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2026年1月14日放送の 『どんど晴れ』 第75回は、
女将修業という名のもとで行われる「指導」と「排除」、そしてその狭間で夏美が何を選び、何を学ぼうとしたのかが強く印象に残る回だった。
彩華は板場や仲居たちに受け入れられ、若女将候補として順調に歩みを進める一方、夏美は時江から蔵の整理を命じられ、板場の要求に応えられず「役に立たない」と突き放される。
この回で描かれたのは、能力の差ではなく、立場の差。そして、誰が教えられ、誰が切り捨てられるのかという、組織の冷酷な現実だった。
※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。
👇 前回(第74回)の感想はこちら

引っ越しと形見の皿――彩華が握った「若女将への切符」
彩華(白石美帆)の引っ越しを、浩司(蟹江一平)が手伝っている。荷解きの最中、浩司が「このお皿は棚に入れていいか」と確認した途端、彩華は明らかに動揺する。
その皿は、かつて実家が料亭を営んでいた頃に使っていたもので、父親の形見だという。彩華にとっては、どんな状況でも誇りを忘れないための“象徴”のような存在らしい。
浩司は引き続き彩華に金銭的な援助をしており、彩華は感謝の言葉を口にする。浩司は母親の入院先へ一緒にお見舞いに行き、自分がプロポーズしたことも報告したいと申し出るが、彩華は「そのうちね」とはぐらかす。
その後、浩司が女将修業の話題を出すと、彩華は
「浩司さんは夏美さんに若女将になってほしいの?」
と問いかける。
そして、自分が女将修業をするのは浩司のためでもあると語り、
「夏美さんに勝って若女将になったら、プロポーズの返事をする」
と宣言する。
その言葉に、浩司は完全に舞い上がってしまう。
個人的感想
いや、これはもう……
金と将来と結婚を全部ワンセットにして人を縛りに来てないか?
組合費の件だけでも十分アウト寄りなのに、
-
敷金・礼金
-
身の回りの支度金
ここまで浩司に負担させておいて、結婚については一切「YES」を出さない。
しかも「返事をする」とは言っているけど、「結婚する」とは一言も言っていない。
これは本当に巧妙で、
-
若女将になる
-
その“結果”として返事をする
-
返事の内容は保証していない
という、逃げ道だらけの条件提示なんだよね。
浩司は
「認められた」
「選ばれた」
「未来がつながった」
と思っているけど、
実際には
“条件付きで使われる側”に完全に回っている。
あと正直、
-
母親は本当に入院しているのか
-
父の形見の皿は本当に実家のものか
ここまで来ると、
全部を額面通りに信じるのはかなり危険に見えてくる。
■ 彩華は「結婚」をゴールにしていない可能性
彩華にとって重要なのは、
-
若女将の地位
-
加賀美屋での立場
-
環や周囲からの承認
であって、
浩司との結婚は“報酬”として後回しにできるものに見える。
結婚そのものが目的なら、ここまで条件を重ねる必要はない。
■ 「返事をする」は、約束を守ったように見せる言葉
このセリフの恐ろしさは、
返事をする=OKする
ではない点。
-
「結婚はできません」という返事でも
-
条件は達成したことになる
という、詐欺師的ロジックが成立してしまう。
これは恋愛ではなく、契約交渉の言葉。
■ 父の形見の皿=“信用を補強する小道具”
この皿は、
-
家柄
-
誇り
-
過去の栄光
を一気に背負わせるためのアイテム。
真偽はともかく、
ここで疑問を持つ人間は、冷酷に見えてしまうのかもしれない。
■ 浩司は「支援者」から「操られる側」へ完全移行
この場面で浩司は、
-
金を出す
-
時間を使う
-
応援する
-
味方になる
だけでなく、
夏美に勝たせるために何をすべきか
を無意識に考え始める立場に入っている。
もう対等な恋人候補ではなく、プロジェクトのスポンサー。
■ この関係は「恋」ではなく「取引」
-
若女将の地位
-
経済的支援
-
精神的後ろ盾
と引き換えに、「将来の可能性」だけを提示する構図。
これはもう、恋愛ではなく交渉だと思う。
一緒に食べる昼食の意味――時江と夏美、距離が縮まった瞬間
