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2026年1月8日放送の『どんど晴れ』第70回では、夏美が職場での騒動について正式に謝罪し、物語は一見「和解」に向かって動き出す。
佳奈との友情は修復され、浩司の仲裁によって表向きの対立も収束する。しかしその裏側では、彩華の問題が曖昧なまま残り、さらに聡の告白という新たな感情の爆弾が投下される。
この回は、問題が解決した回ではない。
「解決したことにされた回」であり、その分だけ、次に崩れる可能性を強く孕んだ回だった。
※この回は、前日の展開を踏まえて見ると、より重みが増します。
👇 前回(第69回)の感想はこちら

謝罪は許されたのか──夏美と職場の温度差
・夏美(比嘉愛未)は、組合費がなくなった件について、「自分の不注意でお金がなくなったのに、彩華(白石美帆)を傷つけてしまった」と、皆の前で謝罪する。
・しかし、仲居や板前たちの反応は冷たく、反発の空気は消えない。
・そんな中で、佳奈(川村ゆきえ)だけが、はっきりと夏美の味方に立つ。
・さらに浩司(蟹江一平)も仲裁に入り、板長・篠田(草見潤平)だけは最後まで拒否の姿勢を崩さなかったものの、場の空気としては「ひとまず収束」という形になる。
個人的感想
正直なところ、「誰か見なかったか?」という確認が、なぜここまで“疑い”として受け取られるのか未だに腑に落ちない。
夏美は、組合費がなくなった時点で、
-
伸一(東幹久)
-
時江(あき竹城)
という上司にはきちんと報告している。
その際に時江から「その場に他に誰かいなかったか」「誰か見かけなかったか」と聞かれ、彩華がいたことを思い出した。
その流れで、夏美は彩華に
「誰かを見かけたりしませんでしたか?」
と確認している。
これが「疑われた」「不愉快だった」と言われるなら、どこがアウトだったのかが、あまりにも曖昧だ。
もし問題があるとすれば、
-
「誰か見なかったか?」ではなく
-
「さっき帳場で会いましたよね」と事実確認した
この部分が、
「帳場で会った=犯人扱いされた」
という文脈で受け取られた、という解釈のほうがまだ理解できる。
ただ、それでもやはり引っかかる。
第66回で夏美は、
-
お金がなくなったことを上司に報告
-
上司から「他に誰かいなかったか」と聞かれている
という、正しい初動対応をしている。
問題が拡大した最大の要因は、夏美が「一人で判断して、彩華に確認しに行ったこと」だったのではないか。
もしここで、
「彩華さんがいました」
と伸一や時江に報告していれば、その後の確認や対応は上司を交えて行われたはずだ。
加賀美屋には確か、
下の者のミスは、上の者が責任を取る
という「しきたり」があったはず。
それなら今回、責任を負うべきは夏美ではなく、伸一や時江ではないのか。
都合のいいところだけ「しきたり」を持ち出す、見事なダブルスタンダードに見えてしまう。
この場面で唯一、素直に「良かった」と言えるのは、佳奈が夏美の味方になったことだけだ。
浩司も仲裁には入っているが、それは彩華が窃盗した事実を知った上で、彼女を守る行為であって、決して夏美を守ろうとするものではない。
篠田は、もはや敵意を隠す気もない。
これまで陰で夏美を拒絶してきた仲居たちも、この場面で堂々と拒否を表に出してきた。
そして何より強烈なのが、組合費を盗んだ張本人である彩華が、完全に“被害者側”に立っているという異様さだ。
窃盗をしておきながら、「自分は悪者ではない」と周囲に思わせる空気を作れているのは、ある意味、恐ろしいほどだと思う。
■ 謝罪が「説明」ではなく「終わらせる行為」になっている
夏美の謝罪は、
-
何が問題だったのか
-
どこに誤解があったのか
を整理するためのものではなく、
とにかく場を収めるための謝罪
として機能している。
この時点で、問題は解決ではなく封印に向かっている。
■ 「確認」と「疑い」が区別されない職場
