朝ドラ再放送『どんど晴れ』第78回感想(ネタバレ)──支える決意と、置き去りにされた現場

どんど晴れ

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2026年1月17日放送の 『どんど晴れ』第78回は、希望に満ちた拍手と、目を背けたくなる混乱が、同時に描かれた回だった。

横浜では、夏美の言葉が人の人生を動かし、柾樹の心を盛岡へ引き戻す。一方で加賀美屋では、誤解と派閥争いが深まり、夏美は静かに追い詰められていく。

感動的な中継と、険悪な食卓。この二つが同時に存在していること自体が、第78回のいちばんの違和感だったのかもしれない。

※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。

👇 前回(第77回)の感想はこちら

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拍手喝采の中継と、美談に回収されるおもてなし

  • 加賀美屋では、夏美(比嘉愛未)がカメラの前に座っている

  • 横浜のホテルでは、柾樹(内田朝陽)が発案したインターネットライブ中継が大盛況となり、柾樹自身もその様子を見学している

  • 結婚式場に送られてきたライブ中継映像に、夏美と時江(あき竹城)の姿が映る

  • 夏美は、新郎新婦と新婦の父である吉田(山本圭)に向けてメッセージを送る

  • 吉田は、ハクサンチドリを一人で見に行く勇気がなかったが、夏美が背中を押して連れて行ってくれたことに感謝を述べる

  • 夏美は、独り善がりのおもてなしではなかったかと気にしていたが、吉田は夏美のおかげで人生の新しい一歩を踏み出せたと感謝する

  • 吉田の娘・佐知代(中原果南)も、結婚できたのは夏美のおかげだと感謝する

  • 夏美は「今度は皆さんで加賀美屋に遊びに来てください」と語りかける

  • その様子をモニターで見ていた柾樹は、式場の外から拍手喝采の空気を感じ取る


個人的感想

2007年当時の最新機材という前提はあるにせよ、加賀美屋側に持ち込まれたカメラは、柾樹のホテルが用意したものなのか、それとも盛岡で外注した業者なのか、少し気になる。

いずれにしても、ウェブカメラ程度の簡易な設備ではなく、かなり本格的なカメラと中継体制だったように見える。

そう考えると、柾樹が企画したこのブライダルプランは、決して安価なものではないはずだ。それでいて大盛況となれば、副総支配人が柾樹を手放したくないと思うのも自然だろう。