佳奈(川村ゆきえ)が夏美(白石美帆)と一緒に昼食を取ろうとすると、そこには時江(あき竹城)の姿がある。夏美は自然に「佳奈も一緒にどう?」と声をかけ、時江も「どうぞ」と応じるが、佳奈は明らかに戸惑う。
洗い物をしながら佳奈は、
「夏美を追い出したがっていた人のそばで、よくご飯食べられるね」
と率直に問いかける。佳奈は夏美が梅干しを残していることに気づくが、それは「午後に当たらないように」という時江のゲン担ぎを真似たものだと夏美が説明する。
「そんなこと、真似しなくてよろしい」
と時江は口では否定するが、表情は明らかに柔らいでいる。
その様子を少し離れたところから眺めていた環(宮本信子)は、
「仲が良さそうね、夏美さんと」
と含みのある言い方をし、
「わかっているんでしょうね」
と、時江にだけ通じる圧をかける。
時江は「承知しました」と答え、環は作り笑顔を残してその場を去る。
個人的感想
夏美と時江が一緒に昼食をとる関係になり、食べ方や「よく噛むこと」まで指導されている様子は、素直に微笑ましい。佳奈はその場にかなり居心地の悪さを感じていそうだったが、結局は輪の中に引き込まれていた。
それにしても、以前には初雪が降る描写もあった。今は相当寒い時期のはずだが、屋外で昼食をとっていて寒くないのだろうかと、どうでもいい心配をしてしまう。
さて、ここで気になったのが時江の「午後は当たりますように」というゲン担ぎだ。午後に梅干しを食べないという話だが、正直、梅干しがもったいない。
そこで午前と午後の定義について調べてみた。
国立天文台の公式サイトによると、正午は「午前12時」または「午後0時」と表記できるものの、「午後0時」という時刻の定義自体は存在しないとされている。つまり、12時台は「午前」と解釈する余地があるわけだ。
一般的な会社の昼休憩は12時〜13時の1時間であることが多いが、旅館という性質上一斉休憩は難しいとはいえ、このドラマでは仲居たちがよく一緒に昼食をとっている描写がある。
仮に、夏美と時江が昼食をとっていたのが12時から12時59分までの間だったとすれば、その時間帯は「午後」ではなく「午前12時台」と解釈することもできる。そう考えると、午後に備えて梅干しを残す必要はないのではないか――という、完全に余談ではあるが、もし梅干しを廃棄していたらと考えるとどうしても気になってしまった。
午前・午後の定義の話はこれくらいにしておくとして、夏美が自分の振る舞いを真似していることを、時江が本音では嬉しそうにしている様子は明らかだ。もう時江は完全に夏美派と言っていいだろう。
しかし、そんな時江に対して、反・夏美派である環が、再び暗に夏美排除を命じる描写は見ていて気分が悪い。経営者が自分の手を汚さず、部下を使って一人の労働者を追い込む構図は、朝ドラで見るにはあまりに重たい。
時江自身ももうそんなことをしたくなさそうだが、立場上、逆らえない様子が痛々しい。
いっそ、環と伸一は別の場所で高級リゾートホテルを経営し、加賀美屋は時江・柾樹・夏美で回していく、という対立軸にしたらどうかとも思ってしまう。
加賀美屋を心から大切にしている時江が、環の都合で振り回され続けているのは、見ていて本当にかわいそうだ。理不尽な解雇まで経験している人物だけに、なおさらそう感じる。
■ 「一緒に昼を食べる」は、立場が変わった合図
この作品では、
-
一緒に働く
-
一緒に食べる
が、仲間かどうかの明確な線引きになっている。
時江が夏美と同じ食卓についた時点で、夏美は「監視対象」ではなく守る側に近づいた存在になった。
環がそれを見逃すはずがない。
■ 時江は、もう「排除役」をやりたくない
環の圧に対する時江の「承知しました」は、忠誠ではなく諦めに近い返事に見えた。
-
加賀美屋が好き
-
規律を守りたい
-
でも、もう理不尽はやりたくない
その板挟みが、昼食シーンだけで十分に伝わってくる。
■ 環の嫌味は「警告」であって「確認」ではない
「仲が良さそうね」という言葉は、
事実確認ではない。
これは完全に、
立場を忘れてないでしょうね
という警告。
時江を“裏切り者候補”に近づける危険なやり方だ。
■ 夏美排除は「指示」ではなく「空気」で行われる
環は
「夏美を追い出しなさい」
