朝ドラ再放送『どんど晴れ』第81回感想(ネタバレ)──香織が区切りをつけ、夏美が待ち続けた──「もうすぐ会える」を信じていいのか

どんど晴れ

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2026年1月21日放送の 『どんど晴れ』第81回は、人それぞれが「区切り」をつけた回だった。

香織は、自分の気持ちに整理をつけて去り、柾樹は仕事と過去に一区切りをつけ、夏美は、変わらず信じて待つことを選ぶ。

けれど、すべてがきれいに片づいたかと言えば、どこか引っかかりも残る。

「もうすぐ会える」という言葉。

それを信じていいのか、それとも、まだ疑っておくべきなのか。

第81回は、物語の登場人物たちよりも、視聴者の気持ちが試される回だったように思う。

※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。

👇 前回(第80回)の感想はこちら

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早朝の見送りと、察するおもてなし

  • 朝早く加賀美屋を発つ香織(相沢紗世)を、夏美(比嘉愛未)が玄関で見送る

  • 夏美は、帰りの新幹線で食べるようにと手作りのおにぎりを渡す

  • 環(宮本信子)も玄関に現れ、香織に挨拶をする

  • 香織は「夏美さん、あなたいい人ね」と言い残して旅館を後にする

  • 香織が早く帰ることを、夏美と環はそれぞれ察していたことを笑い合う

  • 環は柾樹(内田朝陽)が帰ってくることになって良かったわねと夏美にいうが、、若女将が決まったわけではないと釘も刺す


個人的感想

夏美は普段、イーハトーブで下宿先の住人たちと朝食をとっている。

環もまた、小学校に行く前の孫たちと一緒に朝食をとる描写が多い。

それを踏まえると、

香織が早く帰ると予測して、わざわざ早出してきた

ということになるのだろう。

昨夜の清算時に、

「明日は何時ごろお帰りですか」と聞くのは、

おもてなしとして失礼にあたるのだろうか。

合理性だけで考えれば、

清算を早めた時点で帰りの予定を聞いた方が自然だ。

でも、

「おもてなし」とは合理性の外にある概念なのかもしれない。

相手の事情を察し、

聞かずに先回りして行動すること。

それが正解だとされる世界なのだろう。

そして、手作りのおにぎり。

これがどこで作られたのかが、どうしても気になってしまう。

女人禁制の板場で作っていたら、

板長・篠田に激怒されるだろうし、

イーハトーブでは自炊している様子もなかった。

炊飯器があるとも思えない。

裕二郎に米を分けてもらったのか。

具はきっと、

夏美と時江が残していた梅干しの再利用だろうか。

ただ、

翼のそばアレルギーの件を見てきた身としては、

この「善意のおにぎり」を

無邪気に美談として受け取れなくなっている自分がいる。

もし、

このおにぎりで食中毒が起きたら――

それは、

  • 旅館業務としての行為なのか

  • 業務外で、個人的な善意として行った行為なのか

どちらとして扱われるのかで、

責任の所在は大きく変わる。

香織が早く帰ることに「ピーンと来た」理由について、

夏美は「今は忙しい時期だと柾樹から聞いていたから」、

環は「昨夜のうちに清算を済ませたから」と説明する。

裏を返せば、

このどちらかの事情を知らなければ、

早く帰ることは予測できなかった可能性も高い。

香織の休みについても気になる。

昨日の放送では、

山室部長は「休みを取っている」こと自体は把握していた。

だから無断欠勤ではなく、有給休暇だろうと判断していた。

だが、

ここまで慌ただしく帰る様子を見ると、

本当に有給だったのか、

それとも1日だけ無理に欠勤したのか、

あるいは限りなくグレーな強行軍だったのか。

いずれにせよ、

このタイミングを逃したら、柾樹は本当に辞めてしまう。

香織にとっては、

その瀬戸際での行動だったのだろう。


■ 「察するおもてなし」は誰のためのものか

