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2026年1月30日放送の 『どんど晴れ』第89回は、ガイドブックの調査員らしき客が現れ、
加賀美屋は一気に“評価される側”としての緊張に包まれる。
彩華は万全の体制で接客に臨み、一方の夏美は裏方に回され、思いがけない客・田辺の対応を任される。
誰のための勝負なのか。
そして、「おもてなし」とは一体何を指すのか。
第89回は、
評価・伝統・理不尽な要求が交錯する回となった。
※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。
👇 前回(第88回)の感想はこちら

調査員疑惑と“仕組まれた接客”――彩華に集まる好条件
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彩華(白石美帆)と伸一(東幹久)が客・川端(中島久之)を接客。
岩手山が見える部屋、生け花ともに褒められる。 -
康子(那須佐代子)が本来担当予定だった「桔梗の間」について確認するが、
時江(あき竹城)はしらを切り、そのまま彩華を担当に据える。
康子は「百合の間」へ回される。 -
時江は担当のない夏美(比嘉愛未)と佳奈(川村ゆきえ)に裏の掃除を命じる。
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帳場で伸一と時江は手応えを感じる一方、
その日の料理が浩司(蟹江一平)の新作であることを知り、不安を口にする。 -
柾樹(内田朝陽)が帳場に戻ると、伸一と時江は逃げるように立ち去る。
個人的感想
川端をガイドブックの調査員だと思い込んでいる伸一たちだが、
この時点では調査員が誰なのかはまだ分からない。
もしこの川端が調査員だったとしたら、
-
岩手山が見える部屋
-
彩華の生け花
-
そつのない接客
と、条件はかなり整っていて、
「評価されそうな絵」は確かにできている。
ただ、それが
普段通りの接客なのか、調査員だと思って力を入れた結果なのか
そこは正直、判断がつかない。
やはり、仲居の担当は事前に決まっていたが、
伸一や時江にとっては、
当日に担当を入れ替えることなど簡単なことらしい。
自分たちの都合でルールを曲げ、
伝統やしきたり、おもいやりは後回し。
さらに気になるのは、
弟・浩司の新作料理が出ることを、
兄である伸一が「評価を落とすかもしれない不安材料」としか見ていない点。
普通なら喜んでもおかしくない場面なのに、
伸一にとっては“リスク”でしかない。
浩司は本当に報われない。
そして、柾樹が帳場に入ってきただけで
逃げるように出ていく伸一と時江。
いくら鈍感な柾樹でも、
さすがに「避けられている」ことには気づくだろう。
■ 「調査員対応」が日常業務を歪め始めている
調査員が誰かも分からない段階で、
-
担当を操作し
-
人員配置を変え
-
空気が一変する
この時点で、
“公平な評価”という前提はすでに壊れかけている。
■ 伸一の采配は「不正」より「慣れ」が怖い
伸一のやっていることは、
-
派手な不正ではない
-
だが日常的に行われてきた“裁量の乱用”
だからこそ厄介。
誰も止められず、
誰も疑問を持たなくなっている。
■ 夏美は叱られていない、だが「舞台」から外されている
夏美はミスをしたわけではない。
-
ただ担当を与えられず
-
裏方に回され
-
評価の場に立てない
これは罰ではなく、
勝負に参加させないための処理に見える。
■ 浩司の料理が象徴する「伸一の限界」
浩司の新作料理は、
-
変化
-
成長
-
次世代
の象徴でもある。
その評価を恐れる伸一は、
経営者というより
現状維持にしがみつく管理者に近い。
■ 柾樹は責めないが、存在自体が圧になる
柾樹は何も言わない。
だが、
-
見ている
-
気づいている
-
逃げ場をなくしている
その存在だけで、
伸一と時江は後ろめたさを露わにする。
柾樹は「刃」ではなく、
照らしてしまう光になりつつある。
予約なしの客・田辺登場――理不尽は突然やってくる
-
裏口から侵入してきた不審者を、夏美が泥棒と勘違いする。
その人物は宿泊客・田辺(温水洋一)で、夏美と柾樹は平謝りする。 -