誰かを見かけたか確認する
↓
疑っていると受け取られる
この構造では、事実確認そのものができない。
ミスが起きても、「誰にも聞くな」「何も確認するな」という空気が生まれる。
これは、組織としてかなり危険だ。
■ 佳奈の立場の変化は、物語上かなり重要
佳奈がここで夏美の味方に立ったことは、今後の展開において決定的な意味を持つ。
-
これまで距離を取っていた
-
傍観者に近かった
佳奈が、明確に立場を示した最初の場面だからだ。
■ 浩司の仲裁は「正義」ではなく「隠蔽」
浩司は事実を知っている。
それでも、
-
彩華を守る
-
表沙汰にしない
-
自分が金を出す
という選択をした。
これは仲裁ではなく、問題の私物化と隠蔽に近い。
■ 窃盗よりも「空気を乱したこと」が罪になる世界
この回で最も歪なのは、
-
組合費を盗んだ行為
よりも -
職場の空気を乱した行為
のほうが重く扱われている点だ。
彩華は守られ、夏美は責められる。
この価値観こそが、加賀美屋という組織の本質なのだと思う。
壊れなかった友情──佳奈と夏美、関係修復の瞬間
・康子(那須佐代子)、則子(佐藤礼貴)、恵(藤井麻衣子)は、相変わらず夏美に対しては陰口を叩き続ける一方で、彩華のことは「素晴らしい」「ああいう人に女将になってほしい」と持ち上げる。
・その一方で、佳奈と夏美は久しぶりにきちんと話し合う時間を持つ。
佳奈は、
-
自分は最初から、夏美が誰かを疑っているとは思っていなかったこと
-
聡(渡邉邦門)の件については、自分が勝手に片思いし、勝手に失恋し、勝手に拗ねていただけだったこと
を正直に打ち明ける。
さらに、
-
聡は自分に気がなかったこと
-
そして聡が、夏美のことを好きだったことにも気づいていた
と語る。
・火傷の手当てをしてくれたことへのお礼も、本当は伝えたかったが、素直になれなかったという。
・夏美から届いた長文のメールを読んで、「自分にとって夏美は大切な親友だ」と思い出し、佳奈は自分から謝罪する。
・こうして二人は、再び親友としての関係を取り戻す。
個人的感想
正直に言って、佳奈と夏美の友情が完全復活したのは本当に良かった。
この一連の騒動の中で、佳奈は一番感情的になってもおかしくなかった立場だ。
それでも佳奈は、
-
夏美が人を疑う人間ではないこと
-
自分の感情が暴走していたこと
をきちんと自覚し、言葉にしている。
特に印象的だったのは、
勝手に片思いして
勝手に失恋して
勝手に拗ねていただけ
と、自分の未熟さを認めている点だ。
さらに、
-
聡は自分に気がなかった
-
夏美のことを好きだった
という事実にも、目を逸らさずに向き合っている。
それでも恨みに変えず、「それとこれとは別」と整理できたのは、かなり大人だと思う。
火傷の手当てのお礼を言えなかったこと、夏美からのメールで目が覚めたこと、親友だと思い出したこと。
どれも嘘くささがなく、佳奈の言葉として素直に受け取れた。
四面楚歌だった夏美にとって、佳奈という“はっきり味方だと言える存在”が戻ってきたことは、精神的にとてつもなく大きいはずだ。
あとは、お休み中の清美が戻ってくれば、夏美の周囲にもようやく「呼吸できる空間」ができそうだ。
■ 陰口グループと「回復する関係」の対比が鮮明
このセクションでは、
-
康子・則子・恵
-
夏美と佳奈
という二つの人間関係が、はっきり対比されている。
前者は、
-
他人を下げ
-
別の誰かを持ち上げ
-
立場で評価を切り替える
関係。
後者は、
-
誤解を解き
-
感情を言葉にし
-
関係を修復する
関係。
どちらが健全かは、説明するまでもない。
■ 「彩華みたいな人に女将を」という危うさ
康子たちの
彩華みたいな人に女将になってほしい
という言葉は、一見すると賞賛だが、実はとても危うい。
それは、
-
本質を見る評価ではなく
-
空気に合うかどうかの評価
だからだ。
この価値観の延長線上に、夏美排除がある。