  • 相手に聞かずに先回りする

  • 相手の事情を口にさせない

これは美徳でもあるが、

同時に確認不足のリスクも孕んでいる。


■ 善意のおにぎりが孕む、現代的な不安

  • 衛生管理

  • 責任の所在

  • 業務と私的行為の境界

視聴者がここまで考えてしまうのは、

これまでの“事故→美談化”の積み重ねがあるからだ。


気づけなかったことを責められる不公平

  • 環は彩華(白石美帆)に対し、香織について何か気づいたことはなかったかと確認する

  • 環は時江(あき竹城)に、彩華は自分のことで精一杯で、お客様のことまで気が回らないのではないかと嘆く


個人的感想

環が彩華に

「香織について何か気づかなかった?」

と問いかけるこの場面、

どうしてもフェアではない印象が残る。

というのも、

夏美と彩華では、

香織に対する前提条件がまったく違う

夏美は、

  • 香織とすでに一度会っている

  • 柾樹から「今はブライダルショーで一番忙しい時期」だと聞いている

だからこそ、

「早く帰るはずだ」と予測できた。

一方で、

彩華がもし、

  • 香織が昨夜のうちに清算を済ませていたこと

  • 香織の仕事の繁忙期

このどちらも知らなかったとしたら、

早く帰ることに気づけと言われても、

それはかなり無理がある。

それでも環は、

「お客様の状況を深く理解し、先回りすること」

を求めているように見える。

だが、それを突き詰めていくと、

仲居はお客様のプライベートな事情まで

詮索しなければならなくなるのではないか。

それが「おもてなし」だと言われるなら、

正直、少し怖い。

香織に対する前提情報の差を無視したまま、

「気が回らない」と評価される彩華は、

やや気の毒にも感じてしまう。


■ 「気づけた/気づけなかった」の前提が違う

この場面は、

  • 観察力の差

    ではなく、

  • 情報量の差

で説明できる可能性が高い。


■ 環の評価基準は、後出しになっていないか

  • 知っていた人は「気が利く」

  • 知らなかった人は「配慮が足りない」

結果論で評価が決まっているようにも見える。


■ 「察するおもてなし」の行き着く先

察することが至上命題になると、

  • 聞いてはいけない

  • でも分かっていなければならない

という矛盾が生まれる。


■ 彩華は「鈍い」のではなく「条件が違った」だけ

彩華が見ていた香織と、

夏美が見ていた香織は、

同じ客でも、まったく別の像だった可能性がある。


火をつけた人が、火を消しに来た

  • 横浜のホテルで、副総支配人(ささきいさお)が柾樹の退職を慰留している

  • その場に香織が現れ、柾樹の思う通りにさせてほしいと副総支配人に頼む

  • 休憩室で柾樹は香織に感謝を伝える

  • 香織は、自分が副総支配人に柾樹を引き止めるよう頼んだ責任を取っただけだと説明する

  • 香織は、加賀美屋を訪れ夏美に会ったことで答えが出たと柾樹に告げる

  • 柾樹は加賀美屋への思いを語るが、香織はそれだけではなく、「夏美が待っているからでしょう」と指摘する

  • 香織は、夏美の「信じる気持ち」に負けたと語る

  • 香織は、もし自分にもその気持ちがあれば2年前に別れなかったのではないかと問いかけるが、柾樹は「別れは運命だった」と否定する

  • 柾樹と香織は、柾樹にとって最後の仕事となるブライダルショーを成功させようと気合を入れる


個人的感想

退職を引き止める行為そのものは、決して珍しいことではない。

それ自体をもって即違法だと言うこともできないだろう。

問題になるとすれば、

引き止めの限度を超え、

「退職を認めない」とか「退職するなら損害賠償請求だ」と脅されたとかの場合だろう。

こういう場面を見ると、

「労基案件だ」と言いたくなってしまいがちだが、

労働基準監督官も万能ではない。

あまり何でもかんでも期待をかけると、逆に監督官がかわいそうになるのと同時に、自分が思っていたような対応をしてくれなかった場合に落ち込むことになることもある。