田辺は予約なしだが、今夜泊めてほしいと頼み込む。
-
夏美が田辺を客室へ案内。
田辺は館内を観察し、建物の古さに気づく。 -
客室に到着するが、部屋から岩手山が見えず落胆。
岩手山が見える部屋への変更を希望するが、先客がいるため断られる。 -
一方、浩司は自分の新作料理が「桔梗の間」にだけ提供されないことを知り激怒。
-
伸一・時江・彩華が浩司をなだめ、
彩華は「桔梗の間の客はカキが好きじゃない」と説明する。 -
浩司は納得できず反発するが、
彩華がその客が調査員の可能性を匂わせると、渋々引き下がる。
個人的感想
裏口から勝手に入ってきた不審者を泥棒と疑うのは、
正直、自然な反応だと思う。
それでも宿泊客だと分かった瞬間に
旅館側が全面的に謝罪しなければならないのだから、
サービス業というのは本当に大変だ。
田辺という客は、かなり横柄で無理難題が多い。
予約なしで現れ、
「岩手山が見えないから部屋を変えろ」と要求する姿は、
現代で言うところのカスタマーハラスメントにかなり近い。
ただ、この時代は
「お客様は神様」という誤った解釈がまだ強く残っていて、
無理な要求に応えることが美徳とされていたのだろう。
今なら毅然と断っても問題にならないが、
当時はそうはいかなかったのかもしれない。
それ以上に引っかかるのは、
桔梗の間にだけ浩司の新作料理が出されない件。
伸一も時江も彩華も、
誰一人として浩司の気持ちを慮ろうとしない。
調査員かどうかも確証がない相手に振り回され、
浩司の料理と気持ちは二の次。
もし本当に配慮するなら、
-
新作料理の提供は翌日からにする
-
すべての部屋で一律に出さない
という判断もできたはずだ。
「桔梗の間にだけ出さない」
この中途半端さが、浩司を一番傷つけている。
彩華の
「お客様はカキが好きじゃない」という説明も、
本当なのかどうか判断がつかない。
これまでなら即座に疑っていたが、
母親の入院が事実だったことで、
すべてが嘘とも言い切れなくなってきた。
ただ一つ確かなのは、
伸一・時江・彩華は、
-
浩司の料理をきちんと食べて判断しているのか
-
新作料理にOKを出した板長の舌まで疑っているのか
そのあたりが、まったく見えてこないことだ。
■ 田辺は「客」だが「試金石」でもある
田辺は横柄な客として描かれているが、
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古さを指摘する
-
部屋の眺望に不満を持つ
-
こちらの対応を試すような態度
加賀美屋の“耐性”を測る存在でもある。
■ 「お客様は神様」が現場を壊していく瞬間
無理な要求をすべて飲む姿勢は、
-
従業員の判断力を奪い
-
誇りを削り
-
内部の軋轢を増幅させる
しかし、正直なところ夏美にとっては無理な要求も苦ではなさそうだ。
■ 板長の存在が、静かに軽視されている
新作料理にGOを出した板長の判断が、
誰からも尊重されていない。
これは、
-
現場の専門性より
-
上層部の不安が優先される
加賀美屋の歪みを象徴している。
伝統か現場か――柾樹、真正面から伸一に異議を唱える
-
料理の段取りもうまくいくはずだと安心する伸一に対し、
時江は「後で環が知ったらどうなるか」を心配する。 -
夏美が田辺にお菓子を運ぶ途中、伸一と時江に遭遇。
二人は田辺が宿泊していることを初めて知る。 -
伸一は、事前に報告しなかったとして柾樹を問い詰める。
-
久則(鈴木正幸)は「部屋が空いているならいいのでは」と擁護するが、
伸一は「老舗旅館なんだから予約客しか泊めない」と主張。 -
柾樹はその考えに真っ向から反論し、
接客業の基本として「泊まりたいと思っているお客様ならどなたでも泊まっていただく!」と説く。 -
田辺を泊めたことで何か問題が起きたら自分が責任を取ると柾樹が宣言。
-
伸一は「今の言葉、忘れるなよ」と言い捨て、帳場を出ていく。
個人的感想
加賀美屋180年の歴史の中で、
「予約客しか泊めない」というルールができたのには、
それなりの理由があったのだと思う。
トラブル防止、格式の維持、
現場を回すための経験則。
どれも一概に否定できるものではない。
そのルールを、
昨日今日やってきた柾樹が、
