朝ドラ再放送『どんど晴れ』第79回感想(ネタバレ)──競争は続く、そのルールは見えないまま

どんど晴れ

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2026年1月19日放送の 『どんど晴れ』第79回は、柾樹の「戻る」という知らせがもたらした明るさと、その裏で加速していく排除の論理が、同時に描かれた回だった。

祝福される決断。

しかし、その決断一つで、誰が邪魔になり、誰が守られるのかが、静かに選別され始めている。

女将修業とは何なのか。女将になる条件とは何なのか。第79回は、その根本がいよいよ揺らぎ始めた回だったように思う。

※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。

👇 前回(第78回)の感想はこちら

朝ドラ再放送『どんど晴れ』第78回感想(ネタバレ)──支える決意と、置き去りにされた現場
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柾樹帰還が揺さぶる、女将と経営の境界線

  • 久則(鈴木正幸)とカツノ(草笛光子)が話しているところに夏美(比嘉愛未)が現れ、柾樹(内田朝陽)が盛岡に戻り「この加賀美屋を継ぐ」と言っていたことを報告する

  • カツノは喜ぶが、久則は複雑な表情を見せる

  • 久則は、環(宮本信子)・伸一(東幹久)・浩司(蟹江一平)・恵美子(雛形あきこ)に対し、柾樹が帰ってくることを伝える

  • 夏美は、柾樹が帰ってくることに甘えることなく、女将修業に邁進するとカツノに誓う

  • 久則は「彩華が浩司と結婚して若女将になれば、柾樹にはどうすることもできない」と主張し、柾樹の帰還に環たちは動揺する


個人的感想

正直、ここに来て頭がかなり混乱してきた

これまで自分なりに整理していた理解では、

夏美と柾樹の結婚が白紙になり、

柾樹が盛岡に戻らなくなっても、

夏美は一人で女将修業を再開していた。

だから、

加賀美屋の女将は血縁者でなくてもなれる

という前提で見ていた。

ところが今回、

久則が

「彩華が浩司と結婚して若女将になってくれれば、柾樹もどうすることもできない」

と言い切った。

この言葉を素直に受け取ると、

女将になるためには、加賀美家の人間と結婚し、親族になる必要がある

という前提が浮上してくる。

でもそれは、

これまで描かれてきた流れと噛み合わない。

夏美は、

柾樹との結婚を白紙にしても女将修業を続けてきたし、

彩華も、

浩司との結婚とは無関係に女将修業が認められていた。

そう考えると、

女将になるのが夏美なのか彩華なのかという話と、

「この加賀美屋」を誰が継ぐのか

(柾樹なのか、伸一なのか、浩司なのか)

は、本来別のレースでいいはずだ。

もしそれが別でないのだとしたら、

久則の発言が示しているのは、

「女将と経営者は夫婦でなければならない」

「雇われ女将はあり得ない」

という、かなり限定的な世界観になる。

そうなると、

ここまで積み上げてきた

女将修業という制度そのものが、

一気に別物に見えてきてしまわないか。


■ 女将修業と経営継承は別物じゃないの?

これまでの描写では、

・ 女将修業は能力・資質を見るもの

・ 経営継承は血縁・家系の問題

として、夏美と柾樹の結婚が白紙になってからは、分けて描かれてきたように見える。

久則の発言は、

その前提をひっくり返す。


■ 女将は「役割」か「身分」か

女将が、

・ 専門職的な役割

なのか、

・ 家に属する身分

なのかで、

物語の前提は大きく変わる。

ここが曖昧なまま進んでいること自体が、

混乱を生んでいるとも言える。


■ 夏美の立ち位置は、制度の想定外か

夏美は、

・ 血縁でもない

・ 結婚関係も白紙

それでも女将修業を続けてきた。

もし

「雇われ女将はあり得ない」

世界なら、

夏美の存在そのものが

制度の想定外だったということか。


■ 環が不安になる理由は、制度よりも直感か

環が焦っているのは、

・ 制度的に不利だから

ではなく、

・ 夏美には彩華にない“何か”がある

と、自分でも感じてしまっているからかもしれない。

その直感こそが、環を追い詰めている可能性もある。


祝福と違和感──周囲が映す柾樹の「遅すぎた自覚」

  • イーハトーブの面々にも、柾樹が盛岡に帰ってくることが伝えられる

  • 裕二郎(吹越満)、ビリー(ダニエル・カール)、アキ(鈴木蘭々)、佳奈(川村ゆきえ)は夏美に祝福の言葉をかけるが、聡(渡邉邦門)だけは素直に受け取れず悪態をつく

