朝ドラ再放送『どんど晴れ』第50回感想(ネタバレ)――再び動き出す三角関係と、夏美が抱いた“償い”と“迷走”の狭間

どんど晴れ

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2025年12月9日(火)放送の『どんど晴れ』第50回は、

横浜・盛岡の双方で “心の温度差” が広がる回だった。

柾樹は夏美を守るために毅然と元カノ・香織と対峙し、

一方加賀美屋では伸一の暴走が加速。

そんな中、夏美は翼への償いの思いに突き動かされ、

弁護士介入中とは思えない大胆すぎる行動に乗り出す――。

物語は優しさと無謀さが表裏一体となり、

登場人物それぞれの “ゆがんだ正義感” が浮き彫りになった回だった。

柾樹、香織の“直撃訪問”を知る

  • 柾樹(内田朝陽)の職場。久美子(別府あゆみ)から、香織(相沢紗世)が“届け物”を口実に柾樹の住所を聞き出して夏美(比嘉愛未)を訪ねたことを知らされる。

  • 柾樹は香織に「夏美と何を話した?」と詰め寄り、「自分に必要なのは夏美だけだ」とハッキリ伝えるが、香織はまったく引く気配なし。

個人的感想

香織に住所を教えた犯人はまさかの久美子。

届け物という“業務っぽい理由”で聞き出しているけど、実質は 虚偽理由による個人情報取得 にあたりかねないので、普通の会社なら戒告くらいは入りそうな案件ではあるね…。でも確かに届け物はしてたからなぁ。計算できるずる賢さも持ち合わせている。

香織の“引かない姿勢”は相変わらず強烈で、柾樹が明確に拒絶しても意に介さない。

日本語が通じてないのか、あるいは欲しいものは絶対に勝ち取りに行くタイプなのか…。

でも、ここまで食い下がれるメンタルはある意味すごい。


夏美、翼の家へ“単独突撃”

  • (川口翔平)から届いた手紙に書かれた住所を頼りに、夏美が翼のマンションを訪ねる。

  • チャイムを押すとお手伝いさんが対応し、翼は塾に行っているため不在だと知らされる。

個人的感想

弁護士がすでに受任している状態で、

「トラブル当事者が代理人を飛ばして直接相手宅を訪問」

これは現実世界ではかなりマズい行動なんじゃないか…。

訴訟はまだ提起されていないにしても、愛子の立場からすれば

「まずは弁護士を通してください」

が当然の反応だろうし、勝手に接触を試みたと知れたら印象は悪くなるだけ。

夏美は“自分が訴訟リスクのある当事者”だという意識がほぼゼロで、ただ「翼に会いたい」という気持ちだけで突っ走ってしまう。本当に、誰か一人でいいから止めてあげてほしい…。

