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2025年12月3日(水)放送の『どんど晴れ』第45回。
盛岡を逃げるように去った夏美が、横浜で“家族との断絶”と向き合う回だった。
父の痛烈な拒絶、弟の家出、そして揺れる朝倉家の空気。その一方で、柾樹は揺らぐ夏美を丸ごと受け止め、静かに支える。
それぞれの胸の内が露わになった重く切ない一話だった。
智也の励ましと、啓吾の厳しい拒絶
盛岡で何があったのか事情を知らない智也(神木隆之介)だが、「遠慮なんかしなくていい、実家に帰ってこいよ」と姉を気遣う。
夏美(比嘉愛未)が啓吾(大杉漣)を気にして帰れずにいると、智也は「事情を話せば分かってもらえる。俺がついてるから」と背中を押し、夏美は実家へ。
房子(森昌子)は温かく迎え入れたものの──
啓吾は、パティシエ修業も女将修業も“途中で投げ出した”夏美に激怒し、
「ここを実家だと思うな」
と容赦なく追い返してしまう。
(個人的感想)
智也は本当に朝倉家の良心。夏美が帰りづらそうにしている空気を察して、迷いなく手を差し伸べる優しさは救いだった。
一方で啓吾は、修業を二度も放り出した娘を許さず話も聞かない。確かに「逃げ癖」が問題だという視点は理解できるが、事情を一切聞かずに追い返す対応には疑問を感じざるを得ない。
まずは話を聞き、弁明の機会を与えるべきでは?
このドラマは登場人物の圧倒的なコミュニケーション不足と短絡的な判断がトラブルを増やしているようにも見えてしまう。
柾樹、加賀美屋の“異常事態”を知り動き出す
柾樹(内田朝陽)は浩司(蟹江一平)に電話をかけ、夏美が加賀美屋で起こしてしまったトラブルの詳細を丁寧に確認する。
浩司は、現在加賀美屋には女将が不在という前代未聞の状況であること、現場が混乱していることを説明。
それを聞いた柾樹は状況を理解し、
「みんなに迷惑かけて本当にすまない」
と素直に謝罪する。
(個人的感想)
柾樹と浩司は、普通に連絡を取り合える関係性で、浩司はどちらか一方に肩入れしすぎないバランス感覚がある。そのため、伸一側と柾樹側の“架け橋”になれるのは浩司しかいないのでは?と期待してしまう。加賀美屋をよく知り、誰にも偏らない立ち位置の浩司が、両者をつなぐキーパーソンになる未来も十分ありえそうだ。
啓吾VS智也――“修業観”の衝突と家族の軋み
せっかく帰ってきた夏美を、事情も聞かずに追い返した啓吾。その態度に 智也は激怒し、納得できない気持ちをぶつける。
しかし啓吾は、
-
修業とはつらいものだ
-
そのつらさをどう乗り越えるかが大事
-
大女将に何の断りもなく逃げ帰ってきたのは許されない
と、夏美を受け入れない理由を並べ立てる。
智也は「じゃあ姉ちゃんはこれからどうするんだよ」と心配し、母・房子にも助けを求めるが、房子は
「柾樹さんの家にいるなら、それはそれで…」
とトーンダウン。納得できない智也だけが一人で怒りを燃やす。
さらに、啓吾と房子は夏休み中なのに家にばかりいる智也に「部活はどうした」と問い、智也は 自分のせいで試合に負けたことへの責任を感じ、サッカー部を辞めた と告白。
啓吾はここでも「途中で放り出すな」と息子を叱責し、「そんな甘い考えじゃ何もかも上手くいかない」と言われた智也は反論できず、部屋を飛び出した。
(個人的感想)
啓吾の“修業観”は、とにかく 我慢・忍耐・逃げない の一本槍。
夏美に弁明の場を与えなかったのも、啓吾の価値観からすれば一貫しているといえる。
しかし、みんなが啓吾のように強くいられるわけではない。
