説がある。
夏美は本当に
「加賀美屋という場所」
「加賀美屋で過ごす時間」
そのものに価値を見出しているのだろうか。
柾樹は、
目には見えない特別な何かが感じられる
と、場所そのものの価値を信じているように見える。
一方、夏美は「加賀美屋が好き」とは言うが、
価値を見出しているのは旅館の外で起きる出来事ばかりだ。
-
ハクサンチドリを見せに行く
-
韓流スターの元恋人探し
-
アレルギーの少年を連れ回す
-
じゃじゃ麺を求める客を外へ連れ出す
これらはすべて、旅館の外で完結する行動だ。
さらに、就業時間中に無断で外に出る行動が繰り返されている点を考えると、
夏美は実は
「旅館の中で働くこと」より
「外で何かをしている方」が好きなのではないか。
そう考えないと、
過去の失敗を経てもなお同じ行動を繰り返す理由が、どうしても説明できない。
■ 夏美の問題は「優しさ」ではなく「境界線の欠如」
夏美は間違いなく善意で動いている。
だが、
-
職務の範囲
-
権限の線引き
-
組織内のルール
この境界線を認識していないことが最大の問題。
■ 女将になった後の“未来”が透けて見える
もし夏美が女将になっても、
-
自分は守らないルール
-
他人には求められない規律
が常態化すれば、
組織としては確実に崩れていく。
■ 「おもてなし」が無制限になった瞬間の危険性
無理難題に応え続けることは、
おもてなしではなく迎合だ。
線を引くこともまた、おもてなしの一部のはず。
■ カツノという存在の二重性
精神的支柱である一方、
現場に出続けることで、
-
権限の混乱
-
環の立場の不安定化
を生んでいる可能性もある。
■ 夏美は「旅館の外」に答えを探しすぎている
夏美の行動は一貫して、
外に出ることで問題を解決しようとする癖がある。
それは加賀美屋そのものを、
まだ信じ切れていない証拠なのかもしれない。
まとめ
田辺の「じゃじゃ麺が食べたい」という要望をきっかけに、
夏美は加賀美屋の料理とおもてなしの在り方を改めて考えることになる。
一度は客の希望を受け入れようとした夏美だったが、
柾樹の言葉を受け、板場が自信を持って作った料理を出す決断をした。
その料理を田辺は評価しつつも、最終的に夏美は旅館の外へと客を案内する。
結果として田辺は満足したものの、
夏美の独断行動はカツノの知るところとなった。
そして、あのおもてなしでよかったのかと落ち込む夏美だが、女将修業対決の行方は「思わぬ方向」へと進み始めるのだった。
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