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2025年12月11日(木)放送の第52回は、
愛子の怒り・夏美の沈黙・翼の反抗 が三角形のようにぶつかり合い、
物語が大きく動いた回だった。
加賀美屋にはついに“500万円の損害賠償請求”が届き、
一方で夏美は愛子から激しい追及を受け、
その場で翼の感情が生まれて初めて爆発する──。
■【柾樹の焦りと香織の圧】夏美の失踪に揺れる職場
・横浜の職場で、柾樹(内田朝陽)は久美子(別府あゆみ)に「夏美(比嘉愛未)がそっちに行っていないか」を確認。
久美子は「しばらく預かるから大丈夫」と答える。
・香織(相沢紗世)に仕事の説明を始める柾樹。
しかし香織は業務より先に「夏美が家を出た理由」を詮索しはじめる。
■個人的感想
柾樹、久美子のことも下の名前で呼び捨てだったっけ?……距離の詰め方が自然に上手いというか、この辺がモテる秘訣?久美子も本当に“善良枠”で、朝早く突然押しかけた夏美をそのまま受け入れる器の大きさ。夏美は友達運だけは異様にいい。
一方の香織は、もはや“仕事より恋愛”という価値観が隠しきれていない。業務説明を遮ってプライベートを聞き出そうとする姿は、境界線ゼロの恋愛至上主義者そのもの。
■柾樹 × 久美子:異常なまでの“心の距離の近さ”
柾樹が久美子のことを職場で下の名前呼びするのは、
・部下とのフラットな関係性
・同性にも異性にも壁を作らない人柄
・“近すぎず遠すぎず”の絶妙な距離感スキル
このあたりが理由だと推測できる。
こういう男がモテるのかどうかは別にしても、優しくて壁がなく、下心を感じさせない距離の縮め方ができるタイプ。
そして久美子も、「突然押しかけられても受け入れられる」という“包容力型の善人”であり、ドラマ内で数少ないまともな存在。
ただし——
夏美はこの善人ネットワークに甘えまくっており、『困ったら誰かが助けてくれる』が当たり前になりつつあるのは少し危うい。
■香織の詮索:恋愛優先の“境界線の壊れ方”
香織の行動には以下の特徴が出ている:
① 仕事より恋愛を優先
仕事説明の最中にプライベートを差し込むのは、社会人としてアウト。
② 相手の事情に踏み込みすぎる
まだ婚約中の二人に執着を見せる時点で、倫理観より欲望が上位にある。
③ “柾樹と夏美の破局”を期待しているニュアンス
知りたい理由が「心配」ではなく「狙い」なのが透けて見える。
香織は「奪う恋」を成立させるためには他人のプライベートを侵食することにまったく躊躇がない。
仕事と恋愛の境界線が曖昧な人間は現実でもトラブルメーカーになりがちで、今回もその気質が存分に描かれていた。
柾樹の“人との距離の取り方”が、男女それぞれに違う反応を起こす
柾樹の「誰にでも優しく接してしまう才能」は、
善人には癒しを、
依存体質の人には誤解を、
自己犠牲型の人には引け目を、
それぞれ生むという面白い構造になっている。
こうした“同じ言動でも相手によって受け取り方が激変する”のが、人間ドラマとして非常に良くできている部分。
■【姉弟の本音】智也のサッカー挫折と夏美の“自己投影”
・カフェで夏美と智也が向かい合って話す。
智也は「夏美と柾樹が別れるんじゃないか」と不安を口にする。
・二人は外に出てサッカーをしている子供たちを眺めながら、
夏美と柾樹の“馴れ初め”を語り合う。
・転がってきたボールを蹴り返せず、手で投げ返す智也。
夏美は、サッカーの試合でのミスを気にする智也を励ます。
・智也は、サッカー部を辞めた理由を詳しく語り、
