朝ドラ再放送「どんど晴れ」第8回感想(ネタバレ) 父と娘の衝突、母の愛、そして“柾樹への疑問”

どんど晴れ

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2025年10月21日に放送された『どんど晴れ』第8回。
今回は、夏美(比嘉愛未)が「盛岡へ行く」と宣言したことで、父・啓吾(大杉漣)との関係が決定的にこじれてしまう回でした。
親子の想いのすれ違い、そして日増しに「柾樹(内田朝陽)の行動は理解できない」という状況になる印象深い回でもありました。


父・啓吾、かつての職場へ “職人としての誇り”と“父としての苦悩”

啓吾は昔の職場だったホテルを訪ね、旧友であり同僚だった山室英喜(中原丈雄)と再会し、出来立てのシブーストを差し出します。
「これだよ、これ! 結婚式の引き出物にって、また注文増えてるぞ」と懐かしそうに話す山室に、啓吾は「地味だけど、職人の腕が出るケーキなんだよ。一生かけて作り続けていくやりがいがある」と語ります。

その言葉には、パティシエとして生きてきた誇りと、娘に“自分と同じ道”を歩ませたいという思いがにじみ出ていました。

啓吾が「柾樹君、本気で決心したのか?」と尋ねると、「退職届、受け取ったよ」と答える山室。
啓吾の表情は一気に曇り、彼は直接柾樹に会う決意をします。


「どうして夏美との結婚までなかったことに?」——父の怒りと柾樹の沈黙

啓吾は式場の準備をしている柾樹の前に現れます。
「君が盛岡へ帰るのはいい。だが、どうして夏美との結婚までなかったことにした?」

柾樹は視線を落とし、「こちらの一方的な理由です」とだけ答えます。
「何か特別な事情でもあるのか?」とさらに詰め寄る啓吾に、柾樹は「夏美さんとの結婚はなかったことだと思っています。申し訳ありません」と頭を下げるのみ。

その沈黙に、啓吾の表情が険しくなります。
「わかった。そのかわり、夏美とはこれっきり会わないでもらいたい。いいね?」と告げると、「はい、夏美さんとはもう会いません」と柾樹。

(個人的な感想。なぜ柾樹は、あれほどまでに頑なに事情を話そうとしないのだろうか。結果として、この決断で得をしているのはカツノただ一人に見える。誰にも相談せず、一人で抱え込み、勝手に結論を出してしまったことで、周囲を混乱させ、不幸の連鎖を生んでしまっている。どんな事情があるにせよ、これは誠実な大人の対応とは言いがたいと思う。)


夏美の実家に訪れる久美子と、複雑な思いを抱く保

夏美の実家のケーキ屋には久美子(別府あゆみ)が訪ねてきます。
「夏美! 大丈夫?」「私、何て言っていいか…」と心配する久美子に、夏美は「心配しないで、この通り、元気にしてるから」と気丈に笑い、新作ケーキの試食を勧めます。
一方、保(与座嘉秋)は久美子に「やっぱり本当なんですか? その…結婚がなしになったというのは」と確認し、「あ…まあね…」と答えられると、一瞬悲しげな顔を見せながらも背を向けてガッツポーズ。
複雑な三角関係の空気を感じさせる、静かだけれど印象的な場面でした。

 

父と娘の対立 “夢”と“愛”のはざまで

帰宅した啓吾は夏美を呼び出し、柾樹と話した内容を伝えます。
「結婚するつもりはもうないそうだ」「『お前とは会わない』とも言っていた」と冷たく告げる啓吾。
「そんな…お父さんには関係ない! 私と柾樹さんのことよ!」と反発する夏美。

「お前の父親だ!」と怒鳴る啓吾。
「何のために修行してきた? ケーキ作りは本気じゃなかったのか? 娘だからお前のことを修行させてきたわけじゃないんだぞ。なのに、そんな、いい加減な気持ちだったとはな」と激しく叱責します。
「お父さん、私…」と弁解しようとする夏美に、「もういい!」と怒りを押し殺しながら部屋を出ていく啓吾。
閉まる戸の音が、親子の心の断絶を象徴していました。