智也の「自分の責任で試合に負けたから辞めた」という話は少し極端に感じるが、夏美の話に重ねているということなのだろう。しかし、ここは啓吾の主張に軍配が上がる場面かなと思う。
一方で、房子が急にトーンダウンし啓吾寄りになった姿が印象的で、この夫婦のバランスがいつか崩壊してしまうのでは?とすら感じた。
柾樹、夏美に“平凡な幸せ”を語る──そして智也が家出して転がり込む
加賀美屋では環が新しい献立の試食を進める一方、浩司は「柾樹から電話があった」と環へ報告。その頃、横浜の柾樹の部屋では、また別の“家族のドラマ”が静かに動き始めていた。
盛岡の実家に帰ってみたものの父・啓吾に門前払いされ落ち込む夏美。そんな彼女を前に、柾樹は「気にするなよ。時間が経てばきっと分かってくれる」とやさしく声をかける。
自分を責め続ける夏美に対し、柾樹は
「夏美は心配しなくていいんだよ。盛岡には俺が行ってちゃんと話してくる」
と約束し、重荷を一人で背負わせまいとする。
腹が減ったと言い、夏美の作ったビーフシチューを「大盛で」と頼む柾樹。美味しそうに頬張る姿を見て、ようやく夏美の表情にも笑顔が戻る。
そして柾樹は、ふと本音を漏らす。
「平凡かもしれないけどさ。
仕事が終わったら夏美が迎えてくれて、美味しいご飯がある……
そんな生活にずっと憧れてたんだ」
穏やかで温かい“家族の形”への渇望がにじむ場面だった。
そんな時、チャイムが鳴り、玄関に現れたのは──なんと 家出をしてきた智也。啓吾と衝突し、行き場がなくなって柾樹と姉の元を頼ってきたのだった。
(個人的感想)
まず、夏美のビーフシチューが“例の粘度の高いカレー”のようじゃなかったことにホッとした。
そして柾樹。「俺が盛岡へ行ってくる」と言い切る姿は頼もしさを感じる。
夏美に“専業主婦のような生活”を語ったくだりは、価値観としては少し昭和的かもしれないけど、幼少期に家庭の温かさが欠落していた柾樹らしい“切実な願望”にも思えた。
柾樹の語った
「仕事終わりに夏美がいて、美味しいご飯があって…そんな生活に憧れてた」
というセリフは、単なるのろけを超えて、彼の幼少期の孤独を感じさせる深い台詞。
これはつまり、
-
夏美が女将にならなくてもいい
-
自分も旅館を継がなくてもいい
-
“普通の家庭”を持ちたいだけ
という本音の表明でもある。
従来は “旅館を継ぐ者” として描かれてきた柾樹だが、ここへきてアイデンティティそのものが揺らぎ始めたのではないか。
この価値観の転換は、今後の加賀美屋の跡継ぎ問題にも影響を与える可能性が出てくる。
一方で智也。父への不満が爆発して家出──その行き先が柾樹の部屋というあたり、この部屋が“駆け込み寺化”する未来が見えて心配になる。
(下手したら次は房子も……いや本当にありそうで怖い。)
そして最後に一言。チャイムの相手が智也でよかった。
香織が「来ちゃった♡」とか言いながら立ってた世界線も、見てみたい気持ちは少しあったけどね。
まとめ
第45回は、「逃げること」「許されないこと」「支えること」が交錯する濃密な一話。啓吾の厳しさ、智也の反発、房子の揺れ、そして夏美の心の崩れ。そんな渦の中で、柾樹の“支える力”が際立つ回だった。
次回は、夏美の逃避と朝倉家の崩れかけたバランスがどう動くのか、そして智也の家出が何をもたらすのか。
さらに加賀美屋の問題も先送りされたまま…。
人間関係が大きくうねり始める展開が予想される。
『どんど晴れ』感想まとめはこちら
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