その後、二人は“姉弟そろってふがいないと思われているよね”と自嘲気味に話す。
■個人的感想
智也の飲み物が“オレンジジュース”だった瞬間にホッとした。
普段は落ち着きすぎていて大人のように見えるけど、まだ中学生なんだよな……と改めて感じさせる。
夏美が心のどこかで“別れ”を考えている雰囲気は、智也にも伝わってしまうほど露骨らしい。
智也の観察力と、夏美の分かりやすさの両面が現れていた。
サッカーのミスについて夏美が言った
①「また次、頑張ればいい」
②「ミスしない人間はいない」
③「みんな、そうやって上手くなっていく」
という3つの励ましは、
完全に自分自身に向けた言葉にも聞こえる。
そして智也がサッカーを辞めた理由。
単なる“ミス”ではなく、仲間からの心ない言葉が原因だったと知ると胸が痛む。
チーム競技なのに、孤立させられたら子どもに残された選択肢は少ない。
夏美も智也も、
「ミス → 責められる → 自分を責めてしまう」
という同じ構図の中にいて、姉弟の弱さと強さが重なる場面だった。
■このシーンのテーマは「自己否定」と「成長の原点」
今回の夏美と智也の会話は、ほぼすべてが
・人から責められ続ける苦しさ
・自分のせいで周囲に迷惑をかけたという罪悪感
・それでも前に進もうとする心の動き
これらの“姉弟に共通した傷”を描くためのものになっている。
■夏美の励まし=自己投影
夏美が智也に向けた励ましの言葉は、
実はすべて自分自身の心に必要なもの。
①「また次、頑張ればいい」
→ 事故を起こし、盛岡を去った自分に向けた回復の願望
②「ミスしない人間なんていない」
→ 自分が“許されていい存在”であることを自分に言い聞かせている
③「みんな、それでも頑張って上手くなっていく」
→ 夏美自身が“この先も人生を続けていい”と示す言葉
このシーンの感動ポイントはそこではなく、
“智也に励ましながら、夏美が自分を励ましている”
という二重構造にある。
■【500万円の衝撃】斎藤家 vs 加賀美屋、ついに法廷フェーズへ
・加賀美屋に愛子(斎藤)の代理人弁護士が来訪。
・弁護士は正式な訴状を提示。
原告:斎藤翼(法定代理人=母・斎藤愛子)
被告:株式会社加賀美屋旅館(代表取締役 加賀美久則)
訴額:500万円
・損害賠償の金額に、環(宮本信子)・伸一(東幹久)・久則(鈴木正幸)が驚愕。
・代理人弁護士は
「金額は妥当。」と説明。
・さらに、
「もし加賀美屋が老舗おもてなし旅館でなければ訴訟までは考えなかった」
とも述べる。
・環が「このまま何もしなくていいのか」とカツノ(草笛光子)に尋ねる。
・伸一・久則は「こちらも弁護士をつけるべき」と主張。
・しかしカツノは
「お客様とは争わない。誠心誠意お詫びするだけ」
と、弁護士をつける気は一切なし。
■個人的感想
「原告:斎藤翼」
未成年者は訴訟を提起できないはずだから法定代理人が訴訟を起こすことになるわけだけど、翼自身は訴訟を希望してないよね…?翼が希望してないのに法定代理人が勝手に訴えること自体は可能なのだろうか?訴訟を希望していないことが分かるから訴えを取り下げるって感じ?
愛子はしたたかだと思う。
裁判になったとき、
「子どもを守る母 vs 老舗旅館」
という構図は、メディアで圧倒的に強い。
愛子の怒りは“母の怒り”として正当化され、
“古い体質の老舗 vs 新時代の母の正義”という物語になる。
そして代表取締役がまさかの久則。てっきりカツノが代表権も持ってると思っていたから意外。
代表権は形だけ久則にあるけど、株式の大半はカツノが持っていて支配しているってことかな?