また、伸一が以前、時江に

「ビデオメッセージ頼むな」

と念押ししていたのは、このインターネットライブ中継のことだったのか、と腑に落ちる。

ただ、「ビデオメッセージ」という言葉からは、ビデオテープに録画して送る程度のものを想像していたので、ここまで大掛かりな中継とは思っていなかった。

そうなると、伸一や時江は

「相手先が柾樹のホテルである」

ということを知っていたのかどうか、という疑問も出てくる。

外注業者名と通話相手が吉田だという情報だけを知らされていたのか。

それともホテル名までは聞かされていたが、柾樹がそこで働いているとは知らなかったのか。

中継が始まって初めて、柾樹がモニターに映る夏美に気づいた描写を見る限り、

加賀美屋側も柾樹側も、互いに何も把握していなかった可能性もある。

正直、「そんなアホな」と思ってしまうが、物語上はそういうことなのだろう。

そして、どうしても触れずにはいられないのが、

すべてが夏美のおもてなしのおかげで美談として回収されてしまう違和感だ。

吉田は、ハクサンチドリを一人で見に行く勇気がなかったが、夏美に連れ出してもらったおかげで人生の一歩を踏み出せたと言う。

しかし、この話の前提には、

加賀美屋側のミス(誰の責任かまではここでは追及しない)があり、

その結果として吉田は腰を痛め、歩けなくなっている。

吉田自身も

「無理をすれば一人で行けるけれども」

とは言っていたが、通常の状態ではなくなった原因は加賀美屋側にある

その後、イーハトーブの仲間の力を借り、車椅子に乗せて八幡平へ連れて行ったことが、感動的なおもてなしとして語られる。

だがそれは、最初に問題を発生させた側が、奇跡的にリカバリーしたことで感動を生んでいるだけではないか。

いわば、マッチポンプのようにも見えてしまう。

翼のアレルギー問題のときも同じだった。

まず健康状態に問題を発生させてしまい、それを夏美が必死にリカバリーし、

結果的に「加賀美屋のおもてなし」として美談化される。

自分で火をつけて、自分で消す。

怪我をさせて、治るまでがワンセットのおもてなし。

もしそれが常態化しているのだとしたら、次に宿泊するお客様の安否を、心配せずにはいられなくなる。


■ 「偶然の再会」が都合よく作用しすぎていないか

吉田との再会は、

・ 運命的

・ 美しい縁

として描かれている。

一方で、

・ 問題の原因

・ 過程の歪み

がすべて帳消しになってしまう危うさもある。


■ おもてなしは「結果」だけで評価していいのか

感動したかどうか、

救われたかどうか、

それだけで評価するなら、

過程の問題は見えなくなる。

この回は、

結果至上主義のおもてなしへの問いも含んでいるように見える。


■ 柾樹の決意は「美談」を見て生まれたのか

柾樹が心を動かされたのは、

・ 夏美の言葉

・ 拍手喝采の空気

だが、それは「構造の問題」を含んだ美談でもある。

その点に、柾樹がどこまで自覚的なのかは、まだ分からない。


■ 加賀美屋の成功体験が抱える危うさ

奇跡的なリカバリーが続くことで、

・ 同じやり方が正解だと思い込む

・ 根本改善が後回しになる

可能性もある。

この成功体験が、今後の判断を誤らせる種にならないか、気になるところだ。


「婚約者」という一言が決意を既成事実にする

  • 柾樹は吉田に、先ほど中継で映っていた相手が自分の婚約者であり、実家が加賀美屋であることを説明する

  • 吉田は、夏美は人の心を開かせる不思議な力を持っており、柾樹と出会えたことも夏美の魔法のようなものかもしれないと語る

  • 吉田は柾樹に対して、「あなたはいい人を見つけられましたなあ」と言葉をかける


個人的感想

いや、ちょっと待ってほしい。

柾樹と夏美は、別れたんじゃなかったのか。

それなのに吉田に対して、さらっと「婚約者です」と説明している。

もう別れていない、という前提で話が進んでいるなら、こちらとしては一度ちゃんと整理してほしかった。

柾樹は、これまでを見ている限り、自分の意思で何かを決断するというより、状況や周囲の空気に流されて動いてきた人物だ。

そんな柾樹が、

第三者から

「いい人を見つけられましたなあ」

なんて言われたら、かなり簡単に結婚方向へ引っ張られてしまいそうな気がする。

自分自身では、何が大事で、どうしたいのか、まだはっきり分かっていなくても、

他人に肯定されることで

「そうなのかもしれない」

と納得してしまうタイプに見える。

柾樹は、自分で気づくより先に、

他人の言葉で自分の人生を決めてしまいそうな危うさ

を、ずっと抱えているように思う。


■ 「婚約者」という言葉が持つ強制力