久則や時江の前で真正面から否定する。
これは内容以前に、
伸一の立場を完全に潰す行為でもある。
久則と時江の前で
「今までのやり方は間違っている」と言われたようなものだから、
伸一としては逃げ場がない。
だからこそ、
「今の言葉、忘れるなよ」
という捨て台詞しか残せなかったのだろう。
柾樹は確かに正論を言っている。
接客業として、
困っている客を一律で追い返すのが正解とは限らない。
ただ、
正論を正論のまま叩きつければ、人は傷つく。
柾樹は本気で
加賀美屋のやり方を根本から変えようとしているのかもしれない。
けれど、
改革を急ぎすぎれば、
孤立するのもまた確実だ。
このやり方で、
本当に味方を増やせるのか。
そこが一番心配になる場面だった。
■ 「老舗のルール」は善悪ではなく防衛装置
予約客限定という方針は、
-
格式の維持
-
トラブル回避
-
現場の負担軽減
長年の失敗の積み重ねから生まれた可能性が高い。
単なる保守ではない。
■ 柾樹は“正しさ”を盾に踏み込みすぎている
柾樹の言葉は正しい。
だが、
-
相手の立場
-
積み重ねてきた時間
-
公開の場での否定
これらへの配慮が欠けている。
正論は、
使い方を間違えると暴力になる。
■ 伸一が怒ったのは「方針」ではなく「順序」
伸一が本当に怒ったのは、
-
予約客かどうか
ではなく、 -
自分を飛び越えて
-
公然と否定されたこと
管理者としての順序を壊されたことだ。
■ 「責任を取る」という言葉の重さ
柾樹は簡単に
「何かあったら自分が責任を取る」と言った。
だが、
-
その責任とは何か
-
誰に対しての責任か
は、まだ曖昧なままだ。
伸一の
「忘れるなよ」という言葉は、
その曖昧さを突いている。
■ 改革者が最初に失うものは“信用”
改革者は、最初に成果を出す前に、
-
空気を壊し
-
プライドを傷つけ
-
敵を作る
柾樹は、
まさにその段階に入り始めている。
公平だと信じたい人たち――崩れ始めた前提
-
平治(長門裕之)とカツノ(草笛光子)が、いつもの縁側で女将修業の決着方法について話す。
-
調査員という第三者の判定で勝敗を決めることについて、
カツノは「公平な判断になる」と肯定的。 -
平治は、環たちが裏で何か仕組んでいるのではないかと疑う。
-
しかしカツノは、
「環も九代目女将なのだから、そんな卑怯なことはしないはず」と擁護する。 -
この件は夏美にも彩華にも伝えられていないと信じているカツノ。
-
その前提であれば公平な勝負だと平治も納得する。
-
ただし、平治は「夏美が勝つには、もう一踏ん張り必要」と指摘する。
個人的感想
カツノも平治も、
「調査員の判定=公平」
という前提を、疑いなく信じている。
そしてさらに、
その判定方法が
夏美と彩華のどちらにも知らされていない、
という前提まで信じている。
だが、
この前提はすでに崩壊している。
環自身は、確かに
卑怯な真似を嫌うタイプだと思う。
しかし問題はそこではなく、
伸一という存在を完全に見誤っていることだ。
環がやらなくても、
伸一はやる。
しかも、
「環のため」
「加賀美屋のため」
という大義名分を掲げながら、
平気でルールを踏みにじる。
カツノと平治が信じている
「公平な勝負」は、
すでに成立条件を失っている。
そして、
もっと根本的な疑問も残る。
この調査員の評価という仕組みは、
担当した仲居だけが評価される方式なのだろうか。
もしそうなら、
-
誰が調査員を担当するか
-
それを事前に知っているか
この一点で、
勝敗が決してしまう欠陥システムだ。
調査員が二人来て、
両者を公平に見てくれるならまだしも、
運と情報戦だけで決まる勝負なら、
あまりにも理不尽だ。
■ カツノと平治は「性善説」で世界を見ている
二人とも、
-
環は卑怯なことをしない
-
調査員の判断は正しい
という性善説を前提にしている。
だが、
現場はすでにその前提から外れている。
■ 問題の本質は「環」ではなく「伸一」
カツノが擁護しているのは環だが、
実際にルールを歪めているのは伸一。
環を信じること自体は間違いではないが、
権限を預けている相手を見誤っている。
■ 調査員方式そのものが不完全
この勝負は、
-
技量
-
心構え
-
継続的な姿勢
