朝ドラ再放送『どんど晴れ』第28回感想（ネタバレ） ―「人を想うことの難しさ」盛岡と横浜、それぞれの夜―

2025年11月13日（木）放送の『どんど晴れ』第28回。

ジュンソの“恋人探し”が動き出す一方、

横浜では浅倉家にも大きな変化が訪れた。

夏美、仲居たちの詮索をかわす

韓流スター・ジュンソ（リュ・シウォン）の話題で持ちきりの加賀美屋。仲居たちが好奇心いっぱいに質問を浴びせても、夏美（比嘉愛未）は多くを語らず、庭で静かに水をまく。恋人を捜すジュンソの姿が、自分と柾樹（内田朝陽）に重なって見えていた。

（個人的感想）
仲居たちの“うわさ好き”は相変わらず。でも、夏美が彼女たちと情報を共有していれば、涼子さん探しはもう少しスムーズに進んだかもしれない。盛岡に不慣れな夏美が一人で背負うより、土地に詳しい仲居が協力したほうが現実的だよね。

横浜の浅倉家、許しと不満が交錯

夕食の席、啓吾（大杉漣）は柾樹を完全に許すと宣言。柾樹は頭を下げ、智也（神木隆之介）も笑顔。しかし、房子（森昌子）だけは不機嫌。啓吾がこっそりカツノ（草笛光子）に贈り物をしていたことを根に持っていた。苦手な酒を一気にあおり、日頃の不満を一気にぶちまける房子。啓吾と智也は苦笑しながらその場をやり過ごす。

（個人的感想）
房子の怒りは、単なる“抜け駆け”への不満じゃない。夫婦生活の中で積もり積もった不平が噴き出した瞬間だった。啓吾の自己中心的な性格を直さないと一緒に老後を過ごせないと言いかけたのもそういうことだろう。啓吾がどんなに立派でも、配慮の足りなさは変わらない。智也が家族全体のバランスを取ってくれるのが救いだ。房子と啓吾の口論は、年を重ねた夫婦が抱える典型的な“すれ違い”。啓吾は「正しい」けど「鈍感」。房子は「感情的」だけど「正直」。どちらが悪いというより、“相手の心を察する余裕がない”ことが一番の問題だ。智也という若い世代が、親たちを理解しながら見守る構図が温かい。それにしても、一杯のビールで泥酔する房子、あれは少し極端すぎない？（笑）

イーハトーブの“恋人捜し作戦会議”

夏美のために、裕二郎（吹越満）やアキ（鈴木蘭々）、ビリー（ダニエル・カール）、聡（渡邉邦門）、佳奈（川村ゆきえ）が涼子探しに協力するという。それぞれが知り合いやルートをたどり、懸命に手がかりを探そうとする。佳奈は「おせっかいすぎる」と呆れるが、聡は「そこが彼女のいいところ」とフォロー。

（個人的感想）
やっぱりイーハトーブのメンバーは温かい。本来は関係ない話なのに、夏美のために動く姿がいい。そして、聡の「そこが彼女のいいところ」という一言が気になる。恋のベクトルが少しずつずれていく予感もあるね。夏美がジュンソの恋を助けるのは、純粋な優しさだけではない。“自分の代わりに誰かを幸せにしたい”という、自己投影型の共感のようにも思う。

マネージャー襲来、環の“女将の誇り”

ジュンソのマネージャー（七世一樹）と通訳が加賀美屋へ。「彼を今すぐ連れ戻す」と強硬に出る二人に対し、夏美は「明日まで待ってほしい」と必死に食い下がる。そして現れた環（宮本信子）が毅然と立ちはだかる。

「お客様のプライバシーを守るのが女将の務めです」

両手を広げ、玄関口をふさぐその姿に、旅館全体が静まり返る。

（個人的感想）
環の“プライバシーを守る”シーンは、旅館という仕事の“倫理的中核”を描いた名場面。演出的に見ればオーバーだが、女将像としては極めてリアルだ。体を張ってでもお客様を守る——その姿勢は、夏美にとって“働く意味”を学ぶ重要な教材になったことだろう。ただ、視聴者的感想としては、環の“体を張った女将魂”には感動というより、ちょっと恥ずかしさもあった。もちろん言ってることは正論。でも演出が大げさすぎて、“共感性羞恥”のようなものが発動してしまった。

まとめ

夏美は“人のために動くことの尊さ”を学び、環は“仕事の誇り”を体現し、房子は“家族の想い”を吐き出した。
明日の第29回では、ジュンソと涼子の再会、もしくは“会えなかった物語”が動き出すはず。

夏美がどんな感情を抱くか、見逃せません。

『どんど晴れ』感想まとめはこちら