柾樹の口から出た

「婚約者」という言葉は、

・ 事実確認

・ 状況説明

というより、

関係性を既成事実化する力を持っている。

ここで一気に、曖昧だった関係が

「確定したもの」として扱われ始める。


■ 柾樹は決めたのか、決めさせられたのか

柾樹の行動は、

・ 自分で選んだ

・ 心を決めた

ようにも見える。

だが実際には、

・ 吉田の感謝

・ 拍手喝采の空気

・ 「いい人を見つけた」という評価

が重なった結果、背中を押され続けている状態とも読める。


■ 吉田の言葉は祝福か、誘導か

吉田の

「いい人を見つけられましたなあ」

という言葉は、

・ 善意

・ 祝福

として発せられている。

一方で、

・ 迷っている人

・ 判断を委ねがちな人

にとっては、かなり強い誘導にもなり得る。


■ 夏美の「魔法」は柾樹にも作用している

吉田が言う

「人の心を開かせる力」は、

・ 吉田自身

・ 娘の人生

だけでなく、柾樹の判断にも影響を与えている可能性がある。

この魔法が、

・ 支えになるのか

・ 依存を生むのか

は、まだ分からない。


■ 決断が美談で包まれていく怖さ

感動的な流れの中で、

・ 別れの整理

・ 迷いの言語化

が省略されている。

美談に包まれた決断は、

後から振り返ったときに、

「本当に自分で選んだのか」

という問いを残しやすい。


誤解を解けない二人と、止められない現場

  • 加賀美屋で、夏美は彩華と割れた皿の件について話をしようとするが、彩華は「もう終わったこと」として取り合わない

  • 仲居部屋から、佳奈(川村ゆきえ)と清美(中村優子)が勢いよく出てくる

  • 夏美派と彩華派の仲居が揉めている様子を、時江と中本(高橋元太郎)が目にする

  • 中本が「このままでいいのか」と時江に問いかけるが、時江は「よくはないが、女将が放っておけと言っている」と説明する

  • 帳場では、環(宮本信子)・久則(鈴木正幸)・伸一(東幹久)が、夏美の排除に向けた話を進めている

  • その様子を見た恵美子(雛形あきこ)は、夏美が辞めさせられてしまうのではないかと危機感を抱き、カツノ(草笛光子)に報告しに行く


個人的感想

夏美と彩華が話していた場面で、

夏美は「皿のことを彩華のせいにするつもり」はなかった。

みんなに誤解されたままだけど、本当のことを知ってほしくて、

そう伝えようとしていたように見える。

ただ、この会話は正直、かなり分かりづらい。

夏美の言う

「みんなにも誤解されたまま」

というのは、

最初は

「自分は割っていない」

と言い、

その後

「やっぱり自分が割った」

と嘘をついたことで、

その行為自体が

「彩華に責任をなすりつけようとした」

と誤解されている、という意味なのだろうか。

それに対して彩華が言う

「誤解なんてしてないわ」

という言葉も、

誰が、何を誤解していないのかが曖昧で、

自分の読解力でははっきり掴めなかった。

一方で、仲居同士の派閥争いは収まる気配がない。

時江は、

「このままでいいわけがない」

と分かっていながら、女将である環の指示によって、止めに入ることができない。

それでも、この状況を夏美排除の材料として利用しようとする環の姿を見ると、腹黒さを感じてしまう。

正直、加賀美屋を愛しているのは、環よりも時江の方ではないかと思う。

環は、カツノと夏美への感情が先行しすぎて、正常な判断ができなくなっているように見える。

そして恵美子。

完全にカツノのスパイだ。

立場だけを見れば、夏美でも彩華でも、どちらかが若女将になれば、自分はならなくていいのだから、静観していてもよさそうなものだ。

それでもカツノに報告に行くところを見ると、やはり恵美子自身は、

夏美に勝ってほしい

という気持ちを持っているのだろう。


■ 「誤解」という言葉が指している範囲の曖昧さ

作中で使われる

「誤解」は、

・ 事実関係の誤解

・ 意図の誤解

・ 人格評価の誤解

が混在している。

その整理がされないまま進むことで、

視聴者にも混乱が残るようにも感じる。


■ 時江は止めたいが、止められない立場

時江は、

・ 現場の混乱を理解している

・ 放置が悪化を招くと分かっている

それでも、

・ 女将の指示

・ 組織の序列

によって、介入できない。

この無力さが、現場をさらに荒らしている。


■ 環は混乱を「利用」し始めている

環は、

・ 混乱の原因を解決する

のではなく、

・ 混乱を口実に排除する

方向に舵を切っている。

ここで、判断が「女将の責任」ではなく「個人的感情」に近づいている。

 