ではなく、
-
調査員を引く運
-
事前情報の有無
に左右されすぎている。
勝負の形式として、致命的に不安定だ。
■ 老舗の“理想”と“現実”の乖離
カツノと平治が語るのは、
-
老舗としての理想
-
正々堂々とした勝負
一方で現場は、
-
情報操作
-
担当操作
-
圧力
で動いている。
この乖離こそが、
今の加賀美屋の最大の歪みだ。
岩手山を“見せない”おもてなし――夏美が選んだ答え
-
田辺は岩手山が見える部屋に先客がいるにもかかわらず、
「少しでも見せてもらえないか」と無理な要求をする。 -
夏美はその要求を断り、代案として外から案内する提案もするが、
田辺は寒いから嫌だと拒否する。 -
田辺は「加賀美屋はおもてなしで有名だと聞いた」と言い、
夏美を精神的に追い込む。 -
夏美は、自分が岩手山の話をするから目を閉じてほしいと田辺に頼み、
岩手山の姿を言葉で描写し始める。 -
田辺は夏美が盛岡の人間かどうかを尋ね、
夏美は横浜出身だが、盛岡も加賀美屋も大好きだと語る。 -
夏美は、加賀美屋に来た当初からの出来事を
嬉しそうに振り返りながら語り続ける。 -
その語りの途中で、今回の放送は終了する。
個人的感想
田辺の要求は、どう考えても無茶だ。
予約もせずにやって来て、
岩手山が見える部屋に先客がいると分かっていながら、
「見せてほしい」と頼み込む。
それが通らなければ、
「おもてなしで有名なのに」と圧をかける。
これはもう、
正当な要望ではなく、要求の押し付けだ。
外に出て見える場所へ案内するという代案も拒否し、
寒いのは嫌だと自分の都合だけを主張する。
もしこれが調査員だとしたら、
この調査方法そのものに問題があると感じる。
無理な要求を通せたかどうかで評価が決まるなら、
それは「おもてなし」ではなく、
耐久テストに近い。
一方で、夏美はこの状況を
対立ではなく「語り」に変えてしまう。
岩手山を“見せる”代わりに、
岩手山を“語る”。
加賀美屋を“説明”する代わりに、
自分がここを好きになった理由を“共有”する。
田辺自身も、
「一人で退屈だから大丈夫」と言っている以上、
この時間は少なくとも彼にとって不快ではない。
ただ、ここで改めて考えてしまう。
おもてなしとは何なのか。
理不尽な要求にすべて応えることなのか。
それとも、相手の欲求を別の形で満たすことなのか。
ガイドブックの評価を高めて無理な要求をする客を増やすくらいなら、
常連や固定客を大切にするほうが健全ではないのか。
そんな疑問が、どうしても残る。
■ 田辺は「試す客」ではなく「甘える客」
田辺の行動は、
-
評価のために観察する
-
公平に判断する
という調査員像よりも、
-
自分のわがままがどこまで通るか
-
どこまで付き合ってもらえるか
を試す「甘え」に近い。
■ 夏美の対応は“正解”かもしれないが、再現性はない
岩手山を語り、
加賀美屋への想いを語る対応は見る人によっては美しい。
しかしこれは、
-
夏美個人の資質
-
偶然の相性
に強く依存している。
誰にでもできる
「マニュアル化されたおもてなし」ではない。
■ 「おもてなし」という言葉の暴力性
「おもてなしで有名なのに」という言葉は、
-
相手を縛る
-
断る余地を奪う
力を持っている。
善意の言葉が、
圧力として使われた瞬間だ。
■ 調査員評価との致命的な相性の悪さ
もし田辺が調査員なら、
-
無理な要求をした
-
それにどう応じたか
が評価軸になる。
これは、
-
日常の接客
-
旅館の本質
から大きく逸脱している。
まとめ
ガイドブックの調査員と思われる客の来訪により、
加賀美屋では彩華が有利になるよう接客体制が歪められていく。
一方、夏美は評価の外に置かれたまま、
予約なしで無理な要求を繰り返す田辺の対応を任される。
伝統を盾に現場を縛る伸一と、
接客の本質を問い直そうとする柾樹。
そして夏美は、
景色を見せる代わりに、言葉で岩手山と加賀美屋への想いを語った。
第89回は、
「評価されるためのおもてなし」と
「誰かの心に残るおもてなし」の違いが、
静かに浮かび上がる回だった。
『どんど晴れ』感想まとめはこちら
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