強制労働に当たるのであれば

労基法5条違反として是正される可能性はあるが、

単に「慰留されている」という状況で、

どこまで介入してくれるのかは正直分からない。アドバイスくらいはしてくれるだろうが。

もっとも、

退職の意思表示をして、

民法の定め通りに辞めてしまえばいいだけの話でもある。

副総支配人が何を言おうと、それは関係ないし、労基法の問題でもない。

今回の件で印象的だったのは、

香織の立ち位置だ。

副総支配人に

「柾樹を引き止めてほしい」と頼んだのは香織自身で、

その火をつけた責任を、

香織が自分で消しに来たという構図。

姪という立場からの「最終兵器」が投入されたようにも見えたが、

よく考えれば、

マッチポンプだったとも言える。

このまま放置していたら、

柾樹に恨まれてもおかしくなかった。

きちんと消火し、

感謝される形で終わったのは、

香織にとっても救いだったのだろう。

香織は、

夏美の「信じる気持ち」に負けたと言う。

このドラマでは、

「疑うこと」はどこかで否定され、

「信じること」が最も強い価値として描かれているように思う。

疑うことを知らない夏美は、

その意味ではこの物語の中で最強の存在なのかもしれない。

ただ、

香織が

「自分も信じる気持ちがあれば、2年前に別れてなかったかもしれない」

と投げかけたのに対し、

「俺たちが別れたのは運命だった。

そうじゃなきゃ、俺と夏美が出会えなかった」

と、笑いながら答える柾樹。

これは……正直、

香織に対してあまりにも失礼ではないか。

それはつまり、

「夏美と出会うために、お前との別れは必要だった」

と言っているようにも聞こえる。

踏み台だった、と言われているように

感じてしまってもおかしくない。

香織の笑顔も、

どこか引きつって見えたのは、

気のせいではない気がした。


■ 香織は火をつけ、火を消しに来た人物

  • 引き止めを頼んだ

  • その結果を回収した

香織は無責任ではなく、

むしろ最後まで責任を取ろうとした。


■ 「信じる気持ち」は、この物語の最強カード

  • 疑う=悪

  • 信じる=正義

という価値観が、

一貫して物語を支配しているように思う。


■ 柾樹の「運命だった」は、残酷な言葉でもある

本人にとっては整理された答えでも、

聞かされる側にとっては、

自分の過去を否定される言葉になり得る。


成功の裏で整理された人間関係

  • 柾樹が準備してきたブライダルショーは、大盛況のうちに幕を閉じる

  • ブライダルショーのポスターを前に、房子(森昌子)がモデルと同じポーズを取り、その様子を啓吾(大杉漣)と智也(神木隆之介)に見られる

  • 無事にショーを終え、打ち上げで柾樹が挨拶をする

  • 副総支配人が柾樹に声をかけ、盛岡に戻ってからの活躍を期待しているとエールを送る

  • 山室部長も柾樹の労をねぎらう

  • 副総支配人は香織に気持ちの整理がついたか確認し、香織は「もちろんです」と答える


個人的感想

柾樹が準備してきたブライダルショーが大盛況で終わったのは、

素直に良かったと思う。

結婚式のオンライン中継も成功し、

今回のブライダルショーも成功。

失敗しない男だからこそ、

ホテル側がどうしても手放したくなかったというのも納得できる。

だからこそ、

この男を手放す決断をしたホテル側と、

それを振り切って戻る決断をした柾樹、

どちらもそれなりに覚悟を背負っているようにも見える。

房子がポスターの前で

モデルと同じポーズを取っている場面は、

殺伐とした展開が続く中で、

ちょっとした清涼剤のようだった。

物語の緊張感を一度ゆるめる、

こういう場面の挟み方があってもいいじゃないか。

そして、香織。

「気持ちの整理はついたのか」という問いに、

はっきりと「もちろんです」と答える。

この言葉通り、

本当に整理がついたのか、

それともそう言うしかなかったのかは分からない。

笑顔で柾樹を見つめる香織の表情が、

吹っ切れたものなのか、

まだ未練が残っているものなのか。