噛みつく味方と、遅すぎた「話し合おう」という言葉

  • 彩華・康子・則子・恵が食事をしている場に夏美がやって来る

  • そこへ佳奈と清美も現れ、「私たちは後で食べましょ」と彩華派と距離を取ろうとする

  • 彩華派に噛みつく佳奈を、夏美が止めに入る

  • 彩華は「お昼くらい楽しく食べましょ」と声をかけるが、清美は「行きましょ」と言い、佳奈と夏美も部屋を出ていく

  • 蔵で作業をしている夏美のもとに、柾樹から携帯に電話が入る

  • 柾樹は、盛岡に戻り、加賀美屋を継ぐ決意を夏美に伝える

  • 夏美は涙を流しながら柾樹の話を聞く

  • 柾樹が戻ってくるという知らせに心底喜ぶ夏美の姿を映し、今週の放送は終了する


個人的感想

佳奈、すごい。

本当に夏美のためなら、どんどん噛みつく。

康子・則子・恵は、立場的には先輩のはずだ。それでも佳奈にとっては、夏美を守ることの方が優先されている。

先輩だとか、空気だとか、そういうものを全部飛び越えてくる。味方でいてくれて本当に良かった、と思える存在だ。

そして柾樹の電話。

「これからは何でも話してもらう。

二人で一緒にやっていくんだから。」

……いや、おせーよ!

この一言に尽きる。

この二人、これまでほとんど話し合わず、自分の気持ちだけで突っ走ってきた。

ここに来てやっと、柾樹が「話し合う」という姿勢を見せた。

でもこのセリフが出てくるということは、今まで話し合ってこなかった自覚はある

ということでもある。

そしてもう一つ。

柾樹が

「夏美のそばに行く」

「盛岡に戻って加賀美屋を継ぐ」

と決意した理由。

個人的には、インターネットライブ中継で加賀美屋のおもてなしに感銘を受けたから、とは思っていない。

むしろ、吉田の

「いい人を見つけましたなあ」

という言葉が、決定打だったんじゃないか。

他人に

「いい人だ」と評価された存在を、

失いたくなかっただけじゃないのか。

あまりにも柾樹が

ふらふら、ふらふらしているから、

こういう勘繰りもしたくなる。

……とはいえ、

来週の予告を見ると、

やっぱり気になってしまうんだけどさ。


■ 佳奈は「味方」であることを選び続けている

佳奈は、

・ 空気を読まない

・ 上下関係に配慮しない

・ 先輩にも噛みつく

そのすべてを、

夏美を守るために選んでいる

これは衝動ではなく、立場を取るという意思表示にも見える。


■ 柾樹の決意は「成長」か「反応」か

柾樹の言葉は、

・ 成長の兆し

・ 関係修復の意思

とも取れる。

一方で、

・ 外部からの評価

・ 周囲の空気

に反応した結果、動かされているだけにも見える。


■ 「話し合う」という言葉が遅れて出てきた意味

「これからは何でも話す」という宣言は、

・ 反省

・ 再出発

を示す一方で、

・ これまで話してこなかった事実

をはっきり浮かび上がらせる。

この遅さを、成長と見るか、手遅れ寸前と見るかで、受け取り方は分かれる。


■ 喜びのラストが覆い隠しているもの

涙と再会の予感で締められるラストは、非常に分かりやすいカタルシスを持っている。

だがその裏では、

・ 現場の分断

・ 排除の動き

・ 誤解が解けていない事実

は、何一つ解決していない。

このギャップをどう捉えるかが、第78回の後味を決めている。


まとめ

第78回は、

「戻ってくる」という希望で締められながらも、

現場の問題は何一つ解決していない回だった。

夏美の言葉は人を救い、

柾樹の背中を盛岡へ向けさせた。

だが同時に、

加賀美屋では誤解が放置され、

派閥と排除の動きが静かに進んでいる。

喜びのラストが強ければ強いほど、

その裏に残された歪みが、

よりはっきり浮かび上がってくる。

希望に救われる回なのか。

それとも、問題を先送りした回なのか。

第78回は、そのどちらにも読み取れる余白を残したまま、

次の展開へと進んでいったように思う。

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