■ 佳奈の謝罪は、関係修復の“完成形”
佳奈は、
-
言い訳をしない
-
相手の気持ちを否定しない
-
自分の未熟さを引き受ける
という、非常に誠実な謝罪をしている。
だからこそ、この和解は「ご都合主義」に見えない。
彩華は残り、疑念も残った──立替払いという選択
・浩司は、紛失した組合費を自分が立て替えると環(宮本信子)に申し出たうえで、
彩華をこのまま加賀美屋で雇い続けてほしいと頼む。
・伸一は、「彩華がいると助かるのは事実だが、これ以上人件費はかけられない」と慎重な姿勢を見せる。
・それに対し浩司は、「自分の給料を減らしてくれてもいいから」とまで言って食い下がる。
・最終的に、環たちは前向きに検討する姿勢を示し、浩司はその結果を彩華に伝える。
・「このまま加賀美屋で働けそうだ」と聞いた彩華に対し、夏美は「これからもここで働くなら、教えてもらうことがたくさんありそう」と、歓迎の言葉をかける。
・一方、佳奈だけは、この展開にどこか裏があるのではないかと不安を抱いている。
個人的感想
まず、どうしても整理したくなるのが
「浩司は、いつ・何を・立て替えたのか」 という点だ。
第67回で、環は夏美に対して
「浩司がそのお金を立て替えると言っています」
と発言している。
この時点では、
-
すでに立て替えた
-
立て替えると“申し出ただけ”
どちらなのかと思ったが、
今回(第70回)を見る限り、
-
彩華が組合費を盗んだ事実を知った上で
-
実際に立て替え払いをした
67回時点では立て替え払いはされておらず、70回で立て替え払いされたという整理が、一番自然だろう。
そして、立て替えた金額は
手金庫に入っていた大森旅館分の組合費5万円
で間違いなさそうだ。
ここで、もう一つ引っかかる。
伸一は、帳簿に記入する時間がないという流れで時江を探していたはずだ。そうであれば記入する組合費は大森旅館の5万円以外にもある可能性が高い。
だとすると、
-
集めてきた組合費は本当に紛失した5万円だけだったのか
-
それとも、実際には複数あった中で、彩華は“大森旅館分だけ”を抜いたのか
という疑念が出てくるが、実際の被害はどうやら大森旅館の5万円だけのようだ。
だとすれば、彩華の目的は 単純に金額の多寡ではない 可能性が出てくる。
つまり、
彩華の目的は「お金」そのものではなく、
立場・信頼・関係性を動かすことだったのではないか
という疑念だ。
そして何より違和感が強いのは、「お金を出した人の意思」が最優先されてしまう構造。
-
浩司が給料を減らしてもいいと言う
-
だから雇用は成立する
この流れは、問題の本質をほとんど解決していない。
彩華が窃盗をした事実は消えていないし、組織としてのけじめも、曖昧なままだ。
夏美が歓迎の言葉をかけたのは立派だと思う。だが、それだけに、佳奈が感じている「何かおかしい」という感覚のほうが、視聴者の感覚には近い。
■ 浩司は「解決」ではなく「上書き」を選んだ
浩司がやったことは、
-
問題を精算した
のではなく、 -
問題を金で覆い隠した
に近い。
事実確認
↓
責任の所在
↓
再発防止
というプロセスは、完全に飛ばされている。
■ 「給料を減らしてもいい」は、最も危険な善意
一見すると自己犠牲で美談に見えるが、
-
組織のルールを歪め
-
個人の感情で判断基準を変えてしまう
行為でもある。
これを許せば、「誰かが金を出せば、問題はなかったことになる」という前例ができてしまう。
■ 彩華は“必要な人材”として地位を確保した
今回の流れで彩華は、
-
仕事ができる
-
人手不足を補える
-
守ってくれる人がいる
という、非常に強い立場を手に入れた。
それは実力というより、状況操作によって獲得した立場 に見える。
■ 夏美の歓迎は「成長」であり、同時に「危うさ」
夏美が彩華を歓迎したのは、
-
大人の対応
-
女将修業としては正解
とも言える。
だが同時に、
-
自分が受けた理不尽