ただ一つ言えるのは、

少なくともこの時点では、

柾樹と夏美の邪魔をするような行動には

出なさそうだということだ。


■ 柾樹は「去る直前まで評価され続けた男」

  • 新企画の成功

  • ブライダルショーの成功

去る人間が、

最後まで結果を出し続けた。

だからこそ、

副総支配人や山室部長の言葉には、

社交辞令以上の本音が混じっている。


■ 成功したからこそ、決断が美化されている可能性

もしこれが失敗していたら、

  • 戻る決断

  • 引き止め

すべて違う意味を持って見えたはずだ。

成功が、

柾樹の選択を正解に見せている側面もある。


■ 房子の場面は「家庭の安定」を象徴している

  • ポスターを真似る

  • 家族に見られる

この場面は、

横浜での生活が決して不幸ではなかったことを

さりげなく示している。


■ 香織の「もちろんです」は、区切りの言葉か防衛か

この一言は、

  • 本心からの整理

  • これ以上踏み込まれないための防衛

どちらにも取れる。

明言されないからこそ、

余韻が残る。


「もうすぐ会える」をどう受け取るか

  • 夏美は携帯電話を前に、柾樹からの着信を待っている

  • 柾樹から電話がかかってくると、夏美は矢継ぎ早にブライダルショーの成否を尋ねる

  • 柾樹は、すべて無事に終わったと報告する

  • 柾樹は夏美に「もうすぐ会えるな」と伝える

  • 夏美はその言葉に大きな喜びを感じ、放送は終了する


個人的感想

柾樹の

「もうすぐ会えるな」

という言葉。

……正直、

それを聞いてもまだ完全には安心できない。

というのも、

柾樹はこれまで何度も、

盛岡に帰る帰ると言いながら、

結果的に先延ばしにしてきた男だからだ。

言葉としては前向きで、

今回の流れを見る限り、

本当に帰ってくる可能性は高い。

でも、

実際に盛岡に戻って、夏美と会うところを見るまでは安心できない

という気持ちが、どうしても拭えない。

それだけ、

これまでの柾樹の行動が

信用を積み重ねるものではなかった、

ということなのだろう。

とはいえ、

今回はブライダルショーも無事に終わり、

退職に向けた整理もつき、

香織との関係にも一応の区切りがついた。

ここまで条件が揃って、

それでも帰ってこなかったら、

さすがにもう言い逃れはできない。

だからこそ今回は、

「本当に帰ってきそうだな」とも思える。

よかったな、夏美。

……でも、

ちゃんと会えるまでは油断しないでいこう。


■ 「もうすぐ会える」は、約束ではなく希望の言葉

柾樹のこの言葉は、

  • 日時の確定

  • 行動の宣言

ではなく、

気持ちの共有に近い。

だからこそ、

これまで裏切られてきた側としては

少し不安が残る。


■ 夏美は「待つこと」を選び続けている

  • 追いかけない

  • 責めない

  • 信じて待つ

この姿勢が、

この物語の中では

常に肯定されている。


■ 視聴者は「言葉」ではなく「行動」を見ている

どれだけ前向きなセリフがあっても、

  • 実際に帰ってくるか

  • 本当に向き合うか

そこが描かれるまで、

評価は保留になる。


まとめ

第81回では、多くの登場人物がそれぞれの形で「整理」を終えた。

香織は、自分の気持ちに区切りをつけ、

柾樹は仕事と過去に区切りをつけ、

夏美は、信じて待つという選択を続ける。

けれど、

言葉が整ったからといって、

すべてが解決したわけではない。

柾樹はこれまで、

何度も帰ることを先延ばしにしてきた男だ。

だからこそ、

「もうすぐ会える」という言葉を聞いても、

視聴者としてはまだ少し身構えてしまう。

信じる人がいて、

整理した人がいて、

それでも疑い続けてしまう視聴者がいる。

その三層が同時に存在していること自体が、

今の『どんど晴れ』の面白さなのかもしれない。

『どんど晴れ』感想まとめはこちら

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