とは一度も言っていない。
でも、
-
嫌味
-
視線
-
暗黙の了解
で現場を動かそうとする。
これは現実の職場でも一番きついやり方。
女将に必要な「たった一つ足りなかったもの」
加賀美屋の母屋の縁側で、大女将・カツノ(草笛光子)と平治(長門裕之)が、夏美と彩華の女将修業について語り合う。
二人の意見は一致しており、
「見かけや作法よりも、心が本物かどうかが大事だ」
という点を重視している。
話題はやがて、環が九代目女将になってすぐ若女将候補を立てたことへと移る。
カツノは、環との長年の確執についても語り始める。
環には女将としての素質も努力もあった。
しかし、
一つだけ足りないものがあったため、女将修業を認めなかった
と明かす。
本来カツノが女将になってほしかったのは、柾樹の母・俊江だったという事実も語られる。
個人的感想
まず言いたい。
寒いんだから縁側じゃなくて室内で話しなさい。
初雪が降る描写もあったくらいなのに、どんど晴れの人たちは寒さ耐性が強い。
それはさておき、カツノと平治が口をそろえて
「心が大事」
と言っているのは、年長者らしい視点だと思う。
礼儀作法や立ち居振る舞いは、後からでも身につく。
だが、
人にどう向き合うか、何を大切にするかという心の部分は、
簡単には変えられない。
その視点で見ると、彩華の完成度の高さを評価しつつも、どこか引っかかりを覚えているのも納得できる。
そして、ここで一気に明かされるカツノと環の確執。
・柾樹には加賀美屋を継がせたくない
・自分が大女将時代に厳しくしたことへの仕返し
・夏美を若女将にしたくない
そうした環の行動原理を、カツノはかなり冷静に分析している。
ただし、カツノ自身も決して「人格者」ではない。
環に相当厳しく接してきたのは事実だろうし、俊江が過労で亡くなっていることを考えると、
誰一人として“まとも”とは言い切れない一族だ。
女将候補が二人とも問題含みで、
過去の女将たちも業が深い。
……こうなってくると、
「次期女将は時江でいいのでは?」
という冗談が頭をよぎるのも無理はない。
■ 「一つだけ足りなかったもの」とは何か
カツノが言う
「一つだけ足りなかったもの」
は、明言されていない。
だが流れから考えると、
・他人への共感
・立場の弱い人間への想像力
・権力を持った後の自制
このあたりが有力のような気もする。
環は有能で努力家だが、
上に立った瞬間、排除の論理を選んでしまう人間
として描かれている。
■ 俊江が選ばれた理由
カツノが女将にしたかった俊江には、
おそらく、
・周囲に頼る力
・人を追い詰めない優しさ
・自分を犠牲にしすぎるほどの責任感
があったのだろう。
皮肉なことに、それが原因で過労死してしまった可能性も高い。
■ この縁側の会話は「過去編の核心」
この場面は、単なる世間話ではなく、
・環の歪みの原点
・女将選びの基準
・この家が抱える業
を一気に説明する重要なシーンだった。
蔵の整理と休憩時間――これは指導か、それとも嫌がらせか
林(木村元)を玄関で見送る彩華。そのお辞儀の美しさを見て、康子と則子は「優雅だ」と感心する。
一方、夏美は引き続き蔵の整理整頓を命じられる。
ただし時江は、
他にも仕事はいっぱいある
整理整頓は休み時間にやるように
と付け加える。
夏美は蔵の食器をデジカメで撮影し、木箱に付箋を貼りながら、独自の方法で整理を進めていく。
昼食は佳奈と二人きり。いつも一緒だった時江が来ないことを、夏美は少し寂しがる。
夏美は佳奈に、自分なりに気づいたことを語る。
時江も中本も、加賀美屋のことが本当に好きで、大切に思っている人たちだということ。
彩華の存在は気になるが、目先の勝ち負けにとらわれるのではなく、
「加賀美屋のために」修業を頑張りたいと語る。
そして、自分に力を貸してくれるかと佳奈に問いかけると、佳奈は「いつでも夏美の味方だよ」と答える。
個人的感想
お辞儀ひとつで周囲に「優雅さ」を印象づけてしまう彩華は、やはり只者ではない。一方で、時江が環に暗に命じられた結果として、夏美に対し「休憩時間に整理整頓をやるように」と指示した場面は、視聴者の間でも賛否が分かれたようだ。「労基法違反だ」と見える場面ではあるが、ここは少し冷静に整理しておきたい。