夏美は “悪気がないまま突き進むタイプ” で、本人の純粋さが時に危険な行動へ直結してしまう。このキャラ設定が視聴者の賛否を大きく分けそうだ。

また今回も 相談ゼロ・根回しゼロの暴走ムーブ が発動していて、見ている側はヒヤヒヤしかないね。


伸一・恵美子夫婦、いよいよ決裂寸前へ

  • 加賀美屋では、伸一(東幹久)が銀行に融資を断られたことを受け、旅館改革の必要性を訴える。

  • 人手不足で疲弊する環(宮本信子)が、恵美子(雛形あきこ)はいつ旅館を手伝うのかと伸一に催促。

  • 伸一は恵美子に「早く旅館を手伝え」と強圧的に命令し、反論されると

     「お前、変わったな。前はもっと素直だったのに」 とモラハラ発言。

  • 恵美子は、夏美に“自分の気持ちを言う大切さ”を教わったこと、今も夏美を好きで戻ってきてほしいと語る。

  • 言い争う夫婦の姿をカツノ(草笛光子)が目撃し、皮肉を言って立ち去る。


個人的感想

銀行が融資を断ったのは、現状の加賀美屋を見ればむしろ当然

訴訟リスク、人材不足、経営陣のコンプライアンス意識の欠如、この3点だけでも金融機関は融資に慎重になるはず。

そして伸一が言い放った

「お前、変わったな。前はもっと素直だったのに」

この一言が、恵美子がこれまでどれだけ“反論すら許されない環境”に置かれていたのかを生々しく語っている。

これは完全に支配的で、妻を労働力とみる古い家父長制の典型。

環もまた、無意識にその構造を維持している。

  • 自分の妻を“無給で働く労働力”だと勘違い

  • 恵美子の善意に依存

  • 異議申し立てを“変化=悪”と断じる

こんな状態では、モラハラと搾取の温床になっていたのも無理はない。

恵美子が夏美に感謝しているのは、自分を押し殺して生きてきた状況から抜け出す“気づき”を与えてくれたからなのだろう。

これが伸一の苛立ちを招いている。

本来なら伸一が行うべき“改革”の第一歩は、人間関係の再構築だ。そこを放置したまま銀行に融資を求めるのは無理がある。

一方で、

恵美子は女将という仕事には執着がない。

訴訟だろうが改革だろうが、加賀美屋の未来に必死なのは伸一たちであって、恵美子にとっての最優先は「自分の人生を取り戻すこと」。

ここに夫婦の価値観の決定的なズレが見える。


離れの縁側:カツノと平治 ― “座敷童の喪失”を嘆く

・カツノが大女将を退くことを平治に告げ、平治(長門裕之)は心底残念がる。

・平治は「夏美は根性なしだった」と愚痴をこぼす。

・しかし本音は「夏美がいるとカツノが生き生きしていたから」という悔しさの表れ。

・カツノは「自分を気にかけてくれるのは平治だけ」と打ち明ける。

個人的感想

平治は夏美を“座敷童”と呼んで応援していたが、その理由は加賀美屋の繁栄ではなく“カツノが生き生きするから”。もう完全に恋心。

そしてまたしても夏美に“勝手な役割”を背負わせる大人たち。平治よ、さっさとカツノに告白しなさい。


智也の“報告”、夏美の暴走、そして奇妙に心地よい男二人の空気

  • 夏美は翼のマンション前で、帰ってくるのをひたすら待ち続ける。

  • 横浜の部屋では、智也がフライパンを振りながら炒飯(ピラフ?)を作っている。

  • 柾樹が帰宅し、盛岡に行っている間に香織が来たかどうか智也に確認。

  • 智也は夏美と香織のやり取りを“ほぼ全文”再現し、夏美が動揺していたことも正直に伝える。


個人的感想

智也……料理できるのか!

フライパンから米がバッサバッサこぼれてたけど、それはそれで可愛い。このドラマ、共感しづらいキャラが多い中で、智也と柾樹の空気感だけは妙に心地よい。

兄弟みたいで、友達みたいで、絶妙な距離感。しかも智也、玄関の外で会話を聞いてただけなのに 内容を全部再現 できるというまさかのスーパー記憶力(笑)

ドラマ全体として褒めポイントが限られているからこそ、こういう“健全に好感の持てる関係性”が光って見える。

夏美が翼のマンション前で待ち続けている一方で、男二人の生活感あふれるこのシーンのコントラストもなんか好き。智也は“まとも寄り”のキャラだから、 二人が絡むと画面が穏やかになる。


翼との再会がもたらす “癒し” と “違和感” 

  • 夜になり翼が帰宅し、夏美はついに再会を果たす。

  • 翼に部屋へ招かれ、立派なマンションの中へ。

  • お手伝いさんの作ったサラダを捨てようとする翼を、夏美が止める。

  • 「ちゃんと野菜も食べなきゃ」と指導し、成り行きで翼の“美味しく食べられる野菜料理”を作ることに。

  • 特製豆腐ハンバーグづくりが始まり、翼も手伝う。

  • 翼の笑顔に触れ、夏美も久しぶりに心から楽しそうな表情を取り戻す。

個人的感想

正直、翼がサラダを捨てようとして夏美が止めたのは 100%正しい

けれどその直後、

「じゃあ私が美味しい野菜料理作ってあげる!」

と自然に家に上がり込み、料理を始める胆力は、もう驚きを通り越して笑うしかない。

しかもこの相手は 一度、自分の不注意でアレルギー発作を起こさせた子 だ。

普通なら「素材に触れるのも怖い」「親がいない家に入るのはまずい」という思考が働くはずなのに、夏美はそこを軽々と飛び越えてしまう。

翼が「うちの材料は全部アレルギー対応だから大丈夫」と言っても、“だから料理していい” には繋がらない のが一般的な大人の判断だと思う。

でも夏美はそんな常識すら軽く置き去りにして、翼の家で豆腐ハンバーグをこねてる。

いや、本当に胆力がすごい。もう「常人では理解できない行動力」と呼んでも差し支えないレベル。

そして最大の違和感はここ——

公式あらすじでは「謝りに行った」と書かれていたのに、実際の映像では夏美は一度も謝っていない。

再会してから3分間、謝罪ゼロ。翼を煽って、ニコニコして料理始めて、楽しそうにして……。

なぜ?

視聴者としては混乱するし、脚本の意図が見えなくて不安になる。

どんど晴れは “炎上狙いなのか?” と疑ってしまうほど、価値観のズレた行動が増えてきた。

夏美のキャラクターを「天真爛漫で真っ直ぐ」ではなく「怖いもの知らずで空気が読めない」に寄せすぎると、視聴者の共感が離れるのが心配になってきた。


 

まとめ

第50回は、 「想いのすれ違い」 が色濃く描かれた回だった。

・夏美は翼への償いを最優先にしたが、その行動は常識的には危うく、視聴者がハラハラしてしまうほど。

・柾樹は夏美を全力で守ろうとするが、香織の執念深さはもはや戦闘力が高すぎて別ジャンル。

・加賀美屋は伸一が完全に“裸の王様”と化し、改革どころか迷走のフェーズへ。

それぞれが「正しいと思うこと」をしているのに、結果的に不和が深まっていく構図が非常にドラマ的だった。

そしてラストでは、翼との交流を通じて 久しぶりに心を動かされた夏美 が描かれる一方、謝罪もせず野菜料理を作りはじめるという “夏美らしい暴走” も健在。

夏美の行動がどんな波紋を広げるのか――

不安と期待、両方を抱えたまま次回へ。

『どんど晴れ』感想まとめはこちら

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