普通に考えれば:
・実権:カツノ
・形式的代表:久則
という構造。
つまり加賀美屋は
「動かしているのは大女将、責任だけ久則」
という歪んだ組織体制。
これは家業あるあるでもあるけど、今回の訴訟で明確になったのは:
責任を取るべきは誰なのかが、組織として曖昧なまま動いてきた旅館
ということ。
久則が“青ざめる”のは当然。
責任者として名前が書かれた以上、訴訟リスクは直撃する。
しかし意思決定権は持っていない。
カツノの独断で「争わない」と言われれば、久則は従うしかない。
これはもう、
実態としてガバナンス崩壊 と言っていい。
500万円という訴額に全員があそこまで動揺するのを見ると、加賀美屋の財務がかなりギリギリである可能性が高い。
個人的にはもっと高額をふっかけられると思っていたが、“500万円で青ざめる”ということは、
本当に現金がないのか、負債を抱えているのか。
もし、これに時江が不当解雇で争って解決金が数百万円乗っかったら、持ちこたえる体力があるのか…?
愛子の目的も気になる。
もしお金目当てじゃなく「加賀美屋の信用失墜」が狙いなら、“謝罪文の公表を求める”だけでも大ダメージを与えられるのに、なぜ500万円なのか。
そしてカツノは
「争わない」の一点張り。
老舗旅館の“武士道メンタル”なのか、それとも現実的判断能力が抜け落ちているのか…。
加賀美屋の最大の問題は、
“誰も組織として戦える頭脳がいない”こと。
伸一は怒鳴るだけ
環は情に流される
久則は役職だけの空気
カツノは昭和の美学
愛子 vs 加賀美屋
という構図は、
実は
“法と現代” vs “情と昭和”
の戦いでもある。
■【争うか、詫びるか】伸一の現実論とカツノの“おもてなし哲学”
・伸一・環・久則が、今後裁判になった場合の対応を話し合う。
・伸一は旅館再建の資金も必要な状況で、
「大女将が何と言おうと、こっちも弁護士をつけて賠償金を1円でも減らすべきだ」
と主張。
・環は伸一の“争う姿勢”に乗り気ではなさそう。
・久則は判断がつかず、困惑するばかり。
■個人的感想
伸一、珍しく“経営者の顔”を見せてきた。
言っていることだけ聞けば、今日一番まとも。
訴訟になれば、
・相手の過失を突く
・旅館の責任範囲を限定する
・減額交渉をする
これらは戦略として当然の判断。
それに、今回の事故は
「旅館の業務中」ではなく
「夏美の単独独断による連れ出し」
これが争点になれば、旅館としての責任(使用者責任)は軽減できる可能性もある。
“故意”の連れ出しである以上、
旅館側が求償(夏美に損害賠償請求)するという選択肢すら可能かもしれない。
そして環は、争いたいのか争いたくないのか曖昧。
久則はもう“板挟みの置物”。
加賀美屋、組織として意思統一ができていないのが丸わかりで、
この3人が“旅館を動かしている”と考えると恐ろしくなってくる。
伸一の主張は、実はこの旅館で最も合理的
伸一は普段モラハラ夫であり、キレ芸の権化だが、
今回言っていることは100%正論。
✔ 旅館再建には大金が必要
✔ 500万円でもダメージが大きい
✔ 相手にも落ち度がある
✔ 弁護士を立てるのは最低限の防衛
特に今回の事故は
・業務中ではない
・旅館の命令に違反した夏美の単独行動
・旅館に禁止されていた行動
・場所は旅館外
・旅館側の管理を離れている
という複合条件で、旅館側には反論材料が多い。
伸一の主張は、経営者として完全に正しい。
強く言うが、
カツノの「誠意だけで戦う」は経営崩壊レベルの暴走のように思う。
旅館側の“争点”と“勝ち筋”が見えてくる
旅館が主張するとしたらこうなる👇
✔ ① アレルギー対策は旅館として出来る限り実施していた
→ 旅館内部で食べさせたものが原因ではないため、旅館の過失は薄い。
✔ ② 事故が起きたのは「業務外」「旅館外」
→ 使用者責任が及ばない可能性。
✔ ③ 禁止命令を破り、夏美が勝手に連れ出した