労働基準法34条では、
6時間を超え8時間までの労働には45分、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を与えなければならず、その休憩は労働者が自由に利用できるものでなければならない
と定められている。
今回の描写では、夏美が佳奈と一緒に昼食をとっている場面が明確に描かれている。つまり、労働時間の途中で、何分かは分からないが「休憩時間」自体は確保されていたことになる。仮に夏美の1日の労働時間が8時間以下で、45分以上の休憩が与えられていたのであれば、その点だけをもって直ちに労基法違反とは言えないのではないだろうか。
問題になるとすれば別の点だ。
それは、「休憩時間として扱われている時間に、業務を命じ、その時間を労働時間としてカウントしていない場合」である。この場合は、休憩の自由利用が侵害されるだけでなく、本来は労働時間であるにもかかわらず賃金が支払われない、いわゆる未払い賃金の問題が生じ得る。
加賀美屋はこれまでの描写を見る限り、遵法精神にあまり期待できる職場ではない。実際には「休憩時間扱いのまま作業をさせている」可能性も十分に考えられるが、少なくとも作中では昼食時間そのものが奪われているわけではなかったので、細切れになったとしても休憩時間は確保できているかもしれない。
その一方で、時江も中本も加賀美屋を心から大切にしている人物であり、夏美が「自分ももっと加賀美屋を好きになれば、みんなも自分を好きになってくれるのではないか」と考える理屈は、正直なところ論理としてはよく分からない。好意は強制できるものではないからだ。
ただ、昨日は「自分のための修業」と言っていた夏美が、今日は「加賀美屋のための修業」と言うようになっている。その変化はいずれ「お客様のため」へと移っていくのだろう。
また、彩華の存在が気にならないわけではないと素直に認め、佳奈に「力を貸してほしい」と頼んだ点は、確かな成長だと思う。
聡の件で一時は気まずくなっていた佳奈が、「いつだって夏美の味方」と即答してくれたことも、夏美にとっては何より心強かったはずだ。
■ 「休憩時間にやれ」は、環の圧力の副作用
今回の指示は、時江の本心というより、
・環からの牽制
・夏美を露骨に守れない立場
この板挟みの中で生まれた、歪んだ指示に見える。
時江は完全に「管理職の犠牲者」になっている。
■ 夏美の論理は「情緒的リーダー型」
夏美の
好きになれば、好きになってもらえる
という発想は、
経営や組織論としては危うい。
だがこれは、
・人を敵として見ない
・排除ではなく包摂を選ぶ
という、情緒的リーダーの資質でもある。
女将に必要なのが「統率力」なのか「包容力」なのか、この違いが今後、彩華との最大の分岐点になるのかもしれない。
■ 修業の目的が揺れ動いている意味
修業の目的が、
・自分のため
・加賀美屋のため
・(いずれ)お客様のため
と揺れているのは、夏美がまだ「役割」を探している途中だからかもしれない。
これは未熟さでもあり、同時に成長過程そのものでもある。
■ 佳奈の存在は、唯一の「安全基地」
今の夏美にとって、
・否定せず
・突き放さず
・無条件で味方でいてくれる
佳奈の存在は、完全に「安全基地」になっている。
夏美が壊れずに踏ん張れているのは、間違いなく佳奈のおかげだ。
「役に立たない」と言われた先にあったもの
板前の英雄(遠藤信)は、篠田(草見潤平)から「織部の小鉢を持ってこい」と言われたことを、
蔵の中にいる夏美に伝える。
夏美は「自分が探して持っていきます」と申し出る。
一方その頃、板場では篠田が彩華に器について意見を求めており、篠田は彩華の意見をそのまま採用する。
そこへ夏美が
「これでよかったですか?」と器を持ってくるが、
篠田が確認するとそれは織部の小鉢ではなかった。
篠田は、
器の名前一つ分からねえのか
全く役に立たねえな
よくそんなんで女将修業してるよな
と夏美を嘲笑する。
さらに英雄に対しても、
最初からお前が探して持ってこい
と言い、頭を叩く。
「役に立たない」と言われたことに悔しさを募らせた夏美は、器の名前を覚えようと蔵に戻り、
ノートに器の特徴を書き留めていく。