  • 横浜の朝倉家では、柾樹が盛岡に戻る決意を啓吾(大杉漣)・房子(森昌子)・智也(神木隆之介)に報告し、心配をかけたことを謝罪する

  • 朝倉家の人々は、柾樹の決断を理解し、安堵と喜びを示す

  • 柾樹は職場で山室部長(中原丈雄)に退職の意向を伝え、山室部長はそれを受け入れる

  • 香織(相沢紗世)は柾樹の決断に納得できない様子を見せる


個人的感想

まず、聡。

まだ引きずってるのかよ。

この調子だと、

柾樹が盛岡に帰ってきたあとも、

本人の前で普通に悪態をつきそうだ。

柾樹が盛岡でどこに住むのかは分からないが、

少なくともイーハトーブに住むのだけは

やめておいた方がいい気がする。

一方で、朝倉家の人たちは違った。

啓吾も房子も智也も、

柾樹の決断を理解し、

安堵と喜びを感じているように見える。

横浜での職場では、

山室部長は柾樹の退職をすんなり受け入れた。

だが香織だけは納得していない。

香織は、

「今のあなたは分からない」

と言う。

それもそのはずで、

柾樹自身が、

自分のことをよく分かっていない。

柾樹は、

「加賀美屋がどれほど大事な存在か、やっと気づいた」

というが、

ずっと大事に思っていたのではなく、

今になって初めて、重さを自覚した

ようにも見える。

そりゃそうだ。

なんだかんだ言いながら、

ずっと先延ばしにしてきた人物だ。

そして細かいところだが、

柾樹、仕事中は

「香織」って呼ばないんじゃなかったか。

このあたりは記憶が曖昧だし、

調べるほどでもないから流すけど、

こういうところにも、

柾樹の曖昧さが滲んでいる気がする。


■ 聡だけが祝福しない意味

イーハトーブの中で、

・ 祝福する人

・ 喜ぶ人

がいる一方、

聡だけが悪態をつく。

これは単なる性格ではなく、

・ 過去のわだかまり

・ 自分の立場が揺らぐ不安

が残っている可能性もある。


■ 香織は理解者だったからこそ揺れる

香織は、

・ 柾樹の能力を評価していた

・ 横浜での未来を共有していた

だからこそ、

今の決断を受け入れられない。

「分からない」という言葉は、

拒絶ではなく、

理解できなくなった戸惑いにも聞こえる。


■ 柾樹の決断は「覚醒」か「遅すぎた自覚」か

柾樹の言う

「やっと気づいた」は、

・ 成長

・ 覚醒

とも取れる。

一方で、

・ 本来もっと早く向き合うべきだった

・ 周囲を振り回してきた

という側面も否定できない。


■ 人間関係が整理される一方で残る火種

朝倉家や職場では、

一応の整理がつき始めている。

だが、

・ 聡の態度

・ 香織の納得のいかなさ

は、

今後も火種として残りそうだ。


誰が邪魔になるのか──時江の独り言が残した影

  • 康子(那須佐代子)と則子(佐藤礼貴)は、柾樹が本当に盛岡へ戻ってくるのかを時江(あき竹城))に確認する

  • 時江は、まだどうなるか分からないと答えたあと、不穏な独り言をつぶやく

  • 靴を磨く夏美の様子を見ていた環に対し、彩華は「若女将になるのは自分だから大丈夫だ」と自信を示す

  • 環は彩華に対し、夏美はすでに大女将の目に留まった人物であり、彩華にはないものを持っているのだから心しておいた方がいいと忠告する

  • 「二人の競い合いは、まだ始まったばかり」というナレーションが入り、放送は終了する


個人的感想

時江の独り言が、どうしても引っかかる。

「加賀美屋を継ぐのは伸一坊ちゃん。そうなったら邪魔なのは……」

という含みのある言い方。

これを素直に受け取れば、邪魔になるのは夏美、ということになる。

時江は、これまで伸一を大切に思ってきた人物だが、ここ最近は夏美寄りの言動も多かった。

それでも、夏美と伸一を天秤にかけたとき、最終的に伸一を取る、ということなのだろうか。

ただ、時江ほどの人物が、そこまで単純な判断をするとも思えない。何かもう一段、裏の意図があっても不思議ではない。

一方で彩華。

窃盗と皿の破壊を隠ぺいしている人物が、

「若女将になるのは自分」

と、ここまで自信満々でいられる神経には、正直驚きを隠せない。

そもそも、この女将修業レースは、何をもって勝敗が決するのかが、いまだに全く分からない。

ただ、この作品がこれまで大事に描いてきたものを考えると、

・ 相手をいい気分にさせること

・ おもてなしや思いやり

・ 裏表のない心

といった要素が、重視されているようには見える。

そう考えると、技術はあっても、自分の都合が優先で、打算的に立ち回る彩華や環が、表裏のない純粋な夏美に勝てるのか、疑問が残る。

「競い合いはまだ始まったばかり」

と言われても、ルールも判定方法も分からない競争が、一体いつまで続くのか。

期待よりも、不安の方が先に立ってしまうラストだった。


■ 時江の独り言は本音か、布石か

時江の発言は、

・ 伸一を守るための本音

・ 環や周囲を動かすための布石

どちらにも読める。

ここで明言せず、

独り言に留めた点が、

逆に不穏さを強めている。


■ 環は「彩華を信じていない」

彩華に対する

「心しておいた方がいい」という忠告は、

・ 夏美を警戒せよ

というより、

・ 自分を過信するな

という、

環自身の本音の表れにも見える。


■ 「まだ始まったばかり」という言葉の残酷さ

ナレーションの言葉は、

・ 希望

・ 期待

としても受け取れる。

一方で、

・ 混乱が長引く予告

・ 決着が先延ばしにされる宣言

にも聞こえる。

この二重性が、第79回の後味を決定づけている。


まとめ

第79回で浮かび上がったのは、

誰が女将にふさわしいかではなく、

女将になる条件が誰にも共有されていないという事実だった。

結婚なのか。

血縁なのか。

資質なのか。

それとも、その場の都合なのか。

柾樹が戻ることで、希望が戻ったように見える一方、同時に「邪魔になる存在」を探す視線も強まっている。

競い合いは、まだ始まったばかりだと言う。だが、ルールの分からない競争が続く限り、誰かが傷つき、誰かが排除される構図は変わらない。

第79回は、その不穏さをはっきりと示した折り返し点だった。

『どんど晴れ』感想まとめはこちら

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