→ 旅館が指示していない行動。
✔ ④ 夏美の行動は“過失”ではなく“故意の独断”
→ 旅館の監督責任が大幅に軽減される可能性もあり。
✔ ⑤ 原因行為の主体は夏美であり、旅館は“連帯責任”のみ(最小限)
法的には十分戦える可能性もあるかも。
伸一が言う「1円でも減らすべき」は完全に正しい。
旅館が“夏美に求償できる可能性”について
使用者責任(民法715条)には求償権も定められているので
「使用者が賠償したあと、過失がある従業員に請求できる(求償権)」余地はないのだろうか。
今回は “過失”ではなく
禁止行為を破った“故意の行為”
だから、旅館側に求償権行使の余地があるようにも思える。
実際の裁判でも、求償が認められた判例はある。
ドラマとしては描かれないだろうけど(笑)
■【親子の爆発点】愛子の圧力と、翼が初めて母へ放った叫び
・愛子(とよた真帆)は電話で代理人弁護士と打ち合わせ中。
・翼(川口翔平)は「もういいんじゃない?」と訴訟を止めたい意向を示す。
・そのやりとりで 夏美と翼が会っていたことが発覚。
・夏美が愛子と翼を訪ねる。
・愛子は「翼を使って訴訟を取り下げようとしているのか」と夏美を詰問。
・夏美は否定し、ただ謝りたかっただけだと繰り返す。
・愛子の激しい追及に夏美は何も言い返せず謝るだけ。
・その姿に我慢できなくなった翼が 初めて母親に反論。
・ここで今日の放送は終了。
■個人的感想
愛子の怒りは当然。
ただし “事実誤認” が混ざりすぎていて、夏美が何を言っても聞く耳を持たない状態。
特に、
・愛子不在中に夏美が勝手に来た → 事実
・翼を訴訟取り下げに利用している → 事実ではない
・謝りたかっただけ → 事実
・アレルギーを告知していたのに注意しなかった → 一理ある主張
愛子の中で
「夏美=加害者」
「夏美=信用ゼロ」
という構図が固まりすぎている。
こうなると当事者同士の話し合いは不可能。
むしろ 代理人を挟んだほうが冷静に進む のは間違いない。
そして今日最大のポイントは──
翼がついに母に反抗したこと。
これまで翼は、
「自分の気持ちを押し殺す“いい子役”」をしてきたが、
夏美が一方的に責められる姿を見て、感情が爆発した。
夏美は結果的に翼の“トリガー”になり、
翼は初めて母に向かって自分の意志を示した。
もし今日のように夏美が追い詰められなかったら、
翼は一生この感情を飲み込んでいたのかもしれない──。
翼の爆発は今日最大の転換点
翼は以前から
・母に本音を言えない
・理解してもらえない
・愛情はあるが窮屈
・自分の気持ちより母の期待を優先
・反抗すると傷つけてしまうと思っている
こんな状態だった。
しかし今日、夏美が一方的に責められ続ける姿を見て
「これは違う」
と感情があふれ、
ついに母に言葉をぶつけた。
翼は夏美を“守った”のではなく、
自分の心を守るために爆発した のだ。
夏美はトリガーに過ぎないが、
その存在が翼の自己主張を引き出したのは間違いない。
まとめ
第52回は、各人物が抱え込んできた“感情の限界点”が一気に噴き出す回だった。
カツノは徹底した誠意路線、環と伸一は対決路線、久則は板挟み──。
加賀美屋は方向性すら一致しないまま訴訟の現実と向き合うことになり、
旅館の内部対立がますます深刻さを見せはじめた。
一方で夏美は、愛子から厳しく追及されても「謝る」以外の選択肢を持てず、
その姿を見た翼がついに母に反抗するという劇的な瞬間が生まれた。
夏美の行動は必ずしも正解とは言えないが、
その存在が翼の“抑圧された気持ち”を解放するきっかけになったのは確かだ。
次回、
愛子と翼の親子関係はどう変わるのか。
夏美はこれ以上追い詰められてしまうのか。
そして加賀美屋は訴訟の渦中で何を選択するのか──。
物語は確実に次の局面へ向かっている。
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