しかし、高い位置にある木箱に無理に手を伸ばした際、脚立が倒れてしまい、夏美は足を痛める。
この場面で、この日の放送は終了する。
個人的感想
夏美は織部の小鉢がどれか、事前に英雄に確認しておけばよかったとは思う。ただ、「これでよかったですか?」と篠田に確認している以上、織部の小鉢だと確信して出したわけではないはずだ。知ったかぶりをして差し出したのならともかく、確認の姿勢を見せている人間に対して、嫌味混じりに嘲笑する必要があったのかは疑問が残る。篠田は英雄に対しても理不尽に頭を叩いており、性格にかなり難がある人物だと改めて感じた。英雄がただただ気の毒でならない。
さて、この後の夏美の転倒シーンについて、「仕事着の着物のまま転倒したのだから労災だ」と即断しそうだが、この事故を単純に労働災害と断定してよいのかは、少し立ち止まって考える必要があると思う。
夏美が蔵の中で器の名前を覚えようとしていた時間帯は、描写からするとかなり遅い時間で、すでに退勤後であった可能性もある。これは、業務命令として「器の名前を覚えろ」と指示されたわけではなく、「役に立たない」と言われたことに悔しさを感じた夏美が、「自主的に勉強」しようとしていた行動とも解釈できる。
労災として認定されるかどうかは、
業務遂行性(業務として行っていたか)
業務起因性(業務との相当因果関係があるか)
という二つの要件を満たす必要があり、たとえ仕事着を着ていたとしても、それだけで直ちに労災になるわけではない。もし退勤後に、業務命令ではない行為を自主的に行っていた最中の事故であれば、最終的には労働基準監督署が個別具体的に判断することになるだろう。
もっとも、加賀美屋はこれまでの描写を見る限り、遵法精神に乏しい職場である。仮に労災に該当し得る事案であったとしても、申請せずに「なかったこと」にする、いわゆる労災隠しをしそうな空気があるのも否定できない。
一方で、夏美自身にも反省点はある。無理に手を伸ばすのではなく、脚立を安全な位置に移動させてから取るべきだった。だが、失敗や怪我から学ぶことが多いのも事実だ。この経験が、今後の女将修業にどう生かされていくのかを見守りたい。
「役に立たない」と言われた人間が、それでも学ぼうとする姿勢自体は、否定されるものではない。
■ 篠田は「教えないことで優位に立つ」タイプ
篠田は、
・知らない人間を見下す
・教えずに嘲る
・恥をかかせることで上下関係を固定する
典型的な
知識独占型・威圧系職人だ。
これは教育ではなく、序列維持のための振る舞い。
■ 彩華と夏美の「評価のされ方」の対比
彩華は、
・意見を求められる
・採用される
・失敗が想定されていない
一方、夏美は、
・自分で探す
・間違えたら嘲られる
・フォローなし
この差は、能力差というより立場差だ。
■ 夏美の事故は「善意の自己責任」か「構造的リスク」か
形式的には、
・業務命令なし
・自主的行動
・退勤後の可能性あり
なので、
「自己責任」と片付けられやすい。
だが、
・日中に十分な教育を受けられていない
・間違いを許さない空気
・学ぶ場を業務時間内に確保していない
この構造がある以上、事故は必然だったとも言える。
■ 「役に立たない」と言われた後の行動がすべて
重要なのは、夏美が「悔しがって終わらなかった」ことだ。
怒鳴り返さず
辞めるとも言わず
誰かのせいにもせず
「覚えよう」と動いた。
これは、
・女将向きかどうか
・向いているかどうか
以前に、人として折れていない証拠でもある。
まとめ
第75回は、女将修業という名目の中で、
彩華は「できる人」として扱われ、
夏美は「できない人」として切り捨てられる。
だが、この回で決定的だったのは、
「役に立たない」と言われたあとに、夏美が何をしたかだ。
言い返さず、
誰かを恨まず、
それでも学ぼうとした。
その結果が怪我だったとしても、
その姿勢まで否定されるべきではない。
女将修業とは、
立ち居振る舞いを覚えることなのか。
器の名前を暗記することなのか。
それとも、
誰にも教えてもらえない状況でも折れずに学ぼうとする心なのか。
第75回は、その問いを視聴者に突きつけた回だったと思う。
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