-
事件の歪さ
を飲み込んでしまっている危うさもある。
雪の夜に落とされた言葉──聡の告白
・聡は、夏美への恋心が募り、仕事が手につかない状態になっている。その悩みを、平治(長門裕之)に打ち明ける。
・一方イーハトーブでは、夏美と佳奈がすっかり打ち解け、以前のように楽しそうに会話をしている。
・三角関係は解決したのかとアキ(鈴木蘭々)に聞かれ、佳奈は「何があっても大切な友達だから」と説明する。
・そこへ聡がイーハトーブに帰宅し、夏美と佳奈が仲良くしている様子を見て驚く。
・久しぶりに全員が揃ったことを喜んだ裕二郎(吹越満)は、「何でも好きなものを作る」と言い、夏美と佳奈はいつものようにじゃじゃ麵を注文する。
・外では雪が降り始めている。10月に降る雪に驚く夏美は、寒そうにしている。
・それを見た聡は、自分のマフラーを外して夏美に貸す。
・そして聡は、ついに夏美に自分の気持ちを告白する。この場面で、第70回の放送は終了する。
個人的感想
聡、ついにここまで来たか、という感じだ。
仕事が手につかなくなるほど人を好きになる。正直、不器用だし要領もよくないが、まぁ仕方がない。
イーハトーブの住人たちには相談しづらい状況だから、平治に相談するしかない、という選択も自然だろう。
平治は、柾樹(内田朝陽)と夏美の関係も、大女将・カツノ(草笛光子)との関係も、ある程度分かっている立場の人間だ。
だから反対するのかと思いきや、「当たって砕けろ」「気持ちだけは伝えたほうがいい」というスタンスだったのは意外ではあるが、嫌いじゃない。
結果はどうあれ、気持ちを飲み込んだままでは前に進めない、という現実的な助言だ。
イーハトーブでの空気は久しぶりに穏やかだ。夏美と佳奈が笑っているだけで、場の温度が変わる。
相変わらず注文はじゃじゃ麵だが、正直、過去に一度だけ「これ本当にじゃじゃ麵か?」と思う料理が出てきた記憶がある。
器も違ったし、レンゲ使ってたし、麺も冷麺寄りだった気がする。みんなが「じゃじゃ麵しか出てこない」と言うから、自分の記憶に自信がなくなってきたが…。
10月の雪については、雪国ではそこまで珍しくない。岩手も北海道も、寒さランキングではよく争う仲だ。
そして聡の告白。
マフラーを貸す、雪、夜、告白。
演出としては分かりやすく王道だ。
問題はこの後だ。
結果がどうなろうと、聡・佳奈・夏美は同じ下宿で暮らし続ける可能性がある。
告白はゴールではなく、むしろ新しい地獄のスタート地点かもしれない。
■ 平治は「正解」を示さず、「行動」を許した
平治は、
誰が正しいか
どうするべきか
を教えなかった。
ただ、
「気持ちを伝えなければ始まらない」
という一点だけを示した。
これは大人として、かなり誠実な距離感だ。
■ 聡は“告白する権利”を得たが、“居場所”は失うかもしれない
気持ちを伝えること自体は、間違っていない。
ただし、
同じ下宿
複雑な人間関係
この中での告白は、成功しても失敗しても、居心地の悪さを生む。
聡は、その覚悟をどこまで持っているのか。
まとめ
第70回は、表面的には「丸く収まった」回に見える。
夏美は謝罪し、佳奈との友情は戻り、
職場の対立も一旦は収束した。
だが、丁寧に見ていくと、本当に解決した問題はほとんどない。
-
夏美の謝罪は、納得ではなく空気によって受け入れられた
-
彩華の行動は処理されたが、説明はされていない
-
浩司の判断は問題を終わらせたが、真相を隠したままだ
-
そして、聡の告白が新たな緊張を生んだ
友情は戻った。
だが恋は動き出し、
同じ下宿・同じ職場という逃げ場のない関係の中で、
この告白が何を壊すのか、まだ誰にも分からない。
第70回は、「和解の回」ではなく、「次の衝突の前夜」だった。
静かに整えられた舞台の上で、物語はまた一段、危うい場所へ踏み出している。
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