家族の食卓に漂う重たい空気

夕飯時、食卓には房子(森昌子)と智也(神木隆之介)の2人だけ。
啓吾は仕事で不在、夏美は「夕飯はいらない」と言い残して部屋にこもってしまったと房子が説明します。
「また、何かあったの?」と気にする智也に、房子はため息をつくだけ。
(個人的な感想。柾樹の行動によって、朝倉家はすっかり混乱してしまった。家族の空気が悪く、まだ未成年の智也にとっては良い影響とは言えない。柾樹の一方的な決断が、こうした家庭の崩壊の火種になっていることを改めて痛感した。)


母の包み込む言葉 “自分の人生は自分で決める”

窓から雨の降る外を見つめる夏美。その部屋に房子がそっと入ってきます。
「おなかすいたでしょう、これ」とおにぎりを差し出す房子。

「お父さんね、夏美のケーキ職人としての腕、認めてたのよ。だから、“いい後継ぎができた”って喜んでたの」と優しく話しかけます。

「そんなこと、私にはなにも…」と小さくつぶやく夏美に、「不器用な人なのよ、あの人は。夏美のことも、家族のことも、すごく大事に思ってるのに、うまく言葉で伝えられない。母さんにはそんなお父さん、よく分かるけどね」と房子は微笑みます。

夏美は房子に、どうして啓吾と結婚したのかを尋ねます。房子は穏やかな表情で、「だから、お父さんについていこうと思ったの。この人となら、たとえ苦労しても幸せになれる」と語ります。その言葉を聞いた夏美は、「お母さんみたいに、柾樹さんについていきたい」と打ち明けます。

盛岡で過ごした日々を思い出しながら、柾樹の母の思い出の桜を見に行ったときの横顔を語る夏美。「あのときの柾樹さんの顔、すごく寂しそうだった。だから、何があってもこの人のそばにいたい、一緒にいたい。柾樹さんがいつも笑顔でいられるように、そう思ったの」と話します。

「そんなに好きなのね。柾樹さんのこと」と房子。頷く夏美。

そして、自分の言葉で父を傷つけてしまったことを後悔する夏美は、「私、自分勝手なこと言ってるんだなって…もう、どうしたらいいか、よくわからなくなっちゃって…」と涙をこぼします。

そんな娘を房子はやさしく抱きしめながら、「あなたの人生よ。自分の人生は自分で決めるの!」「振り返った時に後悔しないように!」「母さんはね、いつでも夏美のこと応援してるから。ね! うん?」と励まします。

(個人的な感想。ようやく母・房子が夏美の苦悩を受け止め、励ましの言葉をかけてくれたことに安堵した。また、友人の久美子が心配してくれる姿も印象的で、孤立していた夏美にようやく“味方”が現れたように感じた。カツノが柾樹を後継ぎに望むように、啓吾もまた夏美を自分の後継ぎとして考えていたはずだ。だが彼はあまりにも不器用で、その思いを言葉にできなかった。もし啓吾がその気持ちをしっかり伝えていれば、夏美は盛岡へ行くのではなく、柾樹と別れて横浜で家業を継ぐという選択をしていたかもしれない。言葉にして伝えることの大切さを痛感する回だった。そして同時に、これほど多くの人を振り回し、結果的に傷つけている柾樹と一緒になって、果たして夏美は幸せになれるのだろうかという不安が拭えない。)


雨の夜、二人の距離は遠く

場面は変わり、雨の中、掃除をする柾樹の姿。
「そんな夏美の思いを知る由もなく、柾樹は夏美を忘れようとしていたのでございます。」というナレーションが静かに響きます。

冷たい雨の音とともに、夏美と柾樹の距離は、物理的にも心理的にもどんどん遠ざかっていくようでした。


まとめ “親子の不器用な愛”と“沈黙の代償”

第8回は、父・啓吾の不器用な愛と、娘・夏美の揺れる決意、そして柾樹の沈黙によって起こる悲劇が描かれた回でした。
「柾樹は何を考えているのか」「なぜ誰にも話さないのか」という疑問が噴出。
一方で、房子の「自分の人生は自分で決める」という言葉は、物語全体を貫くメッセージとして深く響きました。

次回、第9回では、夏美がついに自分の足で動き出すのか!?
雨のあとは、きっと——どんど晴れ。

『どんど晴れ』感